パンの木の木陰でコミュのおはなしの部屋　

民話や昔話、伝説など
口移しで聞き取った
珍しい話などを
紹介していきたいと思います。

ここをご覧になったどなたかが
自分の住んでいるところにも
「こんなお話が伝わってるよ」
「母さんからこんな話を聞いてたよ」
等々、ご存知でしたらぜひ
こちらで教えてくださると
嬉しいです。

コメント(2)

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[1] mixiユーザー 11月02日 01:10

奄美大島の請島という島に伝わる伝説です。
2009.10.31の島口大会で、請島の小学生たちが島口劇をしたものを
簡単にまとめてみます。

『請ユリの伝説』

むかしむかし、請島という島に、おそろしい化け物が住んでおった。
請島には三人の美人姉妹がおり、その姉妹に心を奪われた
化け物は、三人の娘の中から一人、自分の嫁に差し出せ。
もし嫁にこなければ、村人を一人残らず食ってしまうぞ、といった。

三人の娘は悲しみにくれていたが、村人を食わせるわけにはいかない
妹たちではかわいそうだからと、長女は自分が嫁にいくことに決めた。

こうして長女は、化け物の嫁になるために、大山を登っていった。
しばらく行くと、綺麗な泉があり、そこで休むことにした長女は
自分の身の上を思い、泣いていた。そこへ泉の中から、神様が現れた。

どうしたのか、と尋ねる神様に、化け物の嫁になりにいかなければ
村人が全員食べられてしまうが、自分は化け物の嫁なんかに
なりたくない、といって激しく泣いた。

神様は、自分はハブと名乗った。島では、ハブは森や自然を守る
神様だと言われている。長女は、ハブの神様、私なんでもしますから
どうぞ、化け物の嫁になるのだけは、やめさせてください
と頼んだ。

ハブの神様は、かわいそうに思って、それじゃお前を大山に咲く
花にしてやろう。そうすれば、化け物のの花嫁にならなくてすむ。

長女はびっくりして、お母さんや妹たちと会えなくなるのが悲しい
と泣いたが、ハブの神様が、どちらかを選ぶしかない、と言うと
長女は花になります、と返事をした。神様が呪文を唱えると
娘はもう大山のユリとなって、泉のそばに咲いていた。

神様がいなくなったあとに、化け物がやてきて
花嫁はどこじゃ～、おれの花嫁はどこにいる～
と、探し回ったがどこにもいない。

一輪の可憐なユリをみつけた化け物は、たちまちそのユリの
虜になってしまい、人間の花嫁のことなどどうでもよくなってしまった。

こうして化け物は、来る日も来る日も、ユリを見て過ごすようになるうち
大山の頂上の岩となり、ユリはウケユリと呼ばれるようになった。

そうして今でも、岩は、請百合の花をやさしく見守り続けているそうです。

というおはなしでした。

[2] mixiユーザー 11月02日 01:21

なんだかせつない片思い伝説としても読むことができませんか？

もし化け物がもう少し上品で美しければ、、、とか。
もし長女が一緒に住んでみれば、化け物の優しさが
わかったかもしれないのに、、、とか。
考えてしまいます。

ハッピーエンドなら、美女と野獣の日本版になるとこだったのに、
このお話は、ウケユリと一緒で、独特の香りを放ちつつ
絶滅危惧種としてわずかに存在するのみなのです。

なんだかそれさえ悲しいおはなしです。

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