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資料集@医療保健福祉コミュの【福祉−介護】今後の介護人材養成の在り方について(報告書)

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http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000010pzq-att/2r98520000010qse.pdf.
今後の介護人材養成の在り方について(報告書)
〜介護分野の現状に即した介護福祉士の養成の在り方と介護人材の今後のキャリアパス〜

今後の介護人材養成の在り方に関する検討会 平成23年1月20日

目次
? はじめに
? 介護人材を取り巻く状況
? 介護福祉士割合の目安
? 介護人材の養成体系について
 1 基本的考え方
 2 キャリアパスの全体像
 3 介護福祉士に至るまでの養成体系の在り方
 4 介護福祉士資格取得後のキャリアパスの在り方
? おわりに

〜〜〜〜〜〜〜〜

? はじめに
・ 平成21年現在、我が国の高齢化率は22.8%となっている。内閣府が平成22年に実施した「介護保険制度に関する世論調査」の結果によると、「4人に1人が 65 歳以上という超高齢社会の到来に関心がある」と回答した者の割合は88.6%、「自分自身や家族が要介護者になることに対して丌安がある」と回答した者の割合が75%を超えるなど、介護に関する国民の関心は極めて高い。

・ また、世帯構造も大きく変化している。平成 21 年現在の世帯総数は 4,801 万世帯であるが、そのうち、65 歳以上の者がいる世帯が2,013万世帯、全世帯に占める割合が41.9%となっており、その半数以上は単独世帯と夫婦のみの世帯(合計で1,062万世帯)である。

かつては、65歳以上の高齢者のいる世帯のうち、半数近くは三世代世帯が占めていたが、その割合は年々減少傾向にあり、将来的にも、高齢の単独世帯・夫婦のみの世帯が増加するものと見込まれている。

※ 三世代世帯の推移(括弧内は、65歳以上の者のいる世帯に占める割合)昭和61年:438万世帯(44.8%)→平成7年:423万世帯(33.3%)→平成21年:352万世帯(17.5%)

・ 高齢化の進展に伴い、要介護高齢者の増加や介護期間の長期化など介護に対するニーズが増大する一方、核家族化・単身化の進行や家族介護者の高齢化など要介護高齢者を支えてきた家族を巡る状況も変化する中で、平成12年度には、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして介護保険制度が導入されるとともに、その後の制度改正や報酬改定等を通じて、住み慣れた地域で暮らし続けることができるための環境整備が進められてきた。

このような制度面での対応に併せ、近年の介護ニーズの多様化・高度化に対応し、質の高いサービスを安定的に提供していくためには、高齢者や障害者等に対する介護サービスの担い手である「介護人材」の安定的な確保とその資質向上もまた不可欠である。

・ 中でも、介護現場において中核的な役割を果たしている介護福祉士の制度は昭和 63年に創設されたものであるが、その後の認知症高齢者の増加、「措置」から「契約」への変更(介護保険制度や障害者自立支援法の施行)、成年後見・権利擁護への対応など、新しい役割が求められている。このため、介護福祉士の資格取得方法について、その資質向上を図る観点から、平成19年に法律改正が行われ、すべての者について一定の教育プロセスを経た後に国家試験を受験するとの形に、資格取得方法が一元化された。

具体的には、介護福祉士養成施設及び福祉系高校における教育時間が1,800時間まで充実されるとともに、教育内容についても抜本的に見直され、介護の実践の基盤となる教養や倫理的態度を涵養する「人間と社会」、尊厳の保持や自立支援の考え方を踏まえ、生活を支えるために必要な専門的知識・技術を学ぶ「介護」、多職種協働や適切な介護の提供に必要な専門的知識を学ぶ「こころとからだのしくみ」の三領域に再構成された。

併せて、介護福祉士養成施設卒業者に対して国家試験受験が義務付けられ、試験に合格しなければ資格を取得できないこととされた。また、介護福祉士資格を取得しようとする実務経験者に対しても、3年以上の実務経験に加えて、後述の「実務者研修」の受講が義務付けられた。

・ しかしながら、平成19年の法律改正により介護福祉士の資質向上が期待される一方、現在の介護分野においては、地域によっては人手丌足が生じている等の課題があり、介護人材の安定的な確保に向けたきめ細かい配慮も必要となってきている。

