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シナリオ・ラボコミュの【創作長編】行き着く先に・・・。

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BPゲームの管理人を務めるようになって、早133日。運営していながらも実際にBPゲームのゲームを負債を背負ってる人たちがやったらどうなるか。を考えていました。

そんな内容のお話です。決して【ライアーゲー●】をぱくったつもりはございませんwwあしからずww

≪新連載≫【行き着く先に・・・。】

〜プロローグ〜

なぜこうも人々は運命に翻弄されてしまうのだろうか。たった紙切れ1枚の為に大きく運命が動き出す。この運命のいたずらによって翻弄された子羊たちが今宵も誘われる・・・・。この運命という甘い罠に・・・・・。しかし彼らはその運命に立ち向かう。それもまた運命なのだから・・・。

運命がカードを配り、彼らは勝負をする。

さぁ賽は投げられた。あとは己を信じて進む他はない・・・・。



第一話≪決心の名の下に≫

東京都某所。そこに、一枚の紙切れに運命を翻弄された男がいた。その男の名はフカツシンゴ。弱冠20歳。何処にでもいる普通の青年である。ただ、他と少し違うところをあげるとなると、父親が失踪していることぐらいだった。

シンゴの父親は15年前に起きた集団失踪事件の被害者の一人である。この集団失踪事件とは4月1日に日本全土から1万人という人間が同時に失踪したものである。しかし、これだけ大規模にも関わらず、なんの手がかりも掴めないまま15年の歳月が過ぎ、次第に事件は風化していった・・・。

シンゴは父親がいないこともあり、年齢を偽り13歳からバイトを始め苦しい家計を支えた。シンゴの家庭は双子の妹のアリサと病気で寝たきりの母の三人で暮らし、贅沢は出来ないものの仲睦まじく平和に暮らしていた。しかし、20歳になったある日、いつもは女手一つで育て上げる為もあり、寝たきりの状態でさえ男勝りな母なのだが、この時だけ“15年前”の優しい顔になっていた。そんな母がシンゴとアリサを呼び、こう話した。

母『シンゴ、アリサ・・・。この歳になるまで、欲しいものは何も買ってあげれず、好きなところにも連れてってやれず、本当に・・・本当に辛い重いばかりさせてしまったね。許しておくれ。それでも二人の20歳の姿を見れた私は本当に世界中の誰よりも幸せ者だよ。本当にありがとう。』

寝たきりの母はそういうと神妙な顔つきになり涙をいっぱい堪えていた。

アリサ『なにいってるのお母さん。もうお母さんは手術もしたんだしもう元気になれるんだよ。まだまだこれからずっと一緒にいるんだから変なこと言わないでよ。』

妹は涙いっぱいに言葉を発した。

シンゴ『そうだよ母さん。アリサの言うとおり、もうすぐ良くなるんだから変な心配しないでくれよ。それに今更なに言ってるんだよ母さん。別にこれは自分で選んだ人生なんだ。なにも母さんが謝る事は無いよ。それより俺もやっと今年から正社員になれたんだ。もっともっと、親父の分まで稼いでずっと暮らしを楽にしてあげるからさ。』

そういうと母は、堪えきれない涙をポロポロ流しながらシンゴとアリサ強く、そして優しくを抱きしめた。

それから1週間後、シンゴの母は病気が悪化して帰らぬ人となってしまう。摘出したはずのガンが既に全身に転移していてもう手遅れの状態だった。母はそれを自分自身でもう長くないと察したのだろう。1週間前からシンゴとアリサは覚悟をしていたが、頭では判っていたつもりなのだが・・・。やはりその現実をすぐには受け止められなかった。

葬儀はまるで流れ作業の様に淡々と終わり、今まで一言も会ったことが無いような人達が親戚だと名乗って養子に来ないかと言ってきた。それもそのはず。シンゴとアリサには多額の保険金が手元に入ったからだった。そうなれば金目当てなのは一目瞭然。いままで母が辛い思いをしててもなにも助けてくれなかった人達が今度は母が居なくなった後に寄ってきた。シンゴはその人間の醜さに耐え切れなくなりアリサを連れてその場から逃げ出した。

行く当てもない。帰る場所もない。ただ1週間前まで3人で暮らしていたぼろアパートに帰ってきて、二人で泣いた。二人で大泣きして少し楽になった。泣いてばかりもいられないと、シンゴはアリサに言葉少なく尋ねる。

シンゴ『アリサ、これからどうする。』

それは重い現実に引き戻す、あまりに辛い言葉だった。

アリサ『とりあえずここから出よう。ここにいたらまた胡散臭い連中が金目当てで来るに決まってる。もっと知らない人がいない場所に引っ越そうよ。』

そう提案をいうとアリサは、『もう疲れた』と一言言い残し、寝室へ向かった。



翌日からシンゴとアリサは引越しの準備に追われる。家にかかってくる電話を一切無視し、なにかに取り付かれたように引越しの準備をした。

部屋の整理をしていると、途中で昔のアルバムを発見する。すこし手を休めそのアルバムを見てみる。そこには、若い頃の父の写真が入っていた。それを手にとると、写真の裏にハガキがくっついていることに気づく。そのハガキは差出人の名前も無く、こう綴られていた。≪時は満ちた。お前たちに必要なのは知恵と勇気と閃きのみ。富を求める者たちよ、この心理戦を制し、圧倒的愉悦を手にすることが出来るか。エイプリルフールの日に会いましょう。≫

シンゴ『なんだこれ。胡散臭すぎだろ。新手のキャッチセールスか?』

シンゴはそう思いこれを捨てようとしたとき、電流が走った。このハガキは15年前のハガキだったのだ。そして何より、エイプリルフール、つまり4月1日は親父が失踪した日であり、気持ち悪いぐらい一致していた。シンゴはこれを偶然とは思えなかった。


シンゴ『これを調べれば親父についてなにか分かるかもしれない』

これが彼の運命を大きく変えるすべての始まりだった。

コメント(15)

第2話≪最強と言われる由縁≫

大阪某所。ここにも1枚のハガキによって運命を大きく変えられた女性がいた。その名はカサイミナミ。独身の29歳。まだ結婚が出来ていないが、その代わり、彼女は生まれ持った才能がある。それは誰にも負けない【強運】であった。

ミナミはその強運をここぞとばかりに披露する。そこでは男も女も関係なく、やっきになりながら億万長者を夢見る場所。そう、パチスロである。ミナミはこの10年間1回も負けという負けを味わったことは無い。まさに無敗の女帝と異名がつくほどその名は知られていた。

