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PLANET Masters Collectionコミュのロバート・アルドリッチの世界は本日と明日!

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ハリウッド50年代/ Hollywood 50s
Vol.1:ロバート・アルドリッチの世界 Robert Aldrich
■ハリウッドの50年年代映画作家特集第1弾!まずはアルドリッチを。アクション映画の巨匠として70年代にはペキンパーとも拮抗し1980年代初頭まで活躍した。職人と芸術家でもありえた最後のアメリカ映画の監督の一人である。
■50年代は第二次世界大戦後、ハリウッドは世界マーケットを支配するが、一方でアメリカではテレビが登場し、映画も予算の昂騰と大作へと大金を注ぎ込むようになった。カラー化、シネマスコープとテレビに対抗して映画が最後の輝きを見せた時代である。サイレント時代から活躍するジョン・フォードやハワード・ホークス、ラオール・ウォルシュ、ウィリアム・ウェルマン、キング・ヴィダーらによって確立された西部劇や活劇、人間ドラマなどのジャンルは戦後デビューした新世代の監督たちにとって与えられたジャンルであったが、その中でそれぞれが新たなジャンルの可能性を見いだした。皆戦後のB級映画からキャリアをスタートさせながら特にフィルムノワールや犯罪活劇で際のを発揮し、ようやく戦後の翳りある少しひねくれた個性を生み出したのである。こうしたジャンルの組成は彼らによって再生する。西部劇とニューロティック映画を組み合わせたアンソニー・マンや、戦後の若者の反逆を描いたニコラス・レイ、ドイツから亡命しユニヴァーサルでメロドラマを完成させたダグラス・サークに加えB級アクションからスタートしたドン・シーゲル、サミュエル・フラー、リチャード・フライシャーそしてロバート・アルドリッチらは70年代に再び再起し「ニィーシネマ」以後の活劇で最後の花を咲かせることにもなるのである。まずは第1弾。一見アメリカ的に見えながらルノワールやチャップリンの助監督も担当し、テレビ演出を経てようやく53年にデビューしたアルドリッチ。アクション映画、戦争映画とともにホラーや中世的な魅力もかもし出し、グリフィス以後の編集主義ハリウッド、物語の効率重視のハリウッドで編集しながらも弁証法的にならない引きと寄りのモンタージュ。対立なき対立の映画作家アルドリッチを再発見しよう。

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「キッスで殺せ」Kiss Me Deadly 1955/U.S.A/104min
 Parklane Pictures Inc作品 ユナイテッド・アーチスツ配給
 製作●ロバート・アルドリッチ、ヴィクター・サヴィル 監督●ロバート・アルドリッチ
 原作●ミッキー・スピレーン(燃える接吻を)  脚本●A・I・ベザライズ 撮影●アーネスト・ラズロ
 音楽●フランク・デヴォール 美術●ウィリアム・グラスゴー 編集●マイケル・ルチアーノ
 録音●ジャック・ソロモン キャスティング●ジャック・ムートン メイク●ボブ・シェイファー
 歌●"Rather Have the Blues" ナット・キング・コール、キティ・ホワイト
 出演●ラルフ・ミーカー(マイク・ハマー)、アルバート・デッカー(ソーベリン博士)、
   ポール・スチュワート(カール・エヴェロ)、クロリス・リーチマン(クリスティーナ)、
   ファノ・ヘルナンデス(エディ・イエガー)、ウェズリー・アディ(パット)、
   マリアン・カー(フライデー)、マキシン・クーパー(ヴェルダ)、
   ギャビー・ロジャース(リリー・カーヴァー)、ニック・デニス(ニック)、
   ジャック・ランバート(シュガー・スモールハウス)、
   ジャック・イーラム(チャーリー・マックス)、ストロザー・マーティン(トラック運転手)
