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☻人体生命科学と薬理学コミュの外科医も納得"正露丸が効く"理由 http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=62825721&comm_id=275785

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小学生のころのある日を思い出す。学校から帰って冷蔵庫を開け、真っ先に牛乳を飲んだところ、口の中に何かゼリー状の塊を感じあわてて吐き捨てた。「お母さん、この牛乳腐ってる!」という私に「ごめん、ごめん、腐ってた? お口洗って正露丸飲んだら大丈夫、大丈夫」と薬箱から正露丸を取り出す母。

 当時、何か変なものを食べたときやお腹の調子が悪いときは、いつも正露丸を飲まされた。歯痛にも正露丸を詰められた。子どもながら私も、正露丸はよく効く薬だなと感心していた。

 最初の外科研修先だったS救命救急センターに勤め始めて数ヵ月後、私は「先生のお父さんは正露丸を作ってるんだって? あの薬はよく効くな、コレラにだって効いてるよ」とOセンター所長に声を掛けられた。

 さらに「アフリカでの海外医療支援ではスタッフはずいぶん正露丸の世話になってるんだ。何でそんなに効くのかな」と質問が飛んできた。とっさに「主成分の木クレオソートに殺菌効果があるからだと思いますが」と答える私に、「特に腹痛によく効く。即効性があるし。しかし殺菌効果では腹痛を止める説明にはならないな」とO所長はおっしゃる。

 確かに腸内を殺菌して悪玉菌を減らしても、すぐに痛みが収まる理由にはならない。腹痛を止めるには腸の緊張を取り除く必要があるのだ。トイレを我慢しているときに腹痛が起こるのと同じで、腸、特に大腸の運動が高まり、腸内圧が増して腸が伸びたり引っ張られたりすることで内臓神経が刺激され、腹痛を感じる。

 以来私の中で"正露丸はなぜ効いているのだろう"という素朴な疑問が続いた。そんなある日、たまたま開いた学生時代の薬物学実験の教科書の「マグヌステストの模式図」が目に飛び込んできた。小動物から摘出した、まだ生きている腸の両端を生理食塩水の中に紐で固定し、腸が収縮すると上の紐が地震計みたいに腸のゆれを紙に記録する。ここに正露丸成分を少量加えて腸管運動の薬理作用を見れば、腸運動に作用しているかどうかがわかるはずだ。私は即刻、"正露丸を作っている会社"の社長である父に、実験の必要性を伝えた。

 それから数年後のT病院外科外来。

「次の患者さんどうぞお入りください」と私が呼ぶと、カーテンを開き診察用のイスに中年女性のYさんが背中を丸め、お腹を押さえながらゆっくり座った。

「いかがされましたか」と私。

「昨日の夕方から胃が痛んで、夜通し調子が悪くて、朝になるとだんだん痛みが下に下がってきて、刺し込むようになってきました」とYさん。

「お熱はいかがですか」

「朝、熱計ったとき37度2分ありました」というやりとりの後、ベッドに横になってもらいながら、

「お薬は何か飲まれましたか」と私が訊ねると、Yさんは目を見開いて申し訳なさそうな表情になり「実は正露丸を飲んじゃいました、すみません」という。


「正露丸、飲まれたんですか。それはそれは…」とお腹を優しく触診する。

「ここ、痛みますか。正露丸を飲んでもよくならないときは厄介な場合がありますからね」といいながら横にいる看護師に目を合わせると、看護師は含み笑いをしている。そのとき、私の右手の人差し指と中指が右下腹部の硬さを感じた。

 その日、Yさんの急性虫垂炎の緊急手術が行われた。

 木クレオソートは1832年ドイツ人のカールライヘンバッハにより開発され、食肉保存用の殺菌剤として使用された後、外用消毒剤として人体に用いられた。

 スモークサーモンで知られるように、動物の肉や魚肉を保存するために木を加熱してその蒸気を使用した。生活の知恵である。そのスモークのエッセンスを抽出するための工夫として、蒸気を水に閉じ込め、沈殿してくる成分を、重さや蒸留温度で分け、一番殺菌効果のあるものを探そうとするのは誰しも考えることである。木クレオソートはそのようにして作られた。

 腐った肉を食べた人に、医者が木クレオソートを飲ませることを考えただろうことも想像できる。そこで、腹痛と下痢に効果が認められ、医薬品になった歴史が見えてくる。

 まさしく"殺菌剤が腹痛、下痢を改善する"という論理の飛躍が見え隠れするではないか。

 後に抗生物質が開発されるまで、木クレオソートは液剤や丸薬による内服の抗菌剤として欧米を中心に使用され、赤痢や結核など感染症の特効薬として全世界に広まったのである。アメリカの南北戦争では疫病による消化器症状の改善で高く評価されている。

 日本へは、1880年代に、ドイツ留学した森鴎外らにより持ち込まれ、日露戦争を契機に"征露丸"として旧日本軍で大々的に使用された。その後も一般用胃腸薬としてアジアを中心に大きな市場が形成されている。

 O所長に指摘された疑問は、正露丸の正しい薬理効果の解明に大きく役立つ契機となり、父の会社ではあれ以来、正露丸の主薬効、木クレオソート研究が積極的に行われた。

 この数十年の間で、木クレオソートの作用メカニズムの究明が進み、内服では腸での殺菌効果はほとんどなく、腹痛への効果は大腸の過剰運動を抑えること、軟便、下痢に対しては腸からの水分分泌を抑えることが明らかとなった。

 かつては殺菌剤が腹痛、下痢を治すと思っていた外科医の私も、今では頭のもやもやが解け、"正露丸の効くワケを"自信を持って説明している。
 
 http://diamond.jp/articles/-/2433?

