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夢見町の史コミュの”悪魔王子の大事なアレを盗んだめさ” (著者用)

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この物語は、めさと悪魔王子の二人によって
描かれていく物語です。

二人の視点から描かれ、なおかつ前者がフッたキラーパスを
後者はなんとしても続かせ物語を続ける・・・

これを交互に繰り返すため正直、著者であるめさと悪魔王子の
二人にすら今後の展開が全く読めません(汗)

こういった作業の中で作られていく物語なのでそういったことを
理解してもらったうえで読者のみなさんに読んで
いただければ幸いです。

読む人も書く人もドキドキしながら笑いあえる。

今回の企画の”核”がこれです。

読みつづけるうちに思わずツッコミ(書き込み)たくなることも
あるでしょうがどうかそこは我慢して二人のやり取りを
楽しんでください。

この物語の読者様専用の書き込み板もトピックに
立てておく予定なのでそちらのほうもよろしくお願いします。

めさ、悪魔王子より。

コメント(23)

俺の名は”悪魔王子”

幼い頃から好奇心旺盛だった為か職業も多職だ。

趣味と言える趣味なんかとくにねぇ。

しいて言えば・・・

多忙な毎日の仕事で得た金で買った車や船やミニカーを
集めること。

仕事は好きだ。

・・・が、そんな俺でもこう毎日忙しくちゃ、たまには
息抜きも必要になってくる。

急に友人のあいつの顔が見たくなった・・・

その友人の名は・・・



めさ。



横浜に住んでるめさにとってここ札幌まで来るのは
簡単なことじゃなかったハズだ。

けど、あいつは来てくれた。

ホント、イイ奴だ・・・めさは・・

俺とめさは久々の再会を祝って飲み明かした・・・

昨夜は久々に楽しく美味い酒を飲んだ・・・

楽しかった・・・

そしてわざわざ札幌まで来てくれためさの気持ちが
嬉しかった・・・



そう・・・



あの”手紙”を読むまでは。



朝、俺が目を覚ますとめさは、もういなかった。

「お?さすがに横浜まで帰るわけだしめさの奴、早起きして
帰ったんだな・・・気ぃなんて使わず起こしてくれれば
良かったのに・・・」

こんなことを考えながら俺はテーブルの上に置かれた
めさが書いたと思われる置手紙を読んだ・・・










おはよう兄貴!昨夜は俺も楽しかったス。今日も仕事あるし
サイト更新も滞ってるんでもう帰りますね!

あ!・・・そうそう・・

昨夜、兄貴が話してくれた兄貴が大事にしてる”モノ”
なんか面白そうだったから頂いちゃいますね♪

      めさルパンより。















・・・



・・・・・(汗)



頂いちゃいますね♪じゃねぇ、あの野郎!!!!!

あれほど俺が大事にしてるって言ったのに!!!



あのボケ〜



追いかけてって”大事なアレ”を奪い返したあげく
ボコボコにしてやる!!!!!!!




キレた。

さすがの俺もブチ切れていた。

その場でめさに電話する!・・・



「めさか!?お前あんだけ言ったのにこの野郎!
・・・返せ!!!俺の大事なアレ返せ!!!!」



受話器の向こうにいるめさに向かって俺は
怒鳴り散らした!

すると受話器の向こうにいるめさから信じられない返事が!!・・・・
 昔から、ルパン3世に憧れていた。
 ちょうど良い機会だから、兄貴にはそれで書き置きを残しておいた。
 これがなかったら兄貴のことだ。

「オメーか、俺のアレ盗ったのはァー!?」
「テメーそういう、なんか泥棒っぽい顔してやがるじゃねえかァ!」
「ってゆうか、お前なんか犯人でなくてもぶっ飛ばそうと思っていたのさァ!」

 兄貴のご友人達が、「前から顔が気に入らなかった」とかいう生理的な理由で、理不尽にボコられてしまうだろう。
 ホントは俺だって名乗りたくなんかなかった。
 夕べの兄貴はコレを、非常に大切だと語っておいでだった。

 でも、盗っちゃった。

 もちろん、軽い気持ちで盗んだ訳ではない。
 説明は後に譲るが、ちゃんとした理由があった。

 書き置きの内容も可愛く書いたし、もしかしたら兄貴も許してくれるかも知れない。
 彼はハンドルネームだけで、本質までは悪魔じゃない可能性に賭けたい。

 おっと、兄貴から電話だ。

「こらっ! あれだけ大事だって言ったのに、めさったら。ダーメっ!」

 なんかそういった、保母さんみたいな感じであろう。
 と、希望に満ちた想像をしたのが間違いだった。

「めさか!? お前あんだけ言ったのにこの野郎!」

 兄貴の器は、思ったよりちっちゃかった。

「返せ!!! 俺の大事なアレ返せ!!!!」

 俺がやっているテキストサイトでも、ここまでビックリマークを多様したことはない。
 マジで怒っていらっしゃる。

「もー、兄貴ったら。怒っちゃダーメっ!」

 なんか俺がそういう言い方になってしまった。
 我ながらキモい。
 元の口調に戻る。

「今から飛行機乗るトコなんですよ。なんか空気的には、兄貴に捕まったら大変な目に遭いそうだって解ったんで、地の果てまでも逃げることに決めました」

「何だとコラめさァ! 逃げ切れると思ってンのか!?」

 なんだろう。
 とってもとっても恐ろしいのに、なんかワクワクしてくる。
 これがルパンの気持ちなのか。

「こーれが逃げ切れンだなぁ〜、とっつぁ〜ん」

「誰がとっつぁんだ!!」

「ついでだから、金庫の中身も頂いたぜぇ〜? 飛行機代にさせて頂きます」

「お前、金まで…!」

「あ〜ばよ、とっつぁ〜ん」

 空港内でアナウンスが流れる。
 関西への便が、間もなく発進するとのことだ。

「やっべ、急がなアカン! じゃあ兄貴、すんません。また電話します」

「オメーなんで関西弁なんだよ!」

 電話を切る。
 急がな!

 でも盗んだコレ、ゲートで反応しないだろうな…。
四桁だ。

金庫の中身は四桁だったんですよ。

鍵の暗証番号じゃねぇっ!!!

現ナマで四桁万円を俺は金庫に保管してた。







空っぽですよ。








結構な額ですよ。


それをあの野郎(めさ)は「あ〜ばよ、とっつぁ〜ん」で
済ませやがった。


・・・


誰が”とっつぁ〜ん”だ!!!!!


いったい何気取りなんだあいつは!

し か も ・ ・ ・




現金はともかく俺がこんなにブチ切れてんのはアレのことだ!!




金はなんとかなる。

めさの体のアレとかあそことかそことかをバラ売りすれば
おつりが来るくらいだろう。

金よりも大事なのは”アレ”だ!

アレを盗んだ以上、俺はどんなことをしてもめさを
捕まえなければならない!

あいつのことだ・・・

今頃、余計な心配してることだろう。

きっと空港のゲートのとこでアレが反応しないかとか
アホみたいなこと考えてるだろうな・・・










反応するわけないのにあのバカ(笑)









だいたいあんなもんいちいちゲートで反応してたら
誰も飛行機乗れねっての(笑)


つうか、そんなこと心配してる場合じゃねぇな・・・


とっととめさを捕獲しに向かうか。


俺は空港に向かった。


千歳空港。

札幌から高速道路を走って40分くらいだ。

空港に到着した俺は、もういないだろうと思いつつも
めさを探す・・・












やっぱ、いねぇ。











ですよね〜。いるわわけないっスよね〜。

さっさと飛行機乗ろ。

チケットを買うときだ・・・

妙なことを思い出した・・・








「あいつ(めさ)最後、関西弁だったなぁ・・・」







まさか!? ( ̄□ ̄;)!!



・・・と思いつつも俺は羽田行きのチケットを購入した。

だって・・・









あいつの帰る場所は、なんだかんだ言っても横浜しか
ないと踏んだからだ。




この時、俺は気付かなかったのだ・・・

めさが関西弁を使ってた理由を・・・
「それって、犯罪じゃないですか! めささ〜ん!」
「そうですよ! 返したほうがいいですよ! めささ〜ん!」

 微妙にキャラがカブった小娘2名は、ピヨピヨとうるさかった。
 札束を取り出し、ひっぱたく。

「いて!」
「いたッ!」

 2人には大金をそのまま握らせ、黙らせる。

 大阪のマイミクにかくまってもらおうと思い、俺はれいんさんとeiriさんを呼び出していた。
 出会い頭、説経を喰らいそうな雰囲気になったのだが、やはり金の力は偉大だ。
 2人はあっけなく静かになった。
 元は兄貴の金だけど。

「これだけあれば、しばらく遊んで暮せると思って、タコ焼き食べに来たんだ」
「贅沢の発想がそれですか?」
「大阪バカにしてるー!」
「うっさいうっさい! いいから美味いタコ焼き屋、またはお好み焼き屋さんに案内してくれたまえ」

 とにかく今、横浜に帰るのはマズい。
 兄貴が追って来ている可能性が高いからだ。
 こういう、突拍子もない土地でほとぼりを冷ますのが良策というものであろう。

「めささん!」
「めささ〜ん!」
「うるさいな! なんなんだオメーら、そのキャラのカブり具合は!?」
「先にネカフェ行きたい!」
「ネカフェ!」
「何その純粋な瞳。そんな綺麗な目で言われたら断れないじゃないか」

 向かう先を2人に任せ、歩道を行く。

 俺は、もっとこの2人を疑うべきだった。
 ってゆうか、信じるに値しない人達だと、どうして忘れていたのだろう。
 彼女らがネカフェでミクシィにログインし、兄貴に密通するだなんて、思いもよらなかった。
 ケータイからも確認できるようにと、メッセージメールではなく、日記コメントを利用する芸の細かさだ。
 こんな酷い女達に、お金あげるんじゃなかった。
 元は兄貴の金だけど。

 さらに他の計算外が、まだあった。

 兄貴が、あんなに強烈な助っ人を要請するだなんて…。
 あの悪魔の人、さてはマジだ。
 
 こうなったら安全な逃亡生活のために、俺にも協力者が必要だ。
 さて、誰に頼む?
 この人選は重要だ。
 金に糸目はつけない、いくらでも出そう。
 そう、金の力で仲間を雇うのだ!

 元は兄貴の金だけど。

 小娘達に思いつく限りの悪口を吐いて、俺は大阪を後にする。
 タコ焼き食べたかった…。
羽田空港に到着。

俺は、めさを追って札幌から関東に来ていた。

向かう目的地は”横浜”

あのルパン気取りの盗人めさの地元だ。

空港のロビーを抜けタクシー乗り場まで俺は考え事をしながら
歩いていた・・・




(-.-;)y-~~~
しかし、あの野郎まったくもってふてぇ奴だ。
なぁにが「あ〜ばよ〜 とっつぁ〜ん」だ!
見つけたら言ってやる!
「こ〜ら〜待ぁて〜 めさ〜ん」て。





怒りのあまり俺はおかしなことを考えだしていた。





ドンッ!





考え事しながら歩いてた俺は前方から猛突進してくる人に
気付かずおもいきりぶつかった。


「どこ見て歩いてんだこのウスノロッ!!!!」


こんな罵声を浴びせられながらその場にしりもちを
ついた俺は目線を上に向けた・・・


見ると・・・


片手に包丁を持った女が・・・(汗)



「あれ!?王子!?なにしてんのこんなところでっ!?」



その女はなんと俺の悪友でマイミクの”マイマイ”だった。



俺 「・・・(汗)マイマイ!?マイマイこそこんなとこで
そんなもん(包丁)持ってなにしてんだよ!?ここ空港だぞ!?
捕まるって!!」


マイマイ 「捕まる?あたしが??なんで???」


俺 「なんでって・・・(汗)こんなとこで包丁片手にウロウロ
してたらマズイだろ!!」


マイマイ 「あ〜。コレね。そういえばそうだね(笑)
つうか、そんなことより強盗見なかった!?」


俺 「強盗??知らねーよそんなの(汗)なんで?」


マイマイ 「うちに昔、強盗入ったじゃん?あいつに似た奴が
空港に入ってくとこ見たの!」


俺 「・・・で、そいつを刺してやろうと?(汗)」


マイマイ 「うん♪」


俺 「・・・・(汗)」





驚いた奴だ。確かマイマイの家に強盗が入ったのは三年ほど
前の話である。

(参照 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=66620864&owner_id=2094341 )

その犯人の顔をまだ覚えてるとは・・・(汗)

そんなことより驚いたのはなぜマイマイがここ羽田空港にいるのか?

