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四月馬鹿。コミュの▲【二次創作BL】銀魂、銀時×高杉<R-18>

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※性描写・暴力シーン有り。
桂→晋→銀→辰→(興味)→銀


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 2008.梅雨 銀魂
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戦場の生臭い血の匂いを纏って、ぬかるんだ地面を歩いていく。
何故自分は生きている?
今日失った、昨日暖かかった、明日生ゴミと化すであろう、命。

目の前の人で在らざる者を只ひたすらに斬る。
大義なんてとうに失って、自制も利かぬ剣は収まる鞘すら見つからず。
斬った相手に生や思考があることは重々承知している癖に『蛮族』として逃げを打つ。

命。
等価の、重み。

それでも『知りえぬ』と片付ける愚かさまで共通した傷を。


【かなし】


「ほんじゃー、ちょっくら行って来るきに」
隣に立つ同士は測量の終わった俯瞰図を眺めながら自分に目を合わせようとしなかった。
雨の後の嫌な湿り気が甲冑の中を満たし、沸き立つ錆の匂いに吐き気がする。
「ああ。…ヅラと行くんだっけか?」
解りきっている事象をわざと口にしたのは、今宵目の前の人物と居られない苛立ちか。
「…おんしを連れて行く方がよかか?それとも…」
「そういうわけじゃねぇ」
「おんしは…見境なく殺す。扱い辛いんじゃ」
「ッ……」
辰馬の視線が一瞬鋭利な光を放ち、自分の醜い内面を照らす。
自分の揺らめいているであろう視線が情けなくて、手を伸ばしかけて。
それでもそれを押し殺して咄嗟に自分から逸らした視線と、息苦しい沈黙を打ち破る自分の適当な言の葉に。
心底、辟易した。
「…なんでもねーわ」
突き刺すような空気。辟易したのは相手か。辰馬の噛み殺した溜息に自分への殺意が込み上げる。
「こっちのことは任せたぜよ?銀時」
「辰馬、」
「どうかしたがか?」
少し目線の高い相手の後ろ頭を引き寄せて掠める口付けをした。
微かに漏れた吐息は甘味を含んでおらず、愛しさを否定する材料でしかない。
「死ぬなよ」
縋る様に発した自分の声が微かに震えていたことに辰馬は気付いているようで。
それを腹立たしく思いながらも、一方では僅か満ち足りて想うのは欲のなすことか。
「銀時、好きじゃ」
抱き締め返され、体重を預けてしまう。口先だけの愛の紡ぎ合い。
大丈夫。狂わない、狂えないよ、お前がいる限り。

その後、長髪の同士がやって来て時間だと告げ、二人を含む7、8人が本隊から離れていった。



昼間降った雨の残した重苦しい灰色の空が色濃くなっていく。
月明かりも星の灯もない夜がやってくる。
煌々と蒼く青く光るターミナルがぼんやりと辺りを白けさせ、いっそ死んでしまいたい。
胸の内から全身に向けて、不安や焦燥、死への恐怖が漠然と込み上げる。
頭はそれに従って、恐ろしく濛昧な虚の中へ墜ち。
ただ本能だけが鮮烈に、内から外へと破壊の波紋を拡げたがる。
それらの衝動を押し込めるようにして青に背を向け、自陣の前に腰を下ろす。
ただ只管に朝を待った。

今夜は夜営の番ではないが、独りで眠るなんてことは考えられない。
眠ることが怖い。朝が来ないような気がする。自分だけが目覚めてしまうような気がする。
隣に、辰馬が居ればこんなことは考えない。のに。
人の温かさが欲しい。
血の温もりが欲しい。
ここに留まれる程自分は強くない。
気が狂いそうだ。