■探偵マイク・ハマー・シリーズは'47年の第一作目「裁くのは俺だ」を始めに'52年までに6冊が書かれた。その後、十年の中断を経て'62年から再び再開された。映画化は'53年ビフ・エリオットのハマーで『I,the Jury(裁くのは俺だ)』を最初に今回上映するのが映画化第二作目(小説では第6作目)となる。この後『My Gun Is Quick(俺の拳銃は素早い)』(小説第3作目)が'57年にいずれもユナイトで映画化、そして『The Girl Hunters(ガールハンター)』(小説第7作目)が原作者スピレーン自身がハマーを演じたことで知られている。80年代にはリチャード・T・ヘフロンによる『探偵マイク・ハマー/俺が掟だ』が出色だった。『キッスで殺せ』は『ヴェラクルス』で名を売ったばかりのアルドリッチが自身の製作で映画化、音楽はいつものデヴォール。本作は逆転して流れるタイトルから一気に展開し、呆気ない最後は後のアクション映画にも数々の影響を与えたことで有名だ。
■1998年の再公開版の本作ではラストシーンが数カット増えていおり上映時間も2分長くなったが、特にラストシーンに関しては今回上映するオリジナル版の方が評判がよかった。脚本はA・I・ベザライズ。撮影は「ヴェラクルス」のアーネスト・ラズロ。音楽はアルドリッチとコンビで知られるフランク・デュヴォル。出演は「裸の拍車」「特攻大作戦」のラルフ・ミーカー、本作や『ドクター・サイクロプス』で知られる怪優アルバート・デッカー、本作でデビューした「ラストショー」のクロリス・リーチマン、「恐怖の一夜」や「市民ケーン」などで知られる名優ポール・スチュワートのほか、60-70年代には名悪役として知られるジャック・イーラム。後の低予算アクション映画に多大な影響を与え、40年代のニューロティックなフィルムノワールから乾いた活劇を導き出した。

「これはアメリカのマッカーシズムについての映画で始めから終りまでマッカーシズムの吹き荒れる時代の出来事のみを扱っていま  す。アメリカ中が、どちらを向いても皆、おどおどしていて、どんなにひどいことが起こっても誰もが 顔を背け、抗議する勇気の あるものは一人も居なかった時代です。我々は、この映画の中でそういう堕落したアメリ カ社会に対して意味深長な政治批判をし たのです。」(ロバート・アルドリッチ)

《「キッスで殺せ」STORY》 私立探偵マイク・ハマー(R・ミーカー)は深夜の路上で助けを求める女クリスチナ(クロリス・リーチマン)を車に乗せる。クリスチナは裸にレインコートをまとっているだけだった。しばらく走っていると追跡してきた3人の男に襲われ自動車ともども河の中に衝き落とされた。マイクは病院のベッドで意識を取り戻すと美人秘書のヴェルダ(M・クーパー)が看護していた。病院を出るとマイクは連邦検察局に呼び出され訊問を受けた。それは死んだクリスチナの背後に潜む事件のためマイクに疑惑がかかったからだった。ハマーは真犯人を自分の手で探そうと決心する。早速マイクはクリスチナのアパートへ行くと、彼女はリリー(G・ロジャース)という女と同室していたが、リリーは二日前に行き先も告げずに引っ越したという。リリーの移転先をかぎつけたマイクが扉を開けると、リリーはガウン一枚でベッドに横たわり、ピストルを構えていた。しかし彼女はすぐに打ち解け、問われるままにクリスチナのことを語った。自分のアパートに戻ったマイクに脅迫の電話が掛かった。事件から手を引けと。ヴェルダは事件に関係のありそうな四人の人物を調べあげていた。プロ・ボクサーのレオポルド、身元不明のニコラス、その友人で失業中のオペラ歌手カルメン・トリヴァゴ、レオポルドを轢き殺したトラック運転手ハーヴェイである。マイクはニコラスの身元を洗うため、ジムで経営者兼マネージャーのエディー(J・ヘルナンデス)に会うが、彼は顔役のカール(P・スチュワート)に口止めされていて何も喋らない。そんなときヴェルダは事件に関係のあるらしいソバリン医師(A・デッカー)と知り合った。マイクはクリスチナの手紙からソバリン医師こそ原子力の入った鞄を狙う張本人で、リリーもその仲間だということを知った。マイクがヴェルダを救い出したとき、リリーが鞄を開けてしまい、家もろとも燃え上がるのだった。

