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Project Learning Tree-環境教育コミュのPLT メールニュース 2008/07/19

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ESDファシリテーターズ・カレッジ 〜with ERIC 〜 2008/07/19
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よりよい指導者育成プログラムとはどのようなものでしょうか。
環境教育指導者育成マニュアルは、指導者養成そのものを参加型で行うためのプログラムを考えた構成になっています。
また、オーストラリア、グリフィス大学環境教育センターのジョン・フィエン氏がまとめたTSWというのがあります。
「Teaching for a Sustainable World 持続可能な世界のために教える」。
これは参加型で指導者たちに教える大学院レベルのプログラムです。
PLTのアクティビティ・ガイド、TSW、環境教育指導者育成マニュアルそれぞれの構造を比較し、よりよい指導者育成プログラムのあり方を考えます。

1. TSW テーマ別モジュール+共通するスキルなどのトレーニング
「TSW Teaching for a Sustainable World 持続可能な世界のために教える」は環境教育に関連する様々なテーマを網羅的に扱っているカリキュラムです。
加えて、「概観」「教育の手引き」「個人の行動」などのクロス・カリキュラムな共通の課題が扱われています。
TSWが開発されたのは、持続可能な社会のための教育ESDが始まる前です。「環境、開発、平和、人権教育の4つの教育は一つの教育である」。
1980年代に並立していた「開発教育」「環境教育」など、それぞれの教育に共通するスキルと目的があることを示した画期的なカリキュラムでした。
それぞれ、別々のカリキュラムだと、学校教育および教員を対象に「守備範囲」と「勢力図」を伸ばしたいと競い合っていた時代です。
共通の課題は、指導者たちが、協力して「人類共通の課題に取り組むための教育」を学校教育で実現していくことだと示したのです。
[『環境教育指導社育成マニュアル』p.19、『いっしょに考えて! 人権』p.48]
特に、参加型学習という方法論は、これらの教育に共通の方法論でした。

持続可能な世界のための教育Teaching for a Sustainable World
TSW「カリキュラム・モジュール」
1.  持続可能な世界を概観する
2. 環境教育の手引き
3. 開発教育の手引き
4. 環境教育と開発教育のつながりを探る
5. 生態系的に持続可能な開発に向けた教育
6. 未来の選択肢を紹介する
7. 持続可能な未来を大切に
8. 文化と宗教: 持続可能な生活のために重要な課業
9.  環境倫理を探る
10. 新しい科学-新たな世界観
11. 健康 環境 地域開発
12. 村落共同体における環境および衛生教育
13. 持続可能な開発に向けた地域の行動
14. 地域に根差した環境教育
15. 初等教育における河川学習
16. 持続可能性のための消費
17. 女性 環境 開発
18. 人口-食料議論
19. 持続可能な農業と農村開発
20. 旅行者あるいは観光客: 発展途上国における観光業
21. 希望それとも絶望?都市計画外の都市居住区における持続可能な生活
22. 廃棄物管理: 未来の問題解決の練習問題
23. 代替技術
24. 難民と開発
25. 環境教育 開発教育の教材分析
26. 個人の力と惑星の生き残り

2. 環境教育指導者育成マニュアルの構造

1989年に海外の先進的な参加型教材を翻訳・出版・紹介する活動を始めたERICが、独自の教材開発を行ったのが『環境教育指導者育成マニュアル』1999年。
主な著者である角田尚子は、国際的な環境保護団体・グリーンピースで海洋生態系についてのキャンペーンを担当していました。
そこでの経験から、「クロマグロの悲劇」などのアクティビティを創りだしていました。
また、ERICも公園での環境教育のテキストや人権教育についてのテキストをいずれも参加型手法で開発した実績がありました。
それらが「指導者育成」に特化した参加型プログラムの開発につながったのです。
TSWのように「テーマ別」にするのではなく、「共通の課題について考える」ワークショップ的なアプローチで構成しました。
テーマ別のカリキュラムは、TSWに限らず、読本としてもたくさんあると思われたからです。
(実際には参加型学習でアプローチしているものは少なかったし、その後も開発されていないのが現状ですが)

環境教育指導者育成マニュアル目次

第1部 環境教育を推進する指導者育成のために
第1章 環境教育の使命
第2章 環境教育の目標・内容・方法
第3章 なぜ参加なのか
第4章 環境教育推進の課題
第2部 参加型で伝える環境教育指導社育成のために
第5章 参加型アクティビティとは何か
第6章 プログラムとストーリー
第7章 環境教育の総合的なカリキュラム
第8章 ファシリテーターを育成する
第3部 環境教育の実践を広げる指導者育成のプログラム
第9章 フィールドを生かした環境教育
第10章 フィールドを作る
第4部 コミュニティの課題に応える指導者育成のために
第11章 コミュニティの課題を知る
第12章 参加の効果を高めるプロセス・ファシリテーター

