ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

読者への挑戦コミュの創作への挑戦

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
こちらのコミュニティに書き込みさせて頂くのは久しぶりです。

これは、ずっと以前に構想を思いついて、今は自分のHPに載せているミステリーパロディーです。クリスティーの某作品を中心に、クリスティーワールドの名探偵たちを絡めて見ました。本格ファンの皆様方に、お気に入って頂ければ幸いなんですが。


「そして 誰もがいなくなった」〜 Ten Little Detectives 〜

 ……1976年1月。パディントン発4時50分の青列車に、10人の探偵とその協力者が乗り合わせる。
 エルキュール・ポワロとヘイスティングス大尉。アリアドネ・オリヴァー夫人。ミス・ジェシカ・マープル。バトル警視。パーカー・バイン。ハーリ・クィンとサタースウェイト氏。トミーとタッペンス夫妻。彼らはいずれも、U・N・オーウェン氏と言う謎の人物から送られて来た「殺人と晩餐の夕べ」に招待されて、インディアン島へと向かっていたのだった。そして、主のいないインディアン島の大邸宅で、彼らは不思議な童謡を耳にし、次々と不可解な死に見舞われて行く事となる……。

 十人の探偵が晩餐に招かれた。一人がリンゴを喉に詰まらせて、九人になった。……アリアドネ・オリヴァー夫人が、リンゴで窒息死させられた。

 九人の探偵が夜更かししていた。一人が七つの時計でも目を覚まさず、八人になった。……撲殺されたバトル警視の枕元に、七個の時計が置かれていた。

 八人の探偵が孤島に出かけた。一人が小道の奥に消え、七人になった。……サタースウェイト氏が、衆人監視の密室から消失した。

 七人の探偵が薪を割っていた。一人がぱしぱし野郎になって、六人になった。……斧に仕掛けられた殺しの罠で、トミーの体が切り裂かれた。

 六人の探偵が裏木戸をいじくっていた。一人の親指がうずいて、五人になった。……タッペンスの指先に、ニコチンの毒が付いた針が刺さり死亡した。

 五人の探偵が裁判所に行った。一人が真紅の弾丸で撃たれ、四人になった。……裁判官の衣装を着けたハーリ・クィンが射殺されていた。

  四人の探偵が船に乗った。一人がカリブ海に消えて、三人になった。……ミス・マープルが、海の絵柄の毛糸の編み物で絞殺された。

 三人の探偵が劇場へ行った。一人が女優に誘惑されて、二人になった。……パーカー・パインが、美しき女神像の彫刻に押し潰されて死んだ。

 ……そして、島にたった二人残ったのは、ポワロとヘイスティングス大尉!ポワロを信じたくも、己が犯人でない事から信じ切れないヘイスティングスは疑心暗鬼に陥る。そして……。

 二人の探偵が日向に座っていた。一人がカーテンに巻かれて、一人になった。

 ……ヘイスティングスも、突然炎を発したカーテンに巻き付かれて焼死する。「我が友よ……」ヘイスティングスの死に、泣き崩れるポワロ……。

 だが、ただ一人残ったポワロは「ある人物」が実は生きている事を指摘する!そして……彼の前に現れたのは、死んだ筈のハーリ・クィン!自分ただ一人が、この世で唯一の「正義と真実の審判者」である事を主張するハーリ・クィンは、残ったポワロをも亡きものにしようとして迫るが……。その最中、他に誰一人いないこの島で、「真犯人」である筈のクィンも不可思議な死を遂げてしまう!死屍累々たるインディアン島で、たった一人残った慟哭するポワロ……!

「もし……この世に『神』と言う名の存在がいるならば……。何故、あなたは私たちをこの様な目に合わせるのですか?あなたは、私たちを愛してはいないのですか!」
 ポワロが叫んだ……その瞬間、天はにわかにかき曇り、凄まじい豪雨と雷鳴がインディアン島を襲った!そして、地球の奥底から生み出された巨大な地震がインディアン島をバラバラの岩塊へと変えて行く……。
「……どうか、答えてくれ!我が神よ!」
 ポワロが、崩壊するインディアン島の大地に、仁王立ちになって絶叫した時、天を覆う黒雲が分断され、突如現れた神々しい光がポワロを照らし出す……。そして……目映い光の中に、一人の女性の穏やかな笑顔が浮かび上がった。

『そんな事はありません。あなたたちは皆、私の生涯における最大にして最良の友達でした……。さあ、一緒に行きましょう!私の可愛い10人の探偵さんたち(マイ・テン・リトル・デテクティブズ)……』
 次の瞬間、インディアン島の大地は木端微塵に砕け散り、ポワロは荒波渦巻く大海の真っ只中へと呑まれて行った……。

 一人の探偵が後に残された。彼が「神」に召されて、そして誰もがいなくなった……。

「……私の可愛い10人の探偵たち」
 最愛の家族に見守られながら、微かな声でそう呟いた一人の老婦人が、微笑みながらゆっくりと息を引き取った……。1976年1月12日。ミステリーの女王、アガサ・クリスティー死す。享年85歳。だが、彼女の最期の笑みの意味を知るものはいない……。

【完】

コメント(2)

 
 う〜ん。なるほど、そうきましたか!とても素敵なアイディアだと思いました。
 アンチミステリー系に免疫のない方は、いまいちピンとこないかもしれませんが、クリスティーの好きな方は楽しめるのではないでしょうか。
面白いですね。
キャラクターの特徴を巧みに織り込んだ死に方(殺され方?)がいいなあ(笑

高校時代、クリスティを貪るように読んだんですよ。
懐かしい。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

読者への挑戦 更新情報

読者への挑戦のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング