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子供も大人も読みたい絵本&物語コミュのテイルズ・オブ・ワールド 〜第4章・壱拾〜

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ガタガタガタ・・・



「怖い・・・怖いよう・・・・・・。」



リュウは自室に閉じ籠もり、ベッドでひとりシーツに包まった状態で震えていた。



「お父様があんなに危ないめに遭うなんて。
そんな事なら、僕は王様になんてなれなくていいよう・・・。」



トントン・・・



リュウの部屋をノックする音が聞こえた。



「ビクッ! だ・・・誰ッ!?」



突然のノックに、リュウは過剰なまでの反応で大声をあげる。

しかし、ドアの向こうの人物はそれとは対照的に、静かに柔らかな声で答えた。



「ラジムでございます。」

「な、なにか用なの!?」

「まだ・・・、ご気分は優れませんか?
マーサ様やカズヤ様達も、心配して下さっていますよ?」

「放っておいてよ!
僕はお父様のように怖いめに遭うくらいなら、王様になんてなれなくていい!!
だから、【想】の修行だって、もうしなくていいんだ!!」

「リュウ様・・・・・・。」



リュウにも、どれだけ周りが心配をしてくれているかは、痛い程に解っていた。

ドアの向こうにいるラジムの顔を想像すると、チクリと胸が痛んだ。

しかし今は、その気持ちが及ばない程に、リュウの心は【恐怖】に埋め尽くされていた。



「ううぅ・・・。」



ポロポロと、リュウの目からは涙が零れ落ちる。

その時だった。





ズズ・・・・・・ン・・・・・・





城下町の方から、重低音が鳴り響いた。



「な・・・なに?」



リュウはベッドから降り、窓から城下町の方を見る。



「・・・・・・え?」



リュウが目にしたのは、いつもの見慣れた風景ではなく、黒い煙の立ち昇る、全く別の町だった。

そして、リュウが目にしたものは、もう一つ。

空を飛行する黒い影。

それはこちらへ向かっているように見えた。

・・・いや、そう見えるのではない。

その影は確実にこちらへ



向 か っ て き て い る ッ ! !



「うわ!!
うわあああぁぁぁ・・・ッッ!!」



あまりの恐怖に、発狂したように叫ぶリュウ。

それを聞いたラジムも、只事ではないとドアを激しく殴打する。



ドンドンドン・・・ッッ!!



「リュウ様! どうされましたッ!?
リュウ様あああぁぁぁッッ!!」



その間も、黒い影はどんどんとリュウの部屋目掛けて近づいてくる。



「失礼しますぞッ!!」



ラジムはそう言うと、ドアに向かって体当たりを繰り返し始めた。



ドカッ

ドカッ

ドカーーーンッッ!!



激しい音と共に、ラジムがリュウの部屋へと転がり込む。



「リュウ様! 大丈夫ですかッ!?」



リュウの部屋に飛び込んだラジムの目に映ったのは、恐怖に小便を垂らし、床にへたり込むリュウの姿。

そして、涙を流しながら見つめる、その視線の先だった。



「な・・・、あれは・・・まさか!?」



ドゴッ

ガシャーーーーーーンンッッ!!!!



破壊音と共に、黒い影はリュウの部屋へと激突し、侵入してきた。

部屋の中へと飛び散る瓦礫とガラスの破片。



「はッ!!」



ラジムは咄嗟に、恐怖で動けないリュウのもとへと駆け寄った。



「危なーーーいッッ!!」










・・・痛くない。

あれ?

でも、なんで痛い筈なんだっけ?

確か、黒い影が近づいてきて・・・。

そうだ。

部屋に突っ込んで来たんだ。

壁が壊れて・・・。

ガラスが割れて・・・・・・。

でも、痛くない。

なんで?




・・・・・・・・・・。

・・・温かい。

誰かが僕を抱きしめている。

誰だろう。

目・・・開けてみようかな?





あ・・・。

ラジムだ。

いつも僕の為に何でもしてくれるラジム。

優しいラジム。

でも、今日のラジムは少し変だ。

何でそんな苦しそうな顔をしているの?

何で、血を流しているの?

・・・・・・。

・・・・・・血?





