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Kenzo Kitakata.コミュの時代ハードボイルドの傑作『独り群せず』

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文藝春秋エクストラ(隔月発刊の小説専門誌)の連載『独り群せず』が終りました。

幕末の大阪を舞台にしていますが、この作品は歴史小説ではなく、
北方氏のハードボイルド小説の中でも、特に優れた傑作だと思います。


主人公光武利之は、幕閣村垣範正(実在の人物です)の妾腹の兄という設定で、
村垣家は、代々お庭番の頭領の家系であることが、この作品の伏線となっています。

かなり昔、大塩平八郎の乱に関わり、親しい友大塩格之助を失なって、
そのため武士を捨て、市井の料理人になります。

しかし、大塩格之助はたびたび回想には出てきますが、
その事件の詳しい経緯の説明はありません。

ただ、親しい友を失なった哀しみや、事件に対して無力であった自分に、
深く傷ついていることだけが、回想によって分かります。


この作品の大半は、魚を釣り、まだ少年の孫の利助を仕込みながら、
幕末の騒然とした世の中には一切関わらず、淡々と料理を作り、客に出すという、
利之のストイックな生き方を描いている、やや単調なストーリーです。

しかし、北方氏の卓越した筆力により、釣りや魚の捌き方、調理法、料理などが、
研ぎ澄まされた素晴らしい文章となり、読んでいて、少しも飽きません。

店の客として登場する、勝麟太郎や小栗忠順らの実在の人物との会話も、
含蓄が深く、なかなか面白いです。

むしろ、静かな日常の中に徐々に緊張感が高まり、
ラストの、土方や沖田らの新選組との決闘のシーンでは、
これぞ北方ハードボイルドといえる、死闘を描いています。

『三国史』や『水滸伝』などの大作を描いて、現在の北方謙三氏は、
今や円熟の極みにあり、ハードボイルドでも、傑作を書いてくれると思われ、
これからが、ますます楽しみです(^^)

コメント(2)

「杖下に死す」の続編ですね。
日向シリーズとか、(歴史小説では無い)時代モノは一機に
入り込めるので好きです。
でも、文庫派の私にとって先は長そうですね。
早速、雑誌を取り寄せ、読みました。

なんと・・・続編があったなんて。

楊令伝・と共にじっくり読まさせてもらいます。

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