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子供も大人も読みたい絵本&物語コミュのテイルズ・オブ・ワールド 〜第3章・弐〜

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「もし・・・」


不意に背後から声を掛けられる。

振り向くと、一人の老人が立っていた。


『・・・? 何か、御用ですか?』


僕が尋ねると、老人は答えた。


「この街の現象について、聞いて回っているというのは・・・アンタ達かね?」


・・・!


『そうです! 何かご存じなんですか?』


「・・・ふむ。 ここではなんだ。 私の家に案内しましょう。 そこでお話しします。」


僕達は老人に案内され、彼の家に向かう事にした。










『・・・・・・。』


「・・・・・・。」


(・・・でけえ。)


僕達が案内されたのは、大きな屋敷。

一言でいえば、【豪邸】というやつだった。

門を潜ると、まずは大きな庭があり、噴水やら彫刻やらが建ち並んでいる。

屋敷は3階建てで、その横幅といったら、走ったら息切れしそうな程だ。

しかし、確かに豪勢な造りではあるのだが、所々に破損や荒らされた印象を受ける。


「どうぞ、こちらへ。」


老人に促され、僕達は屋敷の中へと足を運ぶ。

屋敷の中は、外と同じく豪勢な造りだったが、やはりどこか寂れたような、荒れた雰囲気がある。

僕達は老人に案内された部屋へと入り、テーブルを挟み込んで対面する形で席についた。


「まずは自己紹介を。 私はこの街で長をしております、【シノ】という者です。」


『どうも。 僕はカズヤ、そしてこの子がマーサ。』


マーサはペコリと、お行儀良くお辞儀をする。


『そして、このタヌキがドランです。』


(カズヤ、てめえ! 言うに事かいて、タヌキとは何だ!!)


「・・・なんと! こちらのタヌキ、喋るので?」


やはり喋る動物というのは珍しいようで、シノさんも驚いている。


(やい、ジジイ! タヌキじゃあねえって言ってんだろ! れっきとした、御猫様だッッ!!)


憤慨するドランを余所に、僕達は話を進める。





「見たところ、あなた方は旅をされていらっしゃるようですが? もしかして・・・」


『えぇ。 【祈り姫】の元に向かっています。』


「おぉ、やはり。 では、【想】も嗜んでおられる?」


『えぇ、まあ。 そこそこには。』


それを聞いて、シノさんの表情が変わる。


「大変に不躾で失礼かとは思いますが、あなた方を見込んで、お願いがあります。」


『・・・お願い?』


「はい。 この街の不可思議な現象はもう、ご覧になられましたな?」


『ですから、聞いて回っていたんです。 皆さん日が暮れるまで、寝ていらしたみたいですね。 なんでも【呪い】が原因だとか・・・。』


「・・・! 【呪い】のことまでご存じだとは。 それならば話は早い。 あなた方に、この街の【呪い】を解いて頂きたいのです。」


『詳しく・・・聞かせて頂けますか?』


シノさんは、ゆっくりと語り始めた。










この街も10年前までは、商業の街として栄えていました。

勿論、その頃は【呪い】なんてものは、ありませんでした。

私には、【ロイ】という一人息子がいましてね。

ゆくゆくは、この街をロイに継がせるつもりでいました。

ある日、ロイが恋人だという娘を連れてきました。

私は、その娘を見て驚きました。

そして、大反対しました。

なんとその娘は、この街の商売敵である街の長の娘だったのです。

その街とこのスーリプは、昔から犬猿の仲でして、事あるごとにいがみ合ってきました。

当然、私もその街の長とは相容れない仲でした。

だから私には、ロイとその娘の交際を認める訳にはいかなかったのです。

するとある日、ロイは一通の手紙を残し、忽然と姿を消しました。

【僕は彼女と離れることは出来ません。 二人の世界へと行きます。】

・・・と。

私は躍起になって、息子の行方を捜しました。

しかし、いつまで経っても、どこを探しても見つかりませんでした。

もう、戻ることはないのか?

