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秘密のバイト大作戦。コミュの【チームちゃちょちんきょ 第1話】

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−どのバイトもいまいちピンとこねぇな。そもそも、わけわかんねぇバイトばっかじゃん−


すでに逃げ出したい感情が渦巻いていたが、ドジョウ(名前を聞くことで変に親密になるのは避けたいから、ドジョウと呼ぶことに決めた)は俺をジッと見据えているため、今更「やーめた♪」なんて言えやしない。


男がスタルってもんだ。


いや、正直、来月からの生活のメドがたたない以上、やるしかないんだ。


−ナメヌマの野郎が、素直に負け金を払わなかったから!!−


理不尽さでいっぱいだ。


頭の中で、さっき聞いたバイト一覧表を広げ、楽に金が入ってくるのはいったいどれなのか思考を巡らす。


最近は家賃どころか、食事さえまともに摂っていない。残り少ない有り金節約のため、毎日アンパンと牛乳だ。


体力は使いたくない。
腹が減る。


ジッとしてるだけで金が入る…のは、聞いた瞬間に大却下したドモホルンリンクルしかねぇ。


「ドモ・・・」


「どうも♪?」


ドジョウ、俺が挨拶でもしたと勘違いしてやがる。この期に及んでそんなこと言うわけないだろうが。


「ドモホルンリンクルの、やってみっかな・・・」


「あぁ、ありがたい。地味なバイトなんで誰もやってくれなくて、困ってました。なんならトマトも買ってきていただきたい」


ニコニコ揉み手をしながら、どさくさに紛れてナニ言ってやがんだ?スルーだ、スルー。


「で、どこに行けばいい?」


「はいはい…」


ドジョウはゴソゴソと机の中から地図とチケットをだしてきた。


「まずは北海道へ行って下さい。新しい工場ができたそうで、そちらに。飛行機チケットはあります。これは特殊なチケットでね、無期限に使えるんですよ。無くさないで下さいよ?今後もコレを使って、日本国内どこにでも行って、この高額バイトができるんですよ?なんなら地トマトを買ってきていただきたい。全国のおいしいトマトを食べるのが、マーイドリーム。マーイドリームはユァードリーム。イッツオーケー?」


はああああ???????
ドジョウドリームだかなんだか知らないが、ほ…北海道???


冗談じゃねぇぜ!!!!!




**************************


エアドー飛行機を降り立った。


「ちっ。結局来ちまったよ。デッカイドーホッカイドー、エアドーに乗ってよぉ…」


あの無期限チケットに関して、搭乗手続きの際、なにも問題がなかった。むしろ「ほぅ。これが!」的な、高貴な物を見るような眼差しと扱いだった。


「ではお返し致します」と、また渡された。カード的な効力を発揮するんだな。


空港をでたところで、ドジョウから「連絡用に」と渡されたソフトボンク社の携帯が鳴った。


「はい」


「無事に着きましたか。では大まかな道のりはお渡しした地図を、詳しい道のりは今からメールしますんで。あっそれからトマ・・」


ブチッ・・・ツーツーツー


うぜー。
どんだけトマトに執着してんだ。
トマトばっか喰って、真っ赤っ赤に変色しちまえばいい。
あのドジョウヒゲ面が赤く染まるのを妄想して、一人ほくそ笑んだ。


とりあえず、地図にあるヌマタ町へ向かう。JRとバスを乗り継ぎ、やがて着いた。


現地までの交通費や食費に…とMuicaカードも渡されていて助かった。


現地の詳しい地図がメールで届いたが、読まずともあのデカイ建物(工場)が見えてきた。


工場に着き、受付嬢にドジョウから渡された変な腕章を見せると「どうぞ、こちらへ」と案内された。


狭い2畳ほどの、前面ガラス張りの部屋だ。テーブルと椅子があるだけ。ガラスの向こうには大きな機械が立ち並び、手前に5〜6人の真っ白で清潔感漂う上下の作業衣、帽子を被った「抽出液をジッと見てるだけ」の人が座っていた。


とりあえず椅子に腰掛け、「抽出液をジッと見てるだけ」の人をジッと見つめる。


眠い…非常に眠い…。


だいたいあの液、何秒に1滴落ちてくるんだ?視力が取り柄の俺でも、さすがに滴(しずく)までは見えやしない。


ジッと見ていると、「抽出液をジッと見てるだけの人」にも僅かな動きがあることに気付いた。


なにやらペンを走らせている。
抽出液が垂れた回数を記しているんだな?


