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数学と物理学の融合・超弦理論コミュの#Topological String Theory

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Topological String Theory(位相的弦理論)
について雑談しませんか。

コメント(63)

■測度についての仮定

今まで測度が計量に依存しないことを仮定していますが、
これが成立するかどうか、即ち計量についてアノーマリーが
あるかどうかはモデル毎にチェックする必要があります。
■TFTの類型:Witten type

ゲージ固定された作用がBRST commutatorの形となるものはWitten typeのTFTと呼ばれます。

Sq = {Q,V}

V(Φ,g) 汎関数
Q  nilpotent(かつ一般には計量について独立な)BRST電荷
∫記号は適宜省略されます。

この作用には位相的な項(ラグランジアンが全微分の項)を付け加えることが可能で、その
ような項は運動方程式やエネルギー運動量テンソルを変えません。

エネルギー運動量テンソルを計算してみます。作用の計量による微小変換により、

δSq = {Q,δg^ab V_ab}

エネルギー運動量テンソルの定義は
δSq = 1/2 ∫dV √g δg^ab T_ab

なので T_ab = {Q, (2/√g) δV/δg}

TがBRST commutatorの形で書けたのでTFTの定義をみたしています。Witten typeのTFTは作用がBRST commutatorで書けるという、強い条件をもっているので、そこから分配関数について次のような計算ができます。

作用に無次元パラメータtを導入し、作用を
Sq→tSqにリスケーリングします。これはいままで省略していたプランク定数(1/h)を復活させて表示
していることと同じです。

分配関数をこのtについて微小変換させてみます。

Z = ∫[dΦ]e^(-tS_q)
δZ = ∫[dΦ]e^(-tS_q) {Q,δg^ab V_ab} δt =0

これよりZはtが0でない限りtに独立であることがわかります。また、tを0にすることはe^0=1となり積分を発散させることとなるので不可能です。Zがtに独立であるのでtを非常に大きく取って計算することができます。これはtをプランク定数の対応と考えるとh→0すなわち、半古典近似で計算することと等価です。

Witten type のTFTは半古典近似の計算が近似でなく分配関数の正確な計算となります。

同様な議論が相関関数でも成立します。
■TFTの類型 Schwarz Type:

Schwarzが1978年に研究したRay-Singer invarantsについての研究、Wittenのジョーンズ多項式の研究
1989年で使われたタイプのTFTです。

このTypeではゲージ固定前の作用Scが
・全微分項ではない
・計量によらない
という特徴を持っています。

ゲージ固定後、作用は

Sq(Φ,g) = Sc(Φ) + {Q, V(Φ,g)}   …(*)

という形をとります。 エネルギー運動量テンソルはScが計量によらないことから、ゲージ固定項+
ゴースト項のみがきいてきて、Witten typeと同じ形

T_ab = {Q, (2/√g) δV/δg}

となります。TがQ-commutatorでかけたので、分配関数は計量に依存しないことになります。

上記の特徴を持つ理論として、Chern-Simon模型、Abelian BF模型、2,3次元のnon-Abelian BF模型
があります。

しかし、4次元以上のnon-Abelian BF模型はScがShwarz typeの特徴を有していますが、
ゲージ理論がonshellで可約なため、ゲージ固定後の作用が(*)となりません。
この理論の位相的性質をみるためにはより詳細な議論が必要となります。(→6.3.4)

Schwarz typeのTFTは
Witten typeと違い、作用がBRST-commutator(Q-exact)に書かれていないので、
半古典近似が正確な計算となることはすぐには結論できませんが、
Chern-Simon模型では分配関数、観測量にきいてくる補正は1loopまでであることが知られています。
BF模型では分配関数と観測量がWitten Typeと同じく半古典近似が正確な計算となります。
■TFTとゲージ理論の関係
Witten typeの理論は通常のゲージ理論(例 ヤンミルズ理論)の局所対称性に加えtopological shift symmetry(δΦ=ε)
を結合させてQを作ります。
 
Schwarz typeでは通常のゲージ理論のゲージ固定からQを
作りますが、もとになるゲージ理論が可約なものが多いのが
特徴です。
■TFTの特徴

TFTの特筆すべき特徴として、モデルにダイナミカルな励起状態が存在しないことが挙げられます。
これは言い換えれば伝搬する自由度が存在しないということです。

一般に、以前にあげたTFTの定義より、任意の物理状態のエネルギーはハミルトニアンHを用いて
<phys'|H|phys>=<phys'|∫T_00|phys>
=<phys'|∫{Q,T_00}|phys>=0

となり、物理的な励起状態が存在しないことがわかります。
■弦理論はTFTか?

