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ストイコ ―氷上のエルヴィス―コミュの氷上の演武 ―『Dragon: The Bruce Lee Story 』 ―

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 先日、マイミクのbowさんと話していて、
「エルヴィスといえば、やっぱりSPは『ライオン』、FPは『ドラゴン』よねえ」
 という話になりました。若い頃のSPなどにも、他にも印象的なものがいくつもあるのですが、やはり、エルヴィスというと、パッと浮かぶのは皆さんこの二つのようです。とくに、『ドラゴン』、これは初めてワールドを取ったプロでもあり、最後のシーズンに使ったプロでもあるしで、エルヴィス自身思い入れが強いのでしょう。

 オフ会を前に、ようつべを見ていて、『ドラゴン』が、4種あがっているのを見て、チョッと比較してみました。

 まず、リレハンメル五輪の『ドラゴン』
http://jp.youtube.com/watch?v=CpDaWDlwi2E

 当時のエルヴィスは、なかなか芸術点が上がらず、「技術に特化している」という批判を受けていました。(その点、みどりさんと似た部分があるかも)
 また、このプロは
「バレエは自分には合わない」
といっていたエルヴィスが、自分の道を模索しつつ、自らも黒帯の腕前を持っていた空手にその道を見つけ、“東洋武道の精神と美を、西洋芸術のうちにあるスケートの中で融合させる”といった信念を持って創りあげたものでもありました。
 しかし、発表当時、このプロはジャッジたちから総スカンをくらい、
「武術は芸術たりえない」とまでいわれたのでした。
そんななかでのリレハンメル五輪です。最初の3A−3がすっぽ抜けてしまい、急遽4−3の予定の場所に3A−3を入れたため、クワドは入っていませんが、それでも、大きな拍手、そしてスタンディングオベーションが巻き起こりました。
 そして、技術点は5.8〜5.9。これがその瞬間のキスクラです。
<photo src="1755292:541245741">
 しかし、芸術点は割れました。5.4から、5.8に。
しかしねぇ・・・5.4なんていったら、第二グループの点数ですよ・・。
 大ブーイングの中、エルヴィスとダグは顔を見合わせて苦笑い。
 結果、一位はウルマノフ、エルヴィスは2位に終わりました。

コメント(3)

そして、一月後の世界選手権(幕張)。おそらく、エルヴィスの最高の演技、といったら、これか、ソルトレイクのフリーをあげる方がほとんどなのではないでしょうか。
http://jp.youtube.com/watch?v=VkeqC-fnWrc&feature=related

 印象深いのは、このとき、エルヴィスはリンクサイドから出てきて、演技を終えて戻るまで、ほとんど笑顔がないのですね。元々、彼はバトル君のように、リンク上で笑顔を振りまくタイプではないのですが、このときは、4−3のコンビネーションの際のステップアウト以外、ほとんど完璧にといっていい演技だったというのに、客席に礼をする際にさえ、全くといっていいほど笑顔がありませんでした。
 いつかも書きましたが、エルヴィスはライバル以外にも戦うものがあるときに、こんな表情をしますね。長野のフリーのときもそうでした。このときはジャッジたち、そして、長野のときは思うように動かない自分の身体、と戦っていたからなのでしょう。そう、おそらくこれは、リレハンメルからのキスクラから続いているんだと思います。
 物凄いスタンディングオベーション、なのに第2グループ並みの芸術点。
「これだけやったのに?どうしろっていうの」
そんな気分にきっとなっただろうと思います。しかし、彼は、腐ることなく、更に自分の演技を高めて、ワールドでジャッジたちに見せつけた。

 なんて凄い、そして、強いひとなんでしょうか。
 おそらくこれは、彼が精神的なよりどころとしていた武道の教えからきているものも多いと思うのですが。(どうでしょう?くまさんさん?)

 目立つところでは、2つだったコンビネーションジャンプを3つにし、きっちりとクワドを決めてきた。
 ジャンプだけじゃない、他のエレメンツにしてもきっちり行なわれていた。
 そう、ジャンプでいえば、4-3(これはトリプルジャンプの着地でステップアウトしましたが)、3A−3,3−2の3つのコンビネーションジャンプに、全種類のトリプルジャンプ、そして3アクセルを2つ。危なげもなく決めてみせた。
 いやぁ、これが13年前の演技だっていうんですから。今の現役に、これが出来る男子が何人いるでしょう。

 そして、ゆったりとした、空間を操るような、全くバレエとは異質な動き。
 まさに氷上の演武、といった演技で、会場中に歓声を巻き起こした。
 
 演技の最後のコンビネーションスピンの途中からすでに歓声が起こり、スタンディングオベーションが始まっています。そして、演技を終えて、エルヴィスがゆっくりと手を上げる、それに導かれるように、会場中の観客が立ち上がってゆきます。
 解説している伊藤みどりさんの声は裏返りっぱなし(笑)
 
  そして、キスクラで、6.0の芸術点を見たとき、エルヴィスははじめて笑顔をみせます。後に彼は、
「6.0という数字を見たとき、頭がぼうっとして、何も分からなくなってしまった」
といっています。
 そして芸術点。リレハンメルのときに5.4をつけたロシアのジャッジも、5.8をつけていました。けれども、6.0をつけたアメリカのジャッジの芸術点はジャッジ中最低の5.7。
 これは、
「おまえの技術は申し分ない。完璧である。しかし、私は武術を芸術として認めることはまだ出来ない」
という、ジャッジの、主張でありメッセージであったのでしょう。
 この芸術点が出たとき、弾けるような笑顔のエルヴィスの隣で一緒に喜びを分かち合っていたダグの顔が、一瞬曇ったのが、とても印象的でした。
 龍の道はいまだ遠い、このときそれが分かっていたのは、ひょっとしたらダグだけだったかもしれません。
 この幕張ワールドは、リンク上と同じくらい、キスクラもドラマでした。
 キスクラのエルヴィス、そしてダグの表情、本当に忘れられません。