ミナミが小さい頃、家族でバス旅行をしている最中にバスが谷底へ転落。50名余りの乗客の中で唯一の生還者がミナミであった。しかし、瞬時に自分の生と家族の死を見つめなければならなかった。その幼い瞳ではまだ理解しがたい光景であっただろう。その後、ミナミは親戚の家に養子に出され、高校を過ぎたあたりでパチスロと運命的な出会いを果たす。

彼女が座れば設定など関係しない。彼女が座ればいつだってメダルが溢れる。ただそれだけが事実だった。そして今年でパチプロと名乗って10年目の春。この10年間で稼いだ金額は計り知れない。この頃からもう無敗の女帝は【勝つ事に飽きていた】のであろう。


ミナミがそんな事を思っている中、パチスロ仲間の中でひそかに≪噂≫になっている伝説を耳にする。

舎弟A『まじなんやって。1日で何億も稼げるっていうギャンブルが存在するらしいんよ』

舎弟B『またそんなしょーもない嘘にワイが騙されると思うとるんか。あほ。もっとましな話つきや。』

舎弟A『だから今回はほんまマジなんやって。お前あの15年前の失踪事件覚えとるか?俺の情報網ではあれはギャンブルの為の≪選別≫だったらしいんや』

舎弟B『選別ってどういういみやねん』

ミナミ『それ詳しく教えてみ』

ミナミが二人の後ろからぐいっと顔を覗かせた。

舎弟AB『うわ!!!びっくりした!!姐さん堪忍やでぇ。』

ミナミ『っでその選別ってのがどないしたんゆうんや。まさかギャンブルするために片っ端から人数集めたっちゅうんやないやろな』

舎弟A『そのまさかなんですわ。』

そのまま舎弟Aは話を続ける。

舎弟A『あの大失踪事件の事を俺も正直この前まで忘れてたんやけど、あんとき俺のツレも失踪事件の被害者やってん。そいつはいつもなんかある度に、俺はでっかい男になるんやーゆうていつもいっとんたんよ。それでたっまたま俺がそいつんち行ったときに見つけたもんがこれや』

そういうとポケットを漁りだす。舎弟Aの手の中には小汚いハガキが1枚掴まれていた。

ミナミ『なんやこれ。ただのぼろやないかい』

舎弟A『姐さんよーみておくんなはれ。ここ読んでみてもらえんですか』

ミナミ『≪時は満ちた。お前たちに必要なのは知恵と勇気と閃きのみ。富を求める者たちよ、この心理戦を制し、圧倒的愉悦を手にすることが出来るか。エイプリルフールの日に会いましょう。≫なんやこれ。いかにもなんかの胡散臭い手紙なだけやん。』

舎弟A『俺も最初そうおもっとったんですわ。でも、ちょい日付確認してもらえんですか?このハガキの日付あの大失踪事件の当日なんですわ。これ面白いとちゃいまっか?』

ミナミ『エイプリルフール・・・4月1日・・・。あと1週間後か。場所とかどっかにかいとらんのか?』

そういうとミナミは舎弟Aに詰め寄る。

舎弟A『姐さんでもこれ以上の詮索は堪忍やで!!俺はこんなおいしい話もう二度と掴めんのやからタダっちゅうのはさすがの姐さんでもあかんやろ〜』

ミナミ『誰が今までパチスロ勝たせてやっとるとおもっとるんや。このドあほ』

舎弟A『・・・やっぱり姐さんには敵いませんわ・・・。姐さんだけに特別に教えます。』

舎弟Aにそのハガキについて色々詳しく聞き、集合場所も大体特定できた。そしてミナミは遂に、そのハガキに書かれている胡散臭いギャンブル話に乗る事に決めた。

舎弟A『やっぱ参加するんわ金の為なんですか』

ミナミはため息をつく。

ミナミ『アホ。金の為なんかやない。私はギャンブルという名が付くゲームにはこれまで一回も負けた事はあらへん。ただ試してみたいんや。自分の可能性を。そしてそんなごっつぅ賞金がでるギャンブルなんやからきっとツワモノ揃いなんやろうとおもう。だからこそこのギャンブルを制する意味があるんや。最強と言われ続ける為には自分のステータスをあげ続けなきゃあかん。これはその踏み台や。安心しとき、ボロ勝ちしてきたるわ。』・・・これが彼女の運命を大きく変えてしまうすべての始まりだった。
第3話≪真実への扉≫

引越しの準備が一通り終わり一息ついた時、シンゴの家に珍しく突然の来訪者が訪れる。そこには一人のおっさんが立っていた。見た目は40半ばの小太りのおっさんである。

おっさん『突然の訪問申し訳ない。私、こういうものです。』

そういうとおもむろにズボンのポケットに手を突っ込みくしゃくしゃの名刺を取り出した。俺は正直新手の新聞屋かなにかだとおもったのだが、あまりにも哀れだったので名刺を貰うだけもらう。くしゃくしゃになっている名刺には大きくこう書かれていた。

シンゴ『・・・案内・・・人・・・?なんですかこれ』

おっさん『言葉の通り案内人だ。君をゲームに導く為に来たのさ。』

シンゴ『おっさん・・・大丈夫?なんか人間違ってない?つかなんか怪しすぎだし。もう結構なんで帰ってください。』

そういって玄関を閉めようとしたとき、

おっさん『お父さんとは連絡とっているのかな。』

シンゴ『・・・俺の親父を知ってるんですか?』

おっさん『知ってるもなにも君の親父さんは・・・。そうか。君は知らないのか。これは少し口を滑らせてしまったな。』

シンゴ『おっさん!!親父は今何処にいるんだよ!!!教えろよ!!』

おっさん『おいおい。服が伸びちゃうだろ。とりあえず落ち着け。そして今俺から言える事は何も無い。だがな、知りたければこのゲームに出ろ。それがすべての答えになっている。気が向いたらここに電話してくれ。それでは』

そういうとおっさんは階段を下りてそのまま去っていった。シンゴはその場に立ち尽くすことしかできなかった。

おっさん『車出してくれ』

黒服『かしこまりました』

おっさん『ククククク・・・・・しかし会長には驚きっぱなしだ。一体なにを考えてるのか俺にも分からん。わざわざ自分の息子を「指名」するなんてな。なぁお前もそう思うだろう?』

黒服『・・・・』

おっさん『まぁいい。後は真実を知るために死ぬか、知らないまま死ぬか、はあの子の人生だ。あとは会長がすべてやってくれるだろうよ。』

おっさん『フカツ会長がな。ククククク・・・・。』


シンゴは迷いに迷った。親父のことをしりたい。親父が今なにをしているのか。むしろ生きているのかでも良い。なんでもいいから情報が欲しかった。しかし、シンゴには命よりも大事な大切な妹がいる。この妹を置いてどこかに遠出することはできない。するとそこへアリサがシンゴの袖を引っ張る。

