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おれさまの資料庫コミュの人口減、産めぬ現実 「お金かかる」「育児に不安」

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http://www.asahi.com/paper/front.html
2005年12月23日 朝日新聞一面

人口減少社会の未来は?

 明治以降、人口が増え続けてきた日本社会が、大きな転換点を迎えた。厚生労働省の推計で05年に生まれた子どもの数が死亡者数を1万人下回り、政府の推計より1年早く人口の自然減が始まった。子どもが生まれにくくなったのは、将来への不安や経済的な負担などが理由だ。だが、30年前から、日本がいずれ少子化によって人口維持ができなくなることは分かっていた。それなのになぜ効果的な対応が打ち出せなかったのだろう。

 川崎市の会社員、中野広行さん(41)と洋子さん(39)は、一人息子の広海ちゃん(2)を認可外の保育室に預けて働く。公立保育園には2年続けて入所希望を出したが、希望者が多くてかなわなかった。「子供1人だって安心して預けて働けない。2人目なんかとても考えられない」と嘆く。

 「仕事は続けたいし、子供も産みたい。妥協点が1人。少子化は問題だと思うけど、たくさん産める人が産んでね、という感じ」と都内の共働きの公務員の女性(33)。

 合計特殊出生率は04年が1・29で過去最低を更新中。「晩婚・晩産化に加え、結婚したカップルが持つ子どもの数が減っている」と、国立社会保障・人口問題研究所の高橋重郷副所長は分析する。

 同研究所の02年調査では、50歳未満の妻にとって理想の子供数は2・56人だったが、結婚期間が15〜19年の妻が実際に産んだ子の平均は2・23人と格差があった。理由は「子育てや教育にお金がかかりすぎる」「育児の心理的・肉体的負担に耐えられない」など。

 年金などの制度設計の基礎になる同研究所の2050年までの人口推計(中位)が置く前提は、85年生まれの女性の6人に1人は結婚せず、結婚しても産むのは1・72人。3割の女性は一生、子どもを持たない。これでも「甘い」と批判されがちだ。

 お金の問題は大きい。内閣府の試算では、大卒の女性が退職せずに60歳まで勤務した場合、出産によりいったん退職してパートで再就職した場合に比べ、生涯年収が2億円以上多くなる(国民生活白書)。

 ニートやフリーターの増加もある。UFJ総研の試算では、フリーターが正社員になれないことにより経済力が伴わず、婚姻数が最大で年間11・6万組減少する。結果、13万〜26万人の子供が生まれなくなるという。

 少子高齢化が急速に進行すると、社会や経済に様々な影響を及ぼす。人口問題研究所の推計によると、2030年には、ほぼ3人に1人が65歳以上のお年寄りだ。高齢化で、社会保障の給付は増える。厚生労働省の試算では年金・福祉・医療の社会保障給付は04年度の86兆円から25年度は152兆円になる。支え手が減れば、1人あたりの負担はさらに重くなる。

 ゆとりが生まれる部分もある。内閣府がまとめた「日本21世紀ビジョン」では、良質な中古住宅が市場に出回るようになれば、4人家族の借家1戸当たりの平均延べ面積(98年で59平方メートル)を、30年には100平方メートル以上にできるとしている。

 ゆったり通勤も夢ではない。東京大などの研究は、千代田区など都心の8区に通勤するサラリーマンは00年の310万人から、50年には247万人と2割減ると予測している。(山根由起子)

●若い世代への支援探る

 「日本が人口減少社会に入っていくのは実は30年前から分かっていた。残念ながら30年間、我々の社会は有効な手段を準備できなかった」

 22日の閣議後の記者会見で竹中総務相は語った。合計特殊出生率は1970年代半ば以降、人口を維持するのに必要とされる2・1を割り続けている。これが続けば自然減を迎えることは百も承知だった。なぜ有効な手を打てなかったのか。竹中氏は「要因は多岐にわたる。経済、住居、所得の環境、教育のあり方、男女共同参画のあり方の問題」と指摘した。

 35年と半生を縛る多額の住宅ローン、仕事と子育てを両立しにくい社会。年金や医療などの将来不安がのしかかる……。とても安心して子供を産める環境にはない。

 実際の各政党の政策にも手詰まり感がある。

 19日の官邸での政府・与党連絡会議。公明党の冬柴鉄三幹事長は「児童手当の対象者は、(公明党が連立を組んだ)99年は約240万人だったが、今回の制度改正で約1310万人まで増えた」と胸を張った。しかし、その間の合計特殊出生率の低下傾向は変わらなかった。安倍官房長官は22日の記者会見で「この政策をやれば確実に少子化に歯止めがかかるという政策はなかなかない」。総合的な対策の必要性は政治家の共通認識だ。

 今後、特に重点を置くべき方向が見えていないわけではない。猪口少子化担当相は22日の記者会見で「子育てと仕事の両立支援」と「若い子育ての世代への経済支援」の二つを挙げた。雇用や社会保障など広範な社会の下支えを作ったうえで、若い世代をどう支援するか――。

 ただ、所得格差が広がる社会への不安も広がる。野党は「小さな政府」をめざす小泉改革が少子化を助長しかねないと指摘する。民主党の前原代表は22日、党本部で朝日新聞記者に「格差が生じて、子育て世代があっぷあっぷしている。まさに小泉流が、勝ち組と負け組を生み出しているしわ寄せがきているのではないか」と指摘した。(君島浩)

◆人口減前提の抜本見直しを――清家篤・慶応大教授(労働経済)の話

 今の雇用や社会保障など社会の仕組みは人口増を基本に作られている。人口が減るということは、高齢者の人口の比率が高まるということでもある。政策的に人口構造を変えるのは難しい以上、むしろ人口減少を前提にした社会の仕組みを整えるための抜本的な見直しをしないといけない。子どもを持ちたいのに持てない人が持てるようにする少子化対策は、個人のウェルフェア(幸せ)の向上のために大事だ。しかし、今の社会の仕組みを維持するために、子どもを増やそうというのは本末転倒。社会的な負担を負わせるために人口増を求めるのは、今を生きている人の倫理観が問われる。

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