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藤 純子コミュの「日本女侠伝 鉄火芸者」と藤純子さんのトークショー

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2008年12月5日 ラピュタ阿佐ヶ谷で「日本女侠伝 鉄火芸者」上映終了後に藤純子さんの映トークショーが開催されました。生の藤純子さんにあえて興奮しました。とても素敵でした。ふらふらほんとうにラッキーでした。僭越ながら紹介させて頂きます。

(レポート)
出演を知った前日の夜は興奮して殆ど寝られなかった。とにかくとるものも取りあえず早めに家を出てラピュタへ。朝一で電話したら、10時15分から当日券48枚だったかな?発売するとのこと。着いたのが10時50分位。23番をゲット。ほっと胸をなでおろす。開演20分前に再び行くとマイミクのKさん、Nさんの顔が。さすが。ほどなく藤純子さんが登場。初めて至近距離でみた藤さんは、驚くほど華奢で小顔。すらりとしてさっそうとした着物姿が細い。(先日、G姐さんのド迫力の着物姿が目に焼きついていたせいではないが)あまりの細さに驚いた。画面やテレビで拝見するイメージは堂々と貫禄のある姿ばかりが印象的だったせいか。山根さんのエスコートでエレベーターで会場へ。会場はもちろん補助席が出る満席。殆どが男性ファン。いつもは辛口の映画評のNさんが「GS全盛期女性ファンが失神した話を聞くけど、あれなんで失神するのかはじめてわかったような気がした。」と考えられない位緊張している様子が意外で先ず驚いた。確かにあの藤純子さんが、大劇場ならまだしもこんな小さな映画館のトークショーにきてくださるなんて…。確かにありえない。考えられない。つい最近、いつか藤純子さんがトークショーにきてくれて一緒に映画をみてお話を聞けるような、夢のような日がこないかなあと思っていた矢先だったので。(まじです)Nさんに「過去にこういうトークショー(当然あったと思ったので)はなかったのですか?」と聞くと覚えがないとのこと。ますます期待が膨らむなかで「日本女侠伝 鉄火芸者」の上映が始まった。

製作年 : 1970年
製作国 : 日本
配 給 : 東映
監 督 : 山下耕作
脚 本 : 笠原和夫

キャスト(役名)
藤純子・富司純子 (小しず)
佐々木愛      (小いく)
弓恵子 ユミケイコ (仇吉)
伴淳三郎 (牧浦奇堂)
曽我廼家明蝶 (浅井喜一郎)
高宮敬二 (佐山信一)
安部徹 (安川重平)
藤岡重慶 (竹上兼蔵)
藤山寛美 (日舞の師匠)
山下義明 (箱長)
菅原文太 (小林勇吉)

(感想)
辰巳芸者の心意気を描いた女侠伝シリーズ三作目。男勝りの辰巳芸者小しず(藤純子)を軸に物語が展開していく。彼女が子供の頃に見ず知らずの男から受けた恩が忘れられず、10年たった今でもその男のために操を守ろうとする小しず。ありえない展開なんだけど、小しずの堂々とした振る舞いと男前の気風の良さに老獪でスケベな男も彼女の真摯な姿と必死な気合に押し切られていく。彼女の面倒を見ている表向きの旦那(米問屋・浅井喜一郎)は親分肌の度量の大きい男(これもありえない)そんな彼女を大きく包む。しかし浅井の商売敵の仇吉の旦那(米穀業・安川重平)が義心会の総長竹上や政界の黒幕と手を組み浅井を追い詰めてつぶそうとする。そんな時に小しずは、妹芸者(小いく)の夫の不始末をかばい自分の家を抵当にいれて妹芸者を助ける。カッコイイぜ。その肝っ玉の太さと面倒見のよさは人を惹きつけてやまない。しかし安川の悪事はエスカレートしてついに小しずの旦那の浅井は、にっちもさっちもいかなくなる。

こうなったら嫌な男でも頼るしかないと単身政界の大物牧浦奇堂伯爵(伴淳三郎)に捨て身の覚悟で相談しにいく。当然のように身体を求める牧浦奇堂。「かんにんして下さい」私には思う人がいるんです。と目の前でかんざしで自分の腕をさす小しず。流れる鮮血。睨み付ける小しずにさすがのエロ親父の牧浦も感服して彼女を援護する側に。人間、必死になったらその勢いとド迫力で運命を切り開いていけるんだ。