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「枯葉」Autumn Leaves 1956/U.S.A/107min
 ウィリアム・ゴエツ・プロ/コロンビア映画 コロンビア映画配給
 製作●ウィリアム・ゴエツ 監督●ロバート・アルドリッチ 脚本●ジャン・ルーヴェロル、ヒューゴ・バトラー
 撮影●チャールズ・ラングJr. 編集●マイケル・ルチアーノ 美術●ウィリアム・グラスゴウ 衣装●ジーン・ルイス
 オリジナル音楽「枯葉」作曲/ジョセフ・コスマ 作詞●ジャック・プレヴェール
 英語訳詩●ジョニ−・マ−サ− 指揮●モリス・ストロフ
 主演●ジョーン・クロフォード(ミリセント・ウェザバイ)、クリフ・ロバートソン(クリフ・ロバートソン)、
    ヴェラ・マイルズ(ヴァージニア・ハンソン)、ロレイン・グリーン(ハンソン氏)、ルース・ドネリー(リズ)、
    シェパード・ストラドウィック(コーゼンス医師)、セルマー・ジャクソン(ウェザバイ氏)、
    マキシン・クーパー(エヴァンス看護婦)、マージョリー・ベネット(ウェイトレス)、
    フランク・ガーストゥル(ラムゼイ氏)、レオナード・ムーディ(ヒリヤー大佐)、
    モーリス・マンソン(マスタ−ソン医師)、ボブ・ホプキンス(フロント係)
■ジャック・プレヴェールが作詞しジョセフ・コスマが曲にした世界的に大ヒットしたシャンソン「枯葉」を題材としたニューロティックなメロドラマ。枯葉は日本ではイブ・モンタンのヒット曲としても知られるが、アメリカでは多くのジャズの巨人が演奏している。本作の中ではジョニー・マーサーの歌を聞くことが出来る。主演は30年代のMGMのスターのジョーン・クロフォード。クロフォードはトーキー初期に「ホリウッド・レヴュー」などミュージカルから人気が出で、30年代にはグレタ・ガルボとも並ぶスターだった。モームの原作をマイルストンが監督した「雨」で演じたサディ・トンプソンは衝撃だったがコメディもこなし、45年の「ミルドレッド・ピアース」ではアカデミー賞も受賞。以後50年代には作品は減り傍役も演るようになったが、54年のニコラス・レイの「大砂塵」では独特の中年女性を演じた。本作はその2年後、中年女性の色気で再生した時期の作品である。その後アルドリッチとは「何がジェーンに起こったか?」でも組むが、以後はホラー映画の名優にもなった。後に相手役はウィリアム・ホ−ルデン主演の「ピクニック」で売り出したばかりの新人クリフ・ロバートソン。ロバートソンは63年に「魚雷艇109」で若きジョン・F・ケネディを演じスターに仲間入り。近年も「スパイダーマン」などに出演している。ヴェラ・マイルズはジョン・フォードの「捜索者」で見い出され、以後は本作、そして本作の後にはヒッチコックの「間違えられた男」にも出演、60年には「サイコ」そしてフォードの「リバティ・バランスを撃った男」など大巨匠に気に入られた女優となった。

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「ふるえて眠れ」Hush...Hush, Sweet Charlotte 1964/U.S.A/133min
 製作・監督●ロバート・アルドリッチ 撮影●ジョセフ・バイロック
 原作●ヘンリー・ファレル 脚本●ヘンリー・ファレル、ルーカス・ヘラー
 撮影●ジョゼフ・バイロック 音楽●フランク・デヴォール 作詞●マック・デヴィッド
 出演●ベティ・デイヴィス(シャルロット・ホリーズ)、オリヴィア・デ・ハヴィランド(ミリアム・デいーリング)、
ジョセフ・コットン(医師ドリュ・ベイリス)、アグネス・ムーアヘッド(ヴェルマ・クルーター)、
セシル・ケラウェイ(ハリー・ウィリス)、ヴィクター・ブオノ(ビッグ・サム・ホリーズ)、
メアリー・アスター(ジュエル・メヒュ−夫人)、ウィリアム・キャンベル(ポール・マーシャンド)、
ウェズリー・アディ(ルーク・スタンデッシュ保安官)、ブルース・ダーン、ジョージ・ケネディ
