天然記念物コミュの若一王子神社社叢

　長野県大町市大町2097

　1965年04月30日、長野県が天然記念物に指定。

　https://www.google.com/maps/@36.5153718,137.8556776,17z
　若一王子(ﾆｬｸｲﾁｵｳｼﾞ)神社〔県社〕は、若一王子・天照大神(ｱﾏﾃﾗｽｵｵﾐｶﾐ)・伊弉冉尊(ｲｻﾞﾅﾐﾉﾐｺﾄ)・仁品王(ﾆｼﾅｵｳ)・妹耶姫(ｲﾓﾔﾋﾒ)の五柱を祀る神社で、当地に伝わる『仁科濫觴記(ﾆｼﾅﾗﾝｼｮｳｷ)』なる怪しげな書物によると、人皇第10代崇神天皇〔位；97B.C.～30B.C.〕の末子で、王町に館を構えて犀川(ｻｲｶﾜ)の水を開いて安曇平を開墾したとされる仁品(ﾆﾎﾝ)王が伊弉冉尊を祭ったのが始まりだとされ、若一王子とは仁品王と妃の妹耶姫の長男で早逝した一ノ宮の事だとされ、仁品王の後は次男の二ノ宮が継ぎ、高根氏を称したとされています。
　しかし、実際には当社は、鎌倉時代初期に安曇(ｱｽﾞﾐ)郡一帯を治める御家人の仁科盛遠(ﾆｼﾅﾓﾘﾄｵ)が紀伊国熊野権現に詣でた際、那智大社第五殿に祀られる若一王子を勧請(ｶﾝｼﾞｮｳ)して仁科荘の鎮守としたのが始まりです。熊野では若一王子の本地仏は十一面観音で、瓊々杵尊(ﾆﾆｷﾞﾉﾐｺﾄ)と同一視されています。
　当社は江戸時代には松本藩の保護を受けた神仏混淆(ｺﾝｺｳ)の霊場として栄え、「若一王寺」「王子権現」等と呼ばれていましたが、明治元(1868)年の神仏分離の際に、寺号を廃して現社名に改称しました。全国の若一王子神社の多くは明治時代に祭神を瓊々杵尊と定めましたが、当社では仁品王の長男としての若一王子を主祭神としています。
　社叢は主に熊野杉などの針葉樹から成る美しい純林で、指定区域面積は17186．4㎡です。