マイマイの住んでるのは埼玉である。



俺 「んでマイマイなんで空港にいんの?」


・・・




















マイマイ 「旦那と喧嘩して家出してきた。」












( ̄□ ̄;)!!またぁっ!?

マイマイはよく家出する。旦那と喧嘩なんてしょっちゅうだ。


俺 「・・・(汗) で、どこ行くの?」


マイマイ 「とりあえず鹿児島の実家に。」

俺 「鹿児島かぁ・・・」

マイマイ 「つうか別にどこだっていいんだけどね!(笑)」

俺 「マジ?じゃあ横浜行かない?実は・・・」






マイマイ 「あ〜!!!横浜で思い出した!!!王子、横浜じゃないよっ!!!」







俺 「?・・・なにが???」

マイマイ 「めささんでしょ!?」

俺 「なんで知ってる!?(汗)」

マイマイ 「さっき空港に来る途中タクシーの中で携帯から
ミクシィ見てたら王子のとこにれいんさんとeiriさんて人から
の書き込みあって、めささんが今、大阪にいるって!!!
なんか、めささん王子の大事なもの盗んだんでしょ!?(笑)」


俺 「マジでっ!?・・・めさの野郎〜、大阪なんかに飛び
やがって!つうか、れいんさんとeiriさんナイスだなっ!♪
めさもまさか身内から密告されるとはな(笑)なんかあいつらしいな(笑)・・・って、なんでマイマイ俺が大事なもん盗まれた
話で笑うんだよ!?(汗)











「え〜  だって笑えるじゃん。王子だし(笑)」







・・・本気で俺の不幸が楽しそうでしたこの人は。



ん?待てよ・・・



マイマイ・・・



敵に回したら最悪だけど見方に付けたら頼りになるかも・・・



俺 「マイマイ家出すんだろ?鹿児島じゃなくて大阪行かない?今から!」


マイマイ 「いくら?」






即答でした。すぐ交渉に入ってきましたこの人。





俺 「いくらってまさか金取るの?(汗)」


マイマイ 「あたりまえじゃん。どうせめささん捕まえるの
手伝えって言うんでしょ?・・・い く ら で ?」


俺 「・・・(汗)しょうがねぇなぁ・・・じゃ、こうしよう!
めさの奴、俺の大事なものの他に金庫から俺の金まで持ってった
んだよ。見事めさを捕まえたらそれ半分やるよ!いいだろ?」


マイマイ 「マジで?めささんいくら盗んでったの?」

俺 「・・・・ん〜  10万くらいかな?(汗)」


マイマイ 「ふ〜ん・・・・











一千万よこせ。」










俺 「はあっ!?なんで!?(汗)」


マイマイ 「ちゃんと知ってるんだよ!れいんさんとeiriさんが、めささんモノ凄い大金持ってたって書いてたもん!たぶん5、6千万は持ってたって。」





そんなことまで・・・(汗)

れいんさんとeiriさんナイスです(血涙)







マイマイ 「それ考えたら一千万なんて安いもんでしょ♪」





しょうがない。背に腹は変えられない。

俺は一千万でこの”最強の刺客”を雇うことにした。

俺とマイマイは再び空港のゲートに戻り大阪に向かう・・・
















ハズだったのになぜか鹿児島へ。









俺 「なんで鹿児島行くんだよ!?大阪だろ!?」


マイマイ 「つべこべ言うな!たまに地元の友達の顔みたいんだよ!それに、めささん・・・いや・・・ターゲットだから
もう”さん付け”しなくていいか。めさもう大阪から逃げてる
かもしれないじゃん!?あたしの予感では次の逃亡先は
鹿児島なのぉ!ぶつぶつ言うなら置いてくよ!」




なんてこった。

こんな理由で俺はなぜかめさを捕まえに鹿児島に。

しかし・・・




この時のマイマイの予感がまさか的中するとは、このとき
俺は予想だにしていなかった・・・


ま・・・でも・・・


結論から先に言っちゃうと鹿児島でニアミスするも俺は
めさを捕まえることは出来なかったんだけど・・・
 なんか南下。
 くすくす。

 薄ら寒いことを考えながら、電車に揺られる。
 博多ではラーメンを食べて、すぐに駅に向かった。
 昔からの読者様がいて、お会いしたいと思ったが、彼の職業が警察官だったのでやめた。
 今会って話したら、逮捕されてしまう。

 それにしても、大阪では小娘達に勉強させられた。
 インターネットは、この逃亡生活でも役に立ちそうだ。
 例えばミクシィ日記に、「今、訳あってアフリカに来ています」と書いたとする。
 するとアラ不思議、兄貴は何故かいきり立ったまま、もの凄い形相でアフリカに行ってしまうであろう。
 俺、日本にいるのに。

 同時に兄貴の動向を知ることも、ある程度ならできそうだ。
 この情報戦は重要になると思われる。

 ケータイを開いて、ミクシィに入る。
 兄貴のページを確認した。

「最終ログインは3時間以上」

 俺のトコにも兄貴の足跡がついているし、間違いない。
 兄貴もネットを利用しながら俺を追っている。

 よし、いつか嘘日記でも書いて、幻惑するか。

「鹿児島〜、鹿児島〜」

 アナウンスに反応して、俺は荷台に手を伸ばす。
 次に考えるべきは、仲間の人選だ。

 改札を抜け、道路に出る。

 やはり戦える奴が好ましい。
 俺の身代わりになってくれるような忠誠心が必須だ。
 加えてセクシーさ。
 唄って踊れるスナイパー。
 いいな。

 とそこで、俺は人とぶつかってしまった。
 考え事に夢中で、ボーっとしていたらしい。
 尻餅をつき、見上げる。

「どこ見て歩いてんだ、このウスノロッ!!!!」

 主婦だろうか。
 街中なのに、何故か包丁を持っている。
 彼女は簡単にぶちキレていらっしゃった。
 今にも襲いかからんばかりの殺気を感じる。

 防衛心が働き、俺の中で空手家としての血が沸き立った。
 体からは目に見えないオーラがゆらりと涌き出て、渦を巻く。
 俺の目が、赤く、鋭く、光った。
 ゆっくりと立ち上がり、相手の目を見る。

「やめておけ、お姉ちゃん」

 相手から発散されている気を読み、全てを把握する。

「怪我じゃ済まないぜ? 俺がな」
「はあ!?」
「勝負にならん。無益な殺生になる」
「何言ってんの?」
「一瞬でカタがつくぜ? 試すまでもないですよ。ここは1つ、穏便に済ませましょうよ。俺のためだ」
「あんたテンパって、タメ語と敬語の使い分け出来なくなってるよ?」
「とにかく謝ります。ホントすみませんでした!」

 そこで、背後から男の声がした。

「マイマイー! もう包丁買ったのかー?」

 マイマイ、包丁、聞き覚えのある声…。

「あ、王子ー! 空港で没収されたのと同じ形のがあったよー!」

 王子!?

 嫌な予感が止まらない。
 男が背後から近寄ってくる。
 冷たい汗が背を伝う。
 どうする?
 どうやってこの場を去る!?
 考えろ考えろ。
 ってゆうか、日本てこんなに狭かったでしたっけ?

 さて、結果を先に書けば、俺は驚くべき機転を利かせ、また偶然にも助けられ、無傷でこの場を脱出することとなる。
 それにしても、本当に生きた心地がしなかった。
俺は号泣していた。

鹿児島の地で鼻水まで垂らして本気で泣いていた。

別に羽田から本当に向かいたかったのは大阪だったけど
”助っ人”として雇ったハズの女が助っ人どころか
誘拐犯で無理やり鹿児島に連れてこられたからとか
そんな理由で号泣しているわけではない。



鹿児島に到着して一時間も経たないすぐのことだ・・・



俺は、この鹿児島である男と出会った。

いや・・・

正確に言うとこの男は今も俺の目の前にいる。




この男の顔を見てると俺の目からは次から次へと大粒の
涙があふれ出てくる・・・



くふぅ・・なんて可愛そうな奴なんだこいつは(号泣)



その俺を泣かせる男の名は・・・










”めそ”









”めさ”ではない。”めそ”だ。



紛らわしい名前だがもっと驚いたことにこの”めそ”・・・

見た目まであの俺が今、追っている”めさ”にそっくりなのだ。



鹿児島に付いてすぐのことだった・・・



「ったく空港の人間ってうるさいよね!なにも没収することない
と思わない!?」


怒りながらこう話してるのは飛行機乗る直前に普通に手に
持っていた包丁を没収されたマイマイだった。

逮捕されなかっただけマシだ。

そう思いながらブツブツ文句言いながら歩いてるマイマイに
俺は言った。



「取られたもんはもうしょうがねぇだろ〜。そんなにいつまでも
怒ってないでまた買えばいいじゃん包丁くらい・・・」



速攻で機嫌直った。


「マジ?それって新しい包丁を王子がまた買ってくれるって
こと?♪じゃ今すぐ買ってくるね〜♪」



俺が言いたかったのは過ぎたことをいつまでも怒るなということだ。

「買ってやる」なんて一言も言ってない。

機嫌が良くなった意味がまったくわかりません。




はぁぁぁ



深い溜め息を吐いて俺は喜びながら包丁を買いに走ってくマイマイ
の後を歩いて追いかけた。












見失いました。











あんのアマどこまで包丁買いに行ったんだ!!

戻ってきたら買ったばかりの包丁取り上げて刺してやる!!



・・・


やっぱやめた。逆に刺されるのがどうせオチだ。

あいつ(マイマイ)には勝てっこねぇ。

(-.-;)y-~~~

こんなことを考えながらテクテク歩いてると前方から
怒鳴り声が・・・

よぉく見てみるといやがりましたあいつ。

マイマイです。

また誰かとモメてます。









しかもまた片手に包丁を握り締めて(汗)









「マイマイもう包丁買ったのかー?」

俺の声を聞いたらあいつも我に帰るだろうという思いを
込めながら大声でマイマイを呼びました。

 「あ、王子ー! 空港で没収されたのと同じ形のがあったよー!」




満面の笑みでこちらを向くマイマイ。




包丁片手に笑顔の意味がわかりません。


次の瞬間でした!

驚くべき光景が俺の目の前に入り込んできたんです!

なんと・・・

マイマイとモメているのは今まさに俺が探して大阪・・・
じゃなかった鹿児島まで追ってきた、めさ本人だったのです!!


俺 「マイマイ!!めさ!めさだ!!そいつがめさだって!!!」

マイマイ 「どれ?」

俺 「それだよソレ!!目の前のそいつがめさなんだよ!!!」

マイマイ 「マジでっ!?」



慌てて逃げ出そうとするめさをなんとマイマイががっちり
キャッチ!!

やはり頼りになります勇者マイマイ!

めさの片手をがっちり握り締めもう片方の手には包丁を
がっちり握り締めたままマイマイは言いました!


マイマイ 「お前がめさか!?」

男 「め、めめ、め、めっそうもないぃぃぃ(汗)めめ、め、
めそですぅぅぅ」

マイマイ 「めっそう?めそ???」

男 「は、はい!ぼぼぼ僕は、めそっていいいますぅ(汗)」


急いで走って駆け寄る俺に振り返ったマイマイは言った・・・



マイマイ 「王子。。。こいつ”めさ”じゃないよ。”めそ”だって〜」

俺 「はぁっ!?」


この場に着いた俺は混乱しながら言った・・・


「めそぉ???なんだよそれ!違うよこいつ絶対めさだって!
いくらなんでもこんなそっくりな別人いるわけねぇだろ!・・・
めさ!オメーも諦めろ!わけわかんねぇこと言わないで・・・」


まだ俺が話してるのにめさは話だしました。

「うわぁぁぁあああ!!(泣)違うのに!まただよほんと!
俺はめそなんですぅぅぅ!いつもそう!いつもみんな俺の
ことをめさってぇぇぇ!」

まだ続きます。

「いったい誰なんですかめさってぇ!?いつも間違われるんです
よぉぉ!お前、彼女いないだろとかパソコンに名前付けてる
だろとかぁぁ!そそそそ、そうだ!・・・

この前なんかそのめさって人に間違われて自宅を知らない人に
勝手にリフォームされたんですよぉぉ!!