■「何がジェーンに起こったか?」は往年のアカデミー賞受賞の名女優ベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォードをホラ−女優として再生させて、大きな話題となりヒットした。それを受けてその2年後にまさに姉妹編としてアルドリッチ自身が製作・監督したサイコ・ホラー風の文芸サスペンス。原作も「何がジェーン…」と同じヘンリー・ファレルで、同じくルーカス・ヘラーが共同脚色、撮影は「攻撃」でも組み、その後アルドリッチ組のカメラマンとして活躍するジョセフ・バイロック。そして音楽もいつものフランク・デヴォールが担当。出演は「何がジェーンに起こったか?」のベティ・デイヴィス。ベティは言うまでもなく1934年のかS・モーム原作の「痴人の愛」から一躍知られ翌年の「青春の抗議」でアカデミ−主演女優賞。若き演技派として大女優にのし上がる。その大きな瞳が特徴で、30年代末から40年代にかけてサミュエル・ゴールドウィンが製作しウィリアム・ワイラーが監督する女文芸ドラマ「黒蘭の女」「月光の女」「偽りの楽園」に主演し「黒蘭の女」で2度目オスカーを受けた。 共演には「何がジェーン…」のジョーン・クロフォードに替わってのオリヴィア・デ・ハヴィランド、デ・ハヴィランドは40年代初頭はエロール・フリンの相手役のお姫さま女優だったが、戦後46年にロバート・シオドマークのニューロティク映画「暗い鏡」そしてアナトール・リトヴァックの「蛇の穴」などダークな女優にもなりつつあったがワイラーの「相続人」でアカデミ−女優となっていた。そしてしばらくの引退後、中年女優として復帰したばかり。ジョセフ・コットンは「市民ケーン」そして「疑惑の影」などから「ジェニーの肖像」「旅愁」などまさに、ニューロティク映画の名優。他にコットンと同じくO・ウェルズのマ−キュリ−劇団出身アグネス・ムーアヘッドに加え、70年代に個性派として知られるブルース・ダーンやジョージ・ケネディも出演している。

《「ふるえて眠れ」STORY》 1927年、ルイジアナ州。町の名士サム・ホリスの娘、シャーロットは、妻のいる男ジョン・メイフューの恋人だった。その日サムはジョンに、娘と別れるようにと脅していた。サムはジョンに彼の妻ジュールも、既に2人の仲を知っていると言い、翌日開かれるホリス家のパーティでシャーロットに別れ話を持ち出すよう命令した。パーティの晩、別れ話に泣き止まないシャーロットに、手をこまねいたジョンが庭で一人座っていると、何者かが寄ってきて、肉切り包丁で彼の手首と首を切断した。そして間もなく、パーティ会場にドレスを血で汚したシャーロットが、放心状態で入ってきたのだった。しかし死体は発見されず、事件は解決されないまま、シャーロットが殺したという噂だけが持ち上がり、37年の月日が流れた。
 父サムが殺したのだという確信を心に秘めたまま、シャーロットは屋敷で歳を重ねていた。そのサムもすでに他界して、彼女は世間から精神異常と噂されながら、メイドのヴェルマと2人きりで生活を送っていた。
 道路工事のため、屋敷が取り壊されることとなるが、シャーロットは頑としてこれを拒んでいた。死体が屋敷のどこかから発見され、父の犯罪が明るみになることを恐れているのだ。彼女は神経質になり、工事を阻止するための助けを求めて、いとこであるミリアムをヨーロッパから呼ぶ。ミリアムはかつてシャーロットの主治医ドリューの愛人だった。一方、昔ジョン殺しを捜査した新聞記者だという老人、ハリーがロンドンから町を訪れ、再び捜査に乗り出す。37年ぶりに帰郷したミリアム、そしてドリューとの晩餐の席上で、ミリアムは屋敷を退去すべきだと言い、シャーロットと対立する。ハリーは、ジョンの未亡人ジュールとミリアムの険悪なやりとりを偶然見てしまう。ジュールはミリアムをひどく嫌悪していたのだった。
 ある深夜、ジョンを想いながら広間のハープシコードを弾いていたシャーロットは、床に切られた手首が落ちているのを見て錯乱する。しかし翌日には、それは跡形もなく消えていた。
