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シオミック・ワールドコミュのサブ・ウエイ 2

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みつばちの羽音
ミライ「ねえ、君たちはどうしてそんなに意地悪な顔してるの?
きみはとっても悲しそう・・・・こんなに綺麗な所に住んでいて、何がそんなに辛いの?」
トキオ「何、人形に話しかけてるのさ」
ミライ「だってこの子達、みんな怒っていたり、泣いているみたいに見えるの」
トキオ「きみはこの人形たちが嫌いなの?」
ミライ「・・・笑ったり、やすらいだり・・・幸せな顔している子の方が好き・・・」
トキオ「ふーん・・・」
ミライ「トキオ、本当はやさしいのに、なぜこんなに悲しい作品を作るの?
トキオ「やさしい?この僕が?」
ミライ「トキオはやさしいよ・・・」
トキオ「はははは・・・・・・やさしい?この僕が?やさしい?何いってんだよ・・・わかってるみたいに・・・」
ミライ「トキオ・・・本当はさびしいのに・・・(独り言)」トキオの笑い声
ミライ「うそつき!本当は寂しいくせに・・・本当はひとりでいるのが怖いくせに・・・うそつき
トキオはごまかしているだけじゃない・・・」
ミライ「うるさい!だまれよ!きみに何がわかるっていうのさ・・・」
トキオの笑い声が遠ざかる・・・・

女性ナレ「日が暮れても少年は作業場には戻ってこなかった・・・夕闇がすっぽりと森を包み込み、星が零れ落ちそうに輝き始めていた・・・・」

鳥の鳴く声(ふくろう)
火を起こす音
女性ナレ「私は待ちくたびれて 気がつくと炎の前でうとうと眠ってしまっていた。」
男性ナレ「焚き火の炎が風にゆれ・・・
焚き火の周りに108体の人形が囲み、その影が伸びたり、縮んだり怪しくうごめく。」

(うそつき!本当は寂しいくせに・・・本当はひとりでいるのが怖いくせに・・・うそつき
トキオはごまかしているだけじゃない・・・
うるさい!だまれよ!きみに何がわかるっていうのさ・・・)
突然、ガラスが割れる音
男性ナレ「炎が大きく揺れて、きな臭い煙が立ち昇った」
ミライ「トキオ・・・・?」
トキオ「ちくしょ〜何がわかるんだ・・・」
ガラスが割れる音
ミライ「トキオ?やめてよ。トキオやめて・・・・・・やめてよ。やめてってばー・・・」
陶器が割れる音
トキオ「もう、裏切られるのはごめんだ・・。きみに何がわかるっていうのさ、どっかにいっちまえよ。
めざわりだよ。知ったふりで きみに僕の何がわかるっていうのさ・・・」
ミライ「やめて・・・・・・やめてよ。やめてー・・・」
陶器が割れる音
男性ナレ「人の心の中には108の煩悩、迷いやねたみやさまざま感情が渦巻いていて彼はその負の感情をこの焼き物にこめてきた・・・・・」
女性ナレ「トキオはひとりでこの森の中で寝泊りをしているのだと言う・・・もう何年もひとりで暮らしてきて、ここの山の土を集め、それを捏ね上げて土を焼いて作品を作るのが彼の生活なのだと・・・・」

男性ナレ「人の心の中には108の煩悩、迷いやねたみやさまざま感情が渦巻いていて彼はその負の感情をこの焼き物にこめてきた・・・・・」

うそつき!本当は寂しいくせに・・・本当はひとりでいるのが怖いくせに・・・うそつき
トキオはごまかしているだけじゃない・・・
うるさい!だまれよ!きみに何がわかるっていうのさ・・・

少年は突然人形を壊しはじめた。
やめてよ。トキオやめて・・・・・・

ちくしょ〜何がわかるんだ・・・
やめてよ。やめてってばー・・・
陶器が割れる音
。きみに何がわかるっていうのさ、どっかにいっちまえよ。
めざわりだよ。知ったふりで きみに僕の何がわかるっていうのさ・・・

泣きながら 気がつくと眠っていて、目が覚めたとき そばには少年の姿は無かった・・・・
何かとても嫌な予感がして・・・私はトキオの後を追った・・・・・
冷たい風に吹かれる草原の中 少年は東の空を背に立っていた・・・
地平線がほのかに明るくなりかけ、空はラベンダー色に染まり始めていた。
少女「ねえ、トキオどこにいくの?」
少年「ついてくるなよ・・・・きみには関係ないよ・・・・」
少女「トキオ………..」
少年「なんだよ、泣くことないだろ・・・・ごめんね。・・・・そうだきみにこれを あげるよ」
少女「オカリナ?でも、これトキオが大切にしていたものでしょ?」
少年「いいんだ。きみが持ってなよ・・・・」

「え?あ、これオカリナ・・・・土を焼いて作った陶器の一種、
これは 私が一番大切な人からもらった物なの・・・自分で作った、たったひとつだけの作品なんだって・・・」

男性ナレ「地平線に光が放ち始めたとき少年はうつむきながらひとり先を歩き始めた。」
少女「待ってよ・・・トキオ・・・(呟くように)」

男性ナレ「少年は草原の中にぽっかりと開いた地下への階段を折り始めてた。ミライはあわててその後を追いかけた。」
少女「トキオ?」
地下鉄の音、構内のアナウンス
少女「駄目!トキオ、そっちにいっちゃダメ・・・・・・・・・・・・・・・」
女性ナレ「頭の中に何かがよぎっていくのが感じられた・・・ 一度少年は振り返り 静かに微笑みかけた」
列車の轟音
少女「(悲鳴のように)トキオー・・・・・・」
にぶいブレーキ音