・ 本検討会は、平成22年3月に、厚生労働大臣政務官の指示に基づき、社会・援護局及び老健局が共同で庶務を行い、社会・援護局長が招集する検討会として設置されたものである。これまで、延べ9回にわたり、介護人材の資質向上と量的確保が可能な限り両立されるよう、介護分野の現状に即した介護福祉士の養成の在り方について検討を行うとともに、介護人材全体のキャリアパスの構築に資するため、介護人材養成の今後の具体像について議論を重ねてきた。

議論に当たっては、「介護福祉士の資格取得方法の見直しに対する意見」や「介護現場で実施されている各種研修の実施状況」、「個々の現場職員の研修ニーズ」を広く調査するとともに、これから介護福祉士資格の取得を目指す現場職員から本検討会の場でヒアリングを行うなど、現場の実態を可能な限り把握する形での議論に努めてきた。

・ 本報告書は、これまでの議論を踏まえ、介護分野の現状に即した介護福祉士の養成の在り方と介護人材の今後のキャリアパスについて示したものである。


? 介護人材を取り巻く状況(介護職員数の推移)
・ 平成20年現在、介護職員数(介護保険事業に従事する「介護職員」をいう。)は128.0万人であり、介護保険制度が導入された平成12 年と比較して2倍以上となっている。

※ 介護職員数の推移平成12年:54.9万人→平成16年:100.2万人→平成20年:128.0万人

・ 一方で、今後は、昭和22年から24年生まれのいわゆる「団塊の世代」が高齢者となっていくため、介護に対するニーズは一層増加していく。社会保障国民会議が平成 20年に行ったシミュレーション結果によると、この「団塊の世代」が全員75歳以上になる平成37(2025)年には、212〜255万人程度の介護職員が必要になるとされている。(介護福祉士数の推移)

・ 介護保険事業に従事する介護福祉士については、平成20年現在で40.6万人となっており、介護職員128.0万人に占める介護福祉士の割合(以下「介護福祉士割合」という。)は31.7%である。

・ 介護保険事業に従事する介護福祉士の推移をみると、介護保険制度が導入された平成12年と比較して3倍以上となっており、近年では、毎年4〜5万人程度増加している。介護福祉士割合の推移をみると、平成12年から17年までは概ね横ばいであったが、平成18年以降は、毎年2〜3%程度上昇しているところである。

※ 介護保険事業に従事する介護福祉士数の推移(括弧内は、介護福祉士割合)平成12年:13.2万人(24.2%)→平成16年:21.9万人(23.9%)→平成20年:40.6万人(31.7%)

・ なお、介護保険事業以外の分野で働く介護福祉士や、資格を持ちながらも就業していない介護福祉士も相当数存在する。介護保険事業には該当しないが、障害分野等で介護等の業務に従事している介護福祉士が平成20年で7.1万人、介護福祉士の資格を取得しながらも介護等の業務に従事していない潜在的介護福祉士が平成20年で25.2万人存在する。

・ 介護福祉士の資格を取得し、介護福祉士登録簿に登録を受けている介護福祉士登録者数は、平成21年で81.1万人に達しており、現に介護等の業務に従事している介護福祉士数よりも相当程度多い。なお、介護福祉士登録者数の推移をみると、平成12年から17年までは、毎年4〜6万人程度増加していたが、平成18年以降は登録者数が増加しており、毎年の増加数は8〜9万人程度となっている。

(労働市場の状況)
・ 人口減少社会を迎えた我が国においては、各種の雇用施策を講ずることにより、若者・女性・高齢者等の労働市場への参加を促していったとしても、労働力人口の減少は避けられない。平成20年の労働力人口は6,600万人であったが、平成37(2025)年には5,800〜6,300万人程度になるものと推計されている。(平成19年12月の雇用政策研究会「労働力人口の見通し」)

・ また、近年の介護分野の労働市場の動向をみると、平成18年度から20年度にかけて有効求人倍率が急激に上昇したが、平成21年度には、経済情勢の変化により有効求人倍率が大幅に低下した。しかしながら、平成22年度に入り、労働市場全体の有効求人倍率は0.5〜0.6倍前後で推移しているものの、介護分野における有効求人倍率は上昇傾向にある。