 シャーロットに好意的なハリーに、彼女は心を開いていく。 ある嵐の晩、何者かが広間のハープシコードを弾いていた。起きてきたシャーロットは、広間のガラス越しにジョンの影を見て怯える。幻想とも現実ともつかぬ出来事に、シャーロットの神経は衰弱していった。そしてある日、ミリアムが手にした箱からジョンの首が転がるのを見て、シャーロットは失神する。しかし全てはミリアムとドリューが、シャーロットの財産目当てで企んだ策略であった。2人はシャーロットを精神異常に追いやろうとしていたのだ。それを嗅ぎ付けたメイドのヴェルマは、シャーロットのナイトテーブルから証拠となる薬品を見つけ、ショックと薬で衰弱しきったシャーロットを屋敷から連れ出そうとする。しかし、見張っていたミリアムは証拠を握られたことを知り、ヴェルマを椅子で殴り殺す。それはドリューとの共謀によって、事故死と片づけられた。
 再び、深夜のハープシコードを耳にしたシャーロットは階下へ行き、広間でミリアムの拳銃を見つける。そして首と手のないジョンの幻想を目にして、その体へ銃を放つ。降りてきたミリアムに声をかけられ、我に返るが、そこにはドリューの死体があった。シャーロットはドリューを殺してしまったことを知ると半狂乱となり、莫大な財産と引き替えてもいいと、ミリアムに死体遺棄の共犯を懇願する。2人は沼へその死体を棄てに行く。ミリアムは錯乱するシャーロットをぶち、これからは自分の言うとおりにするようにと、今まで見せなかったヒステリックな口調で命令する。屋敷に入ったシャーロットは、死んだはずのドリューが泥まみれになって立っているのを見て、完全に我を失う。しかしドリューは死んではいなかったのだ。これこそが2人の最後の切り札となる芝居だった。
 広間で勝利の杯に酔う2人。そこでミリアムは意外な事実を告げる。37年前のジョン殺しの真犯人は、嫉妬に駆られたジョンの妻ジュールだったのだ。しかもそれを目撃したミリアムは、彼女を脅迫しており、その金でヨーロッパ生活を送っていたのだと。シャーロットはこの話を2階の廊下から聞いていた。そして、シャーロットが立ち去ろうとした瞬間、石膏の大きなフラワーポットにぶつかり、事故とも故意ともつかぬまま、ミリアムとドリューは階下へ落ちたポットの下敷きとなり、即死する。
 シャーロットは屋敷を立ち去ることになる。ジュールは自殺し、真実を告げた彼女の手紙は、死後開封することを条件にハリーに託されていた。シャーロットが大勢の人に見守られ屋敷を去るとき、その手紙をハリーから受け取る。彼女にとって、新たな人生が始まろうとしていた。

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「傷だらけの挽歌」The Grissom Gang 1971/U.S.A/128min
 ABC作品 製作・監督●ロバート・アルドリッチ 原作●ジェームス・ハドリー・チェイス「ミス・ブランディシュの蘭」
 撮影●ジョセフ・バイロック 脚本●レオン・グリフィス 音楽●ジェラルド・フリード 編集●マイケル・ルチアーノ
 音楽●ジェラルド・フライド 製作助手●ウィリアム・アルドリッチ 衣装●ノーマ・コッホ
 出演●キム・ダービー(バーバラ・ブランディシュ)、スコット・ウィルソン(スリム・グリソム)、
   トニー・ムサンテ(エディ・ヘーゲン)、ロバート・ランシング(デイヴ・フェナー)、
   アイリーン・デイリー(グラディス"ママ"グリソム)、コニー・スティーヴンス(アナ・ボルグ)、
ウェズリー・アディ(ジョン・P・ブランディシュ)、マット・クラーク(ジョー・ベイリー)、
ディック・ミラー、
■1931年のカンサス州で起きた実話を元にしたJ・H・チェイスの『ミス・ブランディッシュの蘭』の2度目の映画化。それまでのアルドリッチとしては『ヴァラクルス』から『攻撃』を頂点とし、大作『特攻大作戦』へと至る男系の作品と『何がジェーンに起ったか?』を頂点とし『甘い抱擁』へと至る女系の作品に別れていたが、本作はニューシネマの状況下でその二つの流れを融合したものとなった。