「大丈夫、狂わない。狂わない。辰馬…くるわないから、」

到底誰かと過ごして平静を装える程、自分が器用ではないことを自覚しているから。
だから死に近い、血の暖かさに近いこの場所で一人佇むしか、自分にはもうないんだ。



自陣からやって来た足音。
それなのに何故か自分は刀の鍔に親指を掛けていた。正気じゃない。そんなに血が浴びたいのか。
「んなトコで何やってんだァ?」
頭上から降ってきた、幼い頃から聞き慣れた声に目を合わせることはしなかった。
溜息と共に、カチャンと鞘へ銀色を仕舞い、晋助はそれに気付いたのか喉の奥で嗤う。
『ここに居て欲しくない』という拒絶を込めた言葉をただ吐いた。
「お前、夜営の番じゃねぇだろ」
「そういうてめェはどーなんだ?」
不意に声の主がふわ、と自分の頭を撫でた。
驚いてその手を払い除け、そちらを見上げる。
洗い晒しの髪に着流した浴衣、煙管を銜えた唇は哂いの形に歪められて。
──綺麗だと、思った。
「…し、ん」
「今日雨だったろ?医療班の連中が湯沸かしてんぞ」
「……」
この獰猛な男と目を合わせたのはいつ以来だったろう。
自分の髪を梳く細くしなやかな指を喰らってしまいたい。
やはり、自分は可笑しい。
「血が付いてる。流して来いや」
「…あ、ぁ。…解った」
腰を上げた時その場に佇む晋助の、紫煙の香りと戦場に不釣合いな格好に。

欲情した。



湯浴みをしたのはいつ以来か。
昨日だった気も、一月前だった気もする。
血の匂いに鼻は麻痺して、だから湯の臭いがなんとなく生臭いことに気付かない。
湯から上がって、久々に浴衣を着た。甲冑と違って軽いものだから、なにか変な気分だ。
髪の水分を飛ばしながら歩く。身体は軽いのに下半身が怠い。
ああ、晋助に欲情したからだ、なんて考えながら後ろ頭を掻けば、幄の向こうの影が揺らめいた。
「一杯どうだ?」
無言でどっかと腰を下ろせば、ニヤリと口の端を上げる。
流し込んだ酒の咽を焼く感覚に、髄が麻痺していく錯覚を覚えた。

暫くそうして言葉ではなく杯を交わし、そうするのも飽きた頃。
「なァ銀時、オメェよ、辰馬のヤローに惚れてんのか?」
昔から晋助の考えることは想像に難い。
不意に、意表を突いて、前触れなく。
「あ?」
「まさか気付いてないわけじゃあるめェ?」
「何を」
漆黒の双眸は鈍く光り、口元に浮かべた笑みに存在を揶揄されているようで。
「…てめェ、ヤローが居ると居ねぇじゃ殺気が違ェんだよ」
「……」
喩えば、全く心当たりさえなければ一笑して冗談でも言ってみせればいい。
たったそれだけの、酒の席での下らない言葉遊び。そう片付けるべきだ。
自分と晋助の間の空気がとどむように重々しい沈黙を産んで。
「……何言っちゃってんだよ晋助」
明白な事実として横たわる恋慕に、晋助は嘲笑であろう笑みで咽を鳴らし、俺は。

「"アタリ"なんじゃねェか」
ザマぁない。
晋助をそのまま押し倒していた。
肩を掴んで手をついて、晋助の細い体に跨がる。
晋助の指から盃が落ちる。
拭い切れて居ない滴が髪から晋助の浴衣に落ちて、染みを一つ。
晋助は酒に濡れた指をついと俺の頬に滑らす。

ああ、欲情。

晋助の指は滴る酒を俺の首筋まで塗りつける。
瞬間、天地が反転した。
「ッ…が、…ぁ………ぐっ」
晋助の指が首に食い込む。
息が出来ないことより、自分に跨がる晋助に劣情。
そのまま晋助の腰がぬらつく熱まで下がって、押さえ擦られた己の雄にまた、熱り立つ。
「おめェ、コイツであのヤローをヨがらせてんのか?それとも、抱かれてんのかよ?なァ銀時ィ」
晋助の歪んだ笑みを湛えた頬に一筋。
手を差し伸べると、晋助は指の力を抜いた。
「、ッぐ、は、はぁ、ッ、ゴホッ」
肺が痛い程酸素を取り込みたがり、気管が着いていかず噎せ込む。
「ッ、は。晋助、なんでテメーが泣いてんの?」
「泣くわけねーだろ」
確かに泣き顔でも、辛そうなわけでもない。ただ、歪みから産み出された滴。
そのまま晋助の後ろ髪を撫で、引き寄せた。
晋助の涙を啜り、抱きしめてみる。イイ匂い。また、欲情。
「別に辰馬とヤってるわけじゃねーよ?どっちかに突っ込むのは無理だし」
晋助の呼吸が首筋を刺激して、それだけでイケそうだ。
「じゃぁナニしてんだ?」
「咥えて、咥えられて。ただそれだけ」
「イケんのか?」
「あぁ、アイツ巧ぇから。晋助もヤってみたら?」
唐突に、首筋に跡を残された。
昔から晋助の考えることは想像に難い。
不意に、意表を突いて、前触れなく。
「ヤツは好かねぇ」
擽るような口付けを交わして二人で、笑った。
無邪気さとしては学舎の頃のように。妖艶さとしては廓の男女のように。
「ていうかさ、晋助ってヘンタイ?」
「んだと?」
「俺の首絞めてナニおっ勃ててんの」
「それを言うならてめェはもっとやべェだろーがよ」
お互い様だ、と晋助に口付けた。
舌を絡ませて、唾液の交換。
髄が溶ける感覚は酒に似ている。

