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ホノルル・マラソンに挑戦コミュの42.195kmのウィニング・ラン

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 ホノルルマラソンの体験記を載せてみました。ちょっと長いので、お時間のある方は読んで頂けたらうれしいです。


28歳にして衝撃のがん宣告。両親には余命も早くて半年と告げられる。がん告知後、名古屋の大学病院で左腎摘出手術、そして、抗がん剤治療を受ける。三ヶ月の入院を経て、退院。動かなければ何も変わらないと思い、退院直後から動き回る。そして、6年の月日が流れ、ホノルルマラソンに2度目の出場を果たす。

「命を縮めないでね。」
 母は淡々と言った。
 昨年の11月16日、母の誕生日。ぼくは、ふとそれを思い出して母に電話を掛けた。ホノルルマラソンがあと一ヵ月と迫っていたとき。切実さを柔らかい雲で包んだような、明るい母の声だった。命を縮めないでね・・・。その明るさがかえってぐさりと心に突き刺さり、ぼくはしばらく目を閉じた。
 母にこう言われなければ、何が何でも、這ってでもゴールを目指したであろう。死んでもいいからゴールしようと、ひとりよがりに命を縮めようとしていた自分自身を反省した。猛省した。ひとりの命じゃないよなあ。命を懸けることでもない。ただ楽しもう!ベストは尽くすけど、絶対に無理はしない。目標は、笑顔で、元気に帰ってくること!



 昨年の2月、FM宮崎の「ポッキーのスーパーレディオクラブ」に出演したとき、DJのポッキーさんに夢は何ですかと聞かれた。番組中、ぼくは焼酎を飲みながら、いい気分でこう答えてしまった。
「NHKのど自慢出場と二度目のホノルルマラソン完走です。」
 まさかその年のうちに参加しようとは考えていなかったので、すぐにトレーニングは開始しなかった。夢は夢でしかないし、?いつかは?くらいにしか思っていなかったのだ。
 しかし、しかし、蒔かれた種は着実に細胞分裂を始めていた。公共の電波を使って、たくさんの人の前で言い放った。そして、メッセンジャー、HP、名刺にも書かれた「夢はホノルルマラソン」という言葉。事態は思ったよりも早く、?夢の実現?という方向に向かっていってしまう・・・。
 なんと六月頃、友人のがんサバイバーのNさんから、ホノルルマラソンに出場しないかという誘いを受ける。
「今年ですか?いいですねぇ。」
こういう話はたいてい口だけで終わるので、あいまいな返事をしてお茶を濁しておいた。が、その年のうちにホノルルマラソンに出場するという芽が、ひょっこり顔を出してきたのも確かだった。まさか、行くのか・・・? 



 なぜ、そんなにも躊躇していたのか?夢が目の前に近づいてきたというのに、なぜ、二つ返事で踏み切れなかったのか?それは、自分の体調がまだまだ不十分であると感じていたことと、腎臓が一つしかないということからだった。
 6年前、腎臓摘出手術をして以来、身体がだるいという感覚が抜けたことはない。常に倦怠感を抱えていて、少し動いては肩で息をし、身体を横たえるときもある。医師によると、普通の人がダンプカーなら、腎臓が一つのぼくは軽自動車なのだという。フルマラソンを完走する自信など全くない。それに、残った腎臓に負担がかかりすぎて・・・、人工透析になることも頭をよぎっていた。やっぱり無理だよなあ。
 チャレンジしてみたい気持ちがどこかにはあった。6月22日、マラソンに向けてというより、自分の体力がどのくらいあるのか確かめたくてジョギングを始めてみた。
 足が上がらない、もつれる、苦しい・・・。一二年前、ホノルルマラソンを3時間50分で走り抜けた豪脚はそこにはない。
♪ さくらふぶきの サライの空へ・・・ ♪
頭にこだまするBGM。脳細胞は、ぼくの身体を二四時間マラソンのヒーローに勘違いさせようと懸命だった。
 が、身体は応えてくれない。次第に呼吸も苦しくなってきた。昔から大活躍の心配機能は衰えを知らなかったが、心肺機能はかなり落ち込んでいた。なんとか、力の限り足を前へ運ぶ。そして、とうとう家の玄関が見えてくる・・。もうすぐゴールだあ!
「エビドリア!」、あっ、「エイドリアン!」
いつの間にか、BGMはロッキーに変わっていた。距離を計測してみると・・・たったの一キロ。やっぱりやめよう、フルマラソンなんて無理無理。ジョギングが継続されることはなかった。