本作はロジャー・コーマンの70年作『血まみれギャングママ』に続く30年代不況下のアメリカのギャング映画であり、68年のアーサー・ペンのニューシネマの原点『俺たちに明日はない』以後、ミリアスの『デリンジャー』やスコセッシの『明日に処刑を』などが同系列の流れを作った。主演のキム・ダービーは、69年にジョン・ウェイン主演の『勇気ある追跡』で子役デビューし、70年に青春映画『いちご白書』で青春スターとなっていた。本作は女の部分を全開にした挑戦となった。共演のスコット・ウィルソンはカポーティの原作でリチャード・ブルックス監督の67年の問題作『冷血』で犯罪者を演じ注目され、本作のマザコンの異常な青年を演じた。以後も翌72年にはリチャード・フライシャーの『センチュリアン』でも気弱な警官を演じ、ニューシネマならではの個性派俳優となった。83年の『ライトスタッフ』ではパイロット役も演じ以後80年代はポーランドの新星ザヌーシの『太陽の年』に主演するがハリウッドでは傍役で活躍。『パールハーバー』などにも出演している。60年代に売り出そうとした50年代風アイドルのコニー・スティーヴンス、テレビ「アンタッチャブル」などのロバート・ランシングに加え、アルドリッチ作品の常連ウェズリー・アディや70年代傍役のマット・クラークにディック・ミラーも出演している。

《「傷だらけの挽歌」STORY》1931年の夏、不況のドン底にあった、ここは中部のカンサス・シティ。町はずれの安酒場で、3人のチンピラが、みすぼらしいナイトクラブの写真屋ヘイニーからうまい話を聞き出した。プレイガールのバーバラ・ブランディシュ(キム・ダービー)が身につけている首飾りが5万ドルもするダイヤだというのだ。チンピラ・ギャングのトリオ、ジョー・ベイリー、フランク・コナー、サムの3人は早速、もぐり酒場ゴールデン・スリッパーへ駆けつけた。待ち構える3人に、予想通り、バーバラはボーイフレンド、ジェリー・マクゴーワンに伴われて姿を現わした。しかし、急に喧嘩を始めたバーバラは、怒って酒場をとび出した。慌てて店を出た3人は、バーバラを乗せたジェリーのロードスターが走り出すと、リンカンで後に続いた。やがて、妨害して車を止めさせると、怒ったジェリーはいきなりサムに殴りかかっていった。突然コナーはピストルをジェリーめがけて射った。泣き叫ぶバーバラを車に乗せて、3人はひとまずカンサス・シティから100 マイル離れた所にある黒人の元ボクサー、ジョニー・ハッチンスの小屋に隠れることにした。途中で彼らはガソリン・スタンドに立ち寄り、まずいことにグリッソム・ギャングと呼ばれる名うてのギャング団の1人、エディ・ヘイゲン(トニー・ムサンテ)に会ってしまった。エディは持ち前の勘で、3人を臭いとにらんだ。彼は早速、女親分マー・グリッソム(アイリン・デイリー)に知らせに車を走らせた。ハッチンスの小屋にひそんだ3人のギャングとバーバラを訪ねて、突如グリッソム・ギャングがやってきた。エディ、メイス、ウォッピー、それにマー・グリッソムの息子で精神に異状のあるスリム(スコット・ウィルソン)の4人である。すっかりおびえた3人組は、たちまちのうちに射殺され、バーバラはグリッソム・ギャングに連れ去られた。グリッソムは早速、身代金を要求した。そして約束通りの金を受け取ると、用のすんだバーバラを殺す計画を立てた。しかし、バーバラの美貌にひかれ、友達になりたいと思いつめるスリムは、絶対服従のはずのマー・グリッソムにも盾つき、絶対にバーバラは離さないと、得意のナイフをちらつかせた。バーバラの父親ジョン・P・ブランディシュ(ウェズリー・アディ)は、百万長者の実業家である。早速私立探偵デイブ・フェナー(ロバート・ランシング)を雇ったが、バーバラは戻らなかった。すでに用のないバーバラを消してしまおうとするマー・グリッソムに、スリムはナイフをつきつけ、母親でも容赦はしないといきまいた。おかげで命を保っているバーバラは、薄汚くて軽薄なスリムへの嫌悪感を振り払って、スリムのご機嫌を取らねばならなかった。グリッソムの経営するナイトクラブで歌っている、殺されたコナーの女アンナ・ボーグは、ガソリン・スタンドの男から、コナーがエディ・ヘイゲンに会ったことを聞いた。それを知ったエディは、ガソリン・スタンドの男を殺し、バーバラから離れようとしないスリムのために、2人がまるで新婚生活を送るかのような豪華な部屋を提供した。