もう嫌だ!!もうそのめさって人に間違われる人生なんて
まっぴらだ!ししし、死んでやる!離してください!」



そう言ってマイマイの手を振り払うめそ。



マイマイ 「・・・そんなわけねーだろ。」

男 「・・・!!(滝汗)」

俺 「???」

マイマイ 「お前、絶対めさだ。間違いねぇ。」




信じられませんでした・・・
























マイマイが。











大の男がこんなに泣きながら訴えているのにその魂の叫びを
平然と無視出来るマイマイの心が俺には信じられませんでした。

俺は号泣です。

同じ男としてこんな理不尽な話はないと思いました。

違うって言ってんのに信じてもらえなくて・・・

それどころかめさと間違われるなんて・・・

本当に可愛そう。

キャラと違い情にもろく涙もろい俺は目の前のこの男の
魂をしかと受け止め泣きながら言いました・・・




俺 「マイマイ・・・違うよこの人。めさじゃない・・・めそだよ・・・」

マイマイ 「はぁっ!?マジで言ってんのぉ!?王子バカじゃない!?嘘に決まってんじゃん!だいたい王子が言い出したんじゃん
こいつがめさだって!!!」





こうなったらマイマイはとまりません。

呆れ顔で怒るマイマイを無視して俺はめそに言いました・・・




「もう行っていいよ・・・ほんとごめんね!・・・グスン。
これからも人生大変だろうけどマジ頑張って!俺・・・
俺、あんたのことずっと応援してるから!!(号泣)」




そう言うと彼は今まで泣いてたのはなんだったのかという
くらいの笑顔を見せこう言いながら俺とマイマイの前から
偶然、目の前に停まったタクシーに急いで乗り込み窓から
手を振ってました・・・


















あ〜ばよ〜 とっつぁ〜ん♪


兄貴もまだまだっスね〜♪

















・・・


・・・・(滝汗)






ブスッ!






我に返り唖然とした顔で去っていく”怪盗めさ〜ん”を
目で追っていた俺は隣にいたマイマイに刺されました。


マイマイ 「ほんっと王子ってバカッ!!!」

俺 「いってぇぇぇぇぇええええええ!!!!!!!!(号泣)」










こういったわけで俺は今・・・

号泣してるんです。





いてぇぇぇぇええ!!!!
 体中の穴という穴から色々出た。
 まさに危機一発だった。
 無事逃げおおせた今でも、まだ色々出てる。
 タクシーの乗務員の人に気づかれませんように。

 それにしても、テンパって記憶まで飛びかけているが、まさか兄貴があそこまで情にもろかったとは驚きだ。
 1杯やっていたのだろうか。
 鹿児島に限らず、「めさ」の顔なんて知られていないのだから、人から間違えられる偽者の人なんているはずないのに。
 とにかく、よくぞ誤魔化せたもんだ。

 そういえば、兄貴まで色んな穴から色んなの出してたなあ。
 理性よりも人情が勝ったということなのだろう。
 悪魔の人なのに。

 ってゆうか、あのマイマイの人は反則だ。
 噂には聞き及んでいたが、まさかあそこまでリーサルウエポン的存在だとは思わなかった。
 あんなの絶対卑怯だ。
 ドラゴンボールクラスの人に勝てる訳がない。
 威圧感だけで内臓が破裂するかと思った。
 見ただけで心を折られるだなんて、生まれて初めての体験だ。

 やはり、格闘能力に長けた仲間が必要か。

「え? 何か言いました? お客さん」
「あ、いえ。ここでいいですよ」

 おつりは要らないと告げる。
 このタクシーのタイミングも、本当に素晴らしかった。
 通りかかるのが数秒でもズレていたら、俺は今頃大霊界で迷子になっているだろう。

 さて、次はどこを目指そうか。
 目的地を決めなくては。

 俺の中で、2人の人物が浮かび上がる。
 仲間候補だ。

 空手のライバル、トメ。
 女友達のラム。

 友人の中でやたら戦闘能力が高いのはこの両者だろう。
 脳に内蔵された自分コンピューターを起動させ、検証を開始する。

 チキチキチキ、ポーン。

 トメを仲間にした場合に想定される利点。

「特にありません」

 そりゃそうだろう。
 なんせトメは俺と同じ程度の力量なんだから。
 俺がどうしても勝てない人には、トメも勝てないのが道理であろう。

 トメを仲間にした場合に想定される不利。

「資金の減りが早まります」
「兄貴に簡単に寝返ります」
「雇い主の命令に逆らいます」
「不用なトラブルに巻き込まれる確率が高まります」
「汗臭いです」
「男臭いです」
「獣臭いです」
「嘘臭いです」

 いっぱいあるな…。
 ってゆうか10年来の友達が、よもやここまで臭かったことに驚愕の色が隠せない。
 こいつはまあ、保留にしておこう。

 次にラムを検証する。

 ラムを仲間にした場合に想定される利点。

「乳がでかいので、不二子」

 なんだそりゃ。
 なんだかやっつけな検証結果だ。
 確かに不二子役は欲しいと思ってはいたが、でもキャラが全然違うじゃないか。
 乳と性別以外、共通点ないし。

 ラムを仲間にした場合に想定される不利。

「資金の減りが早まります」
「兄貴に簡単に寝返ります」
「雇い主の命令に逆らいます」
「不用なトラブルに巻き込まれる確率が高まります」
「マイマイさんと意気投合し、友情が芽生え、一致団結してあなたに襲いかかってきます」

 なんだ最後のは!?
 最悪じゃないか。
 想像しただけで臓器に来た。
 最初のほうはトメと一緒だし、駄目だあんな女。

 ふと感じるものがあって、空を見上げる。
 いつの間にか日は暮れて、気の早い星が瞬き始めていた。

 神様、俺はもしかして、友達がいないのでしょうか…。

 ふらふらと山道を行く。

 …え?
 山道…?

 我に返った。
 俺はどうやら、タクシーを降りるポイントを間違えたようだ。

「ここは一体、どこなんだー!!」

 山彦だけが、同じセリフで返事をしてくれた。
 どうしよう神様。
当然、俺は病院にいた。

そりゃそうだ。刺されたんだから。

傷はたいしたことない。腕を五針ほど縫う程度だった。










いやいや。やっぱおかしいよね。











仲間に刺されて五針も縫ってんだから。





あれからマイマイは一人で鹿児島の町に遊びに行っちゃった。


「ったく。王子、今日はこの病院に泊まんな!そして明日は福岡に
向かうよ!あたしは今晩は久々の地元だし一人で鹿児島の名産を
満喫してくるから♪」


ひでぇ奴だ。

仲間の俺を刺した挙句、自分だけ美味いもん食って明日は
勝手に福岡に向かうと言い出した。

しかも福岡に行く理由を聞くと「親友がいるから」だそうだ。

もう一回言おう。

福岡にいるのは、めさじゃない。マイマイの親友だ。
まったく今回の目的と関係ない。

俺はいったいなにをしてるんだ・・・

めさに大事なアレを奪われて・・・

仲間に刺されて・・・

せっかく捕まえれてたハズのめさにまた逃げられて・・・

また泣けてきた。

こんなんじゃテンションは下がる一方だ。

気持ちを切り替えて今夜はこの病院でゆっくり休んで
明日からまた、めさ探しだ!・・・














福岡で。











マイマイ今頃、自分だけ美味いもん食ってるんだろうなぁ・・・



俺の金で。



・・・ん?・・・


そういやマイマイ・・・


今日、俺を刺した後にポツリとおかしなこと言ってたなぁ・・・









「またつまらぬものを斬ってしまった・・・」









どっかで聞いたことあるセリフだ。



・・・



・・・・( ̄□ ̄;)!!




それ五右衛門のセリフじゃねぇか!!ルパン三世の!!




・・・(汗)



・・・まさかな。



いくら今回の件をめさ=ルパン的に発想したとしてもマイマイが
めさに寝返ることは・・・



けど、五右衛門はルパンの仲間だし・・・



ショックのあまり俺は、おかしなことばかり考えていた。
「いやあ、ホント助かりましたよ。ありがとうございます」

 安堵感から、自然と笑みが漏れる。
 右手の運転席には、気の良さそうな女性がハンドルを握っている。

 山道で泣きそうになってから数時間。
 たまたま通りかかったトレーラーを駄目元でヒッチハイクしたところ、なんと停車して頂けた。
 旅先で触れる親切とは良いものだ。

「でも珍しいねえ。あんな山ン中で歩いてるなんて」
「いやあ、お恥ずかしい。のっぴきならない事情がありまして」

 闇夜のカーブを、トレーラーはすいすいと進んでいく。
 この女性、かなりの運転技術だ。
 俺は免許を持っていないが、仕事でトラックに乗ることが多い。
 だから解る。
 そこらの男なんかより、この人のほうがよっぽど運転が上手だ。

「ところで、めささんでしたっけ? どこまで乗っけて行けばいいかな?」
「あ、それは街だったらどちらでも」
「いいよいいよ。進行方向で良かったらだけど、都合いいトコまで乗ってなよ」

 なんて優しい人なんだ。
 さぞかしご友人などにも恵まれているに違いない。

「いやあ、恐れ入ります」
「いいよ、かしこまらないで。で、どこまでがいい?」
「実は行く宛てもない旅の途中なんですよ」

 まあ、嘘ではあるまい。

「なので、本当にどこでもいいんですよ。強いていれば、遠ければ遠いほど好都合なんですけど」

 やはり兄貴達がいる鹿児島からは遠ざかりたい心境だった。

「ふうん」

 彼女はタバコに火をつけた。

「あたしさ、さっき仕事終わって、地元に戻るトコなのね? 福岡なんだけど、そこまで乗ってく?」

 彼女は「到着、明日になっちゃうけど」と付け足した。

「全然構いませんとも」

 お礼にと、宿代や食事代は自分に持たせてくれと申し出る。
 どうせ兄貴のお金だし。
 本当は大金をそのままお渡ししたいぐらい感謝しているのだが、いきなり札束なんて取り出したら怪しまれるだけだろう。
 彼女は最初、さすがに遠慮していたが、それではこっちの気が済まないからと説得し、どうにか納得して頂いた。

 山道の風景は相変わらず似たようなもので、これはもしかして永久に続いたりしないだろうな、なんて心配をしていると、彼女のケータイが鳴る。

「おー! 何やってんのあんた、久し振りじゃん!」

 どうやら友人かららしい。
 ずいぶん懐かしがっている。

「え? 明日? うっそマジで!? あたし、ちょうど明日は家にいるのよ」

 楽しそうに話を弾ませている。

「せっかくだからさ、飲みにも行こうって!」
「午前中には多分帰れるから、昼以降かな」
「ってか何年振りよー!」

 彼女の喜びが伝わってきて、つい俺まで微笑ましい気分になる。
 電話を切る際の一言には一瞬身構えてしまったが。

「うん。じゃあ明日、楽しみにしてるね。はーい、マイマイもね」

 お姉さん、今、マイマイとおっしゃいました?

 勝手に呼吸が止まり、魂だけでも脱出しようとか自殺を考えたりなんかして、とにかく内心でうろたえた。

「あ、ごめんね。昔っからの友達でさ」

 彼女がケータイを畳んだ。

「ああ、いえいえ。お構いなく」

 言ってどうにか呼吸を整える。
 大丈夫だ。
 大丈夫。
 いくらなんでも、そんな嫌な奇跡が連続してたまるか。
 マイマイってあだ名の人は、きっとこっちでは大勢いらっしゃるのだろう。
 そうそう、だいたい、向かう先は福岡だし。
 今、兄貴達は鹿児島だし。

「どうしたの? 顔色悪いけど、酔った?」
「あ、大丈夫です」
「気持ち悪くなったら言ってね」
「ありがとうございます。でもマジで大丈夫ですから」

 半分、自分自身に言い聞かせたようなものだった。
 マジで大丈夫です。
 心配ないです。
 あっちのマイマイとこっちのマイマイは別人です。

 トレーラーは相変わらず優雅に進む。
 この山を抜けたら、今夜はビジネスホテルで1泊するのだそうだ。
 せっかくお金もあるし、恩人には奮発しまくろうと、俺は密かに計画した。

 大丈夫です。
 ホント心配ないです。
ちっきゃげ。

いったいなんなんだソレは。

病院のベットでおとなしく横になっているとマイマイから
電話がかかってきた。



「王子〜 傷の具合どう〜? 治った〜?(笑)」



治るかバカ。

刺されたの数時間前だぞバカ。

電話の向こうでほろ酔いなのか楽しげにマイマイは続ける。



「明日は福岡だからな〜♪明日に備えてさっさと寝ろよ〜(笑)
昼間、話した例のあたしの親友って実は、くるみのことですよ〜だ(笑)あ〜 明日はくるみに会える〜 楽しみ〜♪ 
なんかさっきくるみと話したら今、バイトでトレーラー乗ってる
んだってさ〜(笑)似合わないよね〜(笑)」



しらねぇよバカ。

くるみは、わかるけどそんな話はどうでもいいよバカ。


一人で酒飲んで楽しそうなマイマイはまだ話し続ける・・・



「王子〜 ちっきゃげ美味いよ〜♪最高〜(笑)」



もう頭に来た!

俺がありえない怪我して一人寂しく病院で枕濡らしてるときに
このアマ!