※ 介護分野における有効求人倍率の推移平成18年度:1.74倍→平成20年度:2.20倍→平成21年度:1.33倍平成22年4月:1.11倍→同年7月:1.23倍→同年11月:1.53倍・ 加えて、中長期的には、必要となる介護職員は増加していく一方で労働力人口は減少していくことから、人材難の状況が続くと考えられ、引き続き介護人材確保対策に取り組んでいくことが重要である。

コメント(9)

? 介護福祉士割合の目安
・ 本検討会では、介護人材の養成体系を今度どのように整備していくべきかという点だけではなく、介護福祉士割合について、当面、どの程度の水準を目安と考えていくことが適当かという点についても議論を行った。

・ 「? 介護人材を取り巻く状況」の部分にも記載したとおり、平成20年現在の介護職員数は128.0万人、介護保険事業に従事する介護福祉士数は40.6万人、介護福祉士割合は 31.7%となっており、平成 18 年以降は、介護福祉士割合が毎年2〜3%程度上昇している。利用者に対して質の高いサービスを提供していくという観点からは、介護福祉士割合は高ければ高い方が望ましいが、一方で、「団塊の世代」が全員75歳以上になる平成37年には 212〜255 万人程度という多数の介護職員が必要となることも併せて考慮する必要がある。

・ このように、質の高いサービスの提供と、介護人材の確保という二つの目的を両立させていくという観点からは、介護福祉士割合については、当面5割以上を目安とすることが概ね妥当ではないかと考えられる。
? 介護人材の養成体系について
1 基本的考え方
・ 「? 介護人材を取り巻く状況」の部分にも記載したとおり、平成37年には212〜255 万人程度の介護職員が必要になるため、今後は、毎年5〜7万人程度の介護職員を増加させていくことが必要となる。一方で、労働力人口が今後とも減少していく中で介護人材を安定的に確保していくためには、介護現場を魅力ある職場としていくことが課題であり、このためには、介護の世界で生涯働き続けることができるという展望を持てるようなキャリアパスを整備していくことが重要である。

・ 我が国の年齢別人口をみると、若年層は減少傾向にあり、今後も出生率の大幅な上昇は見込めない状況であり、このような中で、介護人材を安定的に確保していくためには、介護福祉士養成施設卒業者等を中心とした若年層だけではなく、介護福祉士等の資格を取得しながら介護等の業務に従事していない潜在有資格者の復職支援を進めるとともに、子育てが一段落した主婦層、他産業から介護職への転職を目指す人々、社会貢献に関心のある定年退職者などにも焦点を当てる必要がある。

このように、多様な経歴の人々が介護の仕事へ参入できるようにするためには、介護職の間口は広くしておく一方で、段階的な技能形成とキャリアアップを可能にすることにより、量の確保と資質の向上が両立できるような養成体系を整備していくことが必要である。

・ 介護人材の養成体系の今後の在り方については後述のとおりであるが、事業者が職員の研修受講を積極的に支援するとともに、現場職員が積極的なスキルアップに努めることが、質の高いサービスの提供につなげるためには不可欠である。また、研修内容についても、現場のニーズや介護技術・理論の深化等を継続的にフォローした内容となっていなければ、研修受講の意欲が高まらない。研修を担当する講師についても、質の高い教育を提供できるよう、不断の努力をすべきである。

介護福祉士養成施設(2年以上の養成課程)では、平成21年度から実践を重視した新カリキュラムによる教育が行われているが、ここでの教育上の成果やノウハウを教育関係者が介護人材の養成体系全体に展開していくことが必要である。介護人材の養成体系の整備と併せて、人材養成に関わるすべての関係者のたゆまぬ努力を期待する。