一方、フェナーはアンナ・ボーグに関する聞き込みを得て、芸能周旋屋に化けて、まんまとジョニー・ハッチンスの名前を聞き出した。エディはそれを知るとアンナを射殺し、急遽、スリムたちを廻した、ハッチンスに会ったフェナーは、ことのいきさつを聞き出したが、スリムたちに襲われた。しかし到着した警官たちを見て、スリムたちは逃げ出し、フェナーは九死に一生を得た。エディがスリムの留守にバーバラをものにしようと迫った時、スリムが現われ、得意のナイフでエディを刺し殺した。一方、警官隊はナイトクラブを包囲した。ギャングと警官隊との間に激しい射ち合いが展開され、マー・グリッソムも遂に銃弾を浴びて倒れた。バーバラを連れて車で逃げ回るスリムは、途中、ラジオで母親の惨死を知り、悲しみに沈みながらも更に逃げ、とある農家の納屋にひそんだ。しかし、それを見た農夫が警察に通報した。その納屋で、バーバラは初めてスリムの暖かい心にうたれ、優しく包むようにスリムを抱いた。夜が明けそめるころ、警官隊は納屋の回りをびっしりと取りかこんでいた。バーバラの制止も振り切って飛び出したスリムは、一斉に発射された無数の銃弾を浴びて倒れた。泣き叫びながらスリムの死体を愛撫するバーバラに、父親の冷たい言葉が突き刺さり、バーバラの目はうつろな色に変わっていった。フェナーに送られる途中、車を止めさせて歩き出したバーバラは、突然湖へ身を投げた。



Robert Aldrich Biography
■ロバート・アルドリッチは1918年8月9日アメリカ・ロードアイランド州クランストンの裕福な家庭に生まれた。アルドリッチ一家は政財界にも名士を輩出した名門である。父親は出版と金融の経営で成功していた。ロバートはヴァージニア大学で経済学を学んだ。
伯父が映画会社の株主であったため、製作の仕事につくが、結局一族から離れ、ハリウッドでRKOの使い走りからスタート。1942年〜43年にユニオンが結成され第4助監督になりアーヴィング・レイス、リチャード・ウォレス、エドワード・ドミトリクらRKOの低予算作品に付いた。一時、空軍に従軍したがフットボールの古傷のために1日で除隊する。1945年にはファ−スト助監督に昇進し、フランスから亡命していたジャン・ルノワールの『南部の人』、ウェルマンの『GIジョー』、マイルストンの『呪いの血』そして『凱旋門』、ロバート・ロッセンの『ボディ・アンド・ソウル』、エブラハム・ポロンスキーの『苦い報酬』などユナイト、コロンビア、MGM、ワーナーなど各社で助監督から製作マネージャーまで務めた。その中にはジョセフ・ロージー、リチャード・フライシャーら同世代の監督もいたが時代はマッカーシズム=「赤狩り」が吹き荒れていた。1952年にはイギリスでチャップリンの『ライムライト』の助監督、フランク・タシュリンがコロンビアで撮った『The First Time』を最後に草創期のテレビで演出するようになった。その中のヒット作ダン・デュリエ主演の「チャイナ・スミス」シリーズは後に映画化することにもなるが、カール・フォアマンの推薦でドーア・シャリーの推薦でMGMの野球映画『大リーガー』で1953年監督デビューしたのである。ダン・デュリエら「チャイナ・スミス」シリーズの仲間と作った『ランサムの世界』の後、ちょうどハリウッドでは俳優を中心にした独立プロが増えはじめ、その中でバート・ランカスターとベン・ヘクトに請われハリウッドのメインストリームで『アパッチ』そして『ヴェラクルス』を監督し注目される。特に『ヴェラクルス』では往年のスター、ゲーリー・クーパーとランカスターを共演させた。この成功で『キッスで殺せ』を撮ったのをきっかけに自身のプロダクションを興す。しかし56年の『攻撃』以降は実質的にはヨーロッパに逃れることになる。そしてハリウッドに復帰したのが『何がジェーンに起ったか?』'62であった。このように'50年代作家(ジョセフ・ロージー、ジュールス・ダッシン)はレッド・パージ以後ヨーロッパに逃れ小規模な作品を撮るか、あるいはアメリカがヨーロッパに焦げ付いた金で歴史大作を撮るのに監督として雇われる場合(アンソニー・マン、ニコラス・レイ、)があったがアルドリッチも例外ではなくイギリスで『地獄へ10秒』'57などを、'61年にイタリアで大作『ソドムとゴモラ』を撮っている。'