弦理論では世界面のエネルギー運動量テンソルはBRST-commutatorです。
弦理論は世界面という2次元多様体上のTFTですが、標的空間である時空
については位相的ではありません。ボソン弦では伝搬自由度は24あります。
このことは作用を世界面の計量で変分をとるとBRST-commutatorになること
に比べて、時空の計量で変分をとるとBRST-commutatorとならないことから
も明らかです。
■TFTの分類名について

Witten typeは観測量の構造から「Cohomological」
Schwarz typeは半古典近似が必ずしも正確な計算とならないことから「quantum」
と呼ばれたりもします。一般にSchwarz typeは非Witten type全般をさしているともいえます。
■2.2 モジュライ空間について
モジュライ空間とは
大雑把には、幾何学的な量についての
特定の同値関係でわってやった同値類
の組で記述される空間であると言えます。。

弦理論を例としてあげます。
弦理論ではリーマン面のモジュライ空間が重要な役割を果たします。
二つのリーマン面M,M'が互いにある同値関係で等価でないとき、
夫々を点として代表させ、これらの点によって構成される空間が
モジュライ空間です。

これを物理の言葉で考えると、
計量の場全体の空間から、弦の作用を不変に保つdiffとweyl変換を
同値関係として割ってやった空間が弦のモジュライ空間です。
3.1 超対称量子力学の作用

Wittenが議論したのは

リーマン面 M
計量 g_ij
リーマンテンソル R_ijkl
上の

超対称量子力学の作用として
S=∫dt i(φ'+s∂V) B + 1/2 BB -1/4 R ζζψψ - iζ(D_t +s(D`D.V))ψ

を考えるものです。
ここで
φ^i 座標
ψ^i,ζ_i 実グラスマン座標
B_i 補助場
s 任意のパラメータ

超対称性(BRST対称性)は
{Q,φ} = ψ
{Q,ψ} = 0
{Q,ζ} = B - ζΓψ
{Q,B} = BΓ.ψ - 1/2 ζR.,,ψ~ψ~
{Q,{Q,●}} = 0 ●は任意の場。


ここでエディタの都合上、以下に述べるような記号の省略をしています。

■微分
φ'=(dφ/dt)
∂V= (∂V/∂φ)_i
D_t=(D/Dt)
D=(D/Dφ^i)=D_i=D.=D,
D^i=g^ij D_i = D` = D~

■縮約
1.添え字が縮約されているとき、明示されていないときは下付きが前。
2.複数の添え字が縮約されているときは順番通りに縮約される。よって
上記のリーマンテンソル部分はR_ijklζ^iζ^jψ^kψ^lと解釈する。


このモデルはQを用いてBRST交換子の形でかけるのでWitten型のTFTとして2章で行った
技法を用いることができます。

このモデルを簡単化したモデルを3.1で導入し、
ニコライマップというTFTの有用な手法を説明します。ニコライマップは作用が知られていないモデルにおいてもモデルの位相的な情報を得るための重要な手法であり、3.2節で説明します。
3.1.1 超対称量子力学 Toy model

問題を簡単化するために、Target spaceを一次元にとります。
よってR=0,Γ=0となり、作用は

S = ∫dt i(φ' + s ∂V)B + 1/2 B^2 -i ζ(d_t + s∂^2V) ψ

とかけます。ここでd_t=(d/dt)です。

一次元の空間としてt∈R^1 or S^1 が取れますが、ここでは S^1とします。

超対称(もしくはBRST)変換は

{Q,φ} = ψ
{Q,ψ} = 0
{Q,ζ} = B
{Q,B} = 0
{{Q,Q},●} = 0

です。
作用はBを消去すると
B = i(φ' + s ∂V)より

S = ∫dt 1/2 (φ' + s ∂V)^2 -i ζ(d_t + s∂^2V) ψ

となることから、

φ' + s ∂V = 0

はボゾニック部分について最小値を取るので、近似的にはこの方程式の解が経路積分に効くことになり、この解を"インスタントン"と呼ぶことにします。

この方程式は

∫dt 1/2 (φ' + s ∂V)^2 = 0

∫dt φ'^2 + s^2 (∂V)^2 +2s(φ' ∂V) = ∫dt φ'^2 + s^2 (∂V)^2 = 0

より、

φ'=0,s∂V=0

となるので、近似的にはφ=定数の定数経路のみが効いてくる。また、2番目の式から
sがゼロでない限り、φがVの極値にあたるところが経路積分に効いてくることがわかります。実際、この近似は正確に成立していることを示すことができます。
= 3.2 ニコライマップ
[Nicolai 80,82]の主張次のようのものです。