アリサ『私もお父さんのとこへ行きたい。私も連れてって・・・。』

シンゴ『なんだ聞いてたのか・・・・』

正直アリサには来て欲しくなかったが、俺に止める権利は何一つなかった。

シンゴ『明日ここを出るぞ。親父に会いに行こう。』

アリサは小さく頷いた。


シンゴ『もしもし。俺です。フカツです。ゲームに参加させてください』

おっさん『おぉ。君か。ちょうど君で定員がいっぱいになったところだよ。』

シンゴ『それで、妹も一緒に同行させてもいいですか?俺しか身寄りがいなくて頼るあてが何処にも無いんで・・・』

おっさん『好きにするがいい。しかし、一つだけ条件がある。君の妹はゲームには参加できない。これが条件だ。つまり君の所有物という形でこちらは取り扱わせてもらう。』

シンゴ『所有物・・・ですか。よくわかんないけど分かりました。』

おっさん『4月1日0時00分に東京タワーの前で待っていてくれたまえ。迎えにいくから・・・ククク。それでは。』

おっさんは電話を勝手に切った。

シンゴ『4月1日の0時か・・・・。これで親父に会える・・・。』

しかし、その希望はすぐに絶望に変わることをこの時まだ知る由もなかった。
第四話≪第一次予選支配ゲーム〜First contact〜≫

3月31日、23時45分東京タワー前。そこにはシンゴより先に来ている人が大勢いた。ざっとみても30人はいる。中には大声で関西弁を話している女もいた。

シンゴ『関西の人もこのゲーム参加してるのか・・・。』

そう思っていると、目の前に綺麗な女性が通りかかった。俺は思わず顔を緩めたがスグ様妹に横腹をつねられる。

シンゴ『いってええ!!』

全員の目がシンゴに集中する。シンゴは真っ赤になり顔をうつむかせた。

チヒロ『君、大丈夫?』

先ほどの綺麗なおねえさんだった。シンゴはこれでもかというぐらいの笑顔を出し、

シンゴ『だ・・大丈夫です。びっくりさせちゃってごめんなさい。おねえさんもゲーム参加者なんですか?』

すると、少し顔色が変わる。が、すぐに元の綺麗な顔に戻った。

チヒロ『私はチヒロ。ゲームの参加者よ。よろしくね。フカツ君』

そういうとチヒロは手を振って他の集団のところにまぎれていった。

アリサ『ねぇ。おかしくない?なんで今あの人お兄ちゃんの名前しってたの?』

シンゴ『・・・・・・・・・・・・・・・知り合いかな。』

アリサ『さんざん考えてその答えって・・・。』

アリサはがっくりとため息をついた。

気が付くと時計は0時を指していた。そこに大型のバスが到着した。

トラキチ『みなさまお待たせいたしました。今回みなさんを第一次予選へとご招待、案内いたしますトラキチと申します。みなさま以後お見知りおきを。まずみなさんには第一次予選のルールについてお話致します。こちらの紙をご覧ください。』


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第一次予選【支配ゲーム】


まず参加者全員を黒白の2色に分ける。この時参加者は背中に色が指定されていて、自分の色だけ自分自身何色か分からない様になっている

そして参加者の個人判断でグループを作る(この時参加者は自由に行動出来る)

しかしグループは5人以上でないと認められない。もちろんこの時、色に関わらずの5名である。例)黒2白3のような場合はOK。しかし黒2白2のような4以下の場合は失格となりそのグループに所属しているメンバー全員に罰金1億円が課せられる。

そして勝負の行方だが、そのグループで多数派の色の人が支配者となりゲームに勝利し勝ち進む事が出来る。

例)黒2白3の場合、白が支配者になり、少数派の人数×1億円の獲得となる。

逆に少数派の場合その時に出た多数派の賞金を折半しなければならない。その場合、上記の様なパターンでは、黒一人−3億円
白一人+2億円
となる。(少数切り捨て)もちろんさらに大きいグループを作った場合これよりも多くの獲得金が期待出来る。逆もしかりだが…。

グループが黒白同数、又は一色だった場合、負債は0だが獲得金も0となる。しかし扱いは勝ち抜け扱いとなる。勘違いの無きよう。

グループが決まったら主催者にセットと発言。そしてオープンと良い主催者からその場で発表してもらう。

このゲームは敗者復活戦などという甘いものはなく、負けたらその場で多額の借金を被ることになる。それを肝に銘じゲームを進めて欲しい。しかし、もしゲームに負けたとしても自分が払うべき負債額が0円の場合はこれの限りではない。その場合は勝ち抜け扱いとなる。

ゲームを進める上で参加者の行動は全て自己責任となる。

以上 なお一切質問は受付しない

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シンゴ『ちょ・・・ちょっとまてよ!!1億って何だよ!!そんな金払えるわけないだろ!!』

その時後ろに座っていた関西人の女が話しかけてきた。

ミナミ『なら勝てばええんや。なんも難しいことはあらへん。他人を蹴落として大金ゲットすれば関係なしや。頭使いや。せいぜい食われんことをいのるこっちゃな。ほなおやすみ〜。』

シンゴ(なんでこんなみんな冷静なんだ・・・。1億だぜ?どう考えても絶対にざわざわするだろ・・・)

アリサ『ねぇ。これって必勝法あるじゃん・・・・。』

シンゴ『え!!なんだよそれ!!』

アリサ『ちょっと静かに。ばれたら必勝法じゃなくなる。』

そういってアリサはシンゴに話し始めた。
第五話≪閃きと言う名の抜け道≫

アリサ『このゲームは自分の色は分からないけど、相手の色は自分で確認できるって事でしょ?』

シンゴ『あぁ。そうだな。でも相手の色が分かったとしても自分の色が分かってないとどっちの色が多数派の色か分かんないだろ?』

アリサ『ううん。そんなこと無いの。自分の色なんか関係ないのよ。このゲームの仕組みだとね。つまり、黒二人と白二人の人を仲間につけた時、確実にゲームを支配出来るのよ。お兄ちゃんが黒だったとしても、白だったとしてもね。』

シンゴ『あ・・・・・!そうかっ!!!俺が最後の≪多数派≫になるって事か!』

アリサ『そういう事♪でも、このぐらいの事はみんな考えそうな気もするけど・・・。それにこの作戦の大きな穴は2つあるの。』

シンゴ『大きな・・・穴?』

アリサ『まず一つ目は、みんな快く交渉に承諾してくれるか。あともう一つは・・・・』

丁度良いタイミングで車が停車した。目的地に着いた様だ。

トラキチ『皆様、長らくお待たせ致しました。第一次予選会場に到着致しました。ここから先は私語厳禁とさせていただきます。もし破るような方がいらっしゃる場合は・・・そうですね。≪別室行き≫となりますのでご注意を・・・クククク』

