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子供も大人も読みたい絵本&物語コミュのテイルズ・オブ・ワールド 〜第6章・八〜

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ズバンッ

   …バシャッ

  グジュルジュル……



『ドラン! やっぱりダメだ! キリがない!!』

(だから、物理攻撃は効かねぇんだよ! 別の手を探せッッ!!)



マーサのように魔法の力を持たない二人には、この水人形に対し、ダメージを与える有効な手立てが無い。

そうなると、無駄な戦いは避け、逃げるのが一番良いのだが、それも四方八方を塞がれて難しい。



『くそ! これじゃあ【想】の消費って意味じゃ、【氷の牙】を温存してる意味が無い!』



一体一体が、さほど強くないとはいえ、数が多く、何度斬っても直ぐさま再生し、再び襲ってくる水人形が相手では、そのうちに体力も【想】も底をついてしまう。



『やっぱり、【氷の牙】を使うしかないのかッッ!?』



カズヤは首にかかった【氷の牙】を胸から取り出し、握り絞める。

【想】を【氷の牙】に送ろう…そう思ったとき、ドランがそれを制止する。



(カズヤ、待て!
もしかしたら魔法なんか無くても、コイツらを倒せるかもしれねぇ!)

『……えっ!?』



ドランのその言葉を聞き、カズヤは【氷の牙】に送ろうとしていた【想】を消した。



『ドラン、どういうことだ!?』

(俺様が、がむしゃらに攻撃して、水人形共を倒しまくってたらよ、違いがあるのに気が付いた!)

『…違い?』

(あぁ。 何度切り裂いても、すぐに再生してくる奴と…そのまま割れた水風船みたいに、バラバラになる奴がいるのよ!)

『……そういえば。』



そう言ってカズヤは、このピンチでパニックになっていた頭を、今一度、冷静にして辺りを見回す。



『心なしか…少し数が減ってきているような?』



ドランがニヤリと笑い、解説を続ける。



(そうだ。 ヤツらは徐々にだが、確実に数が減ってきてる。
それは俺様達の攻撃が、偶然にもヤツらの弱点を捉えていたものがあったってことだ。)

『魔法以外に、弱点が!?
じゃあ、それさえハッキリさせれば、一気にこの状況を打破できるんだな!』



カズヤとドランが話している間にも、水人形達の攻撃は続く。

その中の一撃が、カズヤの頬を掠める。



『くはっ…!
ドラン、その弱点ってのは何なんだよ!』

(お前さっき、噴水の石がどうとか言ってたな?)

『言ってたけど…それが何だっていうんだ!?』

(ヤツらの足元をよく見てみろ!)



ドランの示唆通り、カズヤは水人形の攻撃を受けないよう気をつけながらも、砂の地面を観察する。

すると、所々に、小石が落ちているのを発見した。



『……!
あれって、噴水の底に敷き詰められてた石か!?』

(そうだ!
恐らく、あの石に描かれた模様は、【想】を受信してコントロールする為のもの!
誰かが石に【想】を送って、あの人形を作り出すしてんだ!!)

『……ということは!』



目を凝らして水人形の身体を観察する。

すると、これまで暗闇で分かり難かったが、胸の中心部のあたりに、小さな浮遊物があるのに気が付いた。

カズヤはドランの話を聞き、相手の攻撃を避けるのに専念していた態勢から、攻撃の態勢へと転じる。

そして水人形の胸の中心に浮いている浮遊物へ目掛けて、短剣を振り下ろした。



ズバッ

     バシャッ



水人形は、縦に真っ二つに両断されると、その形を失い、辺りへと飛び散る。

しかし、先程までと違うのは…



『……再生しない。』



水人形であった水は、そのまま砂へと染み込み、消えていった。

後に残ったのは、水人形を形作っていた、二つに割られた石のみ。

どうやら、ドランの推察に間違いはないようだ。



(カズヤ!
水人形は【想】で作られた人形だが、こいつら自身が【想】を使える訳じゃねぇ!
強さも普通の人間と変わらねえ! 一気に突破するぞッッ!!)

『おう!』



カズヤとドランはオーラを身に纏うと、自らの脚力を強化し、水人形達を撹乱させながら、胸の小石に狙いを定めて戦い始めた。

二人の読み通り、普通の人間並の身体能力しか持ち合わせていない水人形達は、そのスピードについていけずに闇雲に動き回るだけだ。

オロオロと焦る者。

見当違いの方向へ攻撃する者。

中には、同士撃ちをする者までいる。

そして、作戦は思惑通りに進み、10分後には20体いた全ての水人形は、二人の手によって倒されていた。



『ぷはぁ〜っ!
やっと片付けたな。 一時は、どうなることかと思ったよ。』

(これも、俺様の天才的な頭脳のお陰だな! シシシ…。)

『まぁ、メタボ狸の戯言は置いておいて…と。
屋敷の裏側に回ってみよう。 裏口があるかもしれない。』

(コラァッ! カズヤッ! お前、いま何て言いやがったッッ!?)
















そんなカズヤとドランの戦いを、屋敷の三階の窓から覗く者がいた。



「まさか、水人形が倒されるとは…。
今回の賊は、なかなかやるみたいだな。 だが、まだまだ安心するのは早いぞ?
こちらには新たに用心棒がいる…アチチチ!」















裏口から屋敷への侵入を試みる為、裏側へ回り込んだカズヤとドラン。

途中、再び水人形の襲撃があるのではないかと警戒していたが、驚く程にあっさりと、何事もなく辿り着くことが出来た。



『…よし。 じゃあ、屋敷の中に入れそうな所を探すか。』

(……妙だな。)



ドランが回りをキョロキョロと窺いながら、ボソリと呟く。



『妙? 何が?』

(さっきの俺様達と水人形と大立ち回りで、屋敷の人間が外の様子に気付いて、出て来てもいい筈。 ……なのに、誰一人として外に出て来ねぇ。)

『罠…中に誘われているってことか?』

(そうかもしれねぇ…いや、たぶんそうだ。 気をつけろよ。)



ドランの指摘を受け、カズヤも周りへの警戒を強めつつ、裏口を探す。

すると、正面玄関と違い、かなり小さめではあるが、一つのドアを発見した。

特に鍵を掛けられている様子もなく、耳を当てて中の音を聞いてみるが、近くに人がいる気配もない。



『よし…入るぞ。』



ガチャ…



ドアを開けようと、カズヤがドアノブに手を掛けたその時、どこからともなく、高らかな笑い声が響いた。









『テイルズ・オブ・ワールド』第6章・八 完

コメント(4)

〜作者の独り言〜


65本目。

私の日記をご覧になっている方はご存じかと思いますが、

最近また、暇つぶしにイラストを描き始めました。

本当にたまにしかやらないので、数か月に1回とかなんですが。

今度、テイルズキャラにも挑戦してみようかな・・・なんて考えています。

・・・すっごい時間がかかりそうですが。
たぁさん


そうですね、そろそろ彼等の登場かもしれませんほっとした顔

イラストは、そのうち・・・ね指でOK
次回、第6章・九は

明日、4/27(月)

アップ予定!!

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