「global susyを持つ理論は作用のボゾニック部分を簡単化し、フェルミオニック部分からくるPfaffian(Salam-Mathews determinant)をキャンセルするようなボゾン場の変換(一般に非線形、非局所)が存在する。」

ここでPfaffianとは2n次元反対称行列M^i_jについて

Pf(M) = ε_(ijkl‥) M^i_j M^k_l ‥

また、det = Pf^2という関係があります。

これはボソン場をφ、フェルミオニック場をψとしたとき、
分配関数においてψを先に積分したものとして

Z = ∫e^-S(φ) Pf(D[φ])

が得られたとき、

φ→ξ(φ)の変換によってヤコビアンとPfがキャンセルし

Z = ∫e^(∫-1/2ξ^2 ) × (winding number of mapping)

となるξが存在することを言っています。

このような非局所的な変換なので、マップを見つけることは困難であり、
殆どのケースではマップは摂動論的に決定されています。正確なマップは
低次元でのみ知られています。Nicolaiも4次元N=1SYMの結合定数の3次のオ
ーダーまでで計算したマップのような摂動的な計算をしています。[Nicolai 82]

5.2.5でニコライマップをWittenが導入したインスタントンモジュライ空間を記述する
モデルの簡単化に使用します[Witten Brimingham,Rakowski,Thompson 88][Mansfield 88]。また、このマップはAtiyahとJeffreyによって数学的な基礎付けが与えられており、これを5.2.6で説明します。

TFTの観点からニコライマップの存在は基本的なものであり、
TFTの分類をしたとき、Witten TypeのTFTについて次のようなことが言えます。

「Witten TypeのTFTは作用を自明化し、古典解のモジュライ空間に制限するようなニコライマップが存在する。」
3.2.1 ニコライマップ Toy model

ニコライマップを前回みたToy modelで見てみます。作用は

S = ∫dt i(φ' + s ∂V)B + 1/2 B^2 -i ζ(d_t + s∂^2V) ψ

"インスタントン"解のみが経路積分に効いてくることを示すために

φ→ξ=φ' + s∂V

よってξ=0 が"インスタントン"方程式になります。

この変換から生じるヤコビアンは

δξ/δφ = d/dt + s ∂∂Vより

|det(δφ/δξ)|=|det(d/dt + s ∂∂V)|^-1

これはフェルミオン場ζ、ψを積分して求まるdetの逆数に丁度一致します。

∫e^(-1/2 ∫dtξ^2) det(δξ/δφ)|det(δφ/δξ)|^-1

絶対値を外すにはξの積分範囲を知る必要が出てきます。
この理由を理解するために、次の単なる積分を考えます。


∫ dφdψdζexp[-1/2 (∂V)^2 + ζ∂∂ψ]
-∞


∫ dφdψdζexp[-1/2 (∂V)^2 + ζ∂∂Vψ]
-∞

ここでVが
(1) ∂V = φ + φ^2
の場合を考えます。

∂∂V = 1 + 2 φ

となるので、積分は

∫ dφdψdζexp[-1/2 (φ + φ^2)^2 + ζ(1+2φ)ψ]
-∞

です。

ニコライマップ
ξ=φ + φ^2=(φ+1/2)^2-1/4 (φ=-1/2でξ=1/4 を頂点とする下に凸な放物線)
より積分範囲は
φ:[-∞,∞] → ξ:[+∞,-1/4] + [-1/4,+∞]
となります。

dξ = (1+2φ)dφ
より

dφ = (1+2φ)^-1 dξ

です。

また、グラスマン数を積分すると

∫dψdζexp[ζ(1+2φ)ψ] = (1+2φ)

となり、これらは打ち消しあいます。

結局積分は

-1/4 ∞  
∫ + ∫ dξexp[-1/2 ξ^2]
∞  -1/4

=

∞  
∫ (-1+1) dξexp[-1/2 ξ^2] = 0
-1/4

となります。

この式を次のように読み取ります。
・+から-にむかってξ=0を横切る回数
・-から+にむかってξ=0を横切る回数
が一致している。

ξ=0とはξ=∂V=0
すなわちVの極値です。
また∂∂Vはその時の符号によってξが+から-に向かっているのか
その逆に向かっているかをあらわすので次のことがわかります。
「ξ=0とはVの極値での∂∂V の符号と関係している」

(2)∂V = φ - 1/3 φ^3

ではξ = ∂V = φ - 1/3φ^3 = -1/3 φ(φ- √3)(φ + √3)
∂∂V = 1 - φ^2 = -(φ-1)(φ+1)

積分範囲は
φ:[-∞,+∞] → ξ:[+∞,-2/3]+[-2/3,+2/3]+[2/3,-∞]