つい20分前までのあの紳士な態度とうって変わって獰猛な肉食獣の様な目をしてこちらを睨んでいる。俺は軽くびびっているとアリサが紙を俺に手渡してくれた。俺はそれをトラキチに見えない角度まで体をずらし読む。

シンゴ(・・・裏切り者の存在・・・・?なんだこの裏切り者って・・・・。)

俺はそれをアリサに尋ねる術を持っていなかった。トラキチの言う≪別室≫に連れて行かれてしまうからだ。

トラキチ『それではみなさん、今から係りの者が皆様の背中に色の付いたICチップを埋め込みます。このICチップは無理に剥がしたり、服を脱いで色を確かめようとするとかなりデカイブザーが鳴る仕組みになっています。これがなった時点でその参加者は失格。つまりゲームオーバーとなります。くれぐれもお気をつけ下さい。』

トラキチ『そうそう、シンゴ様の所有物であるアリサ様はこちらの方で管理致しますのでご安心くださいませ。』

アリサは俺に心配をかけぬように笑顔で俺を見送ってくれた。

シンゴ『アリサの為にも・・・自分の為にも・・・絶対この勝負負けられない・・・。』

かくして、第一次予選〜支配ゲーム〜の開始である。・・・
第6話≪父親の影≫

シンゴ達は地下倉庫の様な場所に連れて行かれた。トラキチを先頭に1列になって細い地下階段を下って行く。

トラキチが鉄の錠で閉ざされた重そうな扉を開錠し、扉を開けた。

トラキチ「ここで皆様に第一次予選【支配ゲーム】を行ってもらいます。それでは参加者の皆様はこれをお付け下さい。」

そういうとトラキチは全ての参加者にネームプレートを渡していった。

トラキチ「このネームプレートは自分の名前を晒すという意味ももちろんありますが、このネームプレートがないと獲得金がお渡し出来ません。つまり≪獲得金との引換券≫と思っていただいて構いません。」

参加者がざわざわし出した。

男「じゃあなんだっていうのか!ゲームで勝ってもそのプレートを取られたら負けになるのか!」

トラキチは静かに口を開けて呟くように声を発した。

トラキチ「ゲームを進める上で参加者の行動は全て自己責任となる。 これをお忘れですか。つまりネームプレートを取られて獲得金が受け取れなくても自己責任ということでございます。」

男「じゃ・・・じゃあそいつを殺してネームプレートを奪っちゃえばいい訳か・・・」

参加者がいっせいにその男の近くから遠のいた。

トラキチ「ええ。殺されるのも殺すのも自己責任でございます。ただし、5人チームを組まなければ全員負債を背負って頂きます。」

男「なんだよ!俺が人を殺すとでもおもってんのかよ!冗談だよ冗談!心配すんなって!そんな自分に不利になるようなことはしねーよ。」

トラキチが参加者全員に聞こえる様に大声で伝える。

トラキチ「それでは、ただいまより【支配ゲーム】を開催致します!」

その声とともに大きな鉄の扉が静かに閉ざされた。


シンゴは心底怯えていた。

シンゴ「あの男・・人を殺すって・・・。やっぱここにいる奴らは1億どころの負債じゃないんだ。だからこそ、人を殺すって判断を簡単に出来るんだ。ちくしょう。殺されてたまるか!」

チヒロ「そうよ。そんな簡単に殺されてたまりますか。ってね。大丈夫?顔色悪いけど。」

シンゴは後ろからの急な声に驚きを隠せなかった。

シンゴ「ちょ・・・いつからそこいたんですか!」

チヒロはクスっと笑ってみせた。

チヒロ「あら。さっきからずっとあなたの後ろにいたわよ?おかしな子。そういうところもお父さんにそっくりね。」

シンゴはハッと気づいた。

シンゴ「そうだ!なんで俺の名前を知ってたんですか。あと俺の親父の何をしってるんですか!」

チヒロはまたクスクス笑っている。シンゴはそれが腹ただしくてしょうがなかった。

シンゴ「な・・・なにがおかしい!」

チヒロ「ごめんないさい。怒らすつもりはないのよ。ただあなたを見てると思い出すのよ。あなたの父をね。」

そういうとチヒロはシンゴの前を通り過ぎた。

チヒロ「あなたがこのゲームで勝ち残る事が出来たらあなたのお父さんの事について話してあげるわ。あなたならこのゲーム簡単に攻略できるはずよ。だってあなたはあの人のたった一人の息子なんだもの。」

シンゴ「たった一人なんかじゃない。アリサもいる!」

チヒロは一瞬笑顔を消したがまた笑って見せた。

チヒロ「そうね。へんな事をいってしまったようね。それじゃあまた後で。」

シンゴはまた1人になった。

シンゴ「とりあえず仲間集めだ。アリサの作戦は必勝法だ。これを決めることが出来れば俺は余裕でクリア。まってろよ。アリサ、親父!」


第7話≪合法≫

シンゴはまず仲間を集める前に情報収集をする事に。参加者の動きを見ながら慎重に且つ冷静に考えた。

シンゴ(このゲームの参加者を正確に数えたところ35人。つまりギリギリ7チームが出来る計算となっている。その中で黒は・・・17人、白も17人・・・。なるほど。数で憶測を立てられない様にしてるって訳か。これじゃあ俺がどっちの色なのかっていうのを憶測するのはリスクが高すぎるな。ん?)

シンゴが参加者に目を向けるとみんな貰ったネームプレートを外しポケットにしまっていた。

シンゴ(なるほど・・・確かにネームプレートを奪われたらそこで試合終了だもんな。俺も隠しておかなきゃ・・・。しかしこいつらまったくうごかねぇな。)

開始から30分。未だに誰一人として口を開いた者は居なかった。そんななか関西弁の威勢の良い声が会場を支配した。

ミナミ「あーーーーもーーーー!どいつもこいつもほんとビビリやな!こんなん続けとったら時間がいくらあっても足りへんわ。今から必勝法についてみんなに伝授したるさかい、興味ある奴はちょっとこっちきてんか?多分このゲーム、クリアせんと一生この中やで。」

会場がざわざわしだす。次第に一人、二人とミナミの傍による参加者が増えていった。

シンゴ(ここはあの関西弁のねぇちゃんの言うとおりにしとくか・・・。んと、チヒロさんは何処にいるだろ。あ、部屋の隅でタバコ吸ってる・・。行かなくて良いのかな・・・。)

