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静大人経アジア経済論ゼミコミュのアラビンド 大川編

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CASE6 アラビンド・アイ・ホスピタル

1. インドにおける失明の現状
 世界には視力を失った人々が4500万人、インドだけで900万人いる。そしてそのほとんどが本来回避できるものであった。失明の三大要因に、白内障、糖尿病性網膜症、屈折異常が挙げられる。これらは早期に病院で治療、矯正することによって未然に回避できる。しかし、貧困層の人々は、費用の問題などでそれができない状況に置かれていた。こうした状況を改善するために設立されたのが、アラビンド・アイ・ホスピタル(以下AEH)である。
回避できるはずの失明を一掃するという使命のもと、ドクターV(G・ベンカタスミー医師)により1976年にAEHは開設された。その個人診療所が大きく成長し、今日のアラビンド・アイ・ケア・システムとなった。

2、アラビンド・アイ・ケア・システムとは
アラビンド・アイ・ケア・システムとは、単なる病院チェーンではない。製造センター、研究施設、アイ・バンク、ケア・センター、眼科大学院などから構成される総合的な眼科治療施設である。そして、そのアラビンド・アイ・ケア・システムを構成する施設やプログラムが起こすイノベーションには次のようなものがある。

?貧困者が治療を受ける機会を増やすためのイノベーション
アラビンド・アイ・ケア・システムの中心であり、年間19万例の手術を行う世界トップクラスの眼科治療施設であるAEHでは、患者の6割は無償で、残りの4割の富裕層からは50ドル〜330ドルという価格で手術を行っている。その診療費収入がかなりあるため、貧困者に対し無償サービスを行なえるばかりか、発展・成長するための剰余金も生み出している。また、無料の患者と有料の患者の外来部門における業務プロセスは基本的に同じであり、無料の患者も有料の患者と同じレベルの医療を受けることができる。

?低コストを実現するためのイノベーション
アウロラブは、適切な価格でレンズを現地生産することを目指し、AEHとは別組織の非営利団体として1991年に創設された。眼内レンズにおいては、ハードタイプなら5ドル以下で生産できるというシステムを開発し、年間約70万枚のレンズを生産している。生産されたレンズの33%は世界中に輸出されており、国内向けの67%に関しては、20〜25%がAEHで使用され、それ以外が市場で販売されている。このことにより、以前より問題になっていた手術費用が改善され、また、世界中の眼内レンズの価格の引き下げに貢献している。

?早期発見のためのイノベーション
アイ・キャンプや眼科検診などの地域貢献プログラムでは、糖尿病性網膜症についての理解を地域社会に広め、糖尿病の検診をし、糖尿病と診断されたすべての人に、網膜の異常を発見するための検査を行なったり、教師に視力を測る方法と、斜視やビタミン欠乏症の兆候を捉えて検診する方法を訓練することによって、学童の眼の異常を検診で発見し早期に矯正させるような活動がなされている。

3. Win-Win関係
 ○AEHのWin
・スピードは緩やかであったが大きな成長を遂げた
   開設当時、診療所のベッドは11床だったが、今日、世界有数の眼科治療機関にまで成長した。スピードが緩やかであったということの理由としては、患者の大多数を無料で治療し、診療費収入だけで運営しているため、効果的に成長できるスピードは限られているということがいえる。とはいえ、4割の富裕層から得られる診療費収入がかなりあるため、右図で示すように、発展・成長するための剰余金も生み出している。また、財務的自立を守るということを重要視しているため、銀行から融資を受けることをしていないためでもある。
○貧困層の人々のWin
・回避できるはずの失明の根絶
患者はAEHによって、世界でもトップクラスの眼科治療を受けることができる。また、アラビンド・アイ・ケア・システムを構成する活動の一つである地域貢献プログラムによって、失明の大きな原因である白内障・糖尿病性網膜症・屈折異常を早期に発見、治療を行うことができる。また、それらに関する知識を得ることができる。     
右図で示すように年々患者数は増加しており、回避できるはずの失明の根絶という目標の達成に確実に近づいている。

・非常に安い費用で治療を受けることができる
大多数の人々が無料で治療を受けることができる。また、手術や入院費用はきわめて安く、手術のタイプと病室の等級を患者が選択することができる。手術費用が安価である理由はアウロラブによって高品質で安価な眼内レンズが生産されているためである。
・雇用が生まれる
    1回の募集で500人ほどの応募があり、その年に60〜100人が採用される。人材の採用に当たっては、農村部の少女を採用し、都市部からはほとんど採用していない。これにより農村部の貧困層に雇用が生まれ、貧困解決に役立っている。
    また、地域貢献プログラムで行われているリハビリプロジェクトによって社会復帰を果たすことができるというのも大きな利点である。
 4. 今後のビジョン
  ・持続可能なシステムの開発
目標を達成するためには持続可能なシステムの開発が重要である。そのためには既存の病院の能力を強化し、医師の能力を活用するということが必要となる。AEHの医師は年間2600例の手術を行っているが、全国平均は400例程度である。回避できるはずの失明を根絶するためには全国平均をAEHのレベルまで引き上げる必要がある。そのためには、LAICOの活動を強化し、各地の病院の能力の向上を目指していくべきである。
 ・ターゲットの7%しかキャンプへ来ないという現状の改善
多くの患者が手術に対して恐怖心を持っており、キャンプに訪れないというのが現状である。この状況を解決するためにはまず失明の原因と早期治療の必要性を理解してもらう必要がある。また、患者が気軽に足を運ぶことができるような工夫も必要となる。
・白内障治療以外の分野への進出
これまでに得た知識や技術などを活かして、失明予防の研究を行い、より多くの患者を失明の危険から救うということが求められる。また、WHOが推進している「理想の2020年−視力への権利」の全てのプログラムへの取り組むことも、AEHは考えている。「理想の2020年−視力への権利」(VISION 2020:The Right to Sight)とは、2020年までに回避できる失明の根絶を目指し、多くの国際的NGOとの連携により、世界保健機構と国際失明予防協会が共同で立ち上げた国際的なプログラムである。
5. 応用可能性
 ・世界の失明の現状
Global estimate of visual impairment, by WHO region (millions), 2002:
  アフリカ 南北アメリカ 東地中海 ヨーロッパ 東南アジア 太平洋西部 合計
人口 672.2 852.6 502.8 877.9 1,590.80 1,717.50 6,213.90
失明した人数 6.8 2.4 4 2.7 11.6 9.3 36.9
失明した人の割合 18% 7% 11% 7% 32% 25% 100%
視力低下を被った人数 20 13.1 12.4 12.8 33.5 32.5 124.3
視力障害を被った人数 26.8 15.5 16.5 15.5 45.1 41.8 161.2
この表の値では屈折異常によるものは含まれていないが、2002年の時点で世界には3690万人の失明者が存在しており、深刻な状況であるといえる。また、失明者の90%以上が発展途上国で暮らしていると言われている。
・応用可能性
 アラビンド・アイ・ケア・システムは今まで述べてきたように、貧困層に無料サービスを提供しつつ、発展・自立が可能なシステムとなっている。そのため、失明が問題となっている発展途上国においても十分に応用が可能なシステムであるといえる。
〜参考〜
アラビンド・アイ・ホスピタルHP
 http://www.aravind.org/
WHO HP
 http://www.who.int/en/

意見ヨロシク

コメント(1)

イノベーションを3種類にわけて上げてるのは分かりやすいと思いました〜:-)

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