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四月馬鹿。コミュの【二次創作BL】戦国BASARA、長曾我部元親と伊達政宗。(下)<R-18>

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※現パロ大学生。
※(上)の続き。
※性描写あり。



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 2011.晩夏 戦国BASARA
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突如、政宗が行動に出た。
肩膝を立てて座っている元親の立てている膝に手をつき、それと反対の肩にもう一方の手をつくと、ぐっと体重をかけて元親に覆いかぶさる。あまりのことに目を見開く位しか反応ができない元親をよそに、政宗は元親の首筋にねっとりと舌を這わせた。汗の塩辛さが際立って感じられ、男臭いにおいがした。
「ちょ、…んだよ。汗くせぇだろって。」
そのまま体躯の良い元親に押しかかるように政宗は頭を沈めた。首筋をなぞる唇からの音が厭に艶かしい。
政宗とて、咄嗟に動いた自らに少なからず驚きはしている。が、寝こけている元親に欲をかきたてられていたのが、先ほどのあからさまな視線の所為で沸き立った。平素より眼光の鋭い二人だが、欲動の視線は獰猛な猛禽の如くだ。それにぞわりと背筋がそばだつ感覚に、政宗の体が細胞レベルで反応したような動きだった。
「いや、政宗?ちょっ、お前、どした───…っ!?」
「アンタが寝こけてんのが悪いんだ。」
「はぁ?なんだよそれ、っ、て、話を聞け。汗かいてるし辞めろって。気持ち悪りぃだろ?」
「Faced with the same problem?(お互い様だろ?)」
「ったく、わけ解んねえとこで英語使うな、ッは。」
「嫌なら突き飛ばせばいいだろ?」
鎖骨を舌でなぞり、ついと零れる唾液を唇で舐る。平素、女の肌に自らも同じことをしているとはいえ、自分の首筋から発せられる妙に艶かしい音に、元親の下腹にざわり、熱が蠢く。
どうしたもんかと狼狽する理性をよそに、政宗は汗で湿ったタンクトップの下に手を入れ始める。自分と違ってあまり体温の高そうにない政宗の指が熱を持って肌に触れたのをトリガーに、瞬間、どうにか平静を保とうとしていた元親の欲情線が音を立てて切れた。

