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NY Times 読んで語ろうコミュの君の消費ファクターはいかほどか?

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中国の年間自動車販売が1000万台になる、というニュースが流れておりましたが、中国人の大半が今のアメリカ人並みにクルマを所有・運転し始めたら、それに要するガソリンなどはものすごい量になるでしょうね。果たして、それだけのエネルギー資源が地球上にあるか?

こんなことを考えていたら、この問題をグローバルな視野から、数字を駆使して、専門的に論じた記事がニューヨークタイムズ紙に載りました。ピュリッツアー賞を受けた「銃・病原菌・鉄」や「文明崩壊」を書いたジャレド・ダイアモンドの手になる記事です。↓

http://www.nytimes.com/2008/01/02/opinion/02diamond.html?_r=1&oref=slogin

できるだけ多くの諸賢に読んでもらいたい内容であるという思いと、閑居する小人の無償行為が多少の社会貢献になればという思いから、以下に日本語訳をスピーチ口調で試みました。目を通していただければ幸いです。
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What’s Your Consumption Factor?

君の消費ファクターはいかほどか?

数学者にとって、32という数字は興味のある数字です。2の5乗、つまり、2x2x2x2X2=32であるからです。エコノミストにとって、32はもっと興味ある数字です。32は、先進諸国と後発諸国の間での生活水準の格差を表す数字だからです。北アメリカ、西欧、日本、オーストラリアで人々が石油、金属などの資源を消費し、プラスチックや地球温暖化ガスを排出する平均的な度合は、後進国の人々の32倍だからです。この32という数字は重大な結果を意味する数字なのです。

この重大な結果が何であるかを知るために、世界人口の問題を考えてみましょう。現在、世界人口は、65億人ほどです。本世紀半ばまでに、90億に増える可能性があります。数10年前のことですが、多くの人たちが地球人口の増加を人類が直面する主な問題であると考えました。といっても、世界人口の増加そのものが問題ではなくて、それだけの数の人々が生産・消費することが問題なのです。

世界の65億の人々が氷漬になり、新陳代謝も消費も行っていないなら、問題はありません。問題は、消費の世界総量です。つまり、各国の人口に一人当たりの消費量を掛けた数字です。

先進諸国の総人口は10億人ほどですが、その一人当たりの相対的な消費ファクターは32です。一方、その他の諸国の人々のそれは、32を遥か下回り、大抵は1に近い数字です。

人口、特に後進諸国の人口は、増加しています。この人口の絶対増そのものを問題視する人が今でもいます。ケニヤなどの国の人口が急増しており、それが大問題である、というのです。もちろん、ケニヤの人口増加は同国の3千万人にとっては問題ですが、世界的規模の重荷になることはありません。それは、ケニヤの人々の消費度が小さいからです(一人当たりの相対消費度は1です)。世界にとっての問題は、人口3億のアメリカ人の一人当たりの消費度がケニヤ人32人分もある、ということなのです。ケニヤの10倍の人口のアメリカは、ケニヤの320倍もの資源を消費しているのです。

後発諸国(第三世界)の人々は、32という数字を使ってはおりませんが、一人当たりの消費のこの大きな格差に気づいております。先進国とのこの格差をなくする見込みがないことに気づいたとき、彼らは不満を抱き、怒りも感じることが少なくありません。そして、何人かはテロリストとなるか、テロリストを支持するようになります。これまでアメリカを護ってきた海は、もはや、その効果がないことが、9.11以来、明らかになりました。今後、32という消費ファクター格差が続く限り、アメリカやヨーロッパ、それに、多分、日本やオーストラリヤへのテロは増えるでしょう。

消費が少ない人々は高消費のライフスタイルを自分もしてみたいと望みます。後発諸国の政府は国民の生活水準の向上をその国の政策の眼目にします。また、後発諸国の何千万人もが、先進世界の生活水準を自ら追い求めるということが起こります。移民、特にアメリカ、西ヨーロッパ、日本、オーストラリアへの移民という手段で、です。高消費の国へのこうした人の移動は世界の消費度を増やします。移民したほとんどが、その地で消費度をまるまる32倍にできなくても、です。

一人当たりの消費を増やすことを狙っている後発国の中では、中国が目立ちます。同国の経済成長速度は、今、世界一です。人口は13億人、アメリカの4倍。 世界は今すでに資源の枯渇に向かっています。それは、中国がアメリカ並みの消費度を達成すれば、もっと早まります。すでに、中国は石油や金属などの資源確保を世界市場でアメリカと競り合うまでなっております。

中国の一人当たりの消費度はまだアメリカの11分の1以下です。ところがです、それがアメリカの水準まで上がるとしましょう。分かりやすくするため、世界消費を変えるようなことは他に何事も起こらない、とします。つまり、中国以外の国の消費は増えない、また、各国の人口(中国も含めて)は増えない、移民はない、と想定しましょう。その場合でも、中国がアメリカの消費水準に追いつくことだけで、世界消費は倍増します。たとえば、石油の消費は106%増え、 世界の金属消費は94%増えます。

中国の他にインドまでもがアメリカの水準に追いつけば、世界の消費度は3倍になります。後発諸国のすべてがアメリカに追いつくようなことが起これば、世界の消費は11倍になります。これは、世界人口が720億人に膨れ上がったのと同じです(現在の消費度のままで換算した数字です)。

