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美学・芸術学コミュのタカラブネ

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コメント(10)

「May」



真昼の波打ち際を歩む僕たちに

海岸線の列車が轟音を浴びせる

うちあげられた流木たちの表情は

さまざま



僕らは

おなじ砂浜に

輪を作る人たちをみつける


その輪のまんなかは

普段着姿の花嫁

人生の仲間にかこまれ

あたたまっていた


彼女はこちらに気づくと

愛そのもののように

柔らかくえしゃくして

僕らへ贈り物をくれた


それは

いまはすでに失われたある友愛の言葉
「初夏」


立ち入り禁止の

黒い格子で囲まれた

光りで一杯の林檎畑

そのまわりにある

きれいな水の用水路で遊んでた

僕と姉


暗い水たまりに


一滴の雫が落ちて


波紋をひろげる



陽が沈んだ
「gloaming」





のなかの館

杉のこずえにつらぬかれた



のカッコウ



の出窓がせまってくる!

おお

ふたつの出窓がせまってくる

思い出すのは



紫がかったステインドグラス
「EAST」



未明



アスファルトのうえから
弾けて出た自動車が


道端で眠っていた
畑の野菜たちをつぶすと



夜明けに



天界では一頭の白馬が
すさまじい跳躍を踏み切る


流れる緑の風!
「ありがとう」



黄金色の林に

小さなボールは転がりゆき

僕らもそれを追い林へ



すると女の子が自然に

どこかに神さまがいる

そういった




うん そのとおりだよ



ありがとう
「大陸」



暗い

朝の湖


手をつないで

たくさんの人間たちが水のなかへ入ってゆく



残った者らは湖へ黒い土を投げ入れる

みなもが

褐色の肌、黒い髪と土でふさがるまで




もはや怒れる湖は激しく沸き立ち

沸点越えて人の肌は瞬く間に灼け

もがく女の絶叫



全身を膨れさせた男の子は浮かびあがった




砂漠の

天にまで届こう塔が命令を下し

規格外の巨牛を湖へ向かわせた



これは救済であるが



正午




北側の崖道が崩れて

巨牛は人夫もろとも湖へ落ちた



そして

聖別された馬車の窓から音楽家がすべてを見ていたけれど、

もう山道を行ってしまった。
「青」



完全に清潔な


広い無情のトイレ


壁はすべて

淡いブルーのタイル張り


灯りとりの窓から白い光りが

燦々と




あなたは永遠に

ここで過ごさなくてはならない



運命の日の午後


可憐な蝶が蜘蛛の網にかかった
 「circle」



いま、わたしは暗い場所でスクリーンをみている

虎と海と鹿と虹と像と滝と岩とフラスコと槍とロートと桜とアルプスなんかが大きな緑色の輪のなかにある



  

     
「晩夏」



暮れに俺の胸の奥でカラスが鳴いた



夏はいま

貧しい家の押し入れのなかにはいろうとしている

ヤブのなか

不幸な育ちすぎた樹木たち

羽虫が活発だ

石を投げよ


夕焼け空に帰っていく人を引き止めてはならない



朝、私は

塩をなめる

顔を洗う

植え木鉢に水をやる



ああ

もう大人なんだな



大切なものなど

なにひとつないのだ!
「神様の庭」


お月様の裏側にはなにが?

紙芝居をやっているのか

ボールを転がしているのか

川が流れているのか

村はあるのか


それが分からず僕は採石場から星をながめる



酷暑の夏、桃が輝きを完全に内に潜めて実り

夕暮れに働き者にもがれる

なにもかもが今まで必死で耐えてきた

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