・ 併せて、本人のキャリア形成に応じた適切な評価がなされるよう、介護報酬面での担保をしていくことも必要である。例えば、平成21年度の介護報酬改定においては、介護の専門性等に対する評価及びキャリアアップを推進する観点から、介護福祉士等が一定程度雇用されている事業所に対する加算措置が設けられたが、このような評価を更に進めていくことについて、今後、所管の審議会において検討が進められることを要請する。
2 キャリアパスの全体像
・ 介護人材のキャリアパスを検討していく上では、入職時点、一定の実務経験を経た後など、それぞれの段階ごとに求められる役割や能力を明確にした上で、その能力の修得を目指した資格・研修体系を構築していく必要がある。

・ 介護分野には、現在、訪問介護員(ホームヘルパー)養成研修(1級と2級)、介護職員基礎研修、介護福祉士など、様々な研修・資格が存在している。また、ホームヘルパーは主として訪問介護等の在宅サービスを念頭に置いた研修、介護職員基礎研修と介護福祉士は在宅・施設を問わず介護職として必要な知識・技術の修得を図る研修・資格であるが、それぞれの研修・資格が十分に連動した関係とはなっていない。さらに、介護福祉士資格取得後のキャリアパスについては、現在のところ、十分な仕組みがない。

・ そこで、介護人材のキャリアパスを簡素でわかりやすいものとするとともに、介護の世界で生涯働き続けることができるという展望を持てるようにするため、今後は、以下のように整備していくことを基本とする。ただし、例えば、「介護職への入職段階(初任者研修修了段階)」から直接「介護福祉士資格取得段階」に至るのではなく、知識・技術の修得や現場での能力評価等により、段階的にステップアップしていくことが考えられる。

? 介護職への入職段階 〜 初任者研修修了段階
・ この段階で求められるのは、在宅・施設を問わず、職場の上司の指示等を受けながら基本的な介護業務を実践する能力であり、介護現場で働く上で必要となる基本的な知識・技術を、後述の「初任者研修」を通じて修得することが必要である。

? 一定の実務経験後(実務3年以上)/介護福祉士養成施設卒業 〜 介護福祉士資格取得段階
・ この段階で求められるのは、利用者の状態像に応じた系統的・計画的な介護や医療職との連携等を行うための幅広い領域の知識・技術を修得し、的確な介護を実践する能力であり、介護福祉士資格の取得者に期待される能力である。

? 介護福祉士資格取得後更に一定の実務経験後 〜 認定介護福祉士段階・ この段階で求められるのは、養成課程で修得した知識・技術を、実務経験を通じて確固たるものとした上で、それを十全に活用し、多様な生活障害を持つ利用者に質の高い介護を実践するとともに、介護チームの中で、介護技術の指導や職種間連携のキーパーソンとなり、チームケアの質を改善していく能力であり、後述の「認定介護福祉士(仮称)」のスキームを通じて修得することが望まれる。
■今後の介護人材キャリアパスのイメージ

認定介護福祉士(仮称):
○実務経験を経て養成課程で修得した知識・技術等を十全に活用し、多様な生活障害をもつ利用者に質の高い介護を実践
○介護チームにおいて、介護技術の指導や職種間連携のキーパーソンとなり、チームケアの質を改善
    ↑
介護福祉士:
○利用者の状態像に応じた系統的・計画的な介護や他職種との連携等を行うための幅広い領域の知識・技術を修得し、的確な介護を実践
    ↑       ↑  
(養成施設ルート)<実務者研修>
            ↑ 
初任者研修修了者(ホームヘルパー2級研修相当):
○在宅・施設で働く上で必要となる基本的な知識・技術を修得し、指示を受けながら、介護業務を実践


3 介護福祉士に至るまでの養成体系の在り方
(1)ホームヘルパー研修、介護職員基礎研修、実務者研修(仮称)(6ヶ月研修)の関係

(ホームヘルパー研修)
・ 現在のホームヘルパー2級相当の研修を「初任者研修(仮称)」と位置付けるとともに、研修内容について、現在の在宅中心の内容から、在宅・施設を問わず介護職として働いていく上で基本となる知識・技術を修得できるようなものとなるよう、今後改めていくことが適当である。その際、在宅サービスに必要な知識・技術の水準が確保されるよう配慮する必要がある。