「…お前こそ、嫌なら抵抗しろよ?」
圧し掛かるようにしていた政宗の腰を掴み、横に倒した自らの足の上に膝を折らせると、政宗の背中に手を回して眼前にホールド。予告せず群青のTシャツの上から乳首のラインを舌でなぞる。こちらも汗で湿っているTシャツに、唾液を塗りこめるようにちゅくちゅくと舌を擦り付ければ、面白いように政宗の背筋が揺れる。
「お、オイ……っ、」
「っちゅ、んー?…ま、『お互い様だろ?』ってな?」
「意味、解ってんじゃねーかよ。」
「ははっ!」
低く鳴る笑いに更にざわりと欲を掻き立てられ、政宗は男相手ながら、下半身に熱を集める自分の反応の速さに驚く。
しかしどうやら、それは政宗だけに限ったことではなかったらしい。政宗の男臭い汗の匂いで欲情するとは思わなかった元親の、ソレの反応が速さとしては上回っていたのだ。
「アンタ、そいつ。」
「あぁ、コイツ?」
元気だろ?と。丁度政宗の膝が乗る部分に起きた鬼の金棒に対して二人は苦笑した。
自分の脇の下に顔を埋めようとする元親にどきりとして、汗臭いのは自分のほうだと、政宗は羞恥を訴えるように身を捩る。元親は政宗の汗のにおいを追って鼻先を肌に押し付けた。
「ちゅ、ふッ、一応聞いとくが、お前ゲイとかソッチの人じゃねえよなぁ?」
「なわけ、あるか…んんッ。アンタの方こそどうなんだよ、男相手におっ勃ててちゃザマねぇだ……ろっ?」
「誘ってきた奴が言うなよ。」
相変わらず続く元親の舌技に息の上がりを殺せない政宗だが、言いつつ自らの雄がおぞましい速度で猛っていくのを感じているから始末に終えない。元より自分から誘った形にあることも当然考慮に入れなければならないが……。
「うぁっ、くっ……ッ!?」
突如、背中をホールドしていた手を外し、政宗の雄をジーンズ越しになぞる元親。その指はゆるゆると半勃ちのモノをジーンズ越しに擦る。満足でない刺激に腰を擦り付けそうになった政宗は、目を見開いて上擦りそうな声を殺した。
「とか言いつつ、お前のも元気じゃねぇか。」
「……っせえ、ぁ、触んな、よ。」
政宗の声にニィ、と笑った元親に対して、競り上がる快感を逃がそうと政宗は短く息を吐く。
「はっ、はぁっ、ッ、アンタも……!」
次の瞬間ぐっと体重をかけて元親の肩を引っつかみ、押し倒した。ゴツ、という鈍い音がして元親の後頭部が床にぶつかる。政宗としては女じゃあるまいし、多少の手荒はこのデカイ男相手なら許される、という感覚らしい。
「ってぇな!おい政宗テメェ、っ!?」
政宗はそのままするりと元親の足の間に身体を滑り込ますと片方の手を元親の肩に、もう片方で元親のタンクトップをずり上げた。そのまま首元までたくし上げて先ほどの元親よろしく胸元に吸い付く。ぬらりとした舌が熱をもって元親の首筋、鎖骨、乳首を這い、ぬめる唾液に思わず上擦った声を上げかけて元親は腕で口元を覆った。
肌が敏感になっているのか、吸い上げられるたびに下腹部に力が篭るほど電気が走る。
「っふ、……っ、ぁうっん、」
政宗は割れている腹筋に指を這わせ、わき腹を擦った。生まれつきだという痣を指が這うと元親がびく、と震える。自分が圧し掛かっているため元親の雄の滾りが手に取るようにわかり面白く、快感に従順な元親は乳首を吸えばひっ、と息を詰めて首を反らせた。
体格に似つかわず色の白い首筋がなんとも言えず扇情的で、政宗は喉をぬらりと舐めまわす。呼吸の度に動く喉を食んでやると、喉仏の上下が舌で感じられた。
「元親、アンタすげえ、色っぽいぜ。」
「ぅ、あ、ッあ、…咬むな、て、」
「さっき煽ったアンタが悪い。」
言いながら政宗は己の怒張を元親の下腹になするように押し付けた。
それにゾクリと身を震わす元親。先ほど半勃ちくらいだった政宗も、今や自分とドッコイ以上である。それが自らの痴態で誘われたものなのだと理解し、耳まで赤く染まるほど羞恥を隠せない。男である以上声を抑えようとは思うのだが、段々とそういった理性のタガが外れてきた。
途端、予期しない快感に襲われる。
「っひぅ、ん、ああッ!?」
「なんだアンタ、耳の裏感じるのか?」
政宗が自分の耳の裏を指で擦ったのだ。
「っ、知らねぇよ、……っんなもん、ぁあ、ッあ、それ、ッ、ヤメロ…それ、ぇ、あ、」
元親の反応に気をよくしたのか、唾液をたっぷりと絡めて耳の裏筋を舐め上げる政宗。元親の弱点が耳にあるという事実に喜色の色を隠せない。耳たぶを食み、窪みには丁寧に舌を這わした。穴を舐めれば少し苦く、それがどういうわけか欲をそそる。
「……俺のモトカノと同じpointだぜ?」
「は、あっく……っるせぇ、女扱いしてん、なよっ……」
「安心しな。アンタの方が甘ぇ……」
耳朶を食み、なるべく耳元に言葉をかける。一言ずつで面白いほどガタガタと元親が揺れた。
嗜虐嗜好のある政宗としては普段鬼と呼び慕われる元親が己の指や舌一つでこうまで乱れるのがこの上なく面白いのだが、対する元親には主導権を握られる面白くなさが沸々と湧いてくる。
「っ、ふ、政宗、ッ」
「What do you want me to do? (どうして欲しいか言ってみな?)」
余裕綽々といった笑みすら含ませて聞いた政宗に、今度は元親の報復が待っていた。