コメント(3)

以下転載
週刊金曜日』の別冊ブックレット『買ってはいけない』の中に、正露丸(セイロガン)が取り上げられている。出版後、『週刊金曜日』が行ったメ−カーへのアンケートに対して、正露丸のトップメーカー・大幸薬品は強い抗議の回答を寄せている。また日垣隆氏は『文芸春秋』の記事や『買ってはいけないは嘘である』という本の中で、反論を書いている。
 小生はかつてこの「論争」の場に「正露丸の製造・販売の中止を」という記事を載せたことがある。(209号、1998年3月6日)今回、会社の抗議と日垣氏の反論を読み、感じたことを書かせていただく。

 まずこの医薬品は漢方薬成分を含む。ただ小生が問題にするのは主成分・木材クレオソート(日本薬局方クレオソートとも呼ぶ)である。会社は三好基晴氏が正露丸の主成分・クレオソートを石炭由来と書いたことについて抗議している。この点については編集部は訂正・謝罪記事を掲載した。しかしそれは木材クレオソートが安全だということではない。大幸薬品の研究所の報告によると、木材クレオソートの成分は多い順に、グアヤコール、メチルグアヤコール、クレゾール、フェノール(石炭酸)などである。
 グアヤコールは歯科で齲カ・根管に浸潤させ、消毒と神経麻痺に使われ、「もし口腔粘膜に付着した場合は、ただちにふき取り、エタノール、グリセリン、植物油又は多量の水で洗う処置を行う」と注意書きがついた劇薬である。またフェノールには発癌性が証明されている。

 会社は「国立医薬品食品衛生研究所化学物質情報部の調査においてはフェノール、クレゾールは内分泌攪乱物質と認められていない。また、これらの物質は、一般正常人の体内にも食物(タンパク質)の代謝産物として通常的に存在するものである」と書いてある。
 大幸薬品に質問したいが、「  」内の「また、」以下の文章は国立研究所の見解なのか、それとも会社の言い分を国立研究所の調査の結果の後に付け加えたのか。
 いずれにしてもこの部は誤謬で、フェノールもクレゾールもかつて医療機関でよく使われたが、現在はその刺激性・腐食性のためほとんど使われなくなった消毒薬成分である。これらが通常的に体内に存在するとは考えられない。この部は日垣氏も上記の反論記事の中にそのまま引用しており、首をかしげてしまう。

 次に会社は「O−157に感染しても、正露丸の成分である日本薬局方クレオソートは小腸の粘膜を保護する作用がある」、「O−167のベロ毒素産生そのものを抑制する作用がある」と、論文と学会発表の要約を載せている。しかしグアヤコール、クレゾール、フェノールには皮膚粘膜への腐食作用があることは周知のことで、はっきり言って、上記の論文と抄録は信用できない。

 また会社は「医薬品としての安全性、有効性に何ら問題がないため、改善や変更を行うことはない。書籍(『買ってはいけない』)を回収いていただくことを要望する」と言い、日垣氏は「大幸薬品も、週刊金曜日をただちに告訴すべきである」と言う。
 しかし最近、浜六郎医師は「正露丸の安全性について」という詳細な論文を発表し、「短期に使用することも問題があると考えられ、医薬品としての価値は認められない物質であり、中止すべきと結論付けられた」と報告している。(『TIP誌−正しい治療と薬の情報』14巻、8・9号、平成11年9月)

 海外旅行をする日本人の多くがこの医薬品を用いており、海外の医師から奇異に思われている。

 小生は正露丸の危険性をさらに訴え、大幸薬品をはじめとするクレオソート、フェノール含有製剤を製造・販売している各社に対し、製造・販売の中止を求めていくべきであると考える。
(『週刊金曜日』第292号、平成11年11月19日発行の「論争」記事より。)



http://www.geocities.jp/m_kato_clinic/seirogan-notbuy-01.html
以下転載
木クレオソートの発癌性について

 米国の連邦保健福祉省のレポート
 
  9th Report on Carcinogens / Revised January 2001
  U.S. Department of Health and Human Services / Public Health Service
  National Toxicology Program(NTP)
 


 米国保健福祉省は「第9版レポート 発ガン物質・発ガン要因(2001年1月改訂版)」を発表しました。
 
  「人の発ガン物質・要因として知られているもの」
 
  「人の発ガン物質・要因として(根拠があり)懸念されているもの」
 
  ───に分類されています。
 
 木クレオソート[Creosote(Wood)] は「タールおよび鉱物油」[Tar and Mineral Oils] の項に含まれ、「人の発ガン物質・要因として知られているもの」としてリストされています。

 参考資料
 
 ・ 9th Report on Carcinogens / Revised January 2001
  → Names and Synonyms of "Known Human Carcinogens" Listed in Ninth Report [PDF]
  → Tars and Mineral Oils [PDF]


http://www.geocities.jp/m_kato_clinic/seirogan-creosote-01.html

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