幻想的な音 
子供の声のつぶやき「逃げてきたんだ・・・逃げてきたんだ・・・」
「逃げてきたんだ・・・・逃げてきたんだ・・・・・・・・」 声しだいに大きくなる
女性ナレ「東の空から真っ赤な大きな月が昇った。赤く燃え立つようなにび色の月。
薄暗い暗闇の中から青白い子供たちの顔が浮かび上がった。うつろに宙をみつめる
無数の子供たちの影・・・」
老婆「かわいそうに・・・かわいそうにね・・・・」(独り言)
「逃げてきたんだ・・・・逃げてきたんだ・・・・・・・・」
老婆「かわいそうに・・・どんなに逃げたって逃げ切れるもんじゃない・・・・」(つぶやき)
「逃げてきたんだ・・・・逃げてきたんだ・・・・・・・・」「逃げてきたんだ・・・・逃げてきたんだ・・・・・・・・」
女性ナレ「やがて月は、東の空を昇り始め、ほのかにがれきの大地を照らした。」
老婆「あんたも そっちへ行きなさるのかねぇ・・・・」(はっきりとした声で)
男性ナレ「暗闇の中に枯れ枝のような老婆がうずくまっていた。」
少女「・・・・・・・・・」
老婆「・・・止めたりはしないがね・・・わしにはあの子らがふびんでね・・どんなに・逃げても、逃げても逃げ切れるもんじゃないのさ・・・・」
少女「・・・・・・・・」
老婆「おや?泣いているのかね・・・・ほーら、わしのそばにお寄り、こっちへおいで・・・」
少女「・・・・・・・」
老婆「おおぉ・・・すっかり冷え切って・・・心のなかまですっかり凍えているようだね・・・・かわいそうに」
少女「なんだか苦しいの・・・大切な何かが抜けてしまって・・・・・のどがつっかえて、きちんと息が出来ないの・・・」
老婆「それは大変だね・・   そう・・だったら、わしが あんたにおまじないをかけてやろう。いいかいよくお聞き・・・・振り返ってはいけない まっすぐ前だけを見つめて歩いておゆき、どこへ行くのかは自分で決めるのだよ・・・心配せんでもいい、ちゃんとそのふたつの眼(まなこ)で見極めて、その足でしっかり大地を踏みしめて歩いていくのさ・・・・さあ、早く!」
男性ナレ「老婆のふたつの目は赤く燃え立つように輝き・・・・・{女性ナレ}それはいつしか赤いシグナルへと形を変えた・・・・・」地下鉄の音、車内の会話、世間話や政治の話ざわめき・・・・・
女性ナレ「地下鉄の電車の窓ガラスに 私の顔が映っている。暗闇の中、うつむき加減に・・・」
男性ナレ「窓に映る少女の顔はときおりひずみ・・・・・・・」
女性ナレ「私は・・・何か大切なものを・・・どこかに置き忘れてしまったような気がする・・・・・・・・

すれ違う電車に彼女の顔が映った。そのまま彼女の想いを乗せ・・・・後ろに消えていくかのように・・・電車は闇に遠ざかって消えた・・・」
車内アナウンス「間もなくこの電車は・・・駅に到着いたします」
駅に到着し、ドアが開く音、子供声「お祭りだ・・・」
地下鉄のアナウンサーの声しだいに遠くに
コツコツと革靴の音・・・・・
キラキラ光る音 風の音 ヒバリの鳴き声
神輿の声。お囃子や祭りの風景。花火があがる。
ざわめきが しだいに遠ざかり砂利を歩く足音 小鳥の鳴き声
男性ナレ「少女は人ごみをさけるように、神社の境内の奥へ歩き始めた」
ミライ「私は・・・何かをどこかに置き忘れてしまったような気が・・・・・・・・」


ノバトの鳴き声 砂利を歩く音
ミライ「おいで、大丈夫だから・・・・いい子ね・・・おいで・・」
クークーと鳩の鳴き声
ガラスが壊れる音、鳥の羽ばたく羽音
男性ナレ「少女が手を差し伸べた瞬間、少女の首からオカリナが滑り落ちた。驚いたようにノバトは空高く飛び去っていった。羽を大きく広げ透明な空気の中へ・・・・・」
ミライ「待って・・・・おねがい、いかないでよ。私をひとりおいていかないでよ・・・・・・・・・・」
ノバトは大きく羽を広げ、手の届かない遥か彼方へ
女性ナレ「・・本当に欲しいものは、いつも遠くにあって手に入れようとすると先へ先へと逃げていくもの・・・・)」
ミライ「おいていかないで・・・・」
本当に欲しいものは、いつも遠くにあって手に入れようとすると先へ先へと逃げていくもの・・・・)」
ミライ「嫌・・・いやだ・・・・
・・・生きて、生きて・・・みつけるの・・・ 
生きて・・・生きて・・・・・・手に入れるの・・・・この腕の中へ・・・お願い・・・・・・」

静かに川の流れる音。遠く輸送トラックの地響き
男性ナレ「ひとりの少女が静かに川の流れをみつめていた。ずいぶんと長いこと 彼女はそうやって流れを見続けていた。」
時計台の鐘の音が響く。(象徴のように大きく)
カラスの鳴き声 ライター(ジッポ)の音(近くで)
ナレ「夕陽は西の空へ傾きはじめ、まわりの建物を赤く輝かせていく・・・・タバコの煙がラベンダー色の空に静かに吸い込まれていった。」
宗次郎のオカリナの音楽(冬のオリオンから)
ナレ「少女はゆっくりと顔をあげると、輝きながら沈む太陽に向かって歩き始めた。
そうまっすぐ歩き続けるがいい・・・・・キミの未来はきっとその先に続いているのだから・・・・」
                           −完―

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