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映画を診る「シネマ特診外来」コミュの特大版・ホラー映画「感染」「予言」

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◎『感染』:たしか『キングダム』というテレビ・シリーズがそうだったと思うが病院を舞台にしたホラーはあるようでない。

もちろん『ゴシカ』のように展開のなかで病院に移っていくケースは多々あろうが、この映画のように100%病院が舞台の映画、とくにホラーは例がない。考えれば、一般のひとびとにとって、生死の問題が絡む場所はすべからく怨念や祟りという問題が生じる場所なのだろう。『パラサイト・イヴ』『催眠』の落合正幸が演出。

 映画は医師・高嶋政伸が外来の公衆電話から別れた妻に養育費の支払いが給料遅配のために遅れていることを掛けているシーンから始まる。看護師たちが大量に辞職し、病棟の看護体制はぐちゃぐちゃになっている。

看護師長の南果歩をはじめ3人の看護師も昼夜勤続きで疲弊しきっている。病棟・外来の勤務のみならず、病院の経営側である院長が雲隠れしているため、外来・病棟・救急などのすべてを医長である佐藤浩市がヘトヘトになりながら孤軍奮闘している。

この病院の問題は佐藤と高嶋の会話にもあったように、きちんとした検査を撮るばかりでなくて読影できる技師の採用を怠ったままに高額な医療検査機器(おそらくMRIなどをイメージしている)を導入し、また表層的な改築を繰り返したために赤字が膨れ上がることで経営危機を迎えたという設定。

これは全国に8000あまりある病院の倒産の理由としては実にありふれた原因だが、一般のひとには信じがたいことかもしれない。その経営危機のために医療問屋からの注射器や点滴などの供給はされず、したがって院内各部署への出庫もなく、劣悪な医療現場となっていた。そんなときに全身火傷の患者の死亡事故が起こる。

映画では佐藤浩市医師が口頭で塩化カルシウム注を指示したが看護師が心筋抑制作用のある塩化カリウムを注射して死に至る。映画では看護師2人が「塩化カリウム」と先生は言ったと証言するが、観客であるボクは「塩化カルシウム」を指示したことは分かったが、2人の看護師がともに「塩化カリウム」と言ったのだという証言には、まさに悪夢だと身震いしそうになった。

だが映画のホラーとしての真骨頂はこれからで、救急隊が搬送してきた患者が内臓が溶けはじめるという、いまだかつて見たことがない感染症患者が登場する。

つまり医療ミスの当事者であった医師・看護師など近隣の病院は雇うはずがないから、自分たちは「この見たこともない感染症の患者を少しでも研究して、そのことで名を上げ、汚名を返上するしかない」という結論に達するが、これがアウト・ブレイク(感染拡大)していくのである!

 ま、ここまで書いてくるまでに、医師としてはオチは分かってしまった。しかし映画ファン歴47年の人間として、観客にひたすら怖がらせる展開としては上手に出来ていると思う。(★★★☆)

 で、『予言』であるが、こっちははっきり言って佳作である。したがって、この2本立ては1+1=2,5くらいの価値があり、簡単に言えばお買い得な番組。しかしながら、ただひとこと言えば、もはや2本立てという興行形態が果たす意義がどれほどあるのだろうか。それゆえに、この2本立てが放つ魅力も、シンドさもともに感じることになるのは、そういう時代なのであろう。

◎『予言』:『リング0・バースデイ』の鶴田法男監督。主演に三上博史・酒井法子を擁したこともあって、見応え十分。

ホラーはホラーなのであるが、ちゃんとした映画に仕上げている。原作はつのだじろうの漫画「恐怖新聞」。あの『リング』にも出てきた貞子の母親のモデルとなった、実際にいた透視・予知能力をもった女性を紹介するパートがあり、この映画ではすでにこういった能力を備えたひとがこの世に存在していることを観客に納得させて、進んでいく。

三上博史は突然前ぶれなく新聞のかたちをもって近未来の出来事を知らされることになる。そして、映画では、彼のみならず、多くの同じような体験をしたひとびとのエピソードが綴られる。

どこにいようと、隠れようと、その新聞は配達され、知りえた情報を回避しようとすると、歴史を変える振舞いということで身体を蝕む変化が起こる。

しかし、多くの大惨事や事件を事前に知っていて何もできないとなると、彼らの多くは精神に変調をきたし、結局は身を滅ぼす。怖い、怖い。しかし、この映画が佳作たり得た最大の理由は、彼が愛する人間のためにわが身を犠牲にして進んでいく姿にある。恐怖ばかりでなく、愛情の切なさも存分に描き得たためである。
25年前に細々と公開され、ヴィデオもなく、見ることのできた人間の中で語られるしかない人間ドラマの風格を備えた傑作ホラー『チェンジリング』から大いなる敬意をもってインスパイアされたと思われる展開が成功している。

プロットをどうこうというのではなく、その精神を巧みに甦らせたゆえ、泣かせるのである。(★★★☆☆)

★『感染』における病院の描写では、医療関係者なら(?)と思われる展開はいくつかあった。まず、病室を地下室に設定することはなく、その地下病棟のあちこちに使われなくなった工事の器材が置かれたりしているのは、気持ちとしてはわかるが、これだけで夢想空間だと知れる。

年に一度ある保健所の医療監視では院内をくまなくチェックされ、患者さんの目にするスペース以外にも全部確認がなされるからだ。

また、この病院では遂に八方ふさがりとなって外来を閉鎖して病棟だけにする処置がなされるが、これはまったく正反対の所作である。

例えば病棟というのは看護師の配置などは病床数にたいして要求されるもので、30床の病棟なら入院患者がたった1床でも30床満床としての人員配置を要求されるものである。佐藤と高嶋の会話で、現在の入院患者を受け入れて転院させてくれる病院はないからとの説明があるが、現代の日本で、患者さんの治療環境を安全確保することは最優先されるため、こういう経済的理由で転院先を確保することは容易だ。

映画でも他院から患者の収容にやってきた職員に羽田美智子医師が書類にサインするシーンがあったが、あのように少なくとも転院先を探すことは緊急避難として必ずできるだろう。

気の触れた南果歩看護師長が廃棄すべき医療ゴミを勿体無いことをするなとシンメル(煮沸消毒)にかけるシーンはブラック・ユーモアとしては赦せる。

また腕の未熟な外科医が手洗いシンクがある場所なのに消毒薬を満たした手洗い用洗面器で手洗いする描写があったが、このベースンという手洗いは少なくとも手洗いスペースのないところで便宜的に行われているもので、院内感染の立場からベースンを採用している病院はないだろう。

先日見た韓国の『箪笥』という映画でも冒頭の精神科診察室においてベースンで手洗いするシーンがあったが、精神科という科目であり、なおさらベースンは使用はしないなぁ、と感じたことを銘記しておこう。

コメント(2)

ホラーは苦手です。

でも「感染」は読んでいたら、結末を知りたくなりました。

「予言」の愛情のせつなさにもちょっと興味がでてきました。
「予言」はお奨めです。

「感染」は大したことはありません。

嫌いなものまでは、ねぇ。

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