・ なお、ホームヘルパー1級研修については、平成24年度に介護職員基礎研修と一本化される予定である。

(介護職員基礎研修)
・ 今後、介護福祉士資格を取得しようとする実務経験者が介護福祉士国家試験を受験する際に実務者研修の受講が義務付けられることにより、ホームヘルパー2級と介護福祉士との間に、「介護職員基礎研修」と「実務者研修」の二つの研修体系が存在することになる。しかしながら、介護職員基礎研修と実務者研修の関係が必ずしも十分に整理されておらず、同様の研修が併存することにより、養成体系が複雑化する嫌いがある。

・ そこで、介護人材の養成体系を簡素でわかりやすいものとする観点から、実務者研修の施行に合わせて、介護職員基礎研修を実務者研修に一本化することが適当である。ただし、その際には、既に介護職員基礎研修を修了している人々に対する十分な配慮が必要である。これにより、ホームヘルパー1級と介護職員基礎研修の両方が、実務者研修に一本化されることになる。
(2)実務者研修(6ヶ月研修)の見直し

(平成19年の法律改正の趣旨)
・ 「? はじめに」の部分にも記載したとおり、認知症高齢者の増加、「措置」から「契約」への変更(介護保険制度や障害者自立支援法の施行)、成年後見・権利擁護への対応など、介護福祉士に新しい役割が求められている中で、実務経験だけでは十分に修得できない知識・技術を身に付けることが必要であり、平成19年の法律改正により、介護福祉士国家試験を受験する実務経験者に対して、実務者研修(6ヶ月研修)の受講が義務付けられた。

・ この実務者研修は、「幅広い利用者に対して、基本的な介護を提供できる能力を修得する」という、介護福祉士養成施設(2年以上の養成課程)における教育上の到達目標と同等の水準に到達することを目指しているものであり、また、この研修を通じて、今後の制度改正あるいは高齢化の進展の中での新たな課題や技術・知見を自ら把握できる能力を獲得することが期待されているものである。

(研修時間数)
・ 一方、介護分野における人材丌足問題が顕在化する中で、本検討会で各種調査(介護福祉士の資格取得方法の見直しに関する意見等)や現場職員からのヒアリングを実施したが、これらによると、継続的な自己啓発の必要性は感じているものの、実務者研修の目的・内容等についての理解が十分に浸透していない状況であり、「研修時間が長すぎる」などといった負担感を感じている現場職員が少なくない。このような現状を踏まえると、介護福祉士の資格取得を目指す現場職員の意欲を減退させないような配慮が必要である。

また、社会福祉制度や医学的な知識などは実務経験だけでは十分に修得できないが、利用者や家族とのコミュニケーションや信頼関係の構築などは、実務経験を通じて身に付けるものもあるとの意見もある。

・ これらの点を踏まえ、「幅広い利用者に対して、基本的な介護を提供できる能力を修得する」ために必要な研修内容は確保するという考え方は維持しつつ、実務経験を通じて修得できる知識・技術を改めて検討・整理し、平成19年の法律改正当時は600時間と想定していた実務者研修(6ヶ月研修)の時間数については、450時間として施行することが適当である。(受講しやすい環境の整備)・ 実務者研修は、実務経験者を対象とした研修であることから、その施行に際しては、現場で働きながらでも研修を受講しやすい環境を整備していくべきである。

・ 実務者研修は、法律上は「学校又は養成施設において、6月以上知識・技術を修得」と規定されているものの、これは必ずしも「6か月間連続して学ぶ場所に通うこと」を意味するものではない。数年間かけて少しずつ研修を修了すればよく、また、働きながらでも無理なく勉強することができるよう、教育水準を担保する措置を講じつつ、通信教育を積極的に活用することを想定している。同様に、インターネットやテレビ放送を利用した教育も考えられる。

・ また、現場で働きながらでも研修を受講できるようにするためには、身近な地域で受講できる環境を整備していく必要がある。とりわけ、都市部以外の事業所で勤務する現場職員にとっては、スクーリング(通学)のためだけに都市部に出てくるというのでは大きな負担となる。そのため、介護福祉士養成施設はもとより、社会福祉協議会や事業者団体など、多様な主体による実務者研修の実施を促すとともに、通信課程におけるスクーリングを地域の団体等に委託できるような仕組みとすることも検討すべきである。ただし、教育水準の低下を招かないよう、一定の要件を満たした場合に限りスクーリングを委託できるようにする必要がある。
・ さらに、現場職員の継続的なスキルアップを促していく観点から、過去に受講した研修を評価する仕組みを入れ込むことも有益である。例えば、ホームヘルパー2級の修了者については、実務者研修の研修内容からホームヘルパー2級の研修で得られる分を免除するなど、研修の読替を可能とすることが適当である。