退屈だ。
いくら体力使わないのが魅力だったとはいえ、退屈すぎる。


キュルルルル・・・・・


腹が減った。
エアドーに乗る前の早朝、いつものアンパンと牛乳を口にしただけだった。もう13時を回ってる。


コンコン!


「失礼します。お昼まだでしたら、近所の定食屋さんから出前したジンギスカン定食でもいかがですか?」


さっきこの部屋まで案内してくれた受付嬢がオカモチを片手に、ジンギスカンの芳しい香りを2畳の部屋に充満させた。


「まじッスカ!調度腹が減ったところだったんスよ!」


米だ。
久しぶりの米だ。
しかも肉まで!!
一気にがっついた。
アンパンと牛乳以外の食物を消化していなかった最近の俺の胃は、フル稼動し始めた。


あまりの勢いに受付嬢は目を丸くしていたが、やがてクスクス笑いながら「それにしても、よくバイト引き受けてくださいましたね…」と呟いた。


そうだった。忘れてた。


「つーか俺、このバイトの意味が全くワカラナイんだけど」


受付嬢は時計を見て、そしてガラスの向こう側の「抽出液をジッと見てるだけの人」をジッと見た。


「まだ到着したばかりですものね…うちの工場は3〜4時間でスタッフ交代するんです。ジッと見てるだけ、というのも集中力が必要で。特に変わったところは見えませんでした?」


「いや、なにも…」


「そうですか、ならよかった。もうじきスタッフ交代の時間です。よろしくお願いしますね。あっ何か変化があれば、テーブルの引き出しにあるノートに、時間と様子を記して下さいね」


「はあ・・・」


食べ終わった皿を片付けながら受付嬢は最後にニッコリ笑うと、退室した。


−変化ってなんだよ。「抽出液をジッと見てるだけの人」になんの変化だよ。それをジッと見てるだけの俺の方こそ、頭に変化起きそうだよ−


お尻をずらし、ダラーンと足を広げ、だらしない姿勢で椅子に腰掛けながらガラスの向こうを見る。


ふと視線をずらすと、このガラス部屋はこの部屋含め6室あるようだ。湾曲した造りになっていたため他の部屋も微かに伺うことができ、反対側の端っこの部屋にも俺と同じように座ってる男が見えた。


スタッフ交代の時間だ。
やはり白い上下の作業衣、帽子を被った5人のスタッフが入り、5人のスタッフが出ていく。


「抽出液をジッと見てるだけ」の作業台は6台ある。が、実際は5台しか稼動していない。経費削減か。


やがて抽出液が垂れ始めたのであろう。スタッフが数秒に1度の割合で下を向き、何かを記す。


変化なし。
つまんねぇ…なんかねぇかな…
机の引き出しをあさると地域冊子がでてきた。


「北海創RUN」
ホッカイソーラン?
地域活性化を促す薄い冊子だ。
パラパラめくると、妙なことに気付いた。


ところどころのページカウントが消されていた。それだけじゃなく、あちこち、どうやら数字が特殊インクで消されているようだ。


−暇なバイトの悪戯か。。。−


気を取り直し「抽出液をジッと見てるだけの人」に目を向けた。


−!!!!!!!!!!!−


ジッと座っているはずのスタッフが、5人、ランダムに変な動きをしていた。


かと思えば、なにもなかったかのように、さっきまでと変わらない光景に戻った。


−今のナンダヨ?!−


また数回、抽出液が垂れたのであろう、下を向きペンを走らせている。


「△□*£¢!!!!!!」


微かに叫び声に似た奇声が聞こえたような気がした…と同時にやはりスタッフがランダムにおかしな動きをした。


だらしなく放り出していた足を引っ込め、姿勢を正し、テーブルから身を乗り出すようにガラスに顔を近づけ、なにを叫んでいるのか聞き取ろうとした。


・・・・・・・
・・・・・・・
キュー!!!!
・・・・・・・
・・・・・・・
ジューニ!!!
ジューサン!!
・・・・・・・
ジューゴ!!!


−数字?!カウント数?!なんで???−


俺はあの叫び声と奇異な動きに恐ろしくなり、パニックになりそうだった。


あの数字に規則性を感じなかった以上、いつまたあの恐ろしい光景を目の当たりにするかと思うと、ゆったり椅子に腰掛けてる場合じゃなかった。


さっきの受付嬢の言葉をハッと思い出し、引き出しからノートを取り出し、時計を確認し、見たまま、聞こえたままを記した。


サーンジュイーチ!!!
サーンジュニー!!!!
サーンジュサーン!!!


