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多発性硬化症(MS)コミュの大森コメントへの感想 from Xさん ― その後の 「インターフェロンベータ1bは日本人の再発寛解型MS患者において有効である:ランダム化された多施設研究」論

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もう一人別の研究者から「大森」さんへの感想をいただきました。ありがたいことです。実名と所属を私に示されていますが、伏せてご紹介します。幾分、「大森さん」の見解に批判的です。

芦田様

奥様の件は大変にお気の毒なことと拝察致します。
本日アップされました「大森さん」なる方のコメント、および先ほど追加されました「Pさん」のコメントを拝見し、またNeurology 2005の論文を読みました上での私見を下記に記します。

まず、私自身は基礎研究者であり、神経内科の臨床的な経験はありません。

論文についてのコメントは、あくまで、生命科学系一般的な立場でのものとお考え下さい。

まず要旨の以下の部分についてですが
Subgroup analyses suggested that the magnitude and direction of treatment effect in patients with OS-MS and C-MS was similar, albeit not significant due to small sample size.

ここの部分で「similar」なのは「OS-MSグループにおける治療効果の傾向」と「C-MSグループにおける治療効果の傾向」です。

ただし、どちらもサンプルサイズが小さい(≒患者数が少ない)ので、治療効果の有意性を示すほどではなかった、という内容に私には読めます。

大森さんのコメントにある「サンプル数が少ないために統計学的有意ではなかったものの、サブグループ解析ではOSMS とCMS における本治療効果の程度や方向性が“異なる”ことが示唆された」という読み方も「OSMS とCMSとでは、治療効果がちがっていた。この違いが統計学的に有意かどうかを調べるために検定したが、残念ながら有意差はなかった。これはサンプルサイズが小さいためと考えることが出来る」という読み方にも無理があります。


【疑問点1】について
まずFig.1に示されるように、スタートの治験患者数が208人で、安全性について解析できた方が192名、それらを2つのサブグループに分けて効果を解析し、最後まで追跡できた人数が50μG 投与群93名、250μG 投与群95名
という例数(サンプルサイズ)です。

【疑問点1】についての「大森さん」の主張は概ね納得ができます。

どのような統計にせよ、p=0.047という値は、250μG 投与群の方が50μG 投与群に比して年間再発率を押さえる効果に関して有意差があるが、あるといってもその程度のものだ、という理解をすべきです。

なお、検定方法の問題については、生物統計の専門家ではないので、
今回の解析手法の妥当性については意見できません。

ただし、その他の点について、再発期間の中間値に関して、250μG 投与群で7.11日、50μG 投与群で16.43日となっていて、p=0.030で有意差があることが示されています。

再発しなかった方は250μG 投与群が44.2%、50μG 投与群で34.4%で前者が多いですが、これは有意差が付いていません。(この部分は【疑問点3】に含まれますが)


【疑問点2】について
サブグループ解析とは、例えば250μG 投与群の中でのOS-MS例が18例 (19.4%)、50μG 投与群の中でのOS-MS例が22 (23.2%)例あり、それらについて解析を行ったものになります。これらの残りがC-MS例です。

さすがに、このくらいの例数(サンプルサイズ)になると、動物実験と異なり、遺伝的背景も経験もばらばらな被検者のデータで、有意差が付くような統計結果が得られることは希ですが、それは分かった上で、せっかく患者さんのご協力のもとに得られた貴重なデータなので、サブグループに分けた解析も行ってみた、ということだと思われます。

で、上述のように250μG 投与群の方が再発率に対する有効性が高かったのですが、その効果は、C-MS例(0.746)とOS-MS例(0.608)では同様の傾向。ただし、例数が少ないので有意差は付きません。

したがって、「要旨には「OSMS とCMS における本治療効果の程度や方向性が同等であることが示唆された」なんて書いてありますが、そんな比較検討なんてはじめからしていないのです。」という大森さんの主張は間違っています。


【疑問点3】について
すでに上記で触れたように、単純な再発しなかった方の数や割合については、250μG 投与群の方が多いですが、有意差は付きません。その他の点についても、250μG 投与の方が良い効果がありますが、それは高い効果とは言えません。


【疑問点4】について
最初の集団からの脱落する例数については、さまざまな理由がありえます。

芦田さんの奥様のように重篤な副作用により投与を中断したいと望んだ方があれば、最後までの検証を行うことはできません。

ドクターホッピングをする患者さんなどもあるでしょう。脱落例について、その理由をすべて追及することは、患者さんのプライバシーの問題もありますから、ほぼ不可能であり、論文に記載しなければいけない事項とは思えません。

逆に言うと、多くの治験研究や疫学調査においては、最後まで検証できるサンプルを集めるのは並大抵のことではありません。治験や調査に関わる医師や研究者と患者さんの信頼関係も重要でしょう。

まとめますと、「大森さん」という方の論文の読み方には、「この論文はアヤシイ」という結論ありきの傾向が感じられます。

この2005年の論文の意義については、その後に掲載されたPさんのコメントにある「Editorialのコメント」が非常に役立つと思われます。

However, neurologists who care for patients with optic-spinal MS/NMO should be reluctant to accept these results as definitive proof of efficacy in this subgroup.

の部分ですが、「しかしながら、OSMS/NMOの患者を抱える神経内科医が、得られた結果をこのサブグループ(OSMS)における確実な証拠とは受容しかねるのも無理はない。」というPさんの訳と微妙なニュアンスの違いですが、私ならshould be reluctantのところを次のように訳します。

「しかしながら、OSMS/NMOの患者を抱える神経内科医は、本研究により得られた結果をこのサブグループ(OSMS)における確実な証拠として受け入れるには無理があるだろう(そうすべきではない)」

つまり、一応「慎重に扱うべき」という意見です。

私は、この論文が日本におけるMSのインターフェロン治療に関してどのように影響したのかについては不案内ですが、論文をどのように読むか、その価値や意義はどうなのかについて、私なりの解釈を申し上げた次第です。

末筆ながら、芦田様の精力的な発信には敬服致します。

また、奥様のご病状が少しでも快方に向かわれるような治療法が開発されることを願っております。

コメント(1)

「should be reluctant」なのだから、結局はこの論文結果の「証拠」の受け入れは、「無理があるだろう(そうすべきではない)」ということです。「大森さん」の指摘に、わずかではあれ、批判的な「X」さんでさえ、そういう結論。

一体、この「論文」はなんなのか。この論文以降、一切論文は発表されていないのだから、「ベタが効く」のには証拠がある、という病院、医師、MSキャビンを取り巻く研究者たちは、一体何をもって「効く」と言っているのか。教えて欲しい。

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