読替可能とする研修は、介護保険制度や認知症ケア等といった実務者研修の中で教育する内容に限定し、当該研修内容に相当する実務者研修の部分を読み替えて免除することが適当である。その際、科目単位での読替も可能となるよう、実務者研修の研修内容を検討していくべきである。また、社会人としての基本を教える研修や接遇等に関する研修等は対象外とすべきである。

・ 読替可能となる研修の具体的な判断基準については、厚生労働省が統一的な基準を具体的に示すべきである。その際、地域の社会福祉協議会や事業者団体、人材育成に熱心に取り組む事業者等で行っている研修についても、研修内容が読み替えできるレベルに達しているものについては読替が可能になるようにすべきである。このような取組を通じて、地域における研修活動が広がり、現場職員にとっても、身近な地域での研修受講が更に容易になることを期待したい。

・ 実務者研修の受講に当たっては、一定の費用負担が必要となる。そのため、実務者研修の受講費用を教育訓練給付の対象とする、あるいは、現在介護福祉士養成施設の入学者等に対して実施している修学資金貸付の仕組みと同様に、受講費用の一部を貸与し、一定の要件を満たした場合には、返還免除とするなど、受講費用の支援策を講じていくことが必要である。なお、本検討会としては、実務者研修の実施主体に対して、可能な限り低廉な費用での研修実施を強く求めたい。

・ 介護福祉士の資格取得を目指す現場職員が実務者研修を受講しやすい環境を整備していく上では、雇用主である事業者の理解・支援を得ることも重要である。そのため、研修期間中の人員確保に事業者が苦慮することのないような配慮が必要であり、代替職員確保のための支援策などを講じていくことも必要である。

・ 併せて、これらの内容について、現場職員や事業者等に対する積極的な情報発信に努めていくことが必要である。

・ 各種調査やヒアリング結果からも明らかになったが、多くの現場職員は、利用者に対してより良いサービスを提供できるよう、自己研鑽の機会を求めている。このような現場職員の意欲を汲み取り、希望と意欲を持って働き続けられるようにするためにも、「1 基本的考え方」の部分にも記載したとおり、現場職員が研修を受講しやすい環境を整備していくことが事業者の使命であると言って良い。

(施行時期の見直し)
・ 介護福祉士を取り巻く環境が急速に変化している中では、実務経験者に係る介護福祉士国家試験の受験要件としての実務者研修の修了義務化の施行時期についても、再検討が必要である。

即ち、介護福祉士によるたんの吸引等についての検討が行われており、その実施に向けて教育内容を検討していく必要があること、介護福祉士に至るまでの養成体系の在り方を抜本的に見直し、その具体化を図っていく必要があること、実務者研修の受講に当たり十分な研修支援策を講じる必要があること、実務者研修についての十分な広報をし、現場の理解を得る必要があること等を総合的に勘案すると、施行に際し一定の準備期間を要する。

・ そのため、実務経験者に係る介護福祉士国家試験の受験要件としての実務者研修の修了義務化の施行時期を3年間延期し、平成27年度とすることが適当である(平成28年1月実施予定の試験から適用)。なお、実務経験者が働きながらでも無理なく研修を受講し、国家試験を受験できるよう、実務者研修自体はできるだけ速やかに実施されることが望ましい。

