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数学科 2006 黄金世代コミュの無題

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目が覚めると僕は病院にいた。
染みのついた天井を見つめながらふと隣に目をやるとぐったりしている母がいた。ああまた母に迷惑をかけてしまった。生まれてきたときにわずか2000gだった僕は生まれつき体が弱く何かあっては入院という生活を送っていた。
もう18にもなるのに・・・母さんごめんな。
そうつぶやきながら母の手を握り痛む足を我慢し僕はそっと目を閉じた。

コメント(8)

明日は入院してから二度目の誕生日。
僕の足はよくなる気配がない。母さんは毎日欠かさず看病に来てくれている。
もぉハタチになるのにまだ母さんに迷惑をかけてる・・・
僕は心の中で呟いていた。
「誕生日プレゼントは何がいい?」
と母さんに聞かれたが、迷惑をかけているという後ろめたさからか
「何もいらない。もぉ大人なんだからみっともないし」
と冷たいことを言ってしまった。
「でも誕生日なんだからお祝いしないと」
明るく話しかけてくる母さんに僕は
「うるさいな、病院での誕生日なんかうれしくない。はっきり言って毎日こられるのも迷惑なんだよ」
咄嗟に心にも思っていないことを口走ってしまった。
「・・・じゃぁ、お母さん帰るね。ちゃんとご飯は残さず食べるのよ」
そぉいいながら寂しそうに病室を出る母さんの背中を見つめながら僕は自分の言ってしまったことを後悔した。
誕生日の日、僕は外の明かりで目が覚めた。
もう12時か・・・・時計を見た僕はその隣にある手紙に気づいた。
なんだろう?開けて読んでみる。
「誕生日おめでとう。早いものであなたももう20歳ですね。生まれつき体が弱かったあなたは小さい頃ほとんど病院での生活で辛い思いをしたでしょう。友達とも遊べず、外にもいけず、母さんできることなら替わってあげたかったよ。それでもあなたは明るく笑顔でいてくれた。母さん何度その笑顔に救われたことか。昨日は母さんあなたを怒らせちゃいました。でもね、やっぱり母さん病院行く。あなたのことが心配だしなによりもあなたの笑顔が見たいから。昨日言ってたね、もう大人なんだからって・・・母さんそれ聞いて嬉しいやら悲しいやらだったよ。あなたももう大人なんですね。これから辛いことや悲しいことたくさんあると思うけどあなたのその笑顔で乗り越えていってください。これからもこんな母さんをよろしくね。誕生日おめでとう。 母より。」

母さん・・・・・・。僕は涙をこらえた。
これからも笑顔でいかなきゃな。そう思いながら手紙をしまいふとベットの横を見るとなにやら大きい包みがおいてあった。
なんだろう・・・開けてみる。
スーツだ。
そして一緒に入っていたメモ用紙にはこうかかれていた。
「明日は成人式です。先生に外出許可もらったから朝9時に迎えいきます。
あなたの晴れ姿を見れるのを楽しみにしてます。」
成人式か・・中学は体の調子がいい時だったのでいい思い出がたくさんある。
楽しみだな。明日は思いっきり笑顔でいよう。そして母さんも安心させてあげなきゃな。そう思い僕はもう一眠りすることにした。
成人式当日。
僕はスーツに着替え終わり、考えていた。
母さんにこの前言ったことをちゃんと謝らなきゃ。母さんのおかげで無事20歳になれたよ。って言わなきゃな。
病室のドアが開いた。だがそこには母さんの姿はなく伯父さんが立っていた。
「お母さんが大変だ」
僕は状況が理解できないままタクシーに乗せられ違う病院に連れて行かれた。
ある病室に入ると包帯を巻かれ意識なく横たわる母さんの姿があった。
僕は目の前に広がる光景を理解することが出来なかった。
伯父さんから母さんは車にはねられたという説明をしてもらっていたそのとき、母さんが小さな声で僕の名前を呼んだ。
母さんの手を握り締めると母さんが目を開けた。
「やっぱり母さんが選んだスーツ似合ってたわね、本当は一緒に並んで写真を撮りたかったけど最後にあなたの晴れ姿を見ることが出来て母さん幸せだわ」
弱弱しい声だった。
「母さん・・・この前は酷いこといってごめんなさい・・・」
とめることができない涙を擦りながら言った。
「謝らないで・・・母さん全然気にしていないから・・・母さんはあなたの笑顔が大好きなの、だから泣かないで・・・」
僕は笑顔を頑張って作ったが涙を抑えることは出来なかった。
「ありがとう・・・母さん天国からいつもあなたのこと見守ってるから・・・だからいつも笑顔でいてくれたら・・・母さんうれしいな・・・」
それが母さんの最後の言葉だった。
「母さん・・・父さんのとこにいっちまうのかよ。こんな俺を一人にするのかよ。せっかくこれからずっと笑顔で母さんといようと思ってたのに・・・なんでだよ・・・こんなんじゃ笑顔で・・俺笑顔でいられないよ。」
俺は泣いた。ベットに倒れこみこれでもかってくらい泣いた。
「先生!生き返らせてください!俺の血全部使っていいんで何とかして生き返らせてください!!俺の心臓母さんにあげてください!!」
俺は先生につかみかかった。
「おい!なんとか言えよ!なんで俺の目見ねえんだよ!ちゃんとこっち見ろよ!!」
「・・・・こんな時に言うのも何なんだけどな。」
今まで黙っていた先生が口を開く。
「君の足な・・・・思ってる以上に悪いんだよ。君の病院先からカルテを預かってるんだがあまりいい方向に向かってないみたいなんだよ。」
・・・一瞬なにを言われてるか全く分からなかった。言われるまで足が悪かったことを忘れていたくらいだ。
「何言ってんだよ先生?どういう意味だよ。」
先生が答える。
「君の病院より設備が整ってるここに入院しなおしてちゃんと治療をする必要があるかもしれないんだ。」
実を言うと自分でも分かっていた。自分の足が悪くなってることくらい。でも認めたくなかった。入院が長引くのも嫌だし何よりも母さんに心配かけたくなかったからだ。
「もう一回ちゃんとした検査を受けてみないか?」
俺は冷静さをとり戻し
「母さんと・・・・お別れしたらちゃんと受けるよ。」
そう言って俺は母さんの元に戻った。
新しい病院に来てから三日がたつ。
まだ検査結果は出ていない。自分の足はいったいどこまで悪化しているのか。治すことはできるのか。
僕は母さんとの約束を。どんなことがあっても笑顔で乗り切ることを守るために前向きに考えようとした。
そして母さんは天国で僕のことを見ていてくれてる。僕は一人なんかじゃない。
そう考えると自然と不安は消えていった。

そして遂に検査結果が出た。

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