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四月馬鹿。コミュの【二次創作ドリーム】銀魂、習作、高杉×主人公。

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 2007.冬 銀魂
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《マイ設定解説》
背景はまだ銀時たちが攘夷戦に参戦して数ヶ月、みたいな初期の段階です。
今からまだもうちょっとぐずぐず戦いが続いて、一回攘夷派が半壊滅します。(この時点での攘夷党は松陽の私塾の弟子が中心です)
そのあと、高杉は鬼兵隊(浪士やゴロツキなんかの集まり)を作って強硬に攘夷を進め、ヅラと銀時はなんとか生き残った浪士数名と一緒にまた攘夷党の再建をします(この最後らへんが「美しく死ぬ暇があるなら美しく生きろ」みたいな、アレとか、銀さんの白夜叉伝説付近です)。
坂本も途中まではヅラ・銀時と共に動きますが、やがては快援隊をつくる為に離れます。

…みたいな、マイ設定で。
今回時間がなくて、全く原作を読み返してねーので、喋りとか時間軸とか、本編設定うろ覚えだし、ホント、背景的駄作になっちまった。スンマセン。。
でわ、こんな急拵えでも楽しんで頂ければこれ幸いに。




〜prologue〜

側に居て、私を愛して、抱き締めて。
そんなこと、あの人には言えない。あの人は私のそんな言葉を待ってる訳じゃない。
でも、だとしても。
私は一つ、願いを持ってる。

それは、とても身勝手な想い。


【一秒】


「これで最後、か」
解りきっていることを言葉にする。声帯の震えを音で確認する。
自分の声を聞くことは正気を保つためにはとても大切だ。
少なくとも、今の俺には。
煙管に火を付けて、肺の奥まで吸い込む。吐き出す紫煙を置き去りに、待機処まで戻る。

足取りは、重い。

「辰馬、今日の分だ」
待機処では辰馬がいつものように、書類を作っていた。
地面に座って書き物をして居る様はとても快適に仕事をしているとは思い難い。
机すらないこの待機処も、夜中になればもっと前線から引いた位置に移動させる。
「おぉ、晋助。一応こっちは終わっちょるんじゃが、まだ銀時が戻っとらんでな」
「そうか。ヅラは?」
「ヅラが一番じゃったきに、もう行っちょるぞ」
紙束を渡しながら、自分の仕事を終えた意を告げる。
辰馬は曖昧に頷いて自嘲的に口角を上げた。
「昨日よりまた増えとるぜよ」
俺は答えず、待機処の中に入った。疲弊しきった顔の同士ばかりが見える。
そこにどっかと腰を下ろし、目を閉じた。さっき確認したばかりの仲間の死に顔を思い出す。
毎日毎日戦って、増えるのは仲間であった者達の命の脱け殻ばかりだ。
「晋助、悪ぃ、遅くなった」
白髪の同士が入って来て、俺も立ち上がる。銀時が携えているのは少量の油だった。



今日は夕焼けが一段と綺麗だ。
これで遠い空のどこにも天人の船さえなければ本当に絶景だろうと思いながら、迫り寄る夜の気配を色で感じる。
その藍に近くなった空に、一本の赤い火柱を立てた。

俺たちは、なにをやっているんだろう。
こうして毎日毎日仲間の死を確認し、死体を重ね、油を撒いて火をつける。弔いの意を込めて、出来る限りの努力、というやつだった。我ながら大したエゴだと思わずにはいられない。勿論敵にもこれが見えない筈はなかった。しかし相手にとっては勝ち戦、夜営を襲うほど切羽詰まっているわけではないらしい。
忌々しい。
実際、日に日に死体は増え、仲間は比例して減っていく。
この攘夷戦も初めの内は、勝機があった。しかし今やっていることは、仲間を無駄死にさせ、天人の機械(カラクリ)から逃げ回ることだった。敵に剣を向けるより、自分が銃口を向けられる方が圧倒的に多い。
これが「戦」だと?
馬鹿のような話だ。戦ではなく、これは殺戮だった。一方的にただひたすら討たれる時を待つ。
いつかは俺があそこに積まれる日も来るんだろうか。そう思いながら視線を巡らす。

桂は静かに一人、目を閉じていた。その顔は苦渋に満ちており、引き換えに、侍としての闘いに挑む決心が全身から滲み出る。桂が一番多くの浪士を抱えていた。仲間を喪う痛みを、桂が一番抱えているのに。
泣き言一つ言わない。少しも怯まずに相手に向かう。
その強さを、俺は。

