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言語学コミュの<陳述副詞><呼応副詞>という誤り

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先に、<副詞>とは何か!!
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=2748&id=98454728

で論じたように、<副詞>は属性表現の語であり詞/辞の区分では詞に当たる。属性表現の詞ではなく、話者の強調・否定・仮定・推量・願望など主観的なものを直接に示す、形式だけが<副詞>に似た語がある。

  【きっと】成功してみせる。
  明日は【恐らく】晴天だろう。
  【もし】行くならいっしょに行こう。
  【断じて】おれは賛成しない。
  【ぜひ】行かせてくれ。
  【決して】忘れない。

<副詞>の中にこの種の語を区別して、「陳述の装定をなす」語であることから<陳述副詞>と名付けたのは、山田孝雄である。

ちんじゅつ‐ふくし【陳述副詞】
〘名〙 あるきまった語に呼応して、陳述のしかたを明らかにする副詞。「あたかも…(ごとし)」「あに…(や)」「つゆ…(ず)」など。
※日本文法論(1902‐08)〈山田孝雄〉一「陳述副詞の地位は単文にありては文主の上下いづれにも来りうべく、時として述語の付属物たるものの下にも入りうべし」
【精選版 日本国語大辞典】

それ以後、これを<副詞>の一種として扱うのが定説となってきたが時枝誠記は<副詞>を客体的表現の語である詞と見るだけに、次のように説明する。

陳述副詞と云われているものは、云わば陳述が上下に分裂して表現されたもので、『無論〜だ』『決して〜ない』『恐らく〜だろう』を一の辞と考えるべきであろう。
(『日本文法 ・口語篇』)

この種の語は、主体的表現の語である辞であり<副辞>と呼ぶべきもので、「【恐らく】……【う】」のように、文の末或いは中に、それに呼応する性格の陳述表現が<助動詞>として(この場合は<推量の助動詞>)存在し、時にはさらに<助詞>も加わるというように、【主体的表現が立体的な形をとる】ことになる。
「【きっと】……見せる【※】」(※は肯定判断を表す零記号)のような、話し手が強調する場合には、肯定判断が強まるだけなので、特定の<助動詞>が呼応する形をとらないで、依然として零記号が呼応する形にとどまっている。山田はこの場合も「きっと」を<陳述副詞>と認めている。しかし形式的な修飾論に立って、<陳述副詞>はそれに呼応する陳述表現を修飾する語だと解釈すると、零記号の場合にはその修飾される語が存在しないことになってしまう。橋本進吉は、この形式主義的な観点から、話し手が強調する場合の<陳述副詞>を、特定の<述語>が呼応しないという理由で、<陳述副詞>から追放してしまい<呼応副詞>と名付けた。「きっと」「むろん」「まったく」などは<陳述副詞>ではなくなってしまった。

きっ‐と【急度・屹度】
〔副〕(副詞「きと」の変化)

む‐ろん【無論】
(多く副詞的に用いる)論ずるまでもないこと。いうまでもないこと。勿論(もちろん)。「無論そんなことはありえない」

まったく【全く】
〔副〕(形容詞「まったい」の連用形から)
【日本国語大辞典】

これが現在の定説で、学校文法も同様であるが、時枝は零記号の<助動詞>を認めるだけに、<陳述副詞>と零記号との呼応を認めて山田と同じように強調の<陳述副詞>を『日本文法 口語篇』でとりあげている。正当な扱いかたといわなければならない。
〔三浦つとむ『日本語はどういう言語か』(講談社学術文庫)の<副詞>の項をアレンジ〕■

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