これもありえない展開なんだけどなぜかお竜じゃない、小しず(藤純子)なら許せる。まわりがほっとおけなくなる。この人を助けなければ…という気持にさせる独特のオーラ全開で展開していく。しかし狂犬のような安川は汚い手をつかい地獄の底まで安井を追い詰めて、安井を闇討ちにしてしまう。(ここらは現実的)小しずの妹芸者もその夫も安川の手下に襲われる。逃げようとする輩に、小しずとその子分の芸者たちが囲んで「殺すなら殺せ。みんなが見ているよ」と啖呵を切るシーンは胸がすっとした。この映画は要所、要所に泣かせるセリフが散りばめられていて気がつけばこみあげるものが…。彼女を小さい頃に助けた男役の小林勇吉(菅原文太)の存在もこの作品の核となっている。艶やかな小すずを影で支える、片腕のような頼もしい存在。彼女の気持を感じながらも、自分を拾ってくれた浅井の旦那の恩を思い、彼女を遠ざける勇吉。旦那を大切にしてください。と言い切る男に何とも言えない悲しい目で勇吉を見る小しず。そんな二人をみて自分は身をひこうとする旦那の浅井。恋の片道切符。堂々めぐり。ありえない話だが(しつこい)登場する人物の信じられない人の良さ。そんな忘れていた「誠意」や「自分はどうなってもいい。好きな人が幸せになれば」という純情に胸が熱くなってきてまたまた、涙、涙。

しかし闇討ちにあった浅井のだんなの死に、眠っていた魂がゆり動かされて…。刀ひとつで安川の家に単身殴りこみにいく勇吉。背中のお不動さまが返り血をあびて、更に赤く燃え上がっていく。ついに安川を殺して静かに前のめりに倒れる勇吉。小しずの踊る姿が見えているかのように安らかな顔をしていた。



(トークショーについて)

いよいよ映画上映が終り、5分の休憩の後にテーブルとイスが置かれてトークショーへ。山根さんと藤純子さんが登場。いつもより高揚ぎみの山根さんの第一声が「長い事こういう仕事をしていて、眼の前の主演女優さんと並んで映画を鑑賞したのは、初めてで不思議な感慨です」と本音トークを。

それに対して藤さんは終始ニコニコと。感想を聞かれると「もう、あまりに踊りも芝居もへたくそで恥ずかしいです。」とあの本当に恥ずかしそうにしていた。その様子は、天下の大女優という奢りもプライドもみせないでごく普通のどこにでもいる気さくな自然体の女性。(これはこれで唖然)

思えば、ラピュタの入り口に山根さんに案内されて顔を出した時も往年の女優然とした、高飛車でツンとした人を寄せ付けない雰囲気は微塵もなく大勢(でもないけど)ロビーの私たちに軽く会釈してさっと通りすぎていった。「3時のあなた」で司会をしていた時も自然体で嫌味のない姿がとても爽やかだった印象が。ずっと憧れていた藤純子さんが眼の前にいるのに、藤さんにはまったくガードがないのでこちらも自然体にスーッと入ってしまった。私は同性のせいか。憧れの人で昨晩は眠れなかったけど。トークショーは冷静に聞いていた。たくさんのお話の中で印象に残ったのが「関の弥太っぺ」の話。山下監督作品の中で「関の弥太っぺ」という作品の時に自分(藤さん)はどうしても高校を卒業したかったので出演を断念した。当時はどうしても高校ぐらいは卒業したかった。自分の役を十朱幸代ちゃんが演じた。それから一度も中村錦之助さんと共演する機会を失ってしまった。それだけが悔やまれます。と語っていた。でも当時の自分は卒業を選んだ。そこに藤さんの一本木な性格が垣間見えた。

女優であっても学校だけは卒業したい。努力家で真面目。芸能界にいても人の道としてまっとうな道を歩きたい。そんな一生懸命な姿がまた藤純子さんらしいような気がする。役者馬鹿じゃない。一本線が通った感じがするのかもしれないなあ。(あくまで私見ですが)