耳を攻めに体重を比較的上半身に乗せていた政宗の背中に腕を回すと、開いた足で床を蹴って、足の間にいる政宗を己の体ごと反転させる。
自然、上に来た元親が政宗に言った望みは、政宗をぞくりと粟立たせるには充分だった。
「っはぁ、お前も見せろ、」
言うや否や、元親は政宗の髪をかきあげ眼帯を掴んで頭から抜くと、そこにある火傷の跡にキスを落とした。
「な!?っ、やめ、」
「何でだよ?お互い様だろが」
「みに、く、……汚ぇだろ!」
「んーなことねぇよ。俺も同じだ。」
そう言って元親は爛れた瞼に唇を這わす。政宗はそれが生理的に耐えられないのかぎゅ、と固く瞼を閉じる。
以前、政宗の家で飲んでいた時のことだ。彼を幼い頃からよく知る同居人の片倉が、政宗本人のいない場で声を潜めた内容‥‥『幼い頃に弟がライターで遊ぶのを止めようとして、事故になった。それから泣き暮らしていたこともある。』元親は自分と真逆とも言えるその傷の境遇に今まで深くは触れなかったが、正直言えば“この際”だ。
元親としてはダチなんだからそのくらいの弱み見せたってどうということはない、くらいのスタンスなのだが、政宗はこれに激昂した。今まで寝てきたどの女にも触らせたことがない、どころか普段から眼帯を決して外さない自分の心情くらい察しろ、といった風に。
「Stop it!!」
切ないくらいの声で叫ぶ。
腕を顔の前に回そうとする。
それを阻止する元親の腕力に舌打ちが出る。
「嫌だ。」
「っ、やめろ!」
「嫌。」
「元親、冗談も大概にっ…!」
政宗は口付けを辞めない元親に苛立ち、元親の胸板をあらん限りの力で押した。が、少しだけ押されたと思った胸板はそこからビクともしなかった。この筋肉馬鹿め、と悪態をつこうと思った瞬間、
「政宗、俺も、同じだから。見せてくれよ、な?」
隻眼を焦点にはっきりと合わせて、元親は限りなく優しい声で一言ずつ語りかける。俺も同じだ、そう繰り返してあやす様に言いながら、元親はそのまま政宗の間に片足を割り込ませると、政宗の履いているジーンズのボタンとジッパーを片手で降ろした。合間に内腿に擦れる元親の感触に、政宗から甘い声が漏れる。
「ん、ッぁ、元親、」
「ん?」
そのまま先走りに濡れてぬるみを帯びたボクサーパンツ越しに政宗の怒張をやわやわと摩る元親の、その瞼の傷に政宗は指を這わす。初めは恐る恐る、だが次第にざらつくその引き攣れた傷に己を見たか撫で付けるように。そしてその指で自らの爛れた瞼を擦った。同じだ、と。
そう、“同じ”なのだ。隻眼も、性質も、今感じているこの快感まで。
「ふッ…もと、ちか。もっと下、触れよ。」
「ん、了解。」
「あっ、そこ、良いッ…んっぁ」
そのままどんどん先走りで色を変えていく布の下の怒張は先ほどよりも更に固くなり、根元をゆるく掴めば政宗の腰が揺らめく、先を擦れば息を詰める。元親はいつの間にか政宗の内腿に自らの雄を擦り付けながら政宗を擦っていた。