・ また、介護福祉士国家試験に係る実技試験の取扱いについては、平成18年12月に社会保障審議会福祉部会でとりまとめられた意見(介護福祉士制度及び社会福祉士制度の在り方に関する意見)の中で、実務者研修を経る場合の実務経験ルートについては実技試験を免除すべきとされているが、実務者研修の修了義務化の施行延期に併せて、実務経験ルートに係る実技試験の免除についても、平成28年1月実施予定の試験から適用することが適当である。
(3)介護福祉士養成施設卒業者に対する国家試験の義務付け
・ 平成 19 年の法律改正は、一定の教育課程を経た後に国家試験を受験する形に資格取得方法を統一化するという趣旨で行われたものであり、その結果、介護福祉士資格を取得しようとする実務経験者に対しては、国家試験受験前の実務者研修の修了が義務付けられるとともに、介護福祉士養成施設卒業者に対しても、国家試験受験が義務付けられ、試験に合格しなければ資格を取得できないこととされたものである。

・ また、介護福祉士によるたんの吸引等の実施に際しては、介護福祉士の養成カリキュラムにたんの吸引等の内容を追加する必要がある。そのため、今後、介護福祉士養成施設における教育内容や試験内容について検討を進めていく必要があり、さらに、その検討結果を踏まえて、各養成施設においてもたんの吸引等の追加に伴う教員の確保や体制整備が必要となるが、そのためには一定の猶予期間が必要である。

・ このような点を勘案すると、実務者研修の施行時期を平成27年度に延期することに併せて、介護福祉士養成施設卒業者に対する国家試験の義務付けについても、平成27年度まで延期することが適当である(平成28年1月実施予定の試験から適用)。

・ 「? はじめに」の部分にも記載したとおり、平成19年の法律改正においては、介護福祉士養成施設卒業者に対する国家試験の義務付けに加えて、養成課程における教育時間が1,800時間まで充実されるとともに、教育内容についても抜本的に見直された。介護福祉士養成施設(2年以上の養成課程)では、平成21年度から実践を重視した新カリキュラムによる教育が行われているが、教育関係者の努力もあり、概ね円滑に実施されているものと評価できる。今後とも、質の高い介護福祉士の養成に向けて、教育関係者のより一層の尽力を期待したい。
4 介護福祉士資格取得後のキャリアパスの在り方

(認定介護福祉士(仮称)の構築)
・ 「2 キャリアパスの全体像」の部分にも記載したとおり、介護福祉士資格取得後のキャリアパスについては、現在のところ十分な仕組みがないため、資格取得後の展望を持てるようにするためにも、その後のステップアップの仕組みをつくっていくことが必要である。

・ この点については、本検討会での議論の中で、医師や看護師の専門資格(専門医、専門看護師等)のように、特定の分野の専門性を追求していく形を志向していくべきか、あるいは、知識・技術の幅広さに着目したものとすべきか、様々な観点から意見が出された。

・ その結果、まずは、介護福祉士資格取得後一定の実務経験を経て、幅広い知識・技術を身に付け、質の高い介護を行い、他の現場職員を指導できるレベルに達した介護福祉士を職能団体が主役となって認定する仕組み(認定介護福祉士(仮称))を設けていくことが適当であるとの結論に至った。なお、その上で、認定介護福祉士の運用状況や、介護・福祉分野における研究成果等を踏まえて、特定分野により深化した専門的知識・技術を持つ介護福祉士の養成等の在り方を然るべき時期に検討していくことも考えられる。

・ 「幅広い知識・技術を活かした質の高いサービス提供能力」や「指導力」を評価するという趣旨に鑑み、認定介護福祉士の研修課程では、基本的にはすべての介護福祉士に同一の研修内容を提供していくべきであるが、当該介護福祉士が勤務する事業所の対象者(高齢者・障害者など)やサービス種別(施設・在宅など)に応じて研修内容を追加していくことも考えられ、この点については、今後、更に議論を深めていく必要がある。

(検討主体)
・ 認定介護福祉士の具体化に向けた検討は、介護福祉士の職能団体が主役となって行うことが望まれる。その際、検討段階から関係団体や学識経験者の参画を求めるとともに、現場の介護福祉士や事業者等の意見も十分に聞くことで、制度が現場で機能する仕組みにすることが必要である。

なお、具体化に向けては、職能団体加入者だけではなく、すべての介護福祉士を対象とすることを前提とした検討をしていくべきことは当然である。現場への周知に当たっても、職能団体に加入していない介護福祉士や、これから介護福祉士の資格を取得しようとしている現場職員に広く周知し、認定介護福祉士の認知度を高める不断の努力をしていくべきである。