そう、諦めかけたときでした。

私の目の前に、あの娘が姿を現しました。

私は、娘にロイの居所を聞きました。

しかし、娘はそれに答えることなく、私にこう言いました。


「許さない。 あなたも、母も。 この街も、私の街も。 そんなに街の繁栄が大切ならば、私はあなた達から時間を奪ってあげる。 あなた達は二度と、太陽を目にすることは無い。 このまま、闇の中で朽ち果てるがいいわ。 そして、私の街も・・・。」


そして娘は、幻のようにスッと消えました。

その事があった、次の日からです。

目が覚めると、外が暗い。

次の日も、そのまた次の日も。

どうやら、私を含めた街の人間や動物の全てが、昼間は起きることの出来ない身体になってしまっていました。

華やかに見えるこの街も、実際は経済的に苦しい状況になっています。

夜に交易など出来ませんからね。

しかも、この街の噂を聞いた善からぬ輩が、昼間のうちに街の金品を持ち出したりしていて、更に追い打ちを掛けているのです。










「お願いです。 ロイと娘を探し出して、【呪い】を解いて貰えるよう、説得して頂けませんか?」


『お話の内容は大体、理解しました。 二人の行方に心当たりなどは?』


「おお! ということは、引き受けて下さるのですか! 有難い事です!! ですが・・・」


シノさんは、少し困ったような表情を見せる。


「お恥ずかしい話なのですが、私も男手ひとつで商売をやりながら育てたもので。 思い当たる節が無いのです。」


『・・・そうですか。』


引き受けたとはいえ、このままでは情報があまりにも少な過ぎる。

何でも良いので、情報が少しでも欲しいのだが・・・。


「・・いや、もしかしたら。」


『! 何かあるんですか?』


「ロイと一緒にいた娘の親ならば、何か知っているかもしれませんね。」


『それはさっき、商売敵と言っていた街の長のことですよね? その街はどこですか? 是非、教えて下さい。』


「あ・・・はい。 ここから西に丸一日くらいの所にある【ゲタップ】という街です。」


『【ゲタップ】・・・ですか?』


「ええ。 しかし、あの街も今や、スーリプと同じく衰退していっていると聞きます。 恐らくは【呪い】の所為なのでしょう。」


ゲタップの話をしている時、何故かシノさんの瞳が悲しそうに見えた。

それは、息子のロイさんを想って?

それとも、別の何か?


『・・・わかりました。 この話、お受けします。』


「有難うございます!」


『ですが・・・、その代わりと言ってはなんですが・・・』


「何なりと言って下さい。 このような事を引き受けて頂けるのです。」


僕は、少し厳しい口調でシノさんに言った。


『僕達が戻るまでに、【何故、こんな事が起きてしまったのか】そして、【どうすれば、避けることが出来たのか】を、真剣に考えてみて下さい。 お願いします。』


「・・・!」


シノさんの瞳は、悲しみの色を濃くしていた。

もしかすると、シノさん自身、本当の原因に気付いているのかもしれない。










『テイルズ・オブ・ワールド』〜第3章・弐〜 完

コメント(6)

ふぅこさん

楽しんで頂けてよかったです。

やばいです。

本編がネタ帳に近づいてきました。

ネタ帳ではカズヤ君たちは、ゲタップの長と話している所です。

ゲタップの娘も、あんな感じにしちゃったけど、この後どうしよう。
〜作者の独り言〜

18本目。

コメントにも書きましたが、ここの進行状況が私の携帯のネタ帳に接近してきました。

ヤバいですね。

トピックにある「オカルト探偵・KAMAJI」を、1日1回更新しているので、そっちが優先になってしまっています。

仕事帰りの電車の中で少しずつ、書き足してはいるのですが・・・。

まあ、マイペースが私の信条なので、ゆっくり頑張っていきます。

第3章・参は、また来週にでも・・・。

明日はアルバイトの面接だ。

イィコが来るといいなあ。
次回、第3章・参は

5/26(月)更新予定。
読むのが今更になってしまって申し訳ないですあせあせ(飛び散る汗)

すごい続きが楽しみぴかぴか(新しい)
さて続きに行ってきま〜すウッシッシ
読んで、感想くれるだけで、嬉しいよ。

サンクス。

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