政宗は眼前の男からもたらされる快感の喘ぎを努めて喉の奥で飲み込みつつ、元親の後ろ頭に手を回し、強引に引き寄せた。ちゅ、とリップ音を立てて元親の瞼の傷に自らもキスを落とし、ぬらりと舐める。
「同じ、か。」
「ああ。」
そのまま顔を上げさせて唇を合わせれば互いの歯がかちりとぶつかり、そのまま息と舌とが溶け合うように絡む。ちゅくちゅくと粘性のある唾液が絡まり、互いの唇はぬるみとてかりを帯びた。
キスの舌技は政宗の方が上だったようで、元親は政宗の熱を擦るのを辞め、政宗の顔の両側に肘をついてキスを貪り始める。もっとして欲しいと乞うように鼻先を擦り付け舌を伸ばしてくる元親に、政宗も応えた。舌を吸われるたび快感が募って、行き場のない熱が自然に腰が揺らめく。
「ふぁっ…は、政宗、お前キス上手いな。」
「はっ、イイ男の嗜みってな。‥もっとしてやろうか?」
「ん、んぅ」
そのまま政宗は元親の頭を掴むようにして引き寄せ、啄ばむように口を吸った。先ほどより強く腰を擦り付けてくる元親の熱にあてられ、快感が競りあがってくるのを必死で喉に留める。対する元親はもはや理性のタガが機能しなくなりつつあるのか、声を控えることをしなくなってきた。はっ、はっ、と短く荒い呼吸の合間に艶のある快感が重なり、上気した頬と顰めた目元が“良さ”を物語っている。
政宗は、こいついつもこんな顔してシてんのかよ、と唾を飲み込み、元親に口付けながら耳の裏をひと撫で。びくりと首を窄ませて声を漏らす元親が一層色っぽく、遂には政宗も元親の雄を膝の加減で刺激する。
「っ…ぁあ、ふっあ、政宗……っオイ、」
「んっ……なんだ?」
「んだ、じゃ、ひぅ……なくて、ぁっ、そッ、それ、」
「これ、か?」
政宗は一層強く膝を擦りつけると、元親は自分で体勢を維持できず政宗に倒れこんだ。それに気をよくした政宗はそのまま政宗の胸板を押して横に倒す。二人は対面して横に寝る形になった。
政宗は素早く元親の薄手のスウェットを引きおろして、直に熱に触れる。元親の背にぞわりと快感が這い上がってそのまま声として抜けた。
「ああん、まっ…まさむ、ね。っふ、」
元親はそそり立つ自分の雄に絡みつく政宗の指にたじろいで、絡む先走りに自分の劣勢を見るが、もうどうでもいいとばかりに政宗の指の上から自らの手を重ねた。政宗の指を握りこむようにして上下に擦る。
「政宗、ぁ、もっと……」
「ッ、どーした元親?」
政宗は挑発的に眉を吊り上げて尋ねる。元親に余裕がないのを知ってのことだった。
元親はその政宗の視線によって皮一枚で逃れていこうとした理性を繋ぎとめ、相手をもこの快感の波に堕としてやろうと。
「はぁ、…んでも、ねえ、」
言い終わるが早いか、自慰するように添えていた手を外し、ぐっ、と腕力にものを言わせて政宗の細腰を引き寄せる。政宗の濡れそぼったボクサーパンツをずり下げて、政宗の熱をそのまま自分のモノにすり合わせた。