(今後の検討の視点)
・ 資格取得後のキャリアアップを目指す介護福祉士が一人でも多く認定介護福祉士になろうという意欲を引き出すとともに、認定介護福祉士が国民の理解を得られるものとするためには、認定介護福祉士が「できること」を明確化する必要がある。例えば、利用者のQOL(生活の質)を向上させる質の高いサービスを提供できる、医療職との連携を進めていく上でのキーパーソンとなる、指導力を発揮してチームケアの質を改善していくことができるなど、認定介護福祉士が「できること」を国民にわかりやすい形で明確に示していくことが必要である。

・ このように、認定介護福祉士が「できること」が明確になることで、処遇面でも一段高い評価をされるような仕組みを構築していくことが可能になる。また、認定介護福祉士の認知度を高めるとともに、その役割や位置付けを明確化するためにも、福祉人材確保指針などに明記することも考えられる。

・ なお、認定介護福祉士が現場で真に求められる存在であるためには、介護福祉士を取り巻く状況や最新の研究の動向、介護技術の進展等を継続的にフォローし続けた研修内容である必要がある。この点については「1 基本的考え方」の部分にも記載したところであるが、改めて付言しておきたい。

・ 同様の趣旨により、一旦認定介護福祉士になったとしても、その後の制度改正や介護技術・理論の深化を継続的にフォローし続けているかどうかを確認していくため、「認定」を更新制とすることも十分考えられる。
? おわりに
・ 本検討会では、限られた時間の中ではあったが、幅広い論点について闊達な議論を行い、今後の介護人材の養成体系等についての基本的な方向性を示したところである。ただし、介護を取り巻く環境が急速に変化している中では、介護人材の養成の在り方についても不断の検証や見直しが必要であることから、これらの点については、引き続き当検討会としても注視していきたい。

・ 今後、更なる少子高齢社会を迎えていく上で、介護人材の量的確保と資質向上の両立を図るという困難な課題を達成していかなければならない。厚生労働省においては、本報告書の内容の具体化に向けて速やかに取り組むべきであり、関係団体や教育関係者、学識経験者等においても、介護職場を魅力と働きがいのあるものとすべく、それぞれの役割を十二分に果たしていくことを期待するものである。

・ 併せて、介護人材の養成体系の全体像や、継続的な研修の必要性・目的、研修を受講しやすい環境を整備するための様々な取組について、厚生労働省はもとより、関係団体や学識経験者等が一体となって、現場職員や事業者にわかりやすい言葉で伝え、国民に支持されるものとしていくべきである。


今後の介護人材養成の在り方に関する検討会開催経過
第1回 平成22年3月29日
○ 介護人材の現状等について○ 平成19年「社会福祉士及び介護福祉士法」の一部改正について○ 今後の介護人材養成の基本的な方向性に関する論点について

第2回 平成22年4月26日
○ 今後の介護人材養成の基本的な方向性に関する論点について○ 研修等実施状況調査(案)の内容について

第3回 平成22年6月28日
○ 研修等実施状況調査の結果について○ 今後の介護人材養成の基本的な方向性に関する論点について

第4回 平成22年7月29日
○ 現任介護職員が介護福祉士受験資格を取得するための養成の在り方に関する意見の要点と今後の検討の方向性について(中間まとめ案)

中間まとめ 平成22年8月13日
○ 今後の介護人材養成の在り方に関する検討会中間まとめ

第5回 平成22年10月12日
○ 介護福祉士によるたんの吸引等について○ 今後の介護人材養成体系について○ より高い知識・技術をもつ介護福祉士の養成について

第6回 平成22年10月29日
○ より高い知識・技術をもつ介護福祉士の養成について○ 介護福祉士に至るまでのキャリアパスの在り方について

第7回 平成22年11月29日
○ 介護福祉士に至るまでのキャリアパスの在り方について○ より高い知識・技術をもつ介護福祉士の養成について

第8回 平成22年12月22日
○ 「今後の介護人材養成の在り方について」(骨子案)について第9回 平成23年1月20日○ 「今後の介護人材養成の在り方について」(報告書案)について

(以下略)

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