60年代後半に起ったアメリカン・ニューシネマの動きはハリウッドの斜陽を表面化するとともに政治的にも緩和されたため'50年代パージの犠牲者の復帰を助長する。アルトマンの『マッシュ』の脚本家リング・ラドナーJrを始めドルトン・トランボ『ジョニーは戦場へ行った』、ポロンスキー『夕陽に向かって走れ』らも復帰。以後、スピルバーグ、コッポラらハリウッド・ルネッサンス派の興隆までの間にアルドリッチ、フライシャー、ヒューストンら'50年代作家がコンスタントに作品を発表する機会を得るのだった。アルドリッチにとっては66年の『飛べフェニックス』そして戦争アクション大作『特攻大作戦』に『燃える戦場』そしてニューシネマ風の反骨『傷だらけの挽歌』以後『ワイルドアパッチ』73年には『北国の帝王』74年『ロンゲストヤード』とアクション映画の傑作を作り、遺作は再び女系と男系の混成させた女子プロ映画『カリフォルニア・ドールズ』。その生涯監督作品数は30本がある。1983年12月5日、肝臓を患いロサンジェルスの病院にて永眠する。享年65歳。 
(上写真は『キッスで殺せ』でギャビー・ロジャースを演出する若きアルドリッチ)   

アルドリッチ/フィルモグラフィー ★は今回上映作品
1953 「大リーガー(日本未公開)」Big Leaguer    
1954 「ランサムの世界(日本未公開)」 World for Ransom  
「アパッチ」Apache                     
「ヴェラクルス」Vera Cruz               
1955 ★「キッスで殺せ」 Kiss Me Deadly              
「悪徳(劇場未公開)」 The Big Knife 
1956   ★「枯葉(日本未公開)」 Autumn Leaves            
「攻撃」 Attack!      
1959  「怒りの丘」 The Angry Hills       
「地獄へ10秒(劇場未公開)」 10 Seconds to Hell   
「 Garment Jungle (日本未公開)」 Garment Jungle (ノンクレジット)   
1961 「ガンファイター」 The Last Sunset
1962 「何がジェーンに起こったか?」 What Ever Happened to Baby Jane?  
「ソドムとゴモラ」 Sodom and Gomorrah
1963 「テキサスの4人」4 for Texas
1964 ★「ふるえて眠れ」Hush... Hush, Sweet Charlotte
1966 「飛べ!フェニックス」The Flight of the Phoenix
1967 「特攻大作戦」 The Dirty Dozen
1968 「甘い抱擁」The Killing of Sister George
「女の香り」 The Legend of Lylah Clare
1969 「燃える戦場」 Too Late the Hero
1971 ★「傷だらけの挽歌」The Grissom Gang           
1972 「ワイルド・アパッチ」 Ulzana's Raid
1973 「北国の帝王」 Emperor of the north
1974 「ロンゲスト・ヤード」 The Longest Yard
1975 「ハッスル」 Hustle      
1977 「合衆国最後の日」Twilight's Last Gleaming   
「クワイヤ・ボーイズ」 The Choirboys
1979 「フリスコ・キッド(劇場未公開)」 The Frisco Kid
1981 「カリフォルニア・ドールズ」All the Marbles

コメント(1)

整理券などの発行はあるんでしょうか。
見に行こうと思ってます☆

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