だいたい、ちっきゃげってなんだ!?



俺 「マイマイ!いいかげんにしろよコラ!だいたい誰のおかげで
俺は・・・



















ツーツーツー











切られてました。

一方的に自分の言いたいことだけ言って電話切りやがり
ましたあの女。

しかし、”ちっきゃげ”てなんだろう???

美味いって言ってたくらいだからなんか食い物なんだろうな。


ちっきゃげ・・・

ちっきゃげ・・・



ちっちゃげ・・・



ちっちゃげ!?・・・



はは〜ん。わかったぞ。 (-.-;)y-~~~

小さげに見えるけど実は大きいみたいな食い物だな!?

だから、ちっちゃげでちっきゃげ。





クスクスクス。




へんなのぉ鹿児島って(笑)




あとから考えたらきっと”へん”なのは俺です。

半ばヤケになってこんな馬鹿げたことを考えていたらまた
俺の携帯が鳴りました・・・


ん?

メールか。


ん?・・・


めさじゃねぇか!!!!!


メールの送り主は、あの憎きめさでした!!!

しかもご丁寧に写メール!!




「兄貴。今日は逃がしてくれてありがとう(ハート)
お前は本当にいろんな意味で兄貴みたいですね(笑)
ところで話は変わりますが今、俺はアフリカです。
あの後アフリカでエンジョイしてたら素敵な日本人女性と
知り合っちゃった♪名前聞きたい?ん〜、しょうがないですね
お前は。その素敵な女性の名前はくるみさんていうの。
言っとくけど妄想じゃないですから!!現実。うん現実。
今夜はくるみさんと将来の夢とか語っちゃおうかなぁ♪
じゃ、そうゆうことであ〜ばよ〜 とっつぁ〜ん(笑)」





・・・


ぬぉぉぉおおおお!!!!!!!(激怒)



あの野郎!!なにがアフリカだ!!

いくら俺でもそんな馬鹿げた話に引っ掛かるかっつうの!!

どんだけのジェット機に乗りゃ、こんな短時間でアフリカまで
行けるんだっつうの!!

ほんとあいつはバカだ!!!

あいつの頭の中身なんて絶対、大きそうで・・・





ちっちゃげだ。




クスクスクス。



いかんいかん。笑ってる場合じゃない。

それにしてもあの一生独身貴族のあの、めさが女と仲良くとはなぁ・・・

その、くるみさんて人もホント・・・




・・・(汗)



くるみぃ!? ( ̄□ ̄;)!!



まさかあのくるみか!?・・・



んなわけねーか。 (-.-;)y-~~~





そんなことを考えながら俺は深い眠りに入っていった・・・

しかし神様というのは面白いことをしてくれる。

この日めさが出会った”くるみさん”は本当にマイマイの
親友のあのくるみだったのだ。

これも驚いたがもっと驚いたのはこの馬鹿げたメールに
添付してきた画像だった。

その画像にはこんなもんが写っていた・・・






アフロのヅラをかぶっためさが俺の見知らぬ黒人と仲良さそうに
肩を組みホテルのロビーみたいなとこでおどけている
様子が・・・
 さすがに暑い。
「めっちゃ南半球です!」って感じだ。

 アフリカ空港を降り、俺はどっかの共和国を訪れていた。
 ふと思い立って、来ちゃったのだ。
 初の海外旅行。

 紫外線から逃げるようにして、木陰に入る。
 こってりと日に焼けたキリンやら像を眺めながら、俺はタクシーを拾おうと目を凝らす。

 いた。
 2マイル先にタクシー発見。
 手を挙げた。

 タクシーは、探す時間よりも、手を挙げてからのほうが時間がかかるというアフリカのことわざ通りだった。

 すっかりボロボロになったアフリカナンバーのタクシーが、やっと停まる。
 運転手には、俺のつたないアフリカ語がギリで通じたようだ。

「アニョハセヨ?」
「イエース、アニョハセヨ。マサイ族の村までお願いします」
「ハッハー! いつかそういう客を乗せる気がしていたゼ! 今日は飛ばすぜェ!? しっかりつかまってな!」
「シェイシェイ」

 勢い良く発車する。
 ウイリーの衝撃で、タクシーの屋根が飛んだのには驚いた。
 オープンカーに早変わりだ。

※CGは一切使用していません。

 快適。
 乾いた風が頬に気持ちいい。

 揺られること数時間。
 アフロの運転手はボブと名乗り、俺とはすっかり仲良しになった。
 タクシーからは、本物の赤道が見える。

「ねえボブ。赤道って、本当に赤いんだね。初めて見たよ」
「そりゃそうさボーイ。なんせ『赤道』だからな。読んで字の如しさ」
「ハッハー! ナイスジョーク、ボブ!」
「いや、別に冗談じゃない」

 マサイ族の村まで、あと16時間。
 何気ない談笑を交えながら、タクシーは進んだ。
 ボブにはあとでチップをはずもう。

「おや?」

 ふと人影のような物が、遠くに見えた気がした。
 もしかして、あれは誰か倒れているんじゃないか?

「へいボーイ、どうした?」

 ボブの声すら耳に入らず、俺はつい夢中になって
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「ずいぶん夢中になってるね」

 運転席の彼女が、前を見たままで感心した。
 俺はケータイから顔を上げる。

「ああ、すみません」
「え、ああ。いいよ別に」
「もうすぐ終わりますから」

 再び、視線をケータイに落す。
 どこまで書いたっけ?

 今横にいる優良ドライバーは、もちろんボブじゃない。
 くるみさんという名前だった。

 そうそう、くるみさん。
 そのくるみさんがアフリカで倒れているところを、俺が助けるシーン、そこを書くところだった。

 以前思いついた嘘日記だ。
 こいつをミクシィにアップするば、兄貴はまんまと日本を離れ、何故かマサイ族と仲良しになるであろう。
 さっさとアフリカに行ってしまうのが良いから、あとで神経を逆なでするようなメールでも送っとくか。

 ケータイからなので時間がかかったが、出来上がった日記は完璧な出来映えだった。
 読み返すと、アフリカの風景がリアルに思い描ける。
 凄い俺。
 見事なまでの再現だ。
 我ながら自分の才能が怖い。

「ふう〜。お疲れ様。山道抜けたよ」

 くるみさんが、疲れているのは自分のくせに、言った。
 お疲れ様です、と俺も返す。

 平坦な道路はやがて街灯の割合が増え、徐々に賑やかになっていく。
 街が近いのだ。

「おや?」

 ふと人影のような物が、遠くに見えた気がした。
 もしかして、あれは誰か倒れているんじゃないか?

「どうしたの?」

 くるみさんの声すら耳に入らず、俺はつい夢中になって
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「また夢中になってる」

 くるみさんがジョッキを置いた。
 可笑しそうに笑っている。

「誰かにメール?」

 俺はケータイを仕舞った。

「ああいえ。こっちは純粋に自分のための日記です」
「ふうん」
「でも彼、死んでなくて良かったですね」

 先ほど助けた外国人に目をやる。
 彼が派手なオレンジ色のシャツでなかったら、気づかなかったところだ。
 体格の良い黒人で、日本語は一切通じない。
 身振り手振りとカタコトの英会話で、どうにか渡り合えた。
 名前を聞いたはずだが、さっき俺が書いた嘘日記のせいで、彼はもはやボブにしか見えなかった。

「行き倒れなんてね」

 くるみさんがお代わりのジョッキに手を伸ばす。

「珍しい。ってゆうか、初めて見た」
「俺もっす」

 ボブは満腹になったようで、上機嫌だ。
 何やら唄っているところを、ホテルの人に注意された。
 おかげでロビーは賑やかだ。

「そうだ」

 ふとアイデアが出て、立ち上がる。

「ちょっと買い出しに行ってきます」

 パーティグッズ屋さんがまだ開いていたから、アフロのヅラが売っているはずだった。
 そいつをボブに被せれば、アフリカナンバーのタクシー乗務員に早変わりだ。

※CGは一切使用していません。

 そこを撮ってムカつきメールに添付すれば、怒り狂った兄貴はマサイの村へ一直線。
 くすくす。
 完璧。

 半分スキップのような歩調で、ヅラを買いに出る。

 このあと俺は、調子こいて飲んで、せっかくのヅラを何故か自分が被り、これでいいやと妥協してメールを出し、爆睡こいてしまうとはさすがに予想していなかった。
 さらにボブが実は泥棒で、命がけでガメた兄貴の宝物と、ゴールド免許入りのくるみさんのサイフを持ってっちゃったなんてことは夢にも思うはずがない。

 でもまあ、このトラブルのおかげで、考えうる限り最も強力な仲間が出来るのだから、結果オーライなのだけれど。
 それにしても、つくづく波乱万丈だなあ。
「そんなパス決めれんのロナウドか俺しかいねぇだろっ!!!」



・・・

こんな変な寝言を大声で叫んだ自分にビックリして目が覚めた。

今日はこれから福岡かぁ・・・

まずはマイマイに連絡してみよう。

いったいあいつは朝までどこをほっつき歩いてたんだろう・・・

携帯電話を手に取るとマイマイからメールが・・・











くるみがゴールドを盗まれたらしい!
何ゴールドなのかわかんないけど困ってるみたいだから
先に福岡に行ってるから!
王子も目が覚めたらすぐに福岡に来て!









(-.-;)y-~~~ ・・・

寝起きの悪い俺だがこのメールを見て今度こそ目が覚めた。

ゴールドってなんだ??

マイマイもマイマイでなにをそんなに慌ててんだ??

あいつらにとって、そのゴールドってのはそんなに大事
なのだろうか??

あいつらドラクエで言ったらなんなんだろ??



とりあえず俺は着替えてすぐに病院を出た。



目指すは福岡!

高速バスで鹿児島からだと4時間程らしい。

くるみにお土産を買った。

八百屋で。 ほうれん草を。

それを入れた袋にマジックで”薬草”と書いてやった。


ゴールドなくしたんならせめて体力だけでもと思い
シャレのつもりで買ってみた。

バスに乗りいざ福岡へ!

道中あまりにも退屈で俺は眠りこけてしまった・・・









めさ 「そいつですマイマイさん!捕まえて!」


マイマイ 「なに!?こいつかぁ!!」


ブスッ!!


めさ 「あ!・・・・マイマイさんなにも刺すことは・・・(汗)」


くるみ 「やったぁ♪さすがマイマイ!」


マイマイ 「いやぁ、これもめさのおかげじゃん♪喜べめさ!
今回の手柄は、めさだから特別に仲間になってやる!王子の金も
これからは一緒に使い放題だ!(邪笑)」


めさ 「えぇぇぇぇええええ!!!」













・・・

なんだこの夢(汗)



まったく意味のわからん夢から目が覚めると俺を乗せたバスは
福岡に着いていた。

さて・・・着いたは良いがどこに行けばいいんだ俺?


取り合えず駅のベンチに座り一服する。

(-.-;)y-~~~

めさ今頃どこかなぁ・・・



そんなことを考えていた俺には、さっきの夢がまさか正夢に
なるだなんて予想すらしていなかった・・・
 てんやわんやだ。
 くるみさんの親友でいらっしゃるマイマイさんは、あのマイマイさんと同じ人だった。

「あー! めそ!」
「げえ…! マイマイさん…! 兄貴と一緒にアフリカ行ったはずじゃ…!」
「え? 2人とも何? 知り合いだったの? アフリカって何?」
「知らないよアフリカなんて! ってゆうかくるみ! 何ゴールド盗られたのよ!?」
「ゴールド…? っつーか兄貴よォー! ミクシィ見ろよォー!」
「マイマイ! そっちのゴールドじゃないから! 架空の通貨盗まれたと思って血相変えて来た訳!?」

 混線し過ぎだ。
 今朝からの話を整理する。

 行き倒れ詐欺師ボブ。
 彼は、俺とくるみさんから、色々大事な物をパクって姿を消した。
 マイマイさんはその知らせをメールで受けて、1人、心配して飛んで来たという訳だ。
 兄貴は何故か怪我をして、病院にいるとのことだった。
 院内で無闇にケータイを使ったら叱られるはずなので、彼はログインしていないのだろう。

「とにかく警察!」

 くるみさんが立ち上がった。
 同感だ。

「今めそをやっつけたとしても、王子の宝物ないし、しょうがないか」

 平成の人斬りミセス・マイマイも同意し、包丁を仕舞ってくれた。
 ってゆうか、めそじゃないです。
 めさです。

 チェックアウトし、表に出る。
 俺の現金、ってゆうかホントは兄貴のお金だけど、とにかくそれはさすがに肌身離さなかったので、ボブにパクられずに済んでいた。
 そのことは本当に助かった。

 行き倒れたボブを助けようと最初に言い出したことに責任を感じ、俺はくるみさんに詫びを入れる。
 すると彼女は快く「それは関係ないって。ところでボブって何よ」と笑ってくれた。
 そっか。
 ボブというのは俺個人のイメージでつけられた名前だった。

 不穏な気配に目をやると、マイマイさんが仕舞ったはずの包丁を取り出している。

「そのボブって男の特徴は?」

 姉さん、目の光を押さえて下さい。
 今まさに交番に行くトコです。
 これでは自首みたいなことになってしまいます。

「いいから! そのボブってどんな奴よ」

 あ、はい、すみません。
 体格のいい黒人で、派手なオレンジ色のシャツを着ています。
 ヅラもなくなっていたんで、今頃アフロかと。

「結構目立つ格好なんじゃない」

 行き倒れのフリをするって作戦だろうから、地味だと困るんだと思います。
 とにかく刃物を仕舞ってほしいかと存じます。

「ふうん。派手なオレンジシャツでガタイがいいアフロの黒人かあ…。あんな感じ?」

 マイマイさんの指先を目で追う。
 ビルとビルの間に、ボブが倒れているのが見えた。

「そうそう! まさしくあんな感じですよ!」
「へえー! それにしても派手だねー」
「でしょう? あれならすぐに見つかりますよ」

 くるみさんも話題に参加する。

「まともなこと言っていい…?」

 ええ、気持ちは解ります。
 たった今、ちょうど俺も気がついたところです。

 細かい描写をするよりも早く、ボブを発見した展開に驚いたが、でも見つけちゃったんだからしょうがない。
 ここまで簡単に見つかるぐらいならお前、最初っから余計なことするな!
 俺の仕事が増えちゃうでしょ!