「うわあああぁぁぁッッッッ!!!!????」



リュウが現状を理解した時、ラジムはリュウを庇い、致命傷とも思える重症を負っていた。



「なんで!? ラジムッ!
ラジムーーーーーーーッッ!!」



リュウの必死な叫びに、ラジムはピクリと反応する。



「リュウ・・・さ・・・ま。
ご・・・無事で・・・・・・よか・・・った。」



そして二コリと笑うと、ガックリと項垂れ、そのまま気を失った。



「ラジムーーーーーーッッ!!!!」



大粒の涙を流し、ラジムを揺するリュウの背後から、気味の悪い笑い声が響く。



「クックック・・・。
リュウよ、相変わらずの泣き虫だな?
人の心配などしている暇があるのかね?」



ガタガタと震えながら、リュウは振り向く。

そこにいたのは、黒いドラゴンの背に立つヒガシ卿の姿だった。



「ヒガシ・・・叔父様・・・・・・。」



リュウの脅えた表情を見ると、ヒガシ卿は更に歪んだ笑顔を見せる。



「そう、脅えなくてもいいじゃあないか。
すぐにお前も、そこのジジイも・・・。
そしてアズマも、同じ所に連れて行ってやるよ。

・・・【あの世】になッッ!!」



ドラゴンの口がリュウへと向かって、大きく開かれる。



「死ね。」



ヒガシ卿の掛声と共に、ドラゴンの口へ急速に冷気が収束され、黒いブリザードが放たれる。



その瞬間だった。



リュウの目の前に炎の壁が現れ、黒いブリザードを消し去った。



「なに!?」



予想外の出来事に、ヒガシ卿は驚きを隠せない。



「誰だッ!!」



ヒガシ卿が声を荒立てると、ラジムの突入してきたドアの隅から、マーサが現れた。



「ヒガシ卿!
貴方の思い通りには、させませんことよ!!」

「・・・!
お前は、リュートの仲間の小娘かぁッ!!」



リュウへのとどめを邪魔されたヒガシ卿の表情に、怒りが色濃く浮かぶ。



「邪魔をするなあぁッッ!!」



再び、ドラゴンの口から黒いブリザードが放たれる。

同時に、マーサの身体を紅いオーラが包み込む。



「ファイヤー・ウォールッッ!!」



マーサが前方へ手を翳すと、炎の壁が現れた。



ジュウワアアァァァ・・・・・・ッッ



熱したフライパンに水を落としたような音をたて、ブリザードは瞬時に黒い水蒸気へと気化した。



「フン・・・。 なかなかやるな。
流石は、リュートの仲間・・・というところか。
ならば、これならどうかな?」



ヒガシ卿はニヤリと笑うと、両手を胸の前で合わせた。

すると、先ほどよりも強力な冷気がドラゴンに収束されていき、口の中から数本の突起物が出現した。



「より殺傷能力を高めた形状にしてやったぞ・・・。」



突起物の正体は、巨大な氷柱だった。

即座に危険を察知したのか、マーサはゴクリと唾を飲み込む。



「あれは・・・ヤバいですわね。
いや、それよりもヒガシ卿の乗ったドラゴン・・・。
そして彼の発するオーラの色。
【黒】・・・。 ゲタップの時と同じ。
まさか・・・・・・。」



ヒガシ卿の黒いオーラが大きく広がる。



「今度こそ・・・死ね。」



ヒガシ卿が右手を振りかざすと、ドラゴンの口から氷柱の弾丸が一斉に掃射された。



「ファイヤー・ウォーーーールッッ!!」



マーサモ負けじと、先ほどよりも大きな炎の壁を発生させる。



ガガガガガガガガガガガガガガガガガッッ・・・!!



「きゃああああぁぁぁッッ!!!!」



黒い氷柱は、悠々と炎の壁を突き破り、マーサ達へ裂傷を与えた。

多少なりとも炎の壁で防げた為、致命傷とまではいかないものの、かなりの重症を負ってしまう。



「ううう・・・。」



マーサはリュウの前で膝を着く。



「マ・・・、マーサちゃん・・・・・・。」





・・・ドクンッ





傷ついたマーサを見て、リュウの心臓が大きく鼓動する。



「ど、どうして?
マーサちゃんには関係ないじゃないか・・・。
なんで、こんなに傷ついてまで・・・。」



するとマーサはリュウに向かって笑いかけた。

ラジムがそうしたように。



「だって・・・。
リュウ君は、大事な・・・お友達・・・ですもの。」





ドクンッッ





再び、リュウの心臓が大きく鼓動する。



「クックック・・・。
これで邪魔をする者は、もういないな。」



ヒガシ卿はこれまでで一番の歪んだ笑みを浮かべる。

ドラゴンは、その大きな口を開き、リュウへと接近していく。

それに対し、リュウはまるで何かに取り憑かれたかのように宙を見つめ、何かを呟いていた。



「・・・気でも違ったか。
まあいい。 これでとどめだ。」



ドラゴンは、リュウを噛み砕くべく、唾液にまみれた口を更に大きく開いた。










(蒼天乱舞ッッ!!)