「っあ!?」
「お前、も、堕ちろ……ッ」
「はっ!やって、ぁ、くれるじゃねえ、の。」
視覚的に卑猥だった。男同士で、互いの先走りでずるずるのモノを擦り付けるなんて。赤黒く勃起した二人分の怒張は絶えずぐちゃぐちゃと卑猥な水音を発して互いの繁みまでてらてらと濡らしている。
政宗は体躯のハンディ分、それでも気丈に振舞おうと奥歯を噛み締めるが、ぞわりぞくりと快感が競りあがって呼吸はどんどん早くなった。一方の元親は政宗よりも感じやすい性質なのか、既に理性を手放したのか、腰がぬらぬらと動いているのを自制できない様子だ。二人は互いに熱直接触れさせながら自慰をするようにぐしゅぐしゅと二つの怒張を握り込んで快感を追う。
「あ…あーっ、政宗、まさっ、あぅ」
「元親、っふ、っぁ…どうした?」
「んあ、あぁっ、声……こえ、がぁ…良すぎて……お前、もぉ、っ」
「ぁ、っく、俺、も?」
「もっと……聞かせ、はあぁっ、ん、もっと、聞きてェ、」
その訴えに熱がカッと上がる。愛しいだの恋しいだの、そういったことを含まないこの快感ゲームに、執着も羞恥も必要はない。だから、
「狂っちまおう?」
射抜くような視線で政宗を見遣り、元親は政宗の内腿をひと撫でしながら声を上げた。切に感じ入るような声だった。
政宗はその顔に、声に、自らの理性を吹っ飛ばすと、元親の腰を抱き、熱を強く触れ合わせる。競り上がる波と引かない熱さに、汗のぬめりさえ快感に切り替えて。
「あ…あぅっ、ひっ、く、良い、ぁあーー、イイっ、イイっ…もっと!」
「んぅ、はぁ……あーっ、イっく、あっあ、も、もう…もうっ…もうっ!」
どちら喘ぎがどちらのものか最早解らない。
快感の熱が卑猥な水音を立てながら解放に向かって、なにを言っているのかも、息を吐いているのか吸っているのかすら解らない。
二人は獣と化して、激しく快感を追った。
「あっ、あ、あ、あーーー、あああぁ、ダメだ、イく、元親っ!!」
「ひぅん、っあ、ああああっ、政宗、イクッ、イクッ、イクぅッ!!」
最後はうねる様な快感の熱に意識ごと一瞬トんで、じゅくじゅくの熱が白濁を飛ばす。互いの腹は既に先走りと汗でぬめるほどだった。
白濁をほぼ同時に放った瞬間、元親は足を突っ張り、体を反らせる。対して政宗は喉を仰け反らせ、大きく震えた。ぬめる肌が互いに擦れる感覚が射精の快感を増長させて息がマトモにできない。ひゅーひゅーと気管を通る息で喉が痛い。
「…と、ちか。ふぅ、ぁ、大丈夫、…か?」
自らと元親のモノを擦りながら最後の一滴まで、と迫り出させる政宗に元親は腰を押し付けた。
「あっ、はー…はぁ、っさ、…まさ、む…」
自分と同じく、荒く短い息を吐く政宗の瞼の傷を撫でる。嫌がられることはなかったが、代わりにニヤリと笑った政宗に耳の裏をするりと撫でられ首が窄まった。