俺はとりあえずチヒロさんを置いといて関西弁のねぇちゃんの方に足を運んだ。

ミナミ「えっと・・全員で23人か。思ったよりぎょうさんあつまったなぁ。こっちに来てないメンバーは12人か。まぁあいつらはあいつらで何とかするやろ。」

男A「おい!ちょっとまてよ!奇数だったら絶対にこんなかから負ける奴でてくるじゃねーか!!どこが必勝法なんだよ!!」

ミナミ「まぁ落ち着けや。私はまだなんも話してないやないかい。とりあえずみんなこのルールに関するメモしっかり読んだよな?このルールには合法的な抜け道があるんや。メモ出してみ。」

俺もその指示に従い、ルールメモを取り出した。

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第一次予選【支配ゲーム】


まず参加者全員を黒白の2色に分ける。この時参加者は背中に色が指定されていて、自分の色だけ自分自身何色か分からない様になっている

そして参加者の個人判断でグループを作る(この時参加者は自由に行動出来る)

しかしグループは5人以上でないと認められない。もちろんこの時、色に関わらずの5名である。例)黒2白3のような場合はOK。しかし黒2白2のような4以下の場合は失格となりそのグループに所属しているメンバー全員に罰金1億円が課せられる。

(以下略)
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シンゴ(これの何処に合法的な抜け穴なんてあるんだろう・・・。ん・・・まてよ・・・。分かったぞ!!コイツが何をしたいか!!)

ミナミ「なんや?みんなわからへんのかいな。あかんで。そんなんぐらいはしっかり頭使って考えてみぃ。」

シンゴ「参加者の個人判断でグループを作る(この時参加者は自由に行動出来る)ですよね?」

ミナミはこちらを振り向いた。嬉しそうな顔をしてニィっと笑って見せた。

ミナミ「せや。そこの部分や。あんちゃん名前なんていうの」

シンゴ「シンゴ、フカツシンゴです。」

ミナミ「シンゴ言うんか。ええ名前やな。私はミナミ。よろしゅうな。」

男B「おい!俺らにも分かる様に説明してくれ!!」
第8話≪片鱗≫

ミナミ「つまりやな、私が分身するっちゅうこっちゃ。ちゅうか発言する前にみんな名前ぐらいは言おうな。なんて呼べばええんかわからんし。」

ケイタ「俺の名前はケイタだ。つうか分身っていったって、分身なんか出来ないだろ!」

ミナミ「それが出来るんや。このゲームに至ってはな。シンゴ。みんなに分かる様に説明したってや。」

21人の視線が一斉にシンゴに注がれる。慌てながら俺はゆっくり説明を始めた。

シンゴ「えー、、つまりですね。このゲームのルールとして、別に1つのチームだけに所属しなくても良いってことなんですよ。」

そこだけ言えば大抵の参加者はそのルールの合法の穴に気づいた。更にシンゴは続けた。

シンゴ「もし仮に総勢11人が徒党を組み、俺がAというチームに入ったとします。Aチームには黒3白3の引き分けになるチームを作成したと仮定しましょう。そしてもう片方の余ったBチームは黒2白3になってしまった。この時俺が黒だとしたらこのBチームに加入すれば黒3白3で11人全員次のゲームに勝ちあがれるという訳です。」

参加者がざわざわしだすも、この必勝法を聞かされた他の参加者は納得した様子だった。ようやく参加者の中に笑みをこぼすものや安堵に包まれた表情をするものが出てきた。

ミナミ「とりあえず、チーム決めをしてこか。その前にちょっとトイレ行って来るわ。みんなまっとってな。せや、シンゴちょっと。」

みんなは必勝法の魔法に酔いしれていて不振に思う人は誰もいなかった。俺はミナミに呼ばれるがまま一緒にトイレまで向かった。

徒党を組んだメンバーから離れるのを確認したミナミは押し殺した声でシンゴに問いかけた。

ミナミ「あんちゃんはこの作戦のもう一つの顔わかっとるんやろうな。」

俺は小さく頷く。

シンゴ「一人で2チーム入ることが出来るってことはつまり抜ける事も出来るって事ですよね。つまり裏切り者の存在がかなり大きい。」

ミナミ「やっぱ分かってたか。みんな保身したいから私の必勝法という言葉に惑わされてるんやろうけど、あんちゃんは冷静に分析しとる。なんでこんなゲームに参加したん。」

シンゴ「・・・」

ミナミ「あぁ。堪忍な。今の質問は忘れといてや。」

俺はゆっくりと口を開いた。

シンゴ「父を・・探してるんです。」

ミナミはその一言で何かを悟った様に頷いた。

ミナミ「そうなんか。誰もが訳有りっちゅう訳やな。ちなみにいつから裏切り者の存在にきづいとったん?」

シンゴ「バスでこっちに向かうときに妹から忠告されてたんです。裏切り者には気をつけろと。」

ミナミ「あーあのちっこい女の子か。なかなか鋭いやん。まぁあんたは金目当てやないから今回は見逃したる。その代わりこの作戦を誰かに話したら・・・例え年下でも容赦せぇへんからな。」

ミナミの笑い顔は獰猛な肉食獣のような表情だった。


第9話≪叛徒≫

ミナミはトイレから帰ってきたそぶりを他の参加者に見せるとまず、作戦について語っていった。

ミナミ「まず、全員の色を確認せんとあかん。この色識別の手順は至ってシンプルや。3人がその対象者の色を同時に発声する。もし誰かが嘘をついて違う色を言った場合はそいつはチームから外す。この状態でチームから外れるっちゅうことは死と同じやからな。そんな自殺行為する奴なんかおらへんやろ。判断する人間は私とケイタとシンゴにやってもらうわ。てか、その二人しか名前わからんし。私とシンゴとケイタの色識別の時は二人で行う。異論はないやろ?ちなみに私は自分の色を既にしっとるから私に嘘ついたら一発で分かるで。ククク。」

シンゴ(ミナミは既に自分の色を知ってる?ハッタリか?いや、こんなハッタリする必要はそこまでないはず。本当にしっているのか?)