ξ=0を横切る回数は
・+から-にむかってξ=0を横切る回数 1
・-から+にむかってξ=0を横切る回数 2

結局、積分範囲はさらにξ:[+∞,-∞]となり、

∫e^(-1/2ξ^2 )  = √2π

となります。

-------------

以上の例から、
ポテンシャルVがφ→±∞でV(φ)∝φ^nとなるような積分では

Σ_{P} sign{∂∂V}

となることが推測できます。ここでPはVの極値をとる点とします。
この和はnがoddの時に0となり、evenで1になります。
■経路積分への一般化

ここで最初の経路積分の問題にこの結果を適用します。
S = ∫dt i(φ' + s ∂V)B + 1/2 B^2 -i ζ(d_t + s∂^2V) ψ

Z =∫DφDψe^-S

ここで「φ,ψのt依存性を無視」すると

S ∝ i(s ∂V)B + 1/2 B^2 -i ζ(s∂^2V)ψ

Bを積分して

S ∝ 1/2 s^2 (∂V)^2 - i ζ(s∂^2V)ψ

となり、先ほどから考えていた積分になります。

このような極限は理論の[[ultra local form]]と呼ばれます。

よって理論はこの極限において

Z = Σ_{P} sign det{∂∂V}

の形をとると推測できます。
(1),(2)で得られた結果に対応する議論を経路積分の場合に行います。

経路積分はある時刻tでのξ(t)の積分の積で書けますので
ある時刻tでのξ(t)の範囲を調べることに対応します。

ある時刻tでの位置固有状態|φ>の組{|φ>}を考えます。
次にニコライマップξ=φ' + s∂Vを考えξの固有状態|ξ>を導入します。
上付き添え字が書けないので量子力学の演算子をtex記法で書くことにします。

\hat{ξ}|ξ> = ξ|ξ>
\hat{φ}|φ> = φ|φ>

より次の関係式が成立します。

ξはニコライマップと作用の形から正準運動量に対応するので

<φ|\hat{ξ}|ξ> = (-i∂_φ ± is∂V)<φ|ξ> = ξ<φ|ξ>

とします。(\hat{ξ}のφ表示はφの任意関数を足せる自由度があります。)

これより

<φ|ξ> = Aexp[±sV(φ) + iξφ]

これらが2乗可積分であることをチェックします。

∫dφ<φ|ξ>^*<φ|ξ>=∫Aexp[±sV(φ) + iξφ] < ∞ (積分範囲[-∞,∞])

次の結果が知られています。

φ→±∞でV(φ)→φ^2n 指数が偶数 ならこれらの状態は2乗可積分。
もし、V(φ)→φ^(2n+1) 指数が奇数 なら2乗可積分でない。
[Ceccoti,Girardello,PLB110(1982)39]

これは以前の例(1),(2)の結果と一致します。
■ニコライマップの解釈
ニコライマップの形ξ=φ' + s∂V
からξ=0は古典解の軌道をあらわしており、
また、ポテンシャルVの極値 ∂V=0に対応します。

よって、
ニコライマップは区別ができる古典解についてそのξ=0となる際に、
一つの古典解まわりでφを動かしたときにξが符号を変える変え方
に応じて数え上げた数を分配関数として与えるものといえます。
これを式にしたものが
Z = Σ_{P} sign(∂∂V)
です。
■問題点の解決

Toyモデルに戻って、問題にしていた計算に戻ります。

∫dξe^(-1/2 ∫dtξ^2) det(δξ/δφ)|det(δξ/δφ)|^-1

の絶対値を外すためにはどうしたら良いのかを考えていたのですが、

ξ=0の部分は

Σ_{P} sign det(d/dt + s ∂∂V) (★)

となります。これは

S = ∫dt [i(φ' + s ∂V)B - iζ(d/dt + s∂∂V)ψ] (周回積分)

の経路積分から導くことができます。

この作用は元の作用からB^2を除いたものになっています。

なぜ異なる作用が同一の量子論を与えるのかは3.4でみることになりますが、
これは作用の違いにあまり無関係であるという位相的場の理論の重要な特徴の一つです。
上記の作用は経路積分におけるBの積分でインスタントン解を与えるデルタ関数が出てきます。これはVの臨界点(極値)にあたります。
極値についての和から(★)があたえられます。

(★)からZ = Σ_{P} sign(∂∂V)
に移るには

フーリエ展開
φ = Σ_[-∞,+∞] φ_n e^(int) (実場からφ^*_n = φ_-n)