すべての章について参加型でその内容を共有するための「研修プログラム」が一つのワークショップ・プログラムの事例として紹介されています。
第10-11-12章は違う構成になっていますが。
参加型というのは、自分たちの経験を出し合うところから始まります。そのために「這い回る経験主義」と批判されることがありました。
この時、わたしたちが確信していたのは、「這い回る経験主義」を超える知恵がアクティビティにはあるということでした。
つまり、ワークショップ的に自分たちの中から出していくこと、それらを「先行知見」などによって「点検」することの双方向性です。
そのことによって、「構成主義的」成長が加速されるということでした。
先行知見の丸呑みでは、現実への応用につながりません。
自分たちの経験から考えるだけでは「這い回る経験主義」に陥って、何の成長もない結果につながってしまいかねません。
まず、自分たちの中にあるものに気づく、そのことがエンパワメントにつながり、そして「点検の視点」が成長というエンパワメントにつながるのです。
その時に大切なことが「全体言語」的アプローチです。
なぜならば、行動変容につながる学びは、感情が動き、からだが納得するものでなければ、行動化につながらないからです。

「環境教育で大切なことは何か」「環境教育がとるべき教育方法は何か」など、すでにトビリシ宣言などに明示されているものがあります。
それらは専門家、有識者らが生み出したものです。
その同じテーマについて、まずは自分たちにそのことを問うことから始めます。
自分たちの中から出て来たものを、先行知見とつき合わせてみます。足りなかったところもあるでしょうし、より豊かな部分もあることでしょう。
それが、わたしたちの社会が成長し、同時に個人も成長する「双方向性」なのです。

「健康さ」というのは内面・外面・深層の統合にあること。

特に可塑性が高い成長期にあっては、内なるものと外への現れをつなぎとめ、関連づけていく作業が、人格の成長につながります。
それなしでは、安易に枠にはめるだけの強制になってしまったり、知識と行動が乖離したり、しっかりとした価値観が育たなくなったりするのです。

複雑な社会になっているからこそ、わたしたち一人ひとりの諸側面のていねいな統合が、健康な成熟、成長には不可欠だと言えるでしょう。
「生き物」としての、そして「文化人」としての、「社会人」としての、「生活人」としての。
そして、そのような健康な個人が健康な社会に主体的に参加し、社会の成長に貢献できるのではないでしょうか。

3. PLTの教授法
PLTの教授法には、4つのポイントがあります。
1. 構成主義理論と経験学習
2. 全体言語主義と多様な学習モード
3. 協同学習とわたし、あなた、みんなのエンパワーメント
4. 問題解決学習とコミュニティの課題解決

それに加えて、もう一つ、ERICのファシリテーター・ハンドブックで取り上げているのが、5つめです。
5. 概念・理念を教育的ツールに
これは構成主義とも関わることなのです。
「理念を教育ツールに」というESDの教育理念を共有していきたいからです。
そのために、リビングバリューやESDの諸概念などを、「それであなたは何を学んだかな?」という問いに対する点検の視点としています。
PLTのカリキュラムそのものが五つの概念についての10から20程度のアクティビティによって構成されています。
多様性−−−−−生息地・社会・技術・文化の幅広い広がりを明らかにする。
相互依存性−−−影響し合い、相互依存するものとしての生態学的・技術的・社会文化的なシステムを強調する。
システム−−−−環境的・技術的・社会的なシステムが、どのように相互に関連しているかを教える。
構造とスケール−技術・社会制度・自然と人間の構成要素が、どのように環境の変化をつくり出しているかを明らかにする。
変化のパターン−構造とシステムが時を超えてどのように変化するかを示す。

実は、PLTのカリキュラムそのものが「理念を教育ツールに」しているのです。
そのことの意義をPLTは構成主義、自分自身の中にストーリーを生み出すことと説明しています。
1989年に、ERICがいちばん最初に翻訳した『ワールドスタディーズ』は10の概念を教えています。
概念は「世界を読み解く枠組み」として大切なもの、でした。
理念や概念という抽象的な事柄が、わたしたちを結びつけてくれます。
「より高次なアソシエーションによってのみ、わたしたちはアイデンティティの違いという対立を超えることができる」からです。
グローバルシチズンシップの根拠となるのは、わたしたちが地球に育まれてきたいのちの流れを組む存在であるということ。
いのちは「石」のような無機物に支えられているということ。そして、わたしたち人間を育むのは、ことばであり、「教え」であるということ。

深きもの、良きものとしての概念・理念のことばを、わたしのものとする機会が、参加型学習の場であることが大切なのです。

4.指導者育成に取り入れたいこと

指導者育成に取り入れたいことが、指導者育成の構造を決定していきます。
あなたは次のどれを、あなたの研修に取り入れていますか?
そしてそれはなぜですか?

□ 気づきのためのアクティビティと経験学習の進め方
□ 築きのための分析的手法と深め方
□ コミュニケーションの技法
□ 実践後の評価の方法
□ 指導者として能動的に活動の場をつくりだす力・応用力
□ 学びを最大化する仲間づくり
□ 気づきから行動への意欲づけの手だて
□ 活動の中に「遊び」を取り入れる
□ ビデオ学習などの多様な学習スタイルについて理解する
□ 野外学習・ローカルウォーク・地域調査などの実践活動
□ 対象についての理解
□ 研修の時間配分や構造・組み立て

ことばで説明できなくても、ことばで説明できること以上のことが、実践できている人もいます。
ことばで説明できても、からだでできていない人もいます。

からだでできていることが、ことばで説明できるようになること。ことばで説明された「より深きもの・より善きもの」がからだでできるようになるようになること。

心が求めるものをからだでできていくように磨き合う研修という場の共有を、広げていきたいですね。

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