90億の世界人口を養うことはできるとする人はおりますが、720億人もの人口を養うことができるとする気違いじみた人は一人もいないでしょう。なのに、正しい政策(たとえば、公正な政府と自由市場経済を樹立すること)を採用すれば、後発国も先進国並みのライフスタイルを達成できると、われわれは、後進諸国に約束することが少なくありません。これは達成不可能な約束であり、まやかしです。先進国の10億の人々の生活を護ることにさえも難しい現状ではないですか。

われわれアメリカ人は中国の消費が伸びることを問題視することがあります。でも、中国人にしてみれば、アメリカ人がすでに達成した消費レベに追いつこうとしているにすぎません。彼らに向かって、止めろ、と言っても無駄です。

中国やその他の国々が甘受する問題解決法は、ただ一つ、世界全体の生活水準の平準化を進めることです。しかし、中国の消費だけでもアメリカの水準にまで高めるに足る資源は世界にありません。ましてや、その他の諸国の生活水準となると、問題外です。となると、われわれは破滅に向かっているのだろうか?

そうではありません。先進国を含めすべて国が今の先進国の高消費水準よりかなり低い消費水準に収斂するようになれば、持続可能な事態になるでしょう。他国の人々のために自分らの生活水準を犠牲にする手はない、と言って、アメリカ人は反対するかもしれない。だが、アメリカ人がその気になろうとなるまいと、早晩、アメリカの消費水準は下がらねばならない。今の消費水準は持続不可能だからです。

でも、生活水準を実際に犠牲にすることが必要になるとは限りません。というのも、生活水準は消費水準に必ずしも比例するものではないからです。アメリカ人の消費の大部分は無駄な消費だからです。クオリティー・オブ・ライフを高めることになるような消費は少ないのです。たとえば、西ヨーロッパの一人当たりの石油消費はアメリカのほぼ半分です。それでも、西ヨーロッパの生活水準は、平均寿命・健康・幼児死亡率・医療・引退後の生活資金・休暇・公立学校での教育水準・芸術振興などもろもろの尺度から見て、アメリカのそれよりも高いのです。自分たちがやっている石油の浪費はこうした生活水準尺度に貢献しているかを、われわれアメリカ人は自らに問うてみるべきです。

他にも無駄な消費の例はあります。世界の漁業の大半は持続不可能な形で行われています。操業休止にすでに追い込まれたところが出てきており、漁獲の低下に悩むところも少なくありません。地球環境と水産資源の保全と両立する形で操業する方法があることを知っていながらです。漁業をすべて持続可能な形で操業にすれば、これまでに劣らぬ漁獲を今後いつまでも維持できるのです。

森林についても同じことが言えます。われわれは、すでに、持続可能な伐採ができる術を知っています。それを全世界に広げれば、世界の製材・製紙に必要な量の木材を確保できるのです。ところが、実際には、持続可能な操業が行われている森林は少なく、操業効率も下がってきています。

今の消費水準がわれわれの世代の間に下がることは確かですが、後発諸国の多くでの一人当たりの消費水準が(低くなった)われわれのそれにより近づく日が来ることも確かでしょう。それは、望ましい展開です。恐ろしい見通しではありません。実のところ、こうした展開を助長する術をわれわれはすでに知っております。欠けているのは政治的行動力だけです。

幸いに、昨年、励みになる兆しがありました。オーストラリアの選挙で、多数の投票者が歴代の政府が採ってきた現実逃避の行政を変えることを選んだことです。新政府は地球温暖化ガス排出を削減する京都宣言を支持したのです。

これも昨年のことですが、アメリカで気候変動に関する懸念が大いに高まったことです。中国でさえも、環境政策に関する議論が活発になっています。人々の反対により、厦門の中心に大きな化学工場を建設する計画が停止になりました。こうした展開からして、私は用心はしつつも今後を楽観視しています。消費は世界にとって深刻な問題ですが、解決する意志がわれわれにあれば、解決できる問題なのです。

Jared Diamond, a professor of geography at the University of California, Los Angeles, is the author of “Collapse” and “Guns, Germs and Steel.”

コメント(4)

piranhaさん、記事とても参考になりました。32の理論もなるほどと感心させられてしまいますが、720億人程にまで消費量が上り詰めた状況を考えるとゾッとしますね。でも危機はすぐそこまできているという意識は持つべきなのでしょう。

先日NYの友人宅に数週間居候させてもらってきたところですが、”ごみ出し”の大雑把さには相変わらずびっくりさせられました。ペットボトルも生ごみもごちゃまぜです。今の東京のアパート周辺では物凄い細かさで分別を要求され、要求に外れるものは”お小言”が書かれたシールが貼られて置き去りにされます。まだ罰金制度にまでは至っていませんが、エコ対策すら一般に浸透しきれていない先進国アメリカ、これを中国やインドに要求するのは無理がある気もしなくはありませんが、我々は自分達が出来る範囲で地球環境を意識していかなければいけないのでしょうね。
>1 Katy 212 さんのお考えに賛同です。

ジャレド・ダイアモンドのこの記事では、数字の使い方がこのように
非常に上手ですね。読む人に、さりげなく強いインパクトと説得力を与えます。

「銃・病原菌・鉄」の邦訳の出版には私も注目して、早速注文したのですが、
途中で挫折していたので、この記事を契機に再度、読み直してみたいと思います。

ここに出していただいた piranha さんの訳は、とても分かりやすく、おそらく
piranha さんご自身のこの問題に対する理解が、その素晴らしい日本語訳を可能にしたの
だと思われますが、ありがとうございました。
お読みいただき、おほめの言葉までいただき、光栄です。

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