を考えます。Bの積分より、nが0以外でinφ_n+s∂_nV=0
グラスマン数の積分から

|det(<m|in + s ∂_n∂_nV|n>|

s∂_n∂_nV = - in ∂_n φ_n = -in

より

|det(<m|in-in|n> ただしnが0の時はs∂_0∂_0V)|
=|s∂_0∂_0V|=sign(s∂_0∂_0V)

φがtに依存しないとき
φ' = Σ_[-∞,+∞] inφ_n e^(int)
  = 0

よりφ_0がtに依存しないときのφなので

Z = Σ_{P} sign(∂∂V)

が得られました。
■超対称量子力学のニコライマップ:一般のモデル

3.1の冒頭で述べたより一般の超対称量子力学の作用

S=∫dt i(φ'+s∂V) B + 1/2 BB -1/4 R ζζψψ - iζ(D_t +s(D`D.V))ψ

φ^i 座標
ψ^i,ζ_i 実グラスマン座標
B_i 補助場
s 任意のパラメータ

でも同様に考えてみます。

Toy modelと同様に
インスタントン解φ'+s∂V=0の2乗から
(φ^i)'=0
∂V_i=0 (sが0出ないとき)

よってインスタントン解がポテンシャルVの極値に対応していることは変わりません。
Toyモデルとの違いは作用の第3項目 R_ijklです。

標的空間がR^nの時は、R_ijkl=0であり、
ニコライマップがToyモデルと同様に

ξ^i=(φ^i)' + s g^ij(φ) ∂_j V (★)

となり、ヤコビアンとグラスマン数の積分がキャンセルし、経路積分は

Σ_{P} sign det(H_P V)

となります、ここでH_PはH_P V = ∂_i ∂_j V であり、Toyモデルの自然な一般化
になっています。H_PをPにおけるHのHessianと呼びます。

この公式は標的空間がコンパクトで閉じている場合のPoincare-Hopfの定理と関係があることを3.8.4でみることにします。
■曲率が0でない時
以前見たように、ポテンシャルが0(かs=0)の場合、このモデルは規格化可能(2乗可積分)でなくなります。(ただしs→0の極限では注意深い議論が必要になります[Birmingham,Rakowski,Thompson,NPB315(89)577]。)
しかし、曲率が0にならないとき、ポテンシャルが0でもそのような困難が起きなくなります。その場合、先ほどのニコライマップでは曲率の存在のために理論を簡単化することができなくなります。3.8.5で説明されますは、曲率が効いてくるのは経路においてconstant pathと呼ばれるものだけであり、それ以外の経路に関しては曲率0の時のニコライマップ(★)を用いることが可能であることがわかります。これはGauss-Bonnetの定理と関係することが後に説明されます。
3.3 Langevin approach:概要

ニコライマップを用いて理論を簡単化するやりかたをみましたが、今度は、
そのようなマップから理論を構築していくやりかたをみていきます。

これはLangevain方程式という場の理論のかなり古いアイデアと関係があります。

Parisi,Wu[Sci.Sin.24(81)483]
Parisi,Soulas[NPB206(82)321]

Cecotti,Girardello[Ann.Phys(NY)145(83)81,NPB239(84)573]

においてClassical stochastic equation(古典的確率方程式) と関係する超対称性の
あるモデルが導入されました。これらの研究をしていた二つのグループはともに
これらの方程式とモデルを簡単化するニコライマップとの関係について研究を進めましたが、彼らが導入したモデルは低次元(4次元より小さい次元)でのみ非自明な理論になっており、高次元において同様のモデルを作ることができませんでした。
このことに関してParisiとSoulasは「最初は使えた魔法が、再びやったら2度とできなくなった魔術師の気分だ」と感想を述べています。

位相的場の理論では彼らの行った研究を任意の高次元へ拡張することができると考えられています。

ξ = φ' + s ∂V (★)

はLangevin方程式として知られていて、これを用いた方法はLangevinアプローチと呼ばれています。

(★)で出てくるtはstochastic timeと呼ばれ、理論の"extra"な変数です。
しかし、これらのモデルにおいてはこのtを実際の時間として扱います。
あとの節でLangevinアプローチはさらに手の込んだものになります。
時間を特別な方向にとるのではなく、多様体をM×Rでとり、方程式を共変的な形に書き換えます。

先ほどあげた論文に書いてある書き方と少々違いますが同じ内容を以下で議論します。

目的はモジュライマップから逆に
Z = ∫e^-S(φ) Pf(D[φ]) (▲)
を再現することにあります。
3.3.1 Langevin approach:Toy model

前回は
ニコライマップξ=φ' + s∂V
からBRSTの理論をつくるために、ゲージ対称性のある
toyモデルを考えました。

------------------------------
toyモデル
S_0 = 1/2 ∫dt (G - ξ(φ))^2
δφ = λ
δG = ∂ξλ
------------------------------
今回はこれを実際にBRSTでゲージ固定してみて、
これがまさに超対称量子力学のtoy modelの作用であることを
みてみます。