 リレハンメルの際、ダグは
「本がいくつもの章から成り立っているように、芸術的価値、というものもいくつも存在するのだ」といったようなことを言っていますが、それを分かってもらうためにはまだ道は遠い、と思ったことでしょう。
 
 しかし、エルヴィスの幸福は、彼の意見にじっくり耳を傾け、そしてそれを実現するための方法論を知っていたダグがそばにいたこと、これに尽きると思います。

  そして、キスクラで、6.0の芸術点を見たとき、→  そして、キスクラで、6.0の技術点を見たとき、

 の間違いでした。訂正いたします。
 リレハンメル五輪『Dragon: The Bruce Lee Story 』
http://jp.youtube.com/watch?v=CpDaWDlwi2E

 世界選手権(幕張)『Dragon: The Bruce Lee Story 』
http://www.youtube.com/watch?v=VkeqC-fnWrc&mode=related&search=

 もちろんワタクシ、二つとも、リアルタイムでみておりました。(テレビで、ですが)
 このころにはもうどっぷりエルヴィスファンだった私は、もうわくわくしながらテレビにかじりついていたんですが・・・
 
 ただ、幕張のときは、エルヴィスがリンクに出てきたときに、
「今日はイケる!」
と思ったんですね。明らかに、オリンピックのときとは雰囲気が違っていましたから。どこが?ときかれると根拠なんてないんですが、ブラウン管ごしでも、明らかにわかりました。(ファンの贔屓目かもしれないんですが)
 間違いない、今日はやってくれる!と思えたんですね。
 
 そして、音楽がかかり、彼が滑りはじめると、その期待感はますます高まり、しょっぱなの3A−3のコンビネーションが決まったときには、もうそれはほとんど確信に近くなっていました。(このジャンプは、オリンピックではすっぽ抜けてシングルになっちゃってたんです)
 そして、エルヴィスは、全種類のトリプルジャンプを成功させ、ステップアウトはしたものの、世界で初めて、4−3のコンビネーションを降りたのでした。もちろん、ものすごい歓声、スタンディングオベーション。・・・その場にいたかったなぁ・・としみじみ思ったのです。

 やっぱり、オリンピックのときとはぜんぜん違ってました。スロー・パートの迫力も、ステップの勢いも。
 おんなじプログラム。そしてあのときから一ヶ月しかたっていない。でも、エルヴィス本人からかもし出されるオーラみたいなものが、まったく違っていました。もう、彼の世界にぐいぐい引き込まれていきました。そう、こんな、すべてをなぎ倒すような力強さ、気迫、といったものは、オリンピックのエルヴィスからはあんまり感じなかった。 
 けれど、この幕張のエルヴィスからは、そういったオーラががんがん出ていたんです。それは、10年以上たった今でも、はっきり記憶しています。

 今回、この二つの動画を見直して気づいたのは、エルヴィスの表情です。
 まずひとつは、リレハンメル五輪のキス&クライで、芸術点が出たとき。
 エルヴィスは、笑っているんですよ!
 あんなにも低く自分が評価された芸術点に。そしてそれを出したジャッジたちに。
 周りからブーイングがあがっているにもかかわらず、この点数!
 けれども、怒りを顕わにするでもなく、悲しみを見せるわけでもなく、彼の顔に浮かんでいたのは意味ありげな微笑でした。
 そして、もうひとつ。幕張では、リンクに出てきて、演技を終えてキス&クライに行き、点数が出るまで、まったくといっていいほど笑顔がありませんでした。あれだけジャンプが成功し、ほとんどパーフェクトといっていい演技をしておきながら、演技後の礼をしているときにすら、ほとんど笑顔がなかったんです。

 このとき彼はジャッジとも戦っていた、ということは再三日記にも書いていますがhttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=379813411&owner_id=2978091、まさに、それが現れていたふたつの表情でした。

 おそらく、リレハンメルの芸術点を見たときに、彼の闘争心に火がつき、この幕張で爆発したのでしょう。
 幕張のエルヴィスからは、リレハンメルのときにはなかった蒼い炎が、演技を通して見えるような気がしました。


 オリンピックのとき、カナダ本国の新聞は彼についてこう書きました。

>>ジャッジたちが、ブルース・リーよりもチャイコフスキーを好むので、ストイコは昨晩、金メダルの代わりに銀メダルを得た。
 ストイコの長年の天敵であった“芸術点”は、今度は彼のオリンピックフィギュアスケート男子シングルのタイトルを奪い、さらに悩みを深くするために戻ってきた。
 いつもどおり、ストイコはフリーで最高の技術点をたたき出したのだが、ジャッジたちの好みに合ったのは、古典的な演技をする若いロシア人スケーター、アレクセイ・ウルマノフであり、勝利を収めたのも彼であった。

  そして、幕張で、エルヴィスはこの“天敵”にやっと一矢報いたわけですが、キスクラでのダグの表情からもわかるように、最終的な勝利にはまだまだ遠かったのです。

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