 9月に入り、ホノルルマラソンに誘ってくれたNさんが体調を崩す。食事がのどを通らなくて体重も減り、とても辛い様子。心配だったし、無理をすることはないと思って、Nさんにこう言った。
「ホノルルマラソン、今年は行きませんよね?いつでも行けるし・・・。」
「何言ってんのよ!行くに決まってるでしょ!」
 なななんという人だ!彼女の信じられない言葉に、ぼくは目を覚ました。この人はちゃんとゴールを見てる。見据えている。頭の中で、未来の元気になった自分をありありとイメージしているのだ!これこそ、二つのがんを乗り越えてきた彼女が、今ここにいる理由なのだと思った。
 もう、できない理由ばかりを並べ立てて、言い訳をするのはやめよう。これまでの人生もそうだったじゃないか。目の前に高い壁があればするりと逃げ、より安全なところに行こうとしていたぼくの人生。ホノルルに行かなくても何も変わりはしない、それなりに楽しい日々が待っている。そして多分、この慢性的な倦怠感や疲れやすさも変わらない。でも、もしホノルルに行ったら・・ゴールの先に、より元気に躍動する自分がいるかも知れない。ぼくも、未来の元気な自分を、心に強く描いてみた。走るぞ!待ってろよ、ダイアモンド・ヘッド!
 翌日、さっそくホノルルマラソンにエントリー。ジョギングも開始する。
 10月2日、走った距離は三キロ。設定したルートを初めて完走できた。先は果てしなく長いけど、もうめげたりしない、絶対にあきらめない。以来、少しずつ距離を伸ばし、出張先や講演先でもシューズとウェアを持参して、ところかまわず走った。



 練習を再開して約2ヶ月半、ついにぼくはホノルルの舞台に立っていた。ハワイで遊びすぎて足を痛め、本番前日は痛み止めを飲んで寝る。朝起きるも、朝食を食べ過ぎて、洗面台で戻す。何やってんだか、まあまあこれもご愛嬌。
 日も昇っていない早朝の五時、スタートの号砲が花火とともに鳴らされる。約三万人がいっせいにスタート!おお、懐かしい!楽しすぎる!ぼくは戻ってきたぞ〜。沿道に並ぶ観客が声援をくれる。ぼくはそれに笑顔で応え、ときにはハイタッチしながら走っていく。目は常にきれいなお姉さんを追っかける。まさに、にんじんを目の前にぶら下げた馬。いやいや、楽しすぎます!ずっと笑って走ろう!
 ダイアモンド・ヘッドを越え、下りに差しかかったころ、朝陽が昇ってきた。あたたかい太陽が、空をゆっくりと赤く染めていく。たまらなくきれいだ。そんな情景とあいまって、ぼくの心にいろんな感情が湧き上がってきた。
 無情ながん宣告に死を覚悟し、絶望に打ちひしがれた日々もあった。もうだめだと思ったときもあった。今、こうして再びホノルルマラソンを走れるなんて信じられない!頬をなでる風、したたり落ちる汗、足の痛みも、少し乱れた呼吸も、少し淫らな心も、すべてが生きてる証なんだよ。すごい!ぼくは生きてる!笑い続けることができなかった。ぼくは、泣いた。走りながら泣きじゃくった。くしゃくしゃに崩れた顔を見せたくなかったので、汗を拭くふりをして、手で顔をおおって走った。
 そして、自然と感謝の気持ちが湧いてくる。ぼくを支えてくれている人、ご縁のあった人、日本で応援してくれている人、みんなの顔を思い浮かべては「ありがとね〜。」と言いながら走った。



 余裕の5時間28分、泣いたり、笑ったりしながら走り続けた42.195キロ。自慢は一度も歩かなかったこと。まだまだ走っていたかったなあ!
 ぼくにとって今回のマラソンは、42.195キロのウィニング・ランだった。誰かに勝ったというわけではなく、何かを成し遂げた結果ということでもない。その一歩一歩が、これまで自分が歩んできた人生へ向けて、または今の自分にOKを出したという意味での、長い、長いウィニング・ランだった。
 ということは、これからもずっと、その一歩一歩がウィニング・ランだということ。山あり、谷ありの楽しい人生が待ってる。人生のゴールが来るそのときまで、自分にずっとOKを出し続けていこう。

コメント(5)

私は左腎臓の3分の2を摘出。最近ようやく2度目の手術をおえ、去年の夏から走り始め、仕事の都合がつけばホノルルマラソン初参加を夢みて練習しております。
まずは6月のハーフマラソンが目標。

お母さんがランナーでした。(今は足の故障のためリタイヤ)
恩返しの意味もこめてがんばってます。

お互い軽自動車ですが、今の軽自動車は性能いいよ(笑)

頑張りましょう。
 ありがとうございます!
 
 ぼくは2月にハーフでます。仕事の都合がつくといいですね!!

 そうなんです。軽自動車もなかなかいいもんですね。

 ホノルル目指してがんばりましょう!
ひろこさん、読んでくれてうれしいです。ありがとうございます!!

 19日、泉州なんですね。制限時間厳しいっすね!

 
 足が折れても完走したいって気持ちありますよね。ぼくもそうでした。でも、これから何本でも走れますよ。

 というか、まだ時間ありますよ。できること、やるだけしましょうね。

 ベストを尽くせば、どんな結果であろうとよしよしです。ぼくも応援してます!

 ぼくは、26日に桜島でハーフを走ります。

 お互いはがんばりましょう!!

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