そう言い終えると、ミナミは手際よく参加者をまとめて準備をしていった。

ミナミ「識別する時に名前いってや。後から呼ぶん大変やし。」

参加者は列を作り俺とミナミとケイタさんの前に並んだ。この異様な光景をチヒロさんは横目で見ていた。

ミナミ「じゃあ初めよか。1番目誰や。」

後ろから2Mはありそうな巨体が歩み寄ってきた。

ユウダイ「ユウダイだ。嘘付いたら3人とも殺すからな。」

ミナミは鼻で笑っている。

ミナミ「勝手にせえや。ほなせーのでいくで。せーの」

ミナミ、シンゴ、ケイタ「白」

色識別も順調に終わり、残りは俺ら3人だけとなった。

ミナミ「ほな私たちも識別しとこか。まず私の色を識別してもらおか。」

そういうとミナミは背中を向いた。

俺とケイタは息を合わせ言葉を発した。

シンゴ「黒」ケイタ「白」

参加者はざわざわし出す。俺には分からなかった。

シンゴ(なぜ?なぜ黒ではなく白と言う?こんだけギャラリーがいたら嘘を言ってもばれてしまうのに・・・。)

と思っていた矢先、俺の右頬に電流が走った。綺麗な右フックを貰ったのだ。俺が訳が分からない顔をしていると、

ミナミ「嘘ついてもバレルゆうたやんけ。そんな見え透いた嘘言う奴やないともってたんやけどなあ。」

ミナミ「私の色は白や。既にこっちは確認済みなんや。まったく。なあ!他のみんなも見取るやろ?私が白なんやとゆこと。」

ミナミが背中を向ける。そこには紛れも無く【黒】の印が付いていた。しかし、ギャラリーは何も言わない。そう、ここに≪良いカモが出来た≫という表情をしていた。

シンゴ(そうだろ・・。こうなったらみんな本当の事を言うわけがない。こうなったら確実にミナミをカモにする。ここには俺とケイタさんの色はまだわかんないけど、最低9人の白が居るから下手すれば本当に9億ぐらい負債かぶっちまうぞ・・・。何考えてんだあいつ。)

するとミナミは笑いながら俺を見下ろしてきた。

ミナミ「せやな。まぁ別にあんたの事は嫌いやないから、もし素直に謝ったのならもう一度チームに入れたる。あともう一つの条件としてお前のネームプレートは私が預かる。そりゃ嘘をつかれたんやからそんぐらいされてもええよな。逆ギレするんならそのままの垂れ死ねばええし。どする。」

シンゴは別にお金には執着が無かったが、プライドをズタズタにされた事で判断を渋っていた。が、もしここでチームを抜けても確実に勝ち目は無いということもまた事実である。

シンゴ「すいま・・・せん・・・でした・・・。」

第10話≪疑心≫

シンゴは腫れた右頬を押さえながらゲームを進めていた。

シンゴ(ミナミいわく俺の色は「白」らしい。けど・・・。あいつ俺に本当の事言うのかな・・・。俺が嘘付いたと思ってるなら俺にも嘘ついてくるんじゃ・・・。)

チヒロ「それは無いわ。彼女ああ見えて結構真面目そうだし。」

シンゴ「そうですかねぇ・・・って、え!なんで俺が考えてた事分かるんですか!」

チヒロはクスっと笑いながら、シンゴの問に答えた。

チヒロ「いきなり訳も分からず殴られて因縁つけられた挙句にネームプレートまで奪われたんだしね。相手を疑心暗鬼になるのも無理ないわ。でもね、彼女はあなたを助けてくれたのよ。まぁ彼女がそこまで機転が良いのかは定かではないけど。」

シンゴにはチヒロの言ってる事がわからなかった。

シンゴ「俺を殴った事が俺を助けること?」

チヒロ「別に殴らなくても良かったとは思うけど、確実にあなたは救われたわね。あ、なんかあなたのチーム集まって会議してるわよ。行って来なさい。怪しまれると他の参加者に目をつけられるわよ。」

シンゴにそういい残し、チヒロはシンゴから遠ざかっていった。

シンゴ(チヒロさんは味方なんだか敵なんだか分からないな。)

シンゴがミナミチームの方に戻ると、既にチーム編成について話し合っていた。

ミナミ「チーム編成について黒12の白11か結構どんぴしゃやったな。ほな編成について話すで。まず黒6人のAチーム、黒6人のBチーム、白6人のCチームで残り白5人のDチームや。」

シンゴや他の参加者は黙って頷いた。というか頷かざるを得ない状況であった。ミナミで自分で自分の首を絞めるようなチーム編成をしていたからだ。

ミナミ「とりあえず白と黒に分かれて何処のチームに行くか決めよか。私は白やから私の所に集まって、黒は黒で適当に集まって決めといてや。」

ぞろぞろと移動していく中、ミナミだけが白の中に一人だけ黒い印をつけていた。

ミナミ「ほな、揃ったみたいやな。まなグっとパーで決めるか。グーがCチームパーがDチームな。」

グっとパージャンケンでチームが決まった。

Cチーム:シンゴ ケイタ ユウダイ タツヤ アキヒト ミナミ Dチーム:マイ メグミ ウツミ トモミ ユミ 

となった。

ミナミ「すんなり決まって良かったわ。ほなあとは順番にそこの主催者にセット、オープンすれば問題なしや。」

そして主催者の前に23人が勢ぞろいする。ミナミは続ける様に声を発した。

ミナミ「ほなうちらのグループからいこか。主催者の前で同時にセットって言うんやでー。せーの・・・・」

この30分前、シンゴはミナミに呼ばれていた。

ミナミ「シンゴええか。あんたは絶対に主催者の前でセットと言うな。じっとしてればおもろい事になるさかい。」

シンゴ(おもしろいことって一体・・。)
第11話≪心理≫

11人「セット!!!!・・・え?」

ユウダイ「え?今俺らのチーム人数多くなかったか?」

主催者「確認致します。先ほどセットと申しました参加者は、ケイタ ユウダイ タツヤ アキヒト ミナミ アキラ マイト コウジ タケル ケント ユリコの計11名でございます。」

ユウダイ「お・・・おい!まてよ!!なんでお前らまでセットしてんだよ!!!ミナミどういう事だよ!!」

ミナミは薄ら笑いを浮かべながら答えた。

ミナミ「セットゆうんわ自己責任なんやで。にいちゃん。」

主催者「それではオープンとなります。黒7人 白4人よって黒はこのチームの支配者となります。獲得金額は黒1人に付き、+4億円を獲得となります。白1人に付き、−7億円の負債となります。」

ユウダイ「な・・・なな・・・7億って・・・いみわかんねぇよ!!なんでだよ!!ミナミてめぇえええええ!!」

でかい図体を揺さぶりミナミに突進してきた。

ユウダイの豪快な右ストレートを受け流し、ユウダイの溝落ちのあたりにミナミは綺麗なカウンターを決めた。ユウダイは悶絶したままなかなか立ち上がれない様子だった。

ミナミ「悪いなにいちゃん。私空手やってるの。あんたみたいに図体だけじゃないんやで。」

シンゴ(こ・・・これは・・・。まさに白の連中らに勝てるというミスディレクションを起こさせたミナミが上手かった。しかし、黒がどうやってセットをする事にしたのか・・・。あ!!まさか・・・。あの時、黒と白のチームを分けた時か!!その為に白と黒を引き離したのか。)