暫く息を整え、段々と平常を取り戻してくる頭に浮かんだのは。
「「(あー……やっちまったよ、オイ……orz)」」





その後のことである。
元親が自分の足元にあったティッシュを手繰り寄せ、互いにそそくさと白濁を拭うと、政宗は元親に服を貸し出すことを強く望んだ。サイズがあからさまに大きな元親の服を借りることは癪に障る以外の何ものでもなかったが、なによりもまず、即座に風呂場にいってシャワーを浴びたかった。
当然、水浴びである。
「(冷静になれ、俺。冷静になれ、俺。冷静になれ、俺。)」
途中から元親もノって来たとは言え、元はと言えば自分がトチ狂った末の結果だ。
なんでまた相手が明らかにガツガツして男クサイ元親なのか、寧ろ自分はゲイの属性でもあるのか、自分よりマッチョな男がああまでイイ顔して啼くとは……じゃねえ、おいおいもう勘弁してくれ俺。
───といった形で溜息に溜息を重ねる。
水のお陰で体の芯から冷えたのか、少し温めのお湯すら熱湯に感じる有様だったが、青臭さと汗と非日常を洗い流してそそくさと風呂場を出た。
「(平常心、平常心。COOLにCOOLに。)」

対する元親も、努めて平静を取り戻すことを心がけながら青臭い部屋を換気し、あらかたをゴミとして片付ける。
「(……何事もなかったことにしよう。何事もなかったことに…ムーブメント! ※ラーメンズ)」
好きなお笑いだとか音楽だとか酒だとか、そういったことに意識を向かわせようと努力していたが、この時の彼の心に“分別”という文字は二つの意味で存在しない。
先に行動に出たのは政宗だが、自分もこの暑さで沸いていたのだ。過失は自らにもある。
「(しっかし、あいつ。ああまでキスが上手ぇってナニゴトよ、ホントもう勘弁してくれ!)」
要らぬことを思い出し、一瞬起きかけた己の息子に頼むからもういいだろう、と静止をかけた。

政宗がどんよりとした後悔を背に風呂から上がってきた頃、惨憺たる部屋は平常を取り戻していた。まだかかり始めのクーラーも順調に冷たい風を送り出している。政宗はどこかホッとした面持ちで風呂を借りた礼を言い、元親は適当に洗濯を回す、と一言言い置いた。
今度は元親がそそくさと風呂場を使いに行く。瞬間、すれ違うとき、元親から青臭さを感じ、政宗は自分でも知らず知らず顔を赤らめたが、それは自分と同じシャンプーを使った政宗の香りを感じた元親も同じだった。

クーラーの風が心地よく部屋を満たしていく。
最初は暑さも感じたが、熱も汗も引いてきた。政宗は髪の水分をタオルに含ますのも程ほどに、壁に凭れて携帯を開く。世の中じゃ最近はスマートフォンが流行っているのだというし、家主の元親はそういった機械関係のものが趣味ということもあってか、最新を揃えているのだが。
「ってもなー……」
とは言え、自分はどうもそんな気になれず、まだこの深い青色の携帯を使っている。二通のメールに返信をして、一通着ていた女からのメールはスルーして…と、思った瞬間。
ヴヴーーー、ヴヴーーー
「おわっ!」
驚いた。伏せて置いてあった元親のスマホが震えたのだった。ひっくり返すと液晶には“慶次”と表示されている。
「おーい、元親ー」
風呂場に向かって歩を進めつつ声を掛けると、適当に取ってくれ、とのこと。
「いや、これどうやったら通話になんだよ……」

「───で、慶次、なんだって?」
スマホに苦戦した、という恨み言もそこそこに、風呂から上がった元親に通話の顛末を説明する。
要するに、二番目の彼女にストックの彼女がバレて、話はご破算になった、とのことだった。幸いにか不幸としてか、今日の二人にバイトなどの予定はなく、元より女の金で生きているような慶次にはバイトをするという頭もなく。
「で、またより集まって飲むかって話に。取り敢えずメシと酒買って来い、と言っといたぜ」
「おうおう。…はーしかし、あいつもホント、懲りねぇよなぁ」
「確かにな」
「ってもよ、お前スマホくらい使えた方がいいと思うぜ、コレカラ的に」
「…いや、小十郎ともその話何度かしてんだけどな、こう、どうもなァ…」
「今度選んでやるからよ、一応使えるようになっとけって」
どことなく落ち着かない。当たり障りのない定型通りの会話に、張り付いたぎこちない笑みを添えて、“ソレ”の臭い消しとも取れる煙草を手にしながら、二人はキトクな友人の到着を待った。
「「(ところで次、いつしてやろうか)」」
キトクなのはこれからやってくる友人よりも自分ではないだろうか、という心根を煙として吐き出す、そんな秋口の昼間。

──ピンポーン。


(了)





[pixiv] http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=584236

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