一方の銀時は火柱を睨み付けるように見上げていた。その瞳からは怒気と、決意を感じた。昔は一番やんちゃだった銀時の、今はそれを感じさせない鋭利な剣の様な瞳。
そこには松陽先生の教えを受け継ぐ覚悟が、見てとれる。
その真っ直ぐさを、俺は。

――羨ましく感じている。

今、戦場に立つ俺は、自分の体に死臭を纏い、狂う一歩手前でいる。殺されたくないから殺す、死ぬのが怖くて日に日にあざとくなる。
そんな俺を、いつしか敵味方の別なく、「鬼」と呼ぶようになった廻りは、俺のそんな弱さを、侍として恥ずべき心を知らない。
…いつから俺は、こんなにも弱くなったのか。

「晋助、おめー今なに考えてる?」
ふと、銀時の口が開いたのを目の端で見た。揺るぎない視線は炎に向けたまま、それでも意識はこちらを向いていた。
「…俺たちが戦う理由について考えてただけだ」
銀時の鋭い眼光がこちらを捕らえる。背中に少し、悪寒が走った。
「攘夷の為だろう。考えるまでもない」
そう吐いたのは桂だ。
「ヅラァ、晋助が言ってんのは…」
遮るように桂は
「分かっている」
まるで自分に言い聞かす様な声音だった。俺の溜め息と共に会話は打ち切られ、辺りは静けさを取り戻す。
『分かっている』のだ。俺たちは全員、その意味を分かってる。ただ、それが揺らぐのが恐ろしい。仲間を、無駄死にさせたことになる。己自身と誇りを踏みにじることになる。けれど。

――俺は、なんの為に戦う?

大義の為、世の為、国を、人を、誇りを守るため。
…そうはっきりと前を向いて言えない自分に嫌気がさした。誤魔化し切れない本音が巣食うこの醜い俺は。

一体なんの為に戦うのか。
松陽先生の笑顔がちらつくから。
『…生きて』
耳の奥でそう聞こえるから。
お前の、涙混じりの強がった声が聞こえるから。



炎の終息をみて待機処に戻る。戻るまでの足取りは、当然ながら重い。
ヒトの肉の焼ける、本当の死の臭いが自分の『生』を圧倒する。その曖昧な生の中で、死に慣れていく。ひょっとすると近づいているのかも知れない。

「おぉ、ようやっと戻ったかいのォ。もうこっちは動かす準備が大方終わったところじゃきに」
待機処では辰馬の指示で移動の準備が整いつつあった。銀時が遅くなったことを詫び、俺たちも作業にかかる。とは言え、荷物などそう無い。残り少ない兵糧や、最低限の生活物資だけだ。
あの炎を見るのもいつまでだろうか。今はまだ、毎日儀式のようにあの炎を見ることができる。例えエゴだとしても、供養した気になれる。しかし、じきに待機処すら保てなくなるかもしれない。辰馬のやっている書文作りもいつまでやれるか。それは戦況のみではなく、直結して俺たちの生死に関わることだった。



移動が終了した。夜営に見張りを立て、3時間交代で眠る。夜間は体力の回復が最優先事項になる。しかし、日中の戦闘で気が立って眠れないのも事実だった。
煙管をふかしながら、待機処の外へ出た。腰をおろし、外側の支柱の一本に体重をまかせる。
目を閉じた。昼間と違い、空気が澄み渡る。
一息深く吸い込んで煙管の火を落とした。空を見上げる。瞬く星が降ってくるように輝く。

不意に、ザクッ、と土を踏む音がした。殺気と共に目をやると、銀時が片手に酒を持っている。
「おいおい、ガラにもなくお星様に願いごとかァ?」
口角に皮肉を浮かべて銀時も腰をおろし、隣の支柱にもたれた。端の欠けた盃を受けとり、酒を酌み交わす。
一気に煽った。
「願って叶うなら世話ぁねぇなァ」
そう目の端に言って、また視線を空に戻す。

自然に溜め息が漏れた。
「おめー、今日なに考えてたんだよ」
月のない空に、炎の柱が蘇る。
「さっき言ったろ」
先程と同じ質問に、どういう意味があるのか。銀時の瞳が真っ直ぐ俺を見つめるのを少し怖く感じた。
「じゃぁなくて、だってーの。お前、なんか遠く見てたろ」
「遠く、ってなぁ何処だ」
銀時の気配が瞬時に鋭くなる。鋭利な答えが、俺を刺した。
「あの世」
見透かされているのか。
「……かも、な」
言葉を濁した。
「死んで早々、こっから抜けようなんざ思うなってこった」
銀時の言葉が痛い。
銀時はどう思っているのだろうか、今のこの状況を。