通常のやり方にしたがって、

ゲージ対称性よりBRST変換
δφ = {Q,φ} = ψ
δG = {Q,G} = ∂ξψ
δψ= {Q,ψ} = 0
{Q,Q}=0

と反ゴースト場
δζ={Q,ζ}=B
δB={Q,B}=0

を導入します。

次に、ゲージ固定条件G=0を課すと
より
BRST固定項は
S_1 = iδ(ζG)=iBξ-iζ∂ξψ

とかけます。

以上から、ゲージ固定された作用S_0+S_1は
S = ∫dt 1/2 (G - ξ(φ))^2 + iBG-iζ∂ξψ

となります。

ここでG=G'+ξという変数変換を行いますと、

S =∫dt 1/2 (G')^2 + iB(G'+ξ)-iζ∂ξψ

となります。
ここからG'の補助場を積分すれば

G' + iB = 0

という関係式が求まり、これを代入すれば

S = ∫dt 1/2 B^2+iBξ-ζ∂ξψ

となり、超対称量子力学:toymodel:作用に一致します。

G' = -iB
はBRST不変なので
この作用がBRST不変のままであることは明らかです。

以上から、
ニコライマップ(Langevin方程式)→ゲージ理論
→BRSTゲージ固定→超対称量子力学(TFT)

という道順で元の作用が再現できるこをtoy modelで示したので、
次に一般の超対称量子力学の作用で同じ議論を行ってみます。




時間が取れずに放置しました。すみません。しかし添え字が段々増えてきて書きづらくなってきました。mixiでtexが使えると良いんですが。。
3.3.2 Langevin approach:General model

前回はtoyモデルを用いてLangevin approachの戦略

ニコライマップ(Langevin方程式)→ゲージ理論
→BRSTゲージ固定→超対称量子力学(TFT)

を見ました。
1.ニコライマップ(Langevin方程式)
ξ=φ' + s∂V
2.ゲージ理論
S_0 = 1/2 ∫dt (G - ξ(φ))^2
δφ = λ
δG = ∂ξλ
3.BRSTゲージ固定
δφ = {Q,φ} = ψ
δG = {Q,G} = ∂ξψ
δψ= {Q,ψ} = 0
{Q,Q}=0
δζ={Q,ζ}=B
δB={Q,B}=0
S_1 = iδ(ζG)=iBξ-iζ∂ξψ
4.超対称量子力学(TFT)
S =∫dt 1/2 (G')^2 + iB(G'+ξ)-iζ∂ξψ
→S = ∫dt 1/2 B^2+iBξ-ζ∂ξψ

これを一般化(標的空間について)します。
■General model

一般の標的空間における
Langevin方程式はtoyモデルから単純に

ξ^i= \dot{φ}^i + s g^{ij} ∂_i V

ゲージ理論の作用もtoyモデルと同様にLangevin方程式より


S_0 = 1/2 ∫dt g_ij (G-ξ)^i(G-ξ)^j
= 1/2 ∫dt g_ij K^i K^j

K = G - ξ

とおきます。
作用は
δφ = λ
δG = ∂_j ξ^i λ^j - Γ^i_{jk} K^j λ^k

δK^i = - Γ^i_{jk} λ^j K^k
δg_{ij} = 2Γ^k_{ij} g_{kj} λ^l

のような変換で不変となっています。
Kはdxと同じ変換をしているようです。

このゲージ変換はδKの計算に注意すると

[δ(λ_2),δ(λ_1)]G^i = λ^j_1 λ^k_2 R^i_{ljk} K^l

のようになり、交換子が閉じないことがわかります。
上記作用はGについて運動方程式をみると

g_ij K^i δG^j = 0

よりK^i=0 となることから、onshellで交換子が0となり、代数が可換になります。
このようなゲージ代数のゲージ固定はBatalin-Vilkovisky形式を用いることで
onshell nilpotentなBRST演算子を作ることができます。
ここではその結果だけを用いて、そのようなBRST演算子でゲージ固定をした結果
のみを書きます。

ゲージ固定により作用は

S = S_0 + ∫dt -iξ[(d/dt)δ. + s∂.(g^-1∂V) - Γ.K]ψ'
-1/4 R_{ijkl}ξ^iξ^jψ^kψ^l + iBG   ▲

(.と'が縮約されている。)

BRST変換は
{Q,φ^i} = ψ^i
{Q,ψ^i} = 0
{Q, ξ_i} = B_i
{Q, B_i} = 0
{Q,G^i} = \dot{ψ^i} + s ∂_j (g^{ik}∂_k V)ψ^k-1/2iR^i_{jkl}ξ^jψ^kψ^l