ミナミ「もともと私が黒っちゅうのは知ってたんよ。今回総勢35名いる中で私からみて白は18、黒は16。残りの1名の色は嫌でも想像出来るやろ。せやから先に黒の連中数名と手を結んでいた。1色のチームを作り、あとから2色にするってな。それをするためにはまず、白の連中に勝てると思い込ませなあかん。だから私はシンゴをぶん殴ってアピールしたんや。私は白やと。そこで誰かがシンゴに加勢すればこの作戦は水泡やったが、あんたらは私を騙して1億を取れる良いカモやとおもったんやろうな。せやから白の連中を潰しにいったんや。これで分かったか?」

ミナミが話している最中にも白の連中の嗚咽が聞こえた。それもそうだ。1億を獲得できると思ったら実際は−7億の負債を背負わされている。泣くどころじゃすまされない。

主催者「勝ちあがった黒のメンバー様は次会場にお進みください。負けた白のメンバーの方はそこの裏口から抜けていただきます。黒服、ケイタ ユウダイ タツヤ アキヒトを確保しなさい。」

ユウダイ他4名「うわああああ。しにたくないいいいい!!!!やめてくれぇええええええええ」

まさにそれは地獄絵図だった。−7億の負債なんて返せるわけがない。どの道先が無いことは明白だった。

シンゴ(俺はまだ・・・死ねない!!!)

ミナミが次会場に進む前にシンゴの方を振り向き一言言い放った。

ミナミ「お手並み拝見とさせてもらうわ。あんたがどう戦うか楽しみやわ。」
第12話≪沈着≫

シンゴ(お手並み拝見ってつったって・・・。最悪の雰囲気にしてくれたもんだぜ・・・。)

辺りは静まり帰っている。それはそうだ。さっきまで白の嗚咽と懇願の叫びを聞いたばっかりだったからだ。あの地獄絵図の様な情景は思い出しただけでも心臓が痛くなる。

シンゴ(とりあえず・・・この場をなんとかしないと・・。)

シンゴは思い切って参加者全員を呼んだ。

シンゴ「皆さん!聞いてください!このまま居てももう埒があきません!結局このまま居てもここから抜け出せません!今11人参加者が抜けて今残り24名です。その内黒が11人、白が13人です。一緒にここから出ましょう!!相手を騙してまでお金を稼いでどうなるんですか!!」

会場がざわつく。一人の男が歩み寄ってきた。

シンゴ(あ・・こいつ。始まる前に人を殺すとかなんとか言ってた奴だ・・。)

ジュウベエ「なあ兄ちゃん。ほんとにそうおもっとんかい?ならお前は愚図だ。」

いきなり罵倒された。シンゴは何故愚図だといわれたのかまったくわからなかった。

シンゴ(ここを負債0で抜けようと提案しただけだけだぞ・・・なのになんで愚図なんだ・・・!)

ジュウベェはゆっくりとシンゴに歩み寄るとポンと肩を叩いた。

ジュベェ「この世はな、騙される人間と騙す人間しかおらんのだよ。どんな時代でも騙された奴は搾取され続ける。だから世の中が回ってるんじゃねぇか。勝ちたければ騙せ。生き残りたかったら振り返るな。ただそれだけだ。」

そう言うとジュウベェはシンゴから遠ざかっていった。みんなもどちらかというとジュウベエの意見に賛成だった様だ。

シンゴ「うう。。なんでこんな目に・・・。こうなったら白の人を探すしかない・・・。」

そんな悲観的になっていると向こうでシンゴを手招きする人影がいた。

コジロウ「君も黒組に入らないかい?一緒に負債0で次の試合勝ち進もうよ♪」

極上のスマイルをこちらに向ける。ホストみたいな外見だが笑うとなかなか可愛い感じの男だった。

シンゴ「いや、俺白なんで・・。」

コジロウ「え?君黒だよ?だから声かけたんじゃん!俺らもうここに居ても意味無いって結論が出てさ。とりあえず黒のうちらが上に行ったら白も必然的に上がって来れるでしょ?実は俺も君の考え方推奨してるんだぜ♪」

シンゴ「ここに来てやっとまともの人に会えた気がする・・。俺の色黒だったんですね・・。やっぱり嘘付かれてたのか。分かりました!一緒に入れてください!!」

こうしてコジロウの4人グループに入る事になった。5人以上ではチームの輪が乱れるらしく5人で上に上がろうとしていたらしい。そしてシンゴが最後の一人に選ばれた。



第12話≪決着≫

シンゴ「じゃあ早くここから抜けましょう!!」

開口一番にシンゴがコジロウに話を持ちかけた。コジロウはとても良い笑顔でそれに頷く。

コジロウ「それじゃあ・・・いくよ。その前にシンゴ君本当に仲間とか作らなかったの?」

シンゴ「あ、いえ。んー仲間は作ってたんですが・・・仲間って言えるかどうか。」

コジロウはそれを聞いて少し安心した様だった。そしてコジロウは白のメンバーが近くに居ないことを入念に確認した。そして5人は主催者にコールを宣言した。

5人「セット!!」

主催者「確認致します。先ほどセットと申しました参加者は、コジロウ シンゴ ナツミ マミ カスミ の計5名でございます。」

主催者「それではオープンとなります。黒4人 白1人よって黒はこのチームの支配者となります。獲得金額は黒1人に付き、+1億円を獲得となります。白1人に付き、−4億円の負債となります。」

シンゴ「え・・・・。」

シンゴがメンバーを見渡す限り明らかに全員黒であった。

コジロウ「・・クックックククク・・・アーーッハッハッハッハ!!まじで間抜けじゃねコイツ!案の定ひっかかってくれたよ!お前みたいな間抜けが居てくれて良かったよ!!ご馳走様!」

さっきの表情が一変してボロカスにシンゴを蔑んだ。

シンゴ「そ・・・そんな・・・。俺が4億の借金だって?ありえない。そんな事はありえない!!そうだこれは夢だ!全部夢だったんだ!!!」











コジロウ「ところがどっこい。これは夢ではありません!」

シンゴの体から力が全て抜けるのが分かった。シンゴはそのまま膝を落とし、うなだれた。

そこへ3人の黒服がこっちに歩いてきた。

シンゴ「俺もここでおしまいか・・・。アリサ・・・母さん・・・ほんとごめんな・・・。」

主催者は俺のうなだれている顔を覗き込みながら話し出した。

主催者「シンゴ様。ネームプレートをお持ちですか?」

シンゴ「え・・・あ・・・渡しました。」

主催者「そうですか。それではそのまま次戦へ進んでください」

シンゴ「え?!」

主催者「プレートを持たないとお金が受け取れませんが、借金を受け取ることも出来ません。今確認したところ、ユウダイ様のベルトに挟まっていたとの事です。シンゴ様の借金はすべてユウダイ様の借金となります。」