「なァ銀時よ。お前はなんの為に生きてんだ?」
「おめぇはどーなんだよ」
押し返された質問に、自ら答えることができない。
「……」
空を眺めていた銀時はやがて息を吐くように言った。
「折れねぇモンを、忘れねー為だろ」
銀時は酒瓶だけを置いて立ち去った。
言葉にすれば、現実が近づく。ただそれが怖くて俺は、信念一つ口にできない。
夜闇に向かって独り言ちた。
「侍失格だ」

俺は、確かに思っていた。
死ねれば楽なのか、と。先生のいない世界で、あいつを自ら棄てた世界で、俺は。生きている価値があるのか、と。

大義の為、世の為、国を、人を、誇りを守るため。
そんな風に胸を張れる訳じゃない。俺は俺自身のエゴで戦っているのに。
闇に飲まれそうで、不安定な思いごと、俺は瓶を煽って酒で流した。



銀時が中に入ってから、随分経った。あの程度の酒では酔えもしない。目を閉じてじっと静けさを感じていた。
「こんなとこで何やっちょるんじゃ?」
お前は見張りの当番ではないだろう、と外に出てきたのは辰馬だった。あれから3時間たったと思うと、自分の時間感覚が狂っていることを自覚せずには居れない。
「てめぇは…あァ見張りか」
らしくない、と辰馬は俺を叱り声でたしなめた。
「なんかあったんか?さっきは銀時もおかしかったけん、変じゃとは思っとったんじゃが」
辰馬は立ったまま、銀時とは反対の支柱に寄りかかった。
「銀時がおかしかったってぇのは、どう変だったんだァ?」
「具体的にっちゅうんは難しいんじゃが…なんちゅうかのぉ」
はっきりしない辰馬に苛立ち、思わず舌打った。

少しの静寂があり、辰馬は思いついたように、こう口にした。
「のォ晋助、わしがなんで仲間の戦死リスト作っちょると思う?」
思わぬ問いに疑問を感じつつ、当初辰馬が提案時に言った理由をそのまま述べた。
「仲間の死を出来れば遺族に伝える為。あと、俺たちの生きた記録を残す為、だったろーが」
辰馬は一つ溜め息を吐き、俺を見据えて責める様に言った。
「仲間の誇りの為じゃ。死んでいった同士の誇りを消さんようにしたいけん、わしはやっちょる」
「……」
「おんしが死にたがっちょる気がすると、銀時のやつが言いよった」
辰馬は寄りかけた体重を自分の両足に戻し、
「わしゃ、別に他人が死のうが生きようがどっちでもよか。じゃけどおんしが、特に先生の塾の同士が死ぬんは嫌じゃ。納得いかん。おんしは連中と違ってあんまり自分の事を喋らんけど、わしらはおんしが思うよりおんしを知っちょる」
見張り場までの一歩を歩きながら辰馬はこう言い残した。
「わしらが先生から貰ったんは誇りじゃろうが」



太陽はまた今日も昇る。
夜を押し消すように朝がくる。色褪せた光が目に映る全てを自覚させる。
昨日の晩、外で一夜を過ごした。
俺は何故剣を振るのか。それを考えていた。
俺の弱さは、人への執着だ。
松陽先生は俺たちの太陽だった。俺たちはあの人から生きる術を、武士とはなにかを、誇りを、自由を、未来を貰った。俺たちの世界から太陽を奪った政府を、天人をこの世界から消し去る為に、初めは立ち上がろうとした。
だが、それがなんの為になる?
…国の為に、仲間の為に、大切な何かを護る為に。
そんな大義は俺には無かった。
それでいいのか。
そう投げ掛けたのが、塾の隣で団子屋の娘をやっていたあいつだった。
恋なんか下らない、愛なんか存在しない、そう思っていた俺が、初めて一人の女に執着した。
…恋人なんて甘い関係じゃない。あいつはただの、村の娘だ。それでもあいつは、真っ直ぐで、明るくて、そしてものを知らなかった。
外の世界も、本の世界も、武士の世界も。
それでも俺は先生がいた時のような暖かさを、彼女から貰った。
しかし、いよいよ攘夷戦が激化してくる中で俺は仲間と出ていく、と。
愛している訳じゃない、惚れていた訳じゃない。でも互いの体温で伝わるものがあった。

俺は、あいつに必ず戻る、と。
けれどあいつは俺に、生きろと言った、その意味を。

≪ただ生を続けるんじゃなく、一秒でも長く、俺らしく『生きて』≫

その意味を履き違えたのは俺だったのか。
彼女はものを知らなかった。字すら満足に読めなかった。俺は彼女にものを教えているつもりになっていた。
けれど、そんな彼女よりもっとものを知らなかったのは、俺だ。