となります。しかし、Gについて
G = -ig^{ij} B - ig^-1

のように解いてやっても超対称量子力学で最初に書いた作用
S=∫dt i(φ'+s∂V) B + 1/2 BB -1/4 R ζζψψ - iζ(D_t +s(D`D.V))ψ ★
にはなりません。
そもそも上記BRST変換は、当初の★のBRST変換
{Q,φ} = ψ
{Q,ψ} = 0
{Q,ζ} = B - ζΓψ
{Q,B} = BΓ.ψ - 1/2 ζR.,,ψ~ψ~

と形が違います。
しかし、先ほど(▲)のBを
B → B - ξΓψ
と置き換えることでBRST変換は同一となり、当初の作用が得られます。

このようにLangevin approachは一見フェルミオンの2次の項しか出てこない
ようにみえるのですが、構成したゲージ理論がonshellでのみ閉じるのような
ゲージ代数であることからフェルミオンの4次の項があらわれます。
= 3.4 Quantizing zero

WittenがTFT(Com.Math.Phys.117(88)353,118(88)411)を導入した後、
Baulieu,Singer(NPB(proc.Suppl.)5B(88)12)とBrooks,Montano,Sonnenschein(PLB214(88)91)がこのTFTが実際にBRST理論であることを示しました。

通常のゲージ理論の作用は元のゲージ不変な理論S_0にQ-exactな項S_1を加えて
ゲージ固定された理論をつくります。S_1はゲージ固定項とGaddeev-Popov項に
なります。

一方TFTにはQ-exactな項しかありません。よって次のようなアイデアが出てきます。
「元々の作用S_0が0である」。

Baulieu,SingerはCom.Math.Phys125(89)227において、
このような作用が0から出発するアイデアを超対称量子力学に適用しました。
この説ではこの構成をみていきます。この方法はTFTの作用を手早く構成することができますが、次の節でみるように単純に作用が0のものを量子化するというのは問題が出てきます。
どんな場合でも、(トポロジカルな項を除いて)
「Witten-typeの場の理論はすべてQ-exactな作用を持ちます。」
■3.4.1 Quantizing zero:Toy model

Quantizing zeroの立場は
TFTは元々の作用が0な理論をBRST固定したものである
というものです。

実際にToy モデルの作用
S = ∫dt [i(φ' + s ∂V)B + 1/2 B^2 - ζ(d/dt + s ∂^2 V)ψ]

をQuantizing zeroの立場で構成してみます。

必要な情報として、
1.場 φがある
2.対称性 φのシフト

を仮定します。

以上からBRST変換
{Q,φ} = ψ
{Q,ψ} = 0
{Q,ζ} = B
{Q,B} = 0
{{Q,Q},●} = 0

を採用します。

次にゲージ固定条件として
φ' + s ∂V = 0
を置きます。
よってゲージ固定関数として
φ' + s ∂V + 1/2 B
を採用すれば

ゲージ固定項は

∫dt{Q,ζ(φ' + s ∂V + 1/2 B)ψ}

= ∫dt[i(φ' + s ∂V)B + 1/2 B^2 - iζ(d/dt + s ∂^2 V)ψ]

となり元の作用が得られました。■

さて、上記ゲージ固定条件は、いわば結果となる作用を出したいがためにおいた
ようなものです。つまり、ゲージ固定条件を変えることで得られるゲージ固定項
の形が変わります。そして、ゲージ固定条件として何を指定すべきかはQuantizing zero
の立場からは読み取ることができません。結局、ゲージ固定条件を決める上で、
Langevin Aprroachと同じだけの情報量が必要になるわけです。

しかし、Quantizing zeroの立場にも利点はあります。それは上記の導き方をみて
わかるようにやり方さえ指定できれば作用を得ることが容易であることです。
先ほどのゲージ固定条件は変えずに、B→αBとして作用を書き換えると、
ゲージ固定項は

∫dt[i(φ' + s ∂V)B + 1/2 αB^2 - iζ(d/dt + s ∂^2 V)ψ] ★

のようにB^2項のみαが付け加わります。
(Langevin Aprroachにおいて、αパラメータを
1/2 αG'^2とすることでも★を導くことはできます。)

ここでα=0をするとこれは

∫dt[i(φ' + s ∂V)B - iζ(d/dt + s ∂^2 V)ψ]