「そう言えば、さ」
口を突いて出た言葉を、いぶかしげに視線で返してくる晋助はと言えば、俺の雄を舐めていた。
俺はそんな晋助が愛しくなって、足の先で晋助の雄を触ってみる。
「晋助とふたりでヤんの、初めてじゃね?」
晋助は俺の雄から口を離して、少し喘いだ。それでも指を絡ませ、続ける。
「そういやァそうだな。ヅラと3人では、昔よくヤってたっけかァ?」
「最近ヅラのこと、晋助だけで可愛がってるからさ?」
「てめェが辰馬のヤローとよろしくヤってるからだろが」
晋助は俺の先走りを舐め取り、飲み込まずに俺に口付けてくる。
「ッ、マズっ」
「テメェのモンだろーがよ」
一瞬の沈黙。
目と目が合って互いに熱に潤んでいることを確認し合い。
やはり、笑った。
「ヅラのヤツは多分オメェに惚れてんぜ?まぁ抱いてやりゃなんでもいいらしいけどよ」
「なに、もしかして晋助さ、ヅラの首絞めたりしてんの?」
「あァ。アイツ、マゾだから」
マジでかよ、と本音の呟き。
「それに女も抱けねーらしい」
「は?」
「ナニを入れんのが嫌なんだと。前に俺んナカ入れようとしたら吐きやがった」
今度は晋助を座らせて自分が彼を扱く。僅かずつ、晋助の息が上がっていく。
「ッ…」
噛み殺した熱が愛しい。
「銀時、」
「ん?」
「もっと」
「あぁ」
了承して咥えた。
晋助の雄は、熱くてぬめって、自分の口で溶けてしまいそう。
「銀…と、き」
視線で返事すると、晋助は急に俺の後頭部をわしづかんで腰を叩きつけてきた。
「ッ、ぐ…、、ふっ」
俺はそんな風にされたことがないから、驚いて目を見開いて。
暫くまた息がし辛い状況が続いて、晋助は自身を俺の口から引き抜いた。
白濁で視界が汚れる。
「銀、……ワリィ、」
「…っごほっ、晋助がサドなんじゃねー?」
「…癖、だ」
大した癖だなと一笑するも、それとは構わず今度は晋助の指が俺の顔を汚した白濁を掬う。
そうして晋助は、自慰をするように自分の排泄器に指を伸ばし、少しの喘ぎを洩らした。
恍惚とした晋助の表情は、剣を振るっている時と等しく美しい。
ただ俺は、それを横になって見ていた。
やはり、昔から晋助の考えることは想像に難い。
不意に、意表を突いて、前触れなく。

見ているうちに、一度射精した雄が頭をもたげてきた。
「晋助、」
「んだよ」
「可愛い」
「…死ね」
「晋助、」
「……」
「入れて、い?」
頷く前に四つん這いにさせて、指を入れてみた。
熱くてキツくて、愛しい。
「指なんかいい。早く」
「や、まだだろ」
自分で解していたとはいうものの、まだ晋助の穴は狭い。
「いい。はやく」
まだ、と思うが、上気した目で振り向かれればもういいかと。