彼女に知らず知らずものを教わっていた。…救われていた。
あいつが強がりなのは俺が一番知っていた。なのにあいつは、最後の朝に笑ったんだ。

『高杉さん、あたしはあたしを生きるから、あなたはあなたを生きて』
最後の夜に俺の腕の中で泣いた彼女は、最後の朝に笑った。
その意味を。
だから、俺は生きよう。
大義の為に強くなって、力を手に入れよう。己が誇りを貫こう。

彼女と先生を自分の世界から手放す代わりに、正義を、大儀を手に入れよう。



「辰馬、その書状、今日送るんだろ」
今日は天候も良くなりそうだからと、街で待機、交戦している同胞(攘夷浪士)に早馬を出すと決めていた。
「なんじゃ?」
見張りから緊張した面持ちで帰って来た辰馬に、俺は一つの願いを告げた。
「そん中に、俺の名前をいれてくれ」
沈黙が流れた。

「おんし、何するつもりじゃ…?」
俺は戻らない、俺としてもうあいつに会うつもりはないと。

辰馬はカンが良い。
俺がそれでいいなら、と。

早馬が出た。


俺たちは生き方を違えた訳じゃない。愛というほど盲目的ではなく、恋というほど純真でもなく、ましてや恋人なんて、そんな甘いものじゃない。
それでも俺はこの感情をこの言葉でしか表現できないから。

『愛してた』



〜epilogue〜

私は今日も洗濯物を干す。
彼が、高杉さんがいつ帰って来てもいいように、彼の為にいつでも洗いたての布団掛けを、干したての布団を、綺麗な部屋を。
例え使っていなくても、彼が帰ってくるのを待つ事を自分で放棄していても。
それでもひょこっと、気紛れな猫のように、あの人は帰ってくるかも知れないから。

その夜は少し寒かった。もう季節は秋に入りかけている。
眠い目を擦って、彼の置いていった字の練習本を何度も写す。
『おめぇ、字も読めねぇのか』
呆れたように貴方は言って、そしてこれを私にくれた。
私はずっとあの日から、あなたに追いつきたくて夜を灯火で削る。
不意に、寒さで少し震えた。
「今日はもう寝よう」
それが悪寒だったのか、虫の知らせだったのかは未だに分からないけれど。

翌朝、攘夷浪士の人達が忙しく動いていて。
そして彼等の一人が私に尋ねた。
「貴様が攘夷党の元本拠地近くで働いている娘か」
そうだと肯定すると、男は言った。
「高杉殿が討ち死にされた経緯は知っておるか」
「……いえ、存じ上げません」
私はこれを言うのがやっとで。
男は、やはりな、と言い捨ててまた走って行った。
高杉さんが、亡くなった、と。
いくら洗濯をしても、いくら掃除をしても、もうあの人は私の所には帰って来ない。

『生きて』

あの言葉で重なりつつあった人生を違えたのは私だと言うのに。
胸が詰まった。
あの人は私のように弱くはない。あの人は私とは違う次元で生きているから。
だから、私があの人と一瞬間でも交わったのはきっと奇跡に近いのだ。
分かっている。私一人であの人が変わって行く事を知ったから、私はあの人を突き放した。
私なんかが枷になっていいはずはないから。
あの人に『生きて』欲しかったから。

あの人はこんな事は期待しない。
私の身勝手な言葉を真に受けたりしない。
それでも。
一度だけ名前を呼ばせて。
「ねぇ、晋助。一秒でいいから、あたしを想って」
一回だけでいいから。
「愛してる、って言って…」
涙が溢れる。今までが夢だったんだと、思い知らされる。

「あたしは貴方を、愛してた」
私は暫らく泣いた。
そして、あの人が私の涙を待ってるわけじゃない事を知っているから。
笑って生きよう、と。


──数年後

幕府は天人に下った。
攘夷浪士のうち、残存の浪士達は、未だ交戦している。
そんな中、高杉さんが『鬼兵隊』を率いている事ということを噂で聞いた。
あの時の戦死者一覧に記載されていた、と聞いたあの人は。
生きていた。
それが彼の優しさだと言うことに、とめどなく涙が流れる。
住む世界がどれだけ違っても、もう二度と残りの人生で交わる事がなくても。

ありがとう。そして、よかった、貴方が一分でも一秒でも、貴方として生きていて。
どんな形になっても、貴方の誇りが消えない事を、私は信じているから。


だから、『生きて』。

一秒でも、長く。


end





---言い訳---
リクエストをまともにやってしまった(笑)感じの作品です。
一応ドリーム小説という形式は取ってますが、主人公との絡みはないし、ワケわからんですね。
本当は駄作とか失敗作と言いたいけども、これでマイキャラ化した感が否めないので、敢えて習作、で。

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