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映画を診る「シネマ特診外来」コミュの『ノー・グッド・シングス』糖尿病スペシャル

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懐かしや『ファイブ・イージー・ピ−セス』や『郵便配達は二度ベルを鳴らす』のボブ・ラフェルソン監督作。

窃盗課のサミュエル・L・ジャクソン刑事は隣家の女性の依頼で彼女の娘の家出捜査を休暇前にしてやる破目になる。

彼にはチェロを趣味で弾くという高尚な趣味がある。

娘の男友達を探してやってきた町で、雨にぬれた自宅の階段で転んだ老婦人を助けたジャクソンは、家に入った途端、殴られ縛りつけられてしまう。

老婦人を含めてそこは悪人の巣で、どうやら銀行を襲う直前だったらしい。一味は5人で、ボスの愛人であるミラ・ジョボビッチなどグループのなかでも曰くありげで、映画は久しぶりの悪党一家ものの様相である。

上品に見えた老婦人もベテランの悪党で、ロバート・アルドリッチ監督の『傷だらけの挽歌』以来といってもよい本格作品だ。

もっとも『傷だらけの挽歌』はジェームズ・ハドリー・チェイス原作(「ミス・ブランディッシュの蘭」)だったが、トニー・ムサンテはじめコワモテ役者が大挙出演し、1930年代を再現した小品佳作だった。

本作の今ひとつ盛り上がりに欠ける原因は現代が舞台ということと、はっきりいって役者不足なためである。

ジョボビッチがジャクソンに対して色じかけで近づいてくるのも、いまいち要領を得ず、悪党たちの性格分けもダシール・ハメット原作ということもあってか古臭い。

おそらく主人公は白人であったろうから、ジャクソンを出させるために改変したのではないか。それが現代になった理由だとすれば、登場人物たちをそれなりに現代人として変貌させる必要が生じるわけで、ここのところがおざなりになったためのもどかしさがある。

役者たちはそれぞれに上手いのだが、なんとなくギクシャクしているのもシナリオ化の際の消化不足だろう。

ジョボビッチはこれからもどんどん意欲的な作品にオファーを受けるだろう。ジャクソンがチェロを弾く設定が面白く利用されそうでされない。

『バーバー』のように時代劇として製作しなかったのは黒人ジャクソンを使いたかったからで、ジョボビッチがせめてヴェロニカ・レイクやリタ・ヘイワースだったら・・・、ジャクソンがせめてグレン・フォードやフレッド・マクマレイだったら・・・。

こんな比較をしてみたくなるのが寂しい。現代のカリスマたるハーヴェイ・カイテルで作って欲しかった、ファンとしては。(★★★☆)

 ジャクソンは糖尿病患者で自己血糖測定してインスリン注射をしているという設定だ。

『パニック・ルーム』のジョディ・フォスターの娘も糖尿病だった。ビックリしたのはジャクソンが指先にて血糖チェックしているシーンで、結果が5秒で出てくること。現在日本でいちばん速い器械で20秒かかるから、この差は一体何なのだろう。

そういえば、30年前のギャバン、ヴァンチュラ、ドロン共演の『シシリアン』でも、コーヒーに睡眠薬を入れて看守を眠らせたら、駆けつけてきた医師が「糖尿病じゃないのか」と発言するシーンがあった。

ミラ・ジョボビッチは何の説明もなく昏睡に陥りかけたジャクソンにインスリン注射を施行しており、欧米で糖尿病患者が意識障害をおこしたときの処置があたかも一般常識のようなものとなっているのであろうか?

それから、懐かしいのは、これがセブン・アーツ社の映画だということである。

ボクらには、セブン・アーツといえば60年代後半から70年代初頭にかけてワーナー・ブラザーズと提携していた数年間こそ、ボクが映画の面白さに呆けていた黄金期だった。

『俺たちに明日はない』や『ブリット』など、ワーナーの“W”のロゴが鋭角的で右肩が内側にくびれている独特のマークを思い出す。

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