入れてから、後悔した。
「し、すけ。狭ぇよ」
持っていかれそうな程の圧迫。
…どこが快感?
晋助は先程から、自分の浴衣の袖を握り締め、痛みに歪んだ叫びを上げている。
意味を為すかと聞いて居たが、ただ『あ゛、あ゛、あ゛、』と叫ぶだけだった。
きっと快感じゃない。
晋助は、痛みに悦を感じている。
暫くゆるゆると腰を動かすと、先走りが潤滑油になった。
ズルズルと快感を導くその擦り合わせに、晋助の声が叫びから嬌声に変わっていく。
「はぁ、あ、あっ、銀っ…」
「晋、す…っ、はぁ」
「銀、っ、行く、なっ」
晋助が何かを言っていて、俺はそれを理解出来ずに。
「さん、に、でっ…ああっ。行く、…なっ」
俺はやっぱりセックスは肉を裁つ感覚に似ている、なんて。
剣を持つように晋助を突いた。スルスルと肉に突き刺さる感覚。そこから産み出される快感。
殺すんじゃないかと思うくらい、気が済むまで。
晋助は何度も果てた。
俺も、何度も果てた。
漸く俺が雄を抜いた時、やはり結合部からは血の交じった白濁が流れ出ていた。
「し、ん助。ごめ」
「……?」
晋助は虚ろな目付き。
恍惚として焦点があまり定まらない。
「やっぱ、切れてた」
「…あァ、」
「平気か?」
「……いつもの、ことだ」
やはり晋助の考えることは想像に難い。
「痛くない?」
「…もう慣れた」
不意に、意表を突いて、前触れなく。
「晋助、」
「…ん?」
「さっき、なんて言ったの?」
「………寝る」
そう言って晋助は深く呼吸をした。眠りに落ちた晋助は、美しい死体のよう。

もうあの息の詰まりそうな不安や焦燥はなかった。
眠るのが怖いとすら今は思わない。晋助が必ず自分を起こしてくれる。
もし晋助が起きなかったら、自分も死ねる。

辰馬が愛しいと思いながら、何をやっているのだ、とは自問しなかった。
目を伏せる。気怠くて、直ぐに睡魔がやってきた。
「……たつ、ま」



目覚めたら朝ではなく、浴衣を着流した晋助が自分の身体を清めてくれていた。
紫煙の香りが鼻を擽る。
「…晋…す、け?」
「ドロドロじゃねェか、みっともねー」
心地いいから体を任せる。
「銀時、早馬が届いたぜ、辰馬のヤローからだ」
「なんて?」
「『敵兵糧拠点確保、本陣の移行を求む』」
「流石」
ニヤリと笑った自分の笑みに晋助は答えなかった。
その笑みが晋助を突き放したことを、俺は知っていて。

浴衣を着る段になって、不意に。
「晋助?」
頭を自分に預けてきた晋助が、切ないくらいの声で呟く。
「…俺ァ、…おめェと小太郎が居ればそれでいい」
「……」
そのまま抱きしめて、掛ける言葉を見つけられず。
「俺は、見境なく殺すんだって。辰馬が言ってた」
晋助はそのまま俺の腕を解いて立つと、夜明けと共に本陣の移行だと告げて帳の向こうに消えた。
晋助の紫煙の香りと、切ないまでの願望がそこにとどんで、溜息を一つ吐く。

昔から晋助の考えることは想像に難い。
不意に、意表を突いて、前触れなく。
それでもアイツが一番欲しいものも居たい場所も知っていた。
それが壊されたのも知っていた。

学舎の輝きは戦場にはない。



朝は清々しかった。
穢れた土だというのに、本当に美しく見えるのだから不思議だ。
「上手くいったぜよ。今夜は酒じゃの!」
口調と裏腹に辰馬の目は笑っていなかった。
それを解っていながら、ああ、自分は。


辰馬と居るのが狂っているのか
晋助を抱くのが狂っているのか
戦場で殺すのが狂っているのか
そもそも自分が狂っているのか

判別がつかないんだよ、先生。



【かなし】



 かな・し(形シク)
1【愛し】
 かわいい。いとおしい。
 強く心がひかれる。すばらしい。

2【悲し・哀し】
 かわいそうだ。心がいたむ。
 ひどい。口惜しい。しゃくだ。

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