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世界の中心で怖い話を叫ぶコミュの大人のお化け屋敷

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コピペ


私の住んでいた街の神社の夏祭りは結構大きく、いろんな屋台の他にお化け屋敷・バイク曲芸なども来ていた。なかでも「大人のお化け屋敷」と題された催し物は、私たちの間で
「子供は見ちゃいけないくらいグロテスクらしい」
と噂になっていた。
お化け屋敷の小屋の外には、かなりいかがわしい絵の看板が打ちつけられていた。
なぜか全裸の下半身が蛸の女とか、化け物に襲われている女の絵もやはり着衣がかなり乱れていていろいろ丸見えだった絵だった気がする。そして毎年、ノートルダムのせむし男みたいな小男が不気味な客寄せの口上を述べていて、なんだか異様な雰囲気が漂っていた。
もちろん子供は入場禁止だったが、駄目だといわれると余計に私たちの興味を引き付ける。

小学5年の夏、私は仲の良い女の子と男の子2人の4人で『「大人のお化け屋敷」にどうにか潜入する』という目的でお祭りに行った。
お化け屋敷には裏口があり、人のいない時にそこから入ろうと考えていたが、裏口の側には簡易の喫煙所が設けられていて交代で従業員?が休憩をしていて中に入る隙がない。
2時間ほど見張ってみたが、まるで裏口を見張っているかのように従業員たちは交代で現れ、裏口から人がいなくなることはなかった。
調査がなかなか進まず、私たちはお化け屋敷を離れ、かき氷でも食べながらお祭り会場である神社のはずれで作戦会議をすることにした。

そこは周りを木に囲まれた草むらで大きな土管が一つがあって、その土管は普段から私たちの秘密基地としてよく使っていた。
その土管の中で
「親の服を借りて、大人のふりをして入るか」
とか、子供っぽいバカなことを真剣に話し合っていた。

その時土管の外に人の気配がして外を覗いてみると、神社の掃除をやっているお爺さんがいた。
そのお爺さんは何かとお菓子をくれたり優しくしてくれるので私たちも結構懐いていた。
「今日は何の悪だくみだ?」
とお爺さんはニコニコしながら聞いてくる。
私たちは普通の大人になら言ったら怒られるので絶対言わないが、この爺さんにならと思い「大人のお化け屋敷」に入ってみたいと相談した。爺さんは一瞬沈黙した。
怒られる?と思ったが、爺さんは意外な事を言った。

「入れるぞ?簡単に。」

私たちは
「嘘だ〜。」
とか
「入る隙なんてないじゃん。」
とか口々に言った。
しかし爺さんは
「あそこは決まった時間に入場させて、客を案内しながら屋敷を歩いていく形をとっているから、入場時間外に入口に行けば入れるぞ。」
私たちは
「だって入口に係員がずっといるし。」
と抗議すると爺さんはにやりと笑って
「そん時は入れてくれる。入れてくれるが、出してはくれるかな〜。それこそ行きはよいよい帰りはこわいじゃ。」
なんだか話が急に変な方向に行き生ぬるい風が土管を流れていった気がした。

爺さんは急に声を小さくして
「親同伴の子は断る。まぁ子供をそんなところへ連れて行く親もいないだろうがな。入場時間の賑わっている時の子供の入場も断る。誰が見ているかわからんからな。でも、客のいない時はコッソリ中に入れるんじゃ。」
と言った。
「その分、入場料を儲けたいから?」
と私もつられて声を小さくして聞いた。
するといきなり爺さんはガッっと私の腕を掴んで

「子供をそのままさらい、見世物にして金を稼ぐためだよおおぉっ!!!!」

と叫んだ。そしてガハハッと笑い出す。
やられた。私は不覚にもキャーキャーわめいてしまった。
「冗談は勘弁してくれよ〜。」
と、男の子達もへたり込んでいる。
すると爺さんは
「冗談と云うか、わしらの子供の時に言われてた事だよ。あの出し物をやっている団体は昔、見世物小屋をやっていてな。奇形の娘たちはみな口をふさがれていたりつながれていたり、獣に喰われる女のショーは出し物と思えない程のリアルさだったそうだ。
かなり昔は安く子供を買ったりもあったんだろうけどな。あんなにたくさんの見世物の女をどこから連れてくる?ワシの子供の頃は、アイツ等どこぞから子供をさらって来て奇形に仕立てたりして見世物にしていると噂されていたんだ。」

「お前らも獣の餌になりたくなかったら近寄らないこった。それとも『達磨ムスメ』のように手足をもがれて見世物になりたいか〜?」
胴体と頭だけで生かされ続けるなんて子供ながらにゾッとした。

そして爺さんはこう続けた。
「特に女の子はよしなさい。見世物にされてるのはほとんど女の子じゃて…。男どもは勇気のあるところを見せて、一皮むけてみるかぁ〜?クックック」
とニヤニヤ笑って去って行った。
私と女の友達は、その話ですっかり怖くなってしまって、
「もう行くのやめよう」
と言ったが、男の子たちは
「ここで行かなかったら、今度爺さんに会った時にバカにされる」
と言い張り爺さんの言ったやり方で試して入場してみるというので、30分後に待ち合わせをして別行動をとることにした。

それから私たちはヨーヨー釣りと型抜きをやって過ごしたが、困った事に待ち合わせ時間になっても彼らは現れない。段々心配になってきて、親に相談するかどうか迷い始めた時、彼らは現れた。なぜか斜め後ろにある公衆トイレから。
トイレから出てきた二人は、
「どう、中に入れた〜?」
と聞いても何も答えてくれない。
「どうだった?どうだった?」
と聞いても何も言わない。

ただ一言
「あのジジイ!!お前らは一緒に来なくて正解だった。」
と言った。
彼らは一皮剥けて帰ってきた。

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