言葉を選びながら丁寧に真摯に受け答えするその姿はまさにお竜さん。Nさんの言うようにどこまでも控えめ。「私なんかがこんな席で話しするなんて…。あらどうしましょう。」というようなとまどいと恥じらいがこちらまで伝わってくるようだった。スクリーンの中での堂々とした男勝りのカッコイイ姐さんをイメージしていたので違う意味で新鮮だった。

スクリーンの中のお竜さんはまさにダイナミックで生き生きして、特に啖呵を切るシーンや、男を相手に立ち向かうシーンのド迫力と殺気はまさに親分肌。今回も男の顔に酒をぶっかけるシーンがあったけど、その時の冷たい眼が大好き。怒った時の彼女は正に水を得た魚のよう。火と燃える激しさが身体の芯から、沸々と湧き上がってくるようで、短剣またはピストル片手に暴れまくる。闘う時の凛とした美しさはため息が出るくらい美しくカッコイイ。

黒々とした黒髪に気合の入った眼が猛獣のように猛り狂う。その神々しいまでの艶やかな姿の奥に生まれついての品性が光る。品性は悲しいかなどんなに努力して得られるものではない。

美しい人だが決してそれだけじゃない。その奥の人間性が顔や表情に醸し出されるような気がしてならない。彼女は人気絶頂の時に惜しまれながら引退、結婚。二人の子育てを終えて「あ・うん」でスクリーンに復活。それからはマイペースに映画、舞台に活躍している。最近では「フラガール」で滅び行く炭鉱の町の気丈な母の姿が印象的だった。数年前に娘(寺島しのぶ)がテレビでホームビデオで家族の様子を紹介していたコーナーがあった。その時に父は昔から朝はしっかり食事をするのが好きなので母が早くからおきて準備するとのこと。普通の家のあたりまえの情景なんだけど、女優、梨園の妻、母親。いくつもの顔をもちながら。どれも手をぬかないでこなす人。という印象を受けた。結婚、出産には女優を休業して再開しても決して家事でも手をぬかない。これは大変な事だ。私が藤純子さんに対してもっていたイメージはまさに矢野竜子のように自分の本分は手をぬかない。根性と努力でやりとげる。その奥には男のような勝気で激しい気性が。でもそれはあくまで自分自身に対するもの。

他人にはどこまでも、優しく暖かく。自分を必要以上によく見せたいなんて気持は毛頭ない。だからトークショーでも「私が主役」なんて気負いも奢りもない。監督やスタッフのおかげでいい作品に出会えた。38年前は、ただただ夢中だっただけ。25歳の時だったと。自分の年を隠すことなくどこまでも自然体。顔が小さく細い。顔の皺もかくすことなく優雅に微笑む。まるで往年のオードリーフェップバーンのようにどこまでも自然体。素敵にトシを重ねている様子がとても好ましく感じた。

映画の最後に山根さんから「最後に皆さまにひとこと」といわれたときも。「山下耕作監督の作品をこれからも、皆さんよろしくお願い致します。」と監督をたてていくところがまた控えめで痺れた。藤純子さんはとらえどころのない「風」のようにその場、その場に自然に溶け込んでいた。こうやってどんな現場のどんな役も自然体に溶け込んで自分のものにしてしまう生まれついての徳をもっているのかも。梨園の妻の大変さとか、女優として自分をよく見せようなんて思いは生まれつき皆無なのかもしれない。常に肝が据わったものがドーンとあるから、なにがきても動じないのかもしれないなああ。

振りかえると、「一陣の風」のような清清しさが…。いつか機会があったら聞いてみたいことがたくさんあるけど、きっと緊張してしゃべれなくなるような気もするなあ。ふらふら

コメント(2)

初めてコメントをします。

>お竜さん

トーク・ショーのレポート、ありがとうございました。「日本女侠伝」シリーズの中でも『鉄火芸者』と『侠客芸者』が大好きで、お気に入りの藤純子作品を考えてみると、ほとんどが山下耕作監督の作品なのです。一番好きなのは『日本侠客伝 昇り龍』と『女渡世人 おたの申します』の二本。これは甲乙つけがたいです。
Fanfunfuan さん

初めまして。レスが遅くなってすみません。今回は前日にトークショーがあるのをマイミクさんの日記で知ってものすごくラッキーでした。任侠映画に詳しいようですね。今後ともよろしくお願い致します。

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