ニコライマップの際にみた同一の量子論を与えるB^2のないToy modelの作用に
相当することがわかります。

Bを積分するとインスタントン方程式のδ関数
δ(φ' + s ∂V)が経路積分に現れることから、
α=0にとることをδ関数ゲージと呼ぶことにします。
■3.4.2 Quantizing zero:General model
[
Quantizing zeroの立場をGeneral modelでも見ておきましょう。

1. 場はφ^i
2. 対称性はφ^iのシフト
3. 対応するBRST変換として

{Q,φ^i} = ψ^i
{Q,ψ^i} = 0
{Q, ξ_i} = B_i
{Q, B_i} = 0

をとります。
これは3.3.2 Langevin approach:General model
で見たように、もとのGeneral modelのBRST変換において
B → B - ξΓψ の変換を施したものです。

ゲージ固定条件は既に知っているインスタントン方程式
ξ^i=(φ^i)' + s g^ij(φ) ∂_j V =0
を取り、ゲージ固定関数として

(φ^i)' + s g^ij(φ) ∂_j V
-i/2g^ij(φ)(B +(ξΓψ))_j ★

をとります。最後のB +(ξΓψ)はB → B - ξΓψ を変換する前のB
に等しくなっています。これをB_0と書くとすると

B_0 = B +(ξΓψ)

となりますので先ほどのゲージ固定関数は


(φ^i)' + s g^ij(φ) ∂_j V
-i/2g^ij(φ)(B_0)_j

ゲージ固定項は

∫dt {Q, ζ(idφ/dt + isg^ij ∂_jV + 1/2 g^ij B_j)}

となり、これを計算すると元の作用を得ることができます。
ここでまとめています。
http://www.tahoiya.org/TopoString/

ぎりーさん今はお忙しいかな?
お手伝いできることがあれば言ってください。
すみません忙しくなってしまって放置してました。よくばらずに少しづつそれでもコンスタントにアップしていきたいです。
というわけで
2. General aspects of topological field theory
2.1 Definitions
までアップしてみました。
ぎりーさんありがとうございます。
進行するたびにワクワクしながら
拝見させていただいてます。

でも、ほんとに負担にならない程度にやって下さいね。
ありがとうございます。読んでもらえる人がいるのは嬉しいです。少しづつやって行きたいと思います。
ぎりーさん、けんと@おしょおさん、
これは、とても見やすいものを作ってくださったんですね。ありがとうございます。

ぎりーさん、ずっと読ませていただいています。よく分からないことだらけですが、なぜかとっても面白いです。今後も楽しく続けて下さいますように。
自分はサーバーのスペースを提供しているだけです。
ほとんど全てがぎりーさんによるものです。
ほんとうにありがとうございます>ぎりーさん
3.1.1 Toy modelと 3.2 Nicoli mapの3.2.1 Toymodel
を追加致しました。

ありがとうございます!意味の通ってない文やわからない点などありましたら是非質問してください。自分も位相的場の理論は始めて勉強しているので一緒に勉強しましょう。
>Kommliebermaiさん

後々のページをみると添え字だらけだったので非常に助かりました。(というかあきらめかけた。。)ありがとうございます>けんとさん
>ぎりーさん、
実のところ、自分は物理は全然分からないも同然なので眺めるだけなんですけれど、楽しく勉強したいです。よろしくお願いします。

全体の目次(14にざっとあるもの)を tahoiya のほうにも出してくださると見やすいかと思います。

このトピックの題名は、
 位相的弦理論(Topological String Theory, TST)
で、最初の雑談の話題もそれでした。
けんと@おしょおさんが3で紹介された論文をそのときちょっと眺めてみましたが、とても面白かったです。お礼申し上げます>著者のかた

一方、5月からぎりーさんが進行中のテーマは
 位相的場の理論(Topological Field Theory, TFT)
なのですね。実は途中まで混同していました・・

弦理論はTFTか、という話題が 1. Introduction の中にありましたが、これは、
 TSTがTFTの一種と見なせるか、いや少し違う
という話だったのでしょうか。
>Kommliebermai
今後の予定的な意味をこめた目次を作成してみますね。
関係をまとめますと(あくまで自分の理解ですが)、

場の理論⊃位相的場の理論
弦理論⊃位相的弦理論
位相的場の理論⊃位相的弦理論

といった関係だと思ってます。

ちなみに(量子論的には)

場の理論⊃点粒子の理論
弦の場の理論?⊃弦理論

という関係もあります。





あ、あと
弦の場の理論 ?= ∞個の高階スピンを含む場の理論
なのかな、よくわかりません。
mixi内で書いていた内容のtex化ができました。あとは腰を据えてやってみます。ところで「超対称ゲージ理論と幾何学」が出てますね。最新のネクラソフ公式まで書いてあるので興味深いです。全く歯が立ちませんが‥。

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