シンゴ(え・・・俺はミナミに渡したはず・・・・。あ!!あいつ!!あの時か!ボディーブローかましたあの一瞬にユウダイのベルトに挟んだのか!!ユウダイが怒り狂って襲ってくる事も、俺がミナミを信用しないで騙される事も、全部お見通しだったのか・・・・)

俺は肩を落としながら次戦に進む階段を一歩ずつ踏みしめた。










第13話≪束の間の休息≫

シンゴ(俺、何やってるんだろう・・・。)

シンゴはさっきまでやっていたゲームを思い出していた。それはあまりにも苦い思い出。

シンゴ(俺は人の上に立てる様な人間じゃない・・・。ましてや、さっきのあの悲惨な結果・・。俺のせいで関係無い人が借金を被るなんて・・・。)

ミナミ「よー!シンゴ。何暗い顔しとんねん。勝ちぬけたんやからもっと胸はりぃや。」

シンゴは力なく声の方を振り向いた。

ミナミ「なんやそれ。もう少し骨がある奴かとおもったんやけど結局お前もそんなもんやったんか。買いかぶり過ぎたようや。」

ミナミはそうシンゴを突き放すと一人で階段を上り始めた。

シンゴ(なんだよ・・。嫌味言うために待ってたのかよ・・・。ん?待ってた?いや、待っててくれたのか?でも、俺はミナミに顔向け出来ないよ。なんて声をかければいいんだ・・。)

「お兄ちゃん!!」

階段の上から懐かしい声がこだまする。その声の先に妹のアリサがいた。

シンゴ「アリサ!!」

アリサ「良かった・・・。無事なんだね。」

シンゴ「・・・。」

アリサ「お兄ちゃん?」

シンゴ「無事・・・なのかな。俺には分からない。」

アリサ「お兄ちゃん・・・」

シンゴ「アリサの言うとおりだったよ。裏切り者の存在が大きくゲームを左右してたし、俺もそれには気づいた。けど・・・」

アリサ「けど?」

シンゴ「信じれなかった。他人を・・自分を・・信じれなかった。」

アリサ「しかたないよ・・・あんな状況に置かれたら誰だっておかしくなっちゃうよ・・・。」

アリサ「私ずっとモニターでゲームを見させてもらってたんだ。あんな空間に身を置かれたら誰だって信じれなくなっちゃうよ。」

シンゴ「・・・親父もこのゲームやったのかな・・・。」

自分の父親が相手を騙し、負債を負わせ勝ち進んだと思うと苛立ちそして悲しみを覚えた。しかし、現在自分もそうであると思うと今度はとてつもない虚無感に襲われた。

シンゴ「俺、親父に会えるのかな・・。」

アリサ「ここまで来たらもう最後まで頑張ろう!私は何があってもお兄ちゃんの味方だからね!」

シンゴ「アリサ・・・ありがとう。」

黒服「シンゴ様とアリサ様ですね?お待ちしておりました。こちらが2回戦の会場となります。人数が揃い次第2回戦のゲームルールを発表いたします。速やかにゲーム会場にお入り下さい。」

シンゴ「あの・・・」

黒服「なにか?」

シンゴ「アリサを・・俺の妹も会場に連れて行って良いですか?俺の所有物という扱いなら問題ない筈です。」

黒服「・・・少しお待ち下さい。」

そういうと黒服は携帯を取り出し誰かと話している。

シンゴ「アリサだけは絶対に俺が守る。だから傍に居てくれ。」

アリサ「お兄ちゃん・・」

黒服「上からのOKが出ました。それではお二人共会場にお向かい下さい。」

こうして、シンゴとアリサは2回戦会場へと足を進めた。



第14話≪第二次予選ナンバー2≫

黒服「それでは2回戦参加者の皆様が全員揃ったという事なのでこれよりルール説明に入らせていただきます。その名も【ナンバー2】」

ざわ・・ざわ・・

シンゴ(ナンバー2ってなんだ?・・)

黒服「世の中には常にナンバー1がおり、脚光を浴びております。しかしその影にはいつでもナンバー2がいるのも事実。今回のゲームでは、みなさんにいつも日の目を浴びることの無いこのナンバー2になってもらう事となります。 」

シンゴ(・・・・?)

黒服「ゲーム期間は3日間、送金猶予1日を含め、計4日間で戦ってもらいます。 ルールは至ってシンプル。参加者には5つの記号(A・B・C・D・E)の中で1つ選んでもらいます。 そしてその選んだ記号の集約人数が2番目に大きいor小さいのを選んだ人が勝ち抜けとなります。例えば、 A0人 B1人 C2人 D3人 E4人 この場合、2番目に少ない記号はCの2人、そして2番目に大きい記号はDの3人となります。よって上記の様な場合はCとDを選んだ人が勝ち抜けとなります。」


シンゴ「要するに・・・」

アリサ「誰も選んで無さそうな記号を選べ・・・って感じなのかな。でもなんか凄い引っかかる・・・。」

シンゴ「ひっかかるって何が?」

アリサ「ん〜・・・何だろう・・。はっきりとは分からないけど、なんか凄く嫌な予感がする。」

シンゴ「・・・」

黒服「賞金の配分についてご説明致します。勝ち抜けた人数で1億円を折半してもらいます。また負けた人たちはその1億円の負債を背負ってもらいます。 上記の例で考えると・・・・ 勝ち抜けCとDはブロック毎に1億円が譲渡され、負けブロックBとEはブロック毎に-1億円の負債となります。」

シンゴ「また1億かよ・・・。」

黒服「なお、このゲームが終了次第、ドロップアウトが可能となります。ドロップアウトの場合は現在獲得している所持金の9/10を事務局に返却し、残りの1割を獲得しドロップアウトすることが可能です。追記と致しまして、このゲームは負債を背負わなければ勝ち抜けと致します。」

アリサ「なるほど・・・だから最後の1日に送金猶予があるのね。本当に最低な連中ね。」

シンゴ「アリサなんか良い手無いかな・・・。」

アリサ「・・・・。」

チヒロ「チームを組む以外に勝ち残りの道は無いわね。」

シンゴ「ち・・チヒロさん!チヒロさんも勝ち残ったんですね!」

チヒロ「当たり前じゃない。あなたも無事にここまで来れてよかったわね。そうだわ。あなたとの約束果たさなきゃね。お父さんの事聞きたいんでしょ?」

シンゴ「あ・・・!教えてください!!」

チヒロ「私は昔、貴方の父親のパートナーだったの。」

シンゴ&アリサ「え?」









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