 俺はボブを指で差す。

「そいつですマイマイさん! 捕まえて!」
「なに!? こいつかぁ!!」

 マイマイさんは、ボブを包丁で刺した。

 何故刺す。
 信じられない。

「マイマイさん、何も刺すことは…」

 恐る恐る声をかけた。
 マイマイさんは返り血を浴び、こちらにガッツポーズを取っている。
 ひい。
 なんか似合ってる。
 ここまで包丁の使い方を間違える主婦も珍しい。

「やったぁ! さすがマイマイ!」

 ひい。
 くるみさんまで喜んでいらっしゃる。
 彼女も実はそっちサイドの人なのか。

「いってェよオメーらよ〜。マジかよ〜。もっとやんわり捕まえてくれればいいのによ〜。日本のほうがスラムだよ〜」

 ボブはフトモモから血を流しながら、流暢な日本語で苦痛を味わっている。
 こいつ、日本語ペラペラじゃん。
 そんなボブを尻目に、マイマイさんは満足げだ。

「いやぁ、これもめさのおかげじゃん!」

 いえ、あなたの斬撃のおかげです。

 それよりも、場所を変えるべきだと思った。
 通行人の人の視線に絶えられない。
 派手なシャツを着た、マタギみたいな体格の、アフロの黒人。
 そんなバラエティ番組みたいな奴が血だらけだったら、俺だったらめっちゃ見る。
 結構血が出ているボブを引きずって、そこにあった公園に移動する。

 あとで聞いた話によると、兄貴はこのことを夢で見ていたらしい。
 彼は嬉しそうにエスパーづらで語っておいでだったが、しかし現実は少々異なる。

 ボブから取り戻せたのは、くるみさんのサイフだけだったのだ。
 兄貴の宝物はしたがって、まだ手元にない。
 アレは頑丈な箱に入れてあって、ゴツい鍵までかかっている。
 どうやっても開けられなかったからと、ボブは諦めて土手に捨てやがったのだそうだ。

 これは兄貴に内緒にしておかなきゃ。
 でないと本当にマジ殺される。
 知られただけでジ・エンドであろう。

「マイマイさん」

 俺は斬り姫に、真剣な顔を見せる。

「一緒に土手まで探しに行きませんか? ここは1つ、共同戦線ってことで」
「うん、いいよ」

 思いの他良い返事を頂けた。
 というか雰囲気的に、マイマイさんから敵意が感じられなくなっている。

「むしろ、このまま兄貴を裏切っちゃえば…? なーんちゃって。そりゃさすがに、ダメですよねえ…?」

 怖がりつつも冗談めかし、反応を見る。

「え〜、それは…」

 やはりそこは兄貴との友情などもあるのだろう。
 さすがにマイマイさんは悩んだ風だ。

「あたし、王子から1千万で雇われてるんだよねえ。めさを捕まえたら礼金として貰うことになっててさ〜」
「ならこっちは即金で2千万出しますよ。今渡せますし」
「めさ行くぞ! あたしについて来い!」

 最強の仲間誕生だ。

「あとで連絡入れますんで」とくるみさんに言い残し、俺はマイマイさんと一緒になってボブを引きずり、土手を目指す。
 そういえば、五右衛門も最初はルパンの敵だったよなあ。
 姉さん、どこまでもお供します。

 俺が手下みたいな感じになってるけど、まあいいか。

 退院した兄貴が何故かホウレンソウを持って、こっちに到着しただなんてことは、俺は当然まだ知らない。
 病院から出たら、兄貴は凄いスピードでアフリカ行くと思ってたんだもん。
 仕方なし。

 さあて、これから土手で宝探しですよー。
困っていた・・・


俺は本当に困っていた。

微妙に体も震えてる。

武者ぶるいなのか・・・それともただの恐怖なのか・・・









福岡に着いた俺は駅のベンチからマイマイに電話してみた。

福岡に入ったのは良いがマイマイやくるみがどこにいるのか
全くわからないからだ。

なぜかめさじゃなくマイマイを探す旅になってる。

・・・出ない。

何度、電話してもマイマイは電話に出ない。

いったいなにをしてるんだあいつは?(汗)

しょうがないので今度はメールを送ってみる・・・



福岡に着いたぞー。
どこ行けばいい? もうくるみと一緒?



すぐには返事は返ってこなかった。

これじゃあ動きようのない俺は、しょうがないのでマイマイからの
返事を待つ時間を潰すために携帯をイジッていた。

細○数子の携帯サイト・・・

今日の俺の運勢は・・・









大殺界。








うおっ!(汗)

気分悪いなぁ・・・あ!・・そうだ!・・・ミクシィ見てみよ♪

あのバカ(めさ)のことだ。きっとおかしなコメント書いてる
に違いない!・・・

(-.-;)y-~~~


・・・



・・・



・・・(汗)



あいつ本当にバカ???

いくらなんでもアフリカは、ねぇだろ!?

もうちょっとマシな嘘書けよなぁ・・・(-.-;)y-~~~

ついでだからコメント書いとくか・・・








おのれ、めさめぇ!!(怒)アフリカで待ってろ!!!








これでよし。あいつもこれで俺が騙されたと思って一安心するだろ。

余裕こいて安心してプラプラしてるあいつを必ず見つけ出してやる!!(邪笑)

(-.-;)y-~~~

・・・


・・・


しかしめさの奴・・・ちゃんと飯とか食ってんのかな?・・

キャバクラの姉ちゃんとかに騙されて有り金、奪われてねぇだろうなぁ?・・・

おっちょこちょいだからなぁ・・めさは・・・

はぁ・・・しんぱ・・・って俺がめさを心配してどうする!!!



いかんいかん。



アレを盗まれてからどうも変にめさのこと考えてしまう(汗)

それもこれも全部めさのせいだ!!

必ず見つけ出して奪い返さなきゃ!




こんなことを考えながら携帯をイジッてたらメールが・・・



マイマイだ!

なになに・・・ (-.-;)y-~~~












王子の大事な宝物は頂いた。
ついでにめさも頂いた。
文句あるか!刺すぞ!













・・・( ̄□ ̄;)!!

なんで!?いったいどうゆうこと!?




混乱する俺に続けてまたメールが!・・・













兄貴。アフリカどう?マサイ族いた?
説明するの面倒だから結論から言いますね。
マイマイさん頂きました。
あ〜ばよ〜 とっつあ〜ん










・・・

( ̄□ ̄;)!!はあっ!?

マイマイを頂いたぁ!?

つうことは・・・














あいつらヤッちゃったの!?(滝汗)









やるなぁ、めさ(汗)よりのよってマイマイとそうゆう関係に
なるとわなぁ・・・

(-.-;)y-~~~





激しく勘違いしていた。 俺は。

なぜそうなったのかは、わからんがとにかくめさとマイマイは
男と女になっちゃったと。




なんか胃が痛い。




バカバカしい勘違いで呆然としながら俺は、くるみへのお土産に
買ったハズのほうれん草をカジった。




いろんな意味でショックだし薬草食お。 (-.-;)y-~~~




ま、いいか。

どっちにしろめさは捕まえなきゃいけないわけだしもし
マイマイが本当にめさの見方になってるとしても・・・


しても?・・・


いや無理だ。


あれ(マイマイ)を敵にまわすのは怖すぎる。

しょうがない・・・

マイマイ対策にあいつを呼び出すか・・・

勝てないだろうけど俺の身代わりくらいにはなるだろう(邪笑)

まずは、めさを追うか。





俺の次の行き先は決まった!





実はミクシィを見てるときある書き込みに目を奪われていたのだ。

その書き込みは、こうあった・・・











悪魔王子さん!めささんの次の逃亡先は長野です!

たぶんですけど・・・。

めささんを長野におびき寄せるので捕まえに来てください!(笑)












信じてみようこの人を。

どっちにしろ現段階では、めさの居所わかんないんだし。

こうして俺は長野に向かうことにした・・・






ちなみにくるみなんだが彼女はボブに奪われたサイフを手にした後
マイマイとまたの再会を約束し帰っていったそうだ・・・
「なんで貴様まで一緒に来るんだボブ」

 負傷したフトモモを包帯でぐるぐる巻きにして、ボブは後から一生懸命着いてくる。

「だってオメーよぉ〜、俺がパクったその箱の中身、気になるじゃねえかよ〜。ってゆうか俺マジ、ボブなんてコテコテな名前じゃねえンだよ〜。俺の名は――」
「うるさいボブ」

 どうやらボブは、兄貴のコレをとんでもない財宝か何かだと連想しているらしい。
 中身が何なのか教えてくれと、ずっとしつこい。

「頼むから教えてくれよぉ〜。ちょっと教えてくれるだけでいいのに俺、輸血が必要な体引きずってます」
「なんで実況した!?」
「ふう。しつこいなあボブ」

 マイマイさんの目が残酷な光を放つ。

「無事なほうの足も刺してやろうか」

 ひい。
 ボブと俺は思わず互いにしがみつき、一緒になって震えてしまった。

 くるみさんに別れを告げた俺達は今、長野県を目指している。
 まずは新幹線に乗るべく、駅に向かっていた。
 きっかけは、マイミクのもるさんがくれたメールだ。

「めさちゃん、元気? ミクシィ見てるよー。なんだか大変なことになってるみたいだけど大丈夫〜? 悪魔王子さんにもう捕まっちゃった? もしまだなら、かくまってあげようか? マグロも待ってる!」

 マグロか、いいな。
 さすがもるさん、クラリスレベル。
 なんて気が利く女性なのだ。
 以前マグロで満腹になるために横浜から長野へと旅立ち、海から遠ざかった過去を思い出す。
 長野のお店でマグロ食べ放題を開催していたのだから、しょうがない。
 あの時のマグロは絶妙な美味さだった。

 駅に着くと、俺はマイマイさんの切符も買い、ホームに進む。
 振り返ると、びっこを引きながら、ボブまで切符を購入していた。
 このド派手な偽アフロ、どこまで着いて来る気だ?
 あの箱の中身は誰にも教えられない理由があるのに、なかなか健気な男だ。

 新幹線を待つ間、俺はケータイを開く。
 ミクシィのチェックだ。

「新着コメント1件です」

 赤い文字をクリックする。
 例のアフリカ嘘日記だった。

「おのれ、めさめぇ!!(怒)アフリカで待ってろ!!!」

 ふはははは!
 兄貴、まんまと引っかかってるー!
 おばかさんじゃん!
 笑いが止まらん。
 意外とウブなボウヤだぜ。
 でもまあ、それだけ俺の描いたアフリカがリアルだったということか。
 自分の計算高さが我ながら怖い。
 行ってらっしゃい、兄貴。
 関係者が誰1人としていない大陸にね!
 くすくす。
 日に焼けてしまえ。

 俺コンピューターの性能は、自分でいうのも何だが、本当に計算高い。
 天才とは、間違いなく俺のために発明されたような言葉だ。
 長野行きの目的は、兄貴からかくまってもらうためでは最初からない。
 何せ兄貴は今やアフリカ大陸で、マサイ族と肩でも組んで、狩りか何かの野蛮な話題で大いに盛り上がっているに違いないからだ。
 ひょっとしたら求婚ぐらいされているかも知れない。
 下手したら籍を入れて永住してしまうだろう。
 しかしもちろん、そこまでいかない可能性だって少しはある。

 長野には、兄貴が帰国した時のための保険をかけに行く!