突如、蒼い流星群がドラゴンに向かって放たれた。



ドガガガガガガガガガガガガガガガ・・・・・・ッッ!!!!



突然の出来事に、流石のドラゴンも怯み、後退をする。



『リュウ君! マーサッ!!
大丈夫かッッ!?』

(間一髪、間に合ったぜッ!!)



カズヤとドランが息を切らせてリュウの部屋へとなだれ込んできた。



「カズヤ・・・様・・・・・・。」










『テイルズ・オブ・ワールド』〜第4章・壱拾〜 完

コメント(34)

〜作者の独り言〜

39本目。

・・・私、ふか〜く反省しています。

先日、「はじめまして&雑談」トピに初コメを下さったOPPAさんのコメを

スルーしてしまっていました。

本当にごめんなさい。

最近、仕事が忙しくて、少々、放置ぎみでしたが、管理人である以上は言い訳になりません。

また心機一転で頑張りますので、皆さん、お見捨てなきよう、今後とも宜しくお願い致します。
リュウexclamation ×2男になれパンチ
ただ皆に守られているばかりじゃアカンで〜
姫奈龍ママさん

んな事ないですよ。
私がオマヌだっただけなので。
さぁ、これからどう展開していくんですかね?
ドランに聞いたら、

(んなん、知るかボケーッッ!! 俺様が活躍してればいいんだよッッ!!)

と、言われてしまいました。
R嬢さん

リュウがここからどう男として、人間として成長していくのかですね。

私、ちゃんと書いてあげられるんだろか?
姫奈龍ママさん

ドランの野郎、欠伸をしながら、尻をボリボリと掻いてやがります。
リュートは、持病の『お尻が痒くてたまらん病』が再発しました。

残念。
姫奈龍ママは、痒み止め薬を使った!

リュートとドランは、少しつまらなそうにしている!
と言う事は下ネタを期待していたのか…(¬д¬)
ちちち…違いますよあせあせ(飛び散る汗)

これに姫奈龍ママさんが乗ってこないかを試したっぽい感じだったり、なかったり…。

見事、合格ですッッ指でOK
人間が生まれ持った煩悩を、自己抑制できるかの試験です。

主に、お坊さんが受ける由緒正しき、崇高なる試験です。

姫奈龍ママさんには、『ちょーしにのって下ネタに乗っからなかったでShow』を授与します。
姫奈龍ママ様
おめでとうございま〜すぴかぴか(新しい)
うーむ。

広がってゆく『仲間の輪』。

良いですなぁ…。
姫奈龍ママ様
私の『〜様』はクセのようなものなので…すみませんあせあせなんか落ち着くんですよほっとした顔

ヨロシクお願いいたしますわーい(嬉しい顔)
次回、

第4章・拾壱

の更新予定ですが、

来週は、通常の営業に加え、新店オープンの手伝いで休みが取れない為、1週ズレ込んで

10/29(水)

になります。

こんな作品でも読んでくれている皆さん、本当に申し訳ないです。
姫奈龍ママさん

ありがとうございます。
小説を連載しはじめてから1週開けるなんて、今まで無かったものですから、心苦しい限りなのですが…。

明日から3日間の泊まり込みなので、体調に気をつけてつつ、頑張ってきます。
woodyさん

こちらこそすみません、レス返に今気づきました、毎回楽しく読ませて頂いてますexclamation細かいことは気にしないでくださいexclamationうまい!


姫奈龍さん

気にしないで下さいexclamation(笑)自分は気にしてませんので指でOK衝撃
OPPAさん

ありがとうございます。
そう言って頂けると救われます。
これからもご愛顧の程、宜しくお願いしますm(__)m
Cielさん

楽しみと言って頂けて光栄です。
先程、更新しましたよ。

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