−勘弁してくれ!なんなんだよ、いったい!!!−


手が震えて思うように字が書けやしねぇ。


その時、ハラリとノートの隙間から《シークレット》と見出しのついた内部文書が床に落ちた。


==============
原因不明の奇病と、その対策について
==============


読み進めるうち、さっきの光景は、どうやら奇病に冒されたスタッフの症状だということがわかった。質の悪いことに、自覚症状が全くないらしい。


「3の付く数字と3の倍数で馬鹿になる」奇病。


−だから俺のようなバイトを雇って監視して、ヨソにばれないようなんらかの処置をしてんのか−


やっと、この退屈で奇異きわまりないバイトの意味がわかった。


更に読み進めると「感染経路」「治療法」も全くの謎。


−感染したスタッフはどこに連れて行かれてんだ??てか…俺は大丈夫なのか??−


一刻も早くこの場から逃げ出したかった。


その時、工場の終業を表すチャイムとアナウンスが流れた。


同時にソフトボンク携帯が鳴った。ヘラヘラ声のドジョウだ。


「本日のバイト、終了です。お疲れさまでしたね〜。明日もこのバイト続けますか?別のバイトしますか?それとも、もうやめちゃいますか…?」


あの光景に慣れれば、こんな楽なバイトはない。食事もでるし。でもあの奇病が俺にも移るかも…いや手遅れか?ドウシヨウ…


「…一晩考えさせてくれ…」


「はいはい。いい返事をお待ちしてますよ。ところでヌマタ町には地トマ・・・」


ブツッ、ツーツーツー・・・


ガラスの向こうに見えた、俺と同じバイトと思われる部屋に目を向けた。


!!!!!!!!!!!!!


ナメヌマじゃねぇか!!!!
なんだよ、アイツもこのバイトやったのかよ!!!!


ふざけんなっ!!
黙ってバイトの報酬を俺に払えばよかったじゃねぇか!!


ナメヌマもこちらに気付き、「よぉっ!」てな感じで右手を挙げ、にこやかに退室する後ろ姿が見えた。


俺はガックリうなだれ、今後どうするか頭を巡らせたまま、とりあえず近くの民宿へ向かった。




2話へ続く…

コメント(19)

この話、
…かなり好きかも。

あんまり誉めると、
チーム黒船から鎖国されかねませんので…オドオド…

えぇ〜っと、
言っときますが、
我等の黒船の作品は、
外国文学作品ですので、
他チームとは違うスケール感があります!
奇病って、あれかーっ!?
うつったらどうすんだろ。日常生活で、時計を見たりカレンダーを見たりして、突然バカになるんだろうか。
ナメヌマは次回、やっぱり殴られるんだろうか?
うわあ、期待してます。
すみませんッッ
アップップしたはいいんですが、作者名書くの忘れてました(;Д:)

我がチーム、先陣を切ったのは、

☆亞子ちゃ☆さんです!!!



他のチームに負けないためにも繋いでいきますぞッッ!
さすがは、チームちゃちょきんきょ、ライバルとはいえ、天晴れ。

もうね、主人公の元気のよさにキュン。

色々、小ネタもこにくたらしってくらいに、かわいい、どうしよう犬
むむっ、やる女だ☆亞子ちゃ☆!

同じドモホルンリンクルでも全く方向が違いますね。

我がミステリアスも負けてないっすよ!
>「3の付く数字と3の倍数で馬鹿になる」奇病。

ジャリズムの渡辺のネタではないですか。

いや、そうじゃなくて、あの人もこの病気にかかってたのか。

おそるべしドモホルンリンクル。



ナメヌマが登場しているのは今のところここだけですね。

どう関わってくるのか楽しみです。

あと、北海創RUNって‥‥

RUNはスポーツ誌だったのに‥‥手広くやってますねえ。

それと無期限チケット僕にもください。
チーム・黒船のOZ!です。
☆亞子ちゃ☆ サーンお疲れ様デシタ〜

ジャリズムのネタは知らなかったのですが、
気付けば3の倍数と3のつく数字を
カウントアップして探している自分がいました(笑

同じバイトしている人が複数いるのは当たり前なのだろうけど面白いな〜
バイト上のライバル関係とかいろいろ広がりそう。

おっとイケマセ〜ン!ついついベリベリおしゃべりさんにナッテしまいマシタ〜
ぬおっ!
かぶった!!

まさか、被るなんてっ!
しかもせっちんさんところと!

ビックリです。

お話の内容にもビックリです。
すげぇ、全然違う・・。
何気に動きがなさそうなドモホルンリンクルで動きを入れてきましたか...
やるなぁ

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