 思い出すのは、以前俺コンピューターが弾き出した、ある回答だ。
 ラムを仲間にどうかと悩んだ時、デメリットとしてこんな結果が算出された。

「マイマイさんと意気投合し、友情が芽生え、一致団結してあなたに襲いかかってきます」

 今、そのマイマイさんは俺の仲間なのである。
 笑いが止まりません。
 人生楽勝じゃね?
 ラムがいるのも、長野なのだ。

 満面の笑みを浮かべ、マイマイさんに目をやる。
 彼女もケータイをいじっていた。
 聞けばマイマイさんは、兄貴にメールで宣戦布告を打ったのだと言う。
 じゃあ俺もと、再びケータイを開いた。
 アフリカ、圏外じゃなければいいな。

 新幹線が到着する。
 幸先の良い未来しか見えず、俺は本当に幸運なのだと勘違いしていた。
 おばかさんは、実は俺のほうだったのである。

 兄貴の仲間が簡単に俺に寝返ったのと同じように、俺の仲間も呆気なく裏切りかますという、嫌な法則。
 俺も兄貴も同じぐらい人徳がないが故の、人を凹ませる法則が、確かに存在しているのだ。
 そのことに、俺は全く気がついていなかった。

 もるさんは、「ミクシィ見てるよー」とメールに表記していた。
 ならば当然、あの嘘日記も読んでいたはずだ。
 それなのに彼女は何故騙されず、俺が日本にいるという前提でメールを送ってきたのか。
 もるさんは正義の味方、つまり泥棒である俺からしたら、敵なのではないか。

「マイマイさん、お願いだから包丁仕舞って下さいよ」
「主婦の魂、そう簡単に引っ込められるかっつーの!」
「いや引っ込めろよオメーよぉ〜。お前の刃物が傷つけたのは俺のフトモモだけじゃねえンだからよぉ〜。もう俺、包丁トラウマだよぉ〜」
「ボブお前、日本語上手いなー」

 新幹線は一見奇妙な3人組みを乗せ、時速、えっと…。
 とにかく凄いスピードで長野のほうに向かい、進む。
 到着予定時刻は、ううんと、えっと、何時だろ?

 俺コンピューター、駄目じゃん。
長野に向かう前、福岡から俺は”長野決戦”に向けて
ある準備をするためうちの従業員に電話していた・・・

「(-.-;)y-~~~ ああ、俺、俺。俺の車のトランクに積んである
黒いバッグあるだろ?アレを至急、長野の○○ホテルに郵送してくれ。」


俺が長野でめさを見つけた際、一番やっかいなのはマイマイである。


まずはマイマイをなんとかしないと俺はめさに近づくことさえ
出来ないだろう。

しかし相手は百戦錬磨の強豪マイマイだ!

接近戦ではまず勝ち目はないだろう・・・

そう考えた俺はある程度の距離を保って一方的にこちらから
攻撃する作戦を考えた。

うちの従業員に送らせたのは俺が愛用してる武器である。



改造エアーガン(電動)



たかがおもちゃと言ってバカにしてはいけない。

俺の自慢のこの銃はその改造費に10万円以上かけた代物だ。

もはやおもちゃの領域を越えているこのマシンの威力は
カラスくらい簡単に撃ち落す。

大きな声じゃ言えないが以前、間違って近距離からブッ放したら
害鳥を撃ち殺してしまったほどの威力だ。

いつか鹿を撃ってみたい。

そう思うほどの威力を込めているのだ。


こいつがあればマイマイも怖くな・・・・


・・・


いや、やっぱ怖い。


マイマイだけは別格だからな。

やはり保険が必要だな。

もし俺が狙撃に失敗したときのためにやはり、あいつの”腕”が
必要になってくるな・・・

俺に銃を薦め自分自身も”スナイパー”としての実績のある
あの男を呼び出すか・・・

あいつの腕なら間違いなくマイマイを仕留めること出来るだろ。

あいつがマイマイを狙撃した後に俺が別の方向からめさを
撃つ。

その場に倒れこんだめさを更に至近距離からブッ放し意識を
なくしためさの手足を縛りどこかの山にでも連れていって
首だけ出して埋めてやろう。

そしてそのめさの頭の上に空き缶でも乗せて銃の的にでもしてやるかぁ(邪笑)

ニヤニヤしながら俺は”あいつ”に電話をかけた・・・




出ない。




メールが来た。




今、新幹線の中だから電話出れないからチョット待って!
トイレからかけなおす!




(-.-;)y-~~~新幹線?あいつどこにいるんだ?札幌じゃないのか?




電話が鳴る・・・かけてきたのは今メールを送ってきたばかりの
俺の相棒”もうやん”だ!・・・




もうやん 「おう、どした?」

俺 「どしたっつうかなんで新幹線に乗ってる!?今どこ!?」

もうやん 「今?・・・





わからん。




とにかく長野に向かってるのは間違いないぞ。」




俺 「長野!?なぜそんなとこにいる!?仕事!?」

もうやん 「いや。まあ仕事っつうかいつものアレだ。買取の査定
行ってくる言って軽く旅行に出てみたんだ(笑)」

俺 「マジかよ(笑)で、なんで長野?どこから長野に向かった?」

もうやん 「福岡からだな。福岡でチョットしたいたずらしてたら
長野に行かなきゃならなくなった(汗)つうかチョット聞いてくれってぇ!!」

俺 「なに?なした?」

もうやん 「俺、刺されてよぉ!!話せば長くなるんだけど・・・」






本当に長くなる話だったから省略して説明しよう。

俺の友人でマイミクでもある”もうやん”は暇潰しに福岡になんとなく遊びに行ったらしい。

理由は行ったことなかったから。

そこでいたずら好きのもうやんは顔を黒く塗り黒人のフリをして
道端に倒れ人の助けを待ってみた。

日本人が外人にどれだけ優しいのか身をもって知りたかった
と言う。

普通に聞いたら呆れるような話だがもうやんならこんな
馬鹿げたこと普通にやってしまうのだ。

それにしてもお前(もうやん)はシャネルズか!!

わざわざ顔、黒く塗ってまで・・・(汗)

そしてもうやんは偶然、通りかかったトレーラーに助けられる。

トレーラーには男と女が乗っていてその後、手厚い介護を
してもらったそうだ。

しかしその男は面白そうな”お宝箱”を持っていたので奪って
みたと。

しかしその時、一緒に奪ったサイフが女の持ち物だとわかり
急に罪悪感に襲われ次の日そいつらに見付かるような場所で
わざと発見されるように倒れていたらどこからか増えた
そいつらの仲間と思われる凶悪そうな女にいきなり包丁で足を
刺されたというのだ。

肝心の宝箱はなにをどうやっても開かないから捨てたと説明すると
そいつらは必死になって探し見つけ出しそのままなぜか
長野に行くと言う。

自分を刺してまで見つけ出したその宝箱が気になってしょうがない
もうやんも長野まで着いていくことにし今、新幹線の中だと・・・





笑いが止まりませんでした。




俺 「ぎゃははははははは! それで長野かよぉ(笑)つうかすげぇ偶然だな!俺も今、福岡にいてこれから長野に向かうのよ!
それでもうやんに頼みがあったんだわぁ・・・」

もうやん 「なした?」

俺 「ミクシィ見てる?」

もうやん 「ミクシィ?札幌出てから見てねぇなぁ」



※もうやんは携帯電話の機能を通話とメールしか使えない古いタイプの男です。



俺 「じゃあ話すと長くなるからいいや(汗)とにかく長野で会おうぜ!チョット手伝ってほしいことあるから!」

もうやん 「おう、わかったぞ。ちなみに今の俺の名前は”ボブ”だから。何回も俺の名前は”もうやん”だっつってんのになぜか
ボブにされた(汗)」

俺 「ボブ!?そりゃまたありがちな黒人の名前だな(笑)よく聞く名前だ(笑)とにかく長野に着いたらまた連絡するわ〜」




そう言って俺はもうやんとの電話を切った。

よし。長野に向かうか。 (-.-;)y-~~~
 闇は人を心細くさせる。
 だからだろうか。
 俺達は声だけのコミュニケーションで、とても仲良くなれた。
 世の中、本当に気の合う人というのはいるものだ。
 でも、なんで停電するかなー。

 長野に到着した俺達はもるさんと合流し、ディナーを楽しんでいた。
 マイマイさんも、もるさんを気に入ったようだ。
 ちょっぴり豪華っぽいホテルの最上階、豪勢なレストランでは和気あいあいと舌鼓を打ち、笑い合う。
 3人ともテーブルマナーが解らなかったが、旅の恥はかき捨てであろう。
 ちなみにラムには、明日あたり連絡を入れる予定だ。

「あ。そう言えばさ、ボブは?」

 マイマイさんは、ナイフは邪道だと訳の解らないことを口走りながらステーキを包丁でカットした。
 たぶん上等であろうワインに、俺は口をつける。

「なんかボブ、変なこと言いながらどっか行っちゃいましたよ」
「なんて?」

 確かボブは、「風呂に入ると色が落ちる」とか「ちょっと人と会ってくる」とか、「ファンデーションは意外と高いのに」などとぶつぶつ言っていた。
 なので、マイマイさんにそう告げる。

「めさちゃん、黒人の友達できたの?」

 もるさんが笑んだ。

「いや、友達じゃない。勝手に着いて来るんだ」
「へえ。それはまた、なんで?」

 世間話に夢中になっていると、背後でボーイの気配を感じる。
 新たな客が、すぐ後ろのテーブルに案内されたのだろう。

「いやあ〜、ホント参ったよ」
「ぎゃはははは! そりゃ災難だったなー」

 男の声は2人分だ。
 聞き耳を立てるまでもなく、その物騒な談笑が聞こえてくる。

「とにかく、お前の腕には期待してっからよ」
「任せろよ〜。でも、ホント気になるんだよなあ」
「何が?」
「ほら、さっき電話で話した、小箱の中身だよ〜」
「ああアレか。でもよ、そういうのって案外どうでもいい物なんじゃねえか?」
「だとしても、中身が知りてえよ〜」

 何気ない会話の中にはやがて、「刺された」とか「例のブツはもう届いた」とか、「首から下を埋める」とか「撃つ」とか、怖いワードが散りばめられてきて、びびる。

 怖い人達来ちゃった…。
 聞こえないフリを頑張っているその時だ。
 レストラン全体が、闇に覆われた。

「停電!」
「うわあ」

 そんな客達の喧騒には、自分の声も混じっていた。

「誠に申し訳ありません!」

 レストランの責任者らしき男の声が、店中に通る。

「只今停電により、大変ご迷惑おかけ致しております。恐れ入りますが、そのままお待ち下さいますよう、お願い申し上げます」

 ざわめき声。
 でもまあ、こんなハプニングも良い思い出になるであろう。
 窓から差す月明かりも、なんだかロマンチックではないか。
 光が弱過ぎて、人の顔も判別できないのが難点だが。

 闇は人を心細くさせる。
 だからだろうか。
 俺達は声だけのコミュニケーションで、とても仲良くなれた。

 例の物騒な後ろの客が、声をかけてきたのだ。

「いやあ、大変なことになっちゃいましたね」
「ええ。全くです」
「こちらには、旅行ですか?」
「ええまあ、そんなようなモンですわ。おたくさんは?」
「ははは。いやお恥ずかしい。ちょっと人探しなんですよ」

 心細さは、人を饒舌にさせる。
 覚えのありそうな声に聞こえるのは、たぶん気のせいだろう。

「人探し?」
「ええ。ぶっちゃけちゃうと引かれそうだから、あんま言えないんですけどね」
「へえ! 面白そうじゃないですか! 差し支えなければ教えて下さいよ。俺、絶対引いたりしませんから」
「え、そうですか? じゃあ話しちゃうけど、引かないで下さいよ?」
「もちろんですとも」

 聞けば、なんとも気の毒な話だった。
 こちらの気さくなお兄さんは、友達だと思っていた男に裏切られ、ずっと大切にしていた物と現金を盗まれ、逃げられたというのだ。

「それは酷い奴もいるもんですね」
「全くです。しかも奴、反省の色が全くないんですよ」
「マジですか!? そんな奴、2度とお痛が出来ないように、売れる内蔵全部売り飛ばしちゃえばいいんだ!」
「お兄さん、あんた、熱くていい奴だなあ…!」
「何をおっしゃる! そんな非人道的な奴は滅びてしまうべきです!」
「でしょう!? ただそいつ、やたら強い仲間がいて、探せたとしても勝てるかどうか…」
「いえ、絶対に勝って下さい! なんなら協力しますよ俺!」

 先方には、俺の熱意が伝わったらしい。
 感動して、彼は泣いてしまった。
 最初は怖い人だと思っていたけれど、なんて心根の豊かな人なのだろう。
 俺まで感動が伝心してしまった。

「マジで出来ることあったら言って下さい! たまたま資金もあるし、頼りになる友達もいるんです! 時間もいっぱいありますから!」
「いや、ありがたい話だけど、初対面の人にそこまで助けてもらう訳には…」
「まだ対面してないですよ」
「あ、そっか。そうでしたね。でも、時間があるっていうのは何でまた? お仕事は?」
「いやあ、それがまたお恥ずかしい。今俺、実は全国を逃げまわっているんですよ」
「え!?」
「ああいえいえ、指名手配とかじゃないんで、安心して下さい。ただ相手がタチ悪くって、命からがらなんですよ」
「なんでまた?」

 そこで俺は逃走の訳を説明した。
 ある理由あって拝借した物のために、シャレの通じない友人は血相変えて、凄まじくムキになって追ってきている、と。

「そりゃあまた、遊びのない男ですね」

 闇の中で、彼が憤慨した。

「そういう大人げない奴、俺ァ大っ嫌いですよ」
「そうでしょう!?」

 すっかり仲良しになってしまった。
 彼のことを怖がっていた自分を恥じる。
 こんなにいい人じゃないか。
 盛り上がっている最中、置いてきぼりにして申し訳なく思ってもるさんの方向に顔を向けると、彼女のケータイの光が見えた。
 どうやら誰かにメールを打っているらしい。

「俺、実は…」

 彼が声のトーンを落した。

「超強力な改造エアーガン持ってるんですよ」
「え、今ですか?」
「ええ、部屋にあります」
「へえ。その泥棒野郎を撃つためにですか?」
「ええ」
「早く蜂の巣にしてやりたいですね」
「それもそうなんですが、おっと、失礼」

 彼のケータイにメールが届いたらしい。
 それを読みながら、彼は「よし、近いぞ!」と頷いたようだ。

「例の盗人、どうやらこのホテルにいるみたいですよ」
「お! やったじゃないですか!」
「ええ。密告者に感謝ですよ」
「楽しみですね」
「ええ、でもついでっていうか、俺、あなたにも協力したいと思ってるんですよ」
「え、と、言いますと?」
「エアーガンなんですが、あなたの追手にも使いませんか?」
「え、いいんですか!?」
「ええ、もちろんですよ。なんなら俺が撃ちます。そういう冗談の通じない奴は痛い目に遭わせたほうがいいんだ」

 信じられない。
 この人、めちゃめちゃ素晴らしい人格の持ち主じゃないか。
 感激の余り、また涙が出てくる。

「くう…ッ! 本当に、本当に、嬉しいです…!」
「グスン! や、やめて下さいよ。こっちまで泣けてしまう」

 気がつけば、お互い闇の中で手を握り合って号泣している。
 人情味に溢れた、最高の出会いに感極まった。

 せっかくなので、手探りでテーブルを移動して、俺達は5人で円になる。

 何も知らない者達による、奇跡的な勘違いはしばらく続く。
 これがもしわざとだったら、極めて高度な心理戦だったはずだ。
 停電の回復も、もるさんが悪魔のようなセリフと共に俺をびっくりさせる瞬間も、実に感動的で素晴らしいタイミングだった。

 世の中、本当に気の合う人というのはいるものだ。
 俺は疑いもせず、心からそう思い込んでいた。
 でも、なんであそこで停電回復するかなー。
なぜ、こんなことに・・・・


俺は今ある人物にマウントポジションをとられている。

片手で首元を押さえつけられもう片方の手には包丁・・・

ここまで言えばわかるだろうが俺の上に乗っかってるのは
マイマイだ。

頼みの綱の相棒もうやんはテーブルの下に隠れガタガタと
震えている。

戦闘不能だ。





まさに絶対絶命!





ほんの数分前まで俺は上機嫌だった。

めさを捕まえるといった旅がなぜか素晴らしい人に会うと
いった素敵な旅行になったからだ。

停電の中、意気投合した俺と彼は停電が解除された瞬間
敵同士になってしまった。



なんでこんなことになったんだろう。



俺が長野に宿泊する際に選んだホテルの名は”モール・ホテル”
という。

このホテルを選んだ訳は、ここのホテルのオーナーが大の
悪戯好きだという噂を聞いたからだ。

毎回、宿泊客を楽しませる悪戯イベントを行ってるらしい。

けど・・・

これは悪戯じゃすみませんよ・・・










もるさん。









そう!このホテルのオーナーは、あのもるさんだったのだ!


俺が暗闇の中、意気投合した彼と今後のお互いの作戦を
熱く語り合ってたときもるさんからこんなメールが
届いた・・・




「王子・・・どうやらめさちゃんモールホテルに泊まってるみたいだよ。」




俺は思わず声に出して喜んだ!

「よし!近いぞ!」



もるさんにはこう返事を返した・・・

「しかしもるさんが教えてくれたこのホテルといい、めさの件と
いい、本当に貴重な情報提供ありがとうございます!ところで
もるさんは今どこに?」



数分後またもるさんから返事がくる。

「今ですか?今、私は涙を流して抱き合ってる男二人を
見ながらご飯食べてますよ」






???? (-.-;)y-~~~

いったい、どんな状況なんだろ?




そんなことを考えている時、暗闇の中から彼の声が聞こえた・・・


「マジでっ!?」


物凄い驚きようの彼に俺は声をかける。


「どうかしました?ずいぶん驚いた様子ですけど」


彼 「い、いや!ちょ、ちょっと失礼!」


彼はテーブルを離れ床をほふく前進するような感じで
暗闇の中、消えていった。

また俺の携帯にもるさんからのメールが届く。




「いよいよですよ王子!めささんを捕まえてください!」




(-.-;)y-~~~???

なに?どういうこと?

携帯の画面を見つめてる俺の前で突然テーブルがひっくり返される
ような音が!



ガシャン!



( ̄□ ̄;)!!なんだっ!?

聞き覚えのある女の声が響いた!



「王子っ!どこだっ!」


次の瞬間、今度は聞き覚えのない別の女の声が!


「明かりをつけて!みなさん!ショータイムですっ♪」


一斉にあたりが明るくなる!


うおっ!眩しい!


そう思って手で目を塞いだ瞬間だった!


急に俺の腰になにかがぶつかり俺はそのまま後ろに倒れこんだ!

なにがなんだかわからず動転したまま俺は目を塞いでいた手を
避けると・・・










マイマイが!!!!










俺 「マイマイ!?」

マイマイ 「残念だったね王子!もう安心しな、めさ!
出てきていいよ!」

俺 「なに!?めさぁ!?」



マイマイの背後からゆっくりと立ち上がるめさの姿が!・・・



めさ 「あっぶね〜!さすがマイマイさん!・・・それにしても兄貴!残念だったねぇ(笑)」




いったいどうゆうことだ!?




ハッ!そうだ!もうやんは!?




もうやんの姿を探すと隣のテーブルの下で亀のように丸くなり
ガタガタと震えながらなにか言っている!




もうやん 「刺すな!刺さないで刺さないで!・・・」




いったいなぜこんな状況に!?



頭の中でこんな状況の中でも俺は答えを出そうとしていた。


俺は今マイマイにマウントポジションをとられている。

つまりマイマイは俺と同じテーブルにいたということだ。

その背後からめさが現れる。


・・・


・・・・


そうか(汗)

さっきまで俺が話してた相手は、めさだったのか(滝汗)

それにしても、もうやんはなぜ?・・・・


・・・

・・・!まさか!もうやんを刺した女って!?・・・




俺は頭上にいるマイマイの目を見る・・・




ああ・・・



これが本当の邪笑ってやつかぁ・・・(滝汗)



その時・・・


聞き覚えのない、さっき「ショータイム」と叫んだ謎の女性の
声が再び俺の耳に・・・









女 「あれ?なんかおかしなことになっちゃったな(笑)
王子・・・ごめんなさい(笑)」







彼女がもるさんだと気付いたのはこの言葉を聞いた数秒後だった・・・




俺は、いったいどうなってしまうんだろう・・・(滝汗)
 なんか知らんけど、兄貴を追い詰めた。
 わざとじゃないのに、勝ってる雰囲気。
 あまりに目まぐるしい展開に、テンパった脳を整理する。
 なんでこうなったんだっけ?

 えっと、つまり、闇の中で息投合した彼らが、実は兄貴とそのお友達だった訳だ。

 5人で1つのテーブルを囲んで、俺達は最初、とっても楽く、情熱的に語り合っていた。
 視界が利かないから、互いを赤の他人だと思い込んでいたんだ。

俺「ところで、あなたが追っている盗っ人って、やっぱり手強いんですか?」
兄貴「いやあ、その泥棒野郎1人だったらたいしたことはないんですけど、奴には強力な仲間がいましてね」
俺「ほう、どんなです?」
兄貴「実は泥棒野郎の仲間っていうのが、俺の女友達なんですよ。どうもその…、言いにくいんですが、奴らは男女の関係になったらしくって、俺、裏切られるっていう形で。ははは」
俺「そんな! その泥棒野郎、女の敵じゃないですか! もしかして、その女性はあなたの恋人だったりするんですか…?」
兄貴「ああ、いやいや。本当に友達です。その女友達、結婚してますし」
俺「え!? じゃあ不倫…!」
マイマイ「ちょっといい!? あたしも主婦なんだけど、そういう尻の軽い女、同じ主婦として許せないんだけど!」
兄貴「おお! やっぱりそう思いますか!?」
マイマイ「当たり前でしょ! 泥棒なんかと寝て、さらに加担までするような主婦、あたしが刺してやりたいわ!」
もうやん「ひい…! 刺さないで…!」
俺「え? どうかされました?」
兄貴「ああ。こいつ、ちょっと怪我してましてね。刃物がトラウマなんですよ」
マイマイ「何よそれ。物騒ね」
兄貴「なんか、通り魔みたいな女にやられちゃったらしいです」
マイマイ「そこのお前! 安心しろ! そんな狂った女がいたら、あたしが退治してやっから!」
もうやん「…ホントっすか…?」
兄貴「ところでお兄さん、さっきの質問をそのまんま返すようなんですけど、あなたの追手っていうのは、やっぱ強いんですか?」
俺「ええ。悪魔のような男です。自覚もあるみたいですね。自分で魔界のプリンス的なあだ名で通してますから。道でぶつかっただけの仲だったら、無条件で謝りたくなります」
兄貴「つまり怖そうな容姿をしている、と?」
俺「ええ。柄が悪いんですけど、でも人相も悪いんです」
兄貴「ははは。そいつ、絶対たいしたことないですよ。見た目の威圧で周囲をビビらせる程度のセコい男、実際は軟弱野郎に違いないですね」
俺「いやあ、頼もしいお言葉です」
兄貴「俺、嫌いなんですよ。そういうイカツイ風貌で周囲を威嚇する奴。シャレの解らない男みたいだし、早くやっつけてやりましょう! 何が魔界のプリンスだ!」
俺「いやあ、本当にありがたいです。でもその追っ手、今海外にいるんですよ」
兄貴「ほう。それはまた、どうしてですか?」
俺「ちょっとした作戦が成功しましてね。俺が海外にいるっていうガセネタ掴ませたんですよ」
兄貴「はっはっは! それでまんまと、いるはずがないあんたを追って海外に!? バカだなー、そいつ! すっげーアホ! では間抜け面ぶら下げて帰国したところを一気に退治しましょうよ!」
俺「いやいや、あなたの大事な物パクった奴を捕まえるほうが先ですよ。そういう手癖の悪い奴は、コテンパンにしてやるのが良いです!」
兄貴「くうう…! 俺ァ、あんたに出会えて良かったよ…!」
俺「ふええ…っ! お、俺もっすよーう!」

 後にして思えば、だいたいの人が、自分のことを完全に否定していたことになる。

 会話に夢中になっていると、左側からケータイを触れさせられた。
 開いた状態のもるさんのケータイだ。
 メール機能を利用して、何やら書いてある。

「めさちゃん、ごめんね。あたし、悪魔王子さんにめさちゃんの情報売ってたの」

 え、これ何!?

「でも、思ったより面白くなさそうだから、王子さんをハメるね」

 この人、こういった人の不幸がお好きでしたっけ?

「停電させてるの、あたしの指示なのね? ここのホテル、あたしの所有物件なの。金さえあれば、何でも買える」

 どうした、もるさん。

「悪魔王子さんも、実はこのホテルに呼んであるんだ。たぶん、目の前の熱い男がそうだよ」

 えええええーッ!!

 思わず声に出る。

「マジでっ!?」

 めっちゃびっくりした俺を、彼は、いや。
 兄貴は心配した。

「どうかしました? ずいぶん驚いた様子ですけど」
「い、いや! ちょ、ちょっと失礼!」

 ほふく前進でテーブルを離れる。
 彼が兄貴だったなんて。
 だって会話とかめちゃめちゃ通じてたじゃないか。
 離れ間際、ついでにもるさんにケータイを返す。
 一方では自分のケータイを開き、マイマイさんにメールを送った。

「今テーブルの向こうにいるの、どうやら兄貴です! 俺怖いから、ちょっと避難してます!」

 どんがっしゃーん!
 そういうド派手な音がして、テーブルがひっくり返ったのだと知る。
 すぐにマイマイさんの声がしたから、星一徹クラッシュをかましたのは彼女なのだろう。

「王子っ! どこだっ!」

 続いてもるさんの声。

「明かりをつけて! みなさん! ショータイムですっ♪」

 レストランに光が戻る。
 眩しッ!
 目を細めた。
 マイマイさんが兄貴にタックルをぶちかまし、転倒させている光景が映る。

「マイマイ!?」

 兄貴はまるで、ドッペルゲンガーを見たかのような、もの凄い形相だ。

「残念だったね王子!」

 マウントポジションのマイマイさんは、なかなか様になっている。

「もう安心しな、めさ! 出てきていいよ!」
「なに!? めさぁ!?」

 兄貴はどうやら、まだ現状を把握していないようだ。
 でも、気持ちは解る。
 俺だっていっぱいいっぱいだ。

 それまで伏せていた体を、恐る恐る起こす。

「あっぶね〜! さすがマイマイさん!」

 安堵の溜め息を吐く。
 見ると、兄貴は体勢的に、とっても不利な感じだ。
 えっと、せっかくだから、なんか決めセリフを言ったほうがいいのかな。
 兄貴を悔しがらせておきたいし。

「それにしても兄貴! 残念だったねぇ」

 初タメ口に成功。
 うはは。

 兄貴のお友達は何故か他のテーブルの下まで逃げて、刺さないで的なコメントと共にガタガタ震えているし、これはもう勝利なのではなかろうか。
 それにしても兄貴、なんで日本にいるのかが不思議。

 もるさんは兄貴に、「あれ?なんかおかしなことになっちゃったな」などと微笑んでいる。

「王子…、ごめんなさい」

 ペろっと舌を出す彼女は、もしかしたらとんでもない悪党なのかも知れない。
 怖い子…。

 とにかく初めてこっちが優勢な訳なのだけど、このあと兄貴の処理っていうの?
 どう扱ったらいいのか解らない。
 捕虜を取った経験なんてないし。
 どうしよう。

 笑いがこみあげてくる。

 くふふ。
 捉えた兄貴は、どう扱おう。
 ってゆうか、どうしてくれよう。

「取り合えず、兄貴の部屋に行きましょうか」

 もはや俺のほうが悪魔の王子みたいな顔だ。

「是非、拝見させて下さいよ。兄貴が手に塩かけた、改造エアーガンとやらをね…!」

 調子というのは、こける時にこいておいたほうがいい。
 そんな変な格言が、ふと浮かんだ。

 でも、兄貴の部屋があんなことになってるなんて…。

 停電は直ったけど、一寸先は闇のままだ。
 なんかもう、驚き疲れちゃった。
 1日が、恐ろしく長い。
俺は我慢していた。

別にマイマイとめさに、うかつにも捕まってしまった
悔しさを我慢してるわけじゃない。



むしろ、その逆!!



俺が我慢してるのは”笑い”だ。

俺は今マイマイに背中に包丁を突きつけられホテル内の
自分の部屋まで案内させられている。

めさは用心深くマイマイの更に後ろを付いてきている。



こいつら今、俺に夢中。


ダメ!また笑いそうになってきた!


すっかり有利な立場に立った気になってるみたいだが
おそらくこいつらはこうゆう状況を経験してこなかったんだろう
と簡単に予測出来た。


俺ならこんな”ヘマ”はしない!


めさが俺に話し掛ける・・・

「ところで兄貴。そのエアーガンて高いんですか?」

俺が答える前にマイマイが割って入る・・・

「高いに決まってるだろ。王子は無駄なことにばかり金
かける奴だからな!そんなもん買うくらいならあたしに
なんか美味いもんでも食わせろ!」





クスクスクス。





ほんとバカこいつら!

なぜ今のこの状況でそんな会話してんの!?(笑)

そろそろ気付けって!!!!・・・















もうやんがいつのまにかいなくなってることに!!!!!!








こいつらは知らないのだ。

あの男(もうやん)がどれだけ賢い男なのかを・・・



俺がマイマイとめさに捕らえられたときとっさに俺はポケットから
部屋の鍵を床に投げ捨てた。

その後、現場を離れる寸前に投げ捨てた鍵を探すともう
なくなっていた・・・


もうやんの姿と一緒にな(邪笑)


こいつらは俺に夢中で全然そのことに気付いてない(笑)


俺の部屋にはおそらく先回りしたハズのもうやんが待ち構えて
いるハズなのだ!!


今の状況を普通に考えれば部屋に着くのが怖いハズの俺は
部屋に着くのが楽しみになっていた。


エレベーターに乗り俺の部屋のあるフロアに到着。


数メートル歩いて部屋の前に到着。


扉の前でマイマイが俺に言う。


「王子、鍵開けな!」


鍵なんぞ持ってるハズがない俺は、こう答える。


「鍵は開けっ放しだ。」


手の開いているめさがドアを開ける。


その瞬間だった・・・









バスン!!!!!







鈍い音と同時にめさが倒れる!

慌てるマイマイ!!

「なんだ!?めさ!どうした!?」


続いて二発目の鈍い音!・・・







バスン!!!!!







マイマイも倒れる。

めさとマイマイ、二人ともこめかみを大きく腫らし気を
失って俺の足元に転がっている。



真っ暗な部屋の中から改造エアーガンを構えたもうやんの
声が聞こえた・・・




「ふふっ  どうよ俺?完璧だろ?(笑)」




部屋の明かりを付け俺は頼りになる相棒に答える。




「ああ・・・完璧だ!(笑)」



ピンチを一気にひっくり返し勝利を感じ取って俺ともうやんは
握手した・・・






その時だった!







クローゼットの中から女の声が!







「へ〜 噂には聞いてたけどなかなかやるじゃない」







女はクローゼットの中から俺たちの目の前に姿を現す・・・



その女を見た瞬間、俺はあまりの驚きに冷や汗を流しながら
こう言った・・・
















「・・・誰あんた?」 (-.-;)y-~~~



この女いったい誰ですか????

正体を知ってるのは、めさだけだった・・・
 撃たれたのか、俺は。

 朦朧とする意識でも、それぐらいのことは解った。
 マタギが熊を撃つ際は、眉間を狙うのだという。
 俺は熊じゃないのに、眉間を撃たれた。
 死んじゃうじゃないか。

 思い出すのは、何故かラムのことだった。
 長野まで来たのに、結局あいつに会えなかったな。

 ラムに電話をかけたのは、つい昨日のことだった。
 長野への到着時刻や、泊まるホテルの場所、自分が現在悪魔な王子の人に追いかけられていることを報告した。

「ねえ、めさ。その悪魔な王子の人って、サメよりも強い?」

 ラムは何故かサメをライバル視していて、いつか素手で格闘し、勝利したがっている。
 奇特な女だ。
 なんで強さの基準がサメなんだ。

「強いと思うよ」

 俺は正直な予想を述べた。
 地上だったらな、という言葉を付け足すよりも先に、ラムは声を弾ませる。

「悪魔な王子の人かー。強いのかー」

 これはもしかして、参加したがっているのではないか。
 そう思って、俺は様々な誘い文句を散りばめる。

「今俺、マイマイさんっていう素敵なお姉さんと一緒でさ、ラムと気が合うと思うんだ」
「素敵なお姉さーん!? きゃっほーう! 素敵!」
「そうそう。ちなみに俺、今手持ちが結構あってさ、普段のお礼に、何でも喰わせてやろうと思ってるんだよね、お前に」
「めさお前、ホントいい奴だなー」
「ただ俺、悪魔な王子の人に追われている身分だから、ゆっくり会えるかどうか…」
「心配すんなオメー、あたしがやっつけてやるよ」

 思うツボだった。
 なんでこんなにバカなんだろう。
 ってゆうか、なんで出会う女の人、みんな強いんだろう。

「あたし、独自の情報網で、悪魔な王子の人の行き先を調べておくね」

 最近スパイ映画でも見たのだろう。
 ラムは楽しそうにそう言った。

 眉間の痛みから、俺は妙な回想をし、やがて幻聴まで聞こえ始める。

「へ〜。噂には聞いてたけど、なかなかやるじゃない」

 ラムの声だ。
 さっきの回想シーンといい、今といい、なんで俺はラムのことを…?
 別に好きでも何でもないのに。

「…誰あんた」

 今度は兄貴の声だ。
 続いて炸裂音。

 バスン!

 音からして、俺を撃った銃だ。
 本物の銃ではなさそうで、ちょっぴり安心。

 うっすら目を開ける。
 あのマイマイさんまで倒れている。
 いくら本物じゃないからって、銃は反則でしょ。
 人に向けちゃいけませんって、大人の人なら思うでしょ。

 視線を巡らせる。

 ラムの勇姿が瞳に焼きつく。
 彼女は銃口の角度と発砲のタイミングを読み、繰り出される銃撃をことごとくかわしている。
 ドラゴンボールかお前は。
 ってゆうか、なんで、ここにラムが?
 いやいや、これは幻だ。
 幻のラムがクローゼットから出て、銃を構える大男に歩み寄って武器を奪い、ぶっ飛ばしただけの、そう、これは幻覚なんだ。
 どないな幻覚だ。

「あんた誰だ! いや…、どちら様でしょうか?」

 兄貴がリアルに怯え始める。

「ラムです! 歳は24歳です! ウフッ!」

 ラムの奴…。
 幻のクセして頼もしい。
 こんな時にまで年齢詐称するだなんて、芸の細かい幻だ。

 意識がいよいよ薄れてくる。
 俺はついに気を失った。

 幻と兄貴による、まるでコントのような争いはだから、残念なことに拝めなかった。
あれから3年も経っていた・・・



俺はいまだにめさを探している。



この3年でいったい日本、何週してんの俺?



気付いたら俺のマイミクのもうやんは、ぱっちもんに改名しマイマイもるみたそに改名していた。



俺は今ちょっとした私用で地元の札幌に帰ってきている。



が、明日あたりには横浜に向かうつもりだ。



めさの野郎の行き先の手がかりは掴んでないが横浜は奴の地元。



3年も経った今だからこそ原点に戻り横浜でなにか手がかりを掴んでやろうと考えてる。



ただ・・・



めさが横浜にいるのは少し考えづらい。



この3年の間、めさは一度も俺とニアミスすることなく逃げ続けている。



そのくせ、あの野郎はキチッとサイト更新だけは、してやがる。



いったいどんな安全なとこに隠れてるんだ?・・・



それに・・・



3年前のあの夜・・・



あのホテルでいったいなにが起こったのか?・・・



俺には記憶がない。



気付いたら翌日で俺は一人でホテルの部屋で爆睡していた。



ひどく二日酔いになっていた。



そんなことからおそらく大量の酒をなんらかの形で飲むことになり泥酔して寝てしまったということは、わかる。



だから俺の記憶の中ではあの部屋でめさとマイマイ改め、るみたそを相棒のもうやん改め、ぱっちもんと一緒に倒し勝った気になってたとこをいきなり現れた謎の女に襲われたとこでプツッと途切れている。



あれから、るみたそは埼玉に帰り旦那と仲直りして普通に過ごしてると聞いた。



そして、ぱっちもんにあの日のことを聞くと


「もう忘れたい」


としか言わない。



いったいなにがあったんだ?



明日から再び、めさを追いかける日々が始まる。



その前に俺は、どうしてもあの夜の真相を知りたい。



だから俺は、この3年間あえていっさい連絡してなかった、めさに電話することにした。



出るかなぁ?・・・・










「はい、もしもし。兄貴!ひさしぶりっすねー!」





・・・出た。




しかも、めっちゃ普通に。




そしてこの後、俺は電話でめさにあの夜の真相を聞いて愕然とするのだった・・・

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