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生活保護者の集いコミュの生活保護減額の福島市に違法判決、原告母子が明かす悲壮な思い

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http://diamond.jp/articles/-/156386

福島地裁は、生活保護世帯の高校生の給付型奨学金を収入認定(召し上げ)した福島市の処分を違法とする判決を下した。原告の母子は勝訴したが、まだ心から安心はできない。市が控訴する可能性もあるからだ。母子と支援者たちは判決後も、福島市役所の前で控訴しないことを求めるスタンディング・アクションを行う
福島市が高校生の奨学金召し上げ
原告勝訴でも失った時間は戻らない
 2018年1月16日、福島地裁は「生活保護世帯の高校生の給付型奨学金を収入認定(召し上げ)した福島市の処分は違法」とする判決を下した。この裁判の原告は、2010年から生活保護で暮らすミサトさん・アスカさん(いずれも仮名)母子、被告は福島市だ。

 あらゆる意味で不安定な生活を余儀なくされていた母子は、ミサトさんが心身を病んだことから、生活保護で暮らさざるを得なくなった。そのとき、小学6年生だったアスカさんは、「少し落ち着いたかな?」という感じがしたことを記憶している。

 まもなく中学生になったアスカさんは、「建築家になりたい」という希望を抱き、「夢に向かって進むことをやめたらダメになる」と猛勉強を始めた。そして2014年、希望する高校への合格と給付型奨学金を手にした。ところが、高校に入学したばかりのアスカさんを襲ったのは、「福島市が給付型奨学金を収入認定(召し上げ)する」という事態だった。アスカさんは体調を崩しながらも、真面目に通学し、学び続けた。しかし体力気力は、少しずつ削がれていったようだ。

 母子が福島市・福島県・厚労省に審査請求を行ったため、福島市は態度を軟化させ、「用途と目的を明らかにすれば実費分だけは出す」という対応をするようになった。さらにアスカさんが高校2年だった2015年8月、厚労省が福島市の収入認定を「不適切」とした。しかしそのころ、アスカさんは大学進学を断念しようとしていた。そして高校3年の秋、「もう、高校に通い続ける自信がない」と、別の高校へ転校した。

 精神的ダメージを心療内科で治療しながらも、アスカさんは間もなく高校を卒業できそうだ。しかし、高校を卒業した後に何をするかを考えられるほどの心の余裕はない。

 金澤秀樹裁判長による福島地裁判決は、福島市の「収入認定」という決定を違法とするだけではなく、生活保護制度の実施にあたっての考え方や態度とともに厳しく批判している。精神的苦痛に対する賠償金は、要求した100万円から10万円に減額されているが、この賠償金は全額が収入認定の対象となるため、ミサトさんは「そこには、あまり興味がなかったんです。福島市が払って、福島市に戻るんですからね」と笑う。

 判決は、母子の主張を全面的に認めた上、「一時的とはいえ、それ(奨学金)を事実上没収され」たことの影響に対して、「思春期の多感な時期に、生活保護受給世帯に生まれたという本人には如何ともしがたい事情で自らの努力を否定されたとも受け取れる経験を余儀なくされた」という深い理解を示している。

判決文を読んでいた私は、子どもから機会や希望を奪う貧困に対する怒りや、「貧困という日本社会の不公正を放置させないことが司法の役割」という意識が行間から浮かび上がってくるような気がしたほどだ。

 しかし、当のアスカさんは手放しで喜んでいるわけではない。

「ほっとして、『疲れたなあ』と。とりあえず一安心というか……。一応、裁判には勝ちましたけど、まだこれで終わりではありませんし……。苦しかった時期は消えませんし、『もっと早く、決着がついていれば』と思うことも多いです」と語る。

 失われた時間や機会は戻らない。目の前には、「福島市が控訴するかもしれない」という懸念もある。控訴期限の1月30日までは、その懸念から自由になれないだろう。

努力の成果も希望も喜びも
根こそぎ奪われた母子の心情
 自分の努力によって手にしたはずの給付型奨学金を奪われ、結果として高校生活も将来への夢も奪われてしまったアスカさんは、勝訴した現在、一連の経緯を振り返って語る。

「今思うと、『あのときに奨学金があれば』と思うことがやはり多いです。『最初から収入認定されていなければ、今、違った生活ができていたかもしれない』とも思います」

 アスカさんは、訴訟の原告になりたかったわけではなく、建築家になりたかったのだ。

「進学って、希望を持ってするものだと思うんです。奨学金が受けられるとわかったとき、私は嬉しかったし、『高校で、いろんなものに使えるなあ』と思っていました。それが手に入らなくなって、本当に、急に希望がなくなったといいますか……『せっかく努力したというのに』という気持ちが強くて」(アスカさん)

 この訴訟での福島市側の主張は、ほぼ一貫して「収入認定はしたけれど、後で使えるようにしたから、いいじゃないか」という内容に、「ミサトさんが住まいに最も近いスーパーで買い物をしない」といった事柄に対する非難めいた発言が入り交じったものだ。福島市は「母子の自助努力が足りないんです」と印象づけたいのかもしれないが、私には“イチャモン”にしか見えなかった。経緯に関する陳述や答弁は、内容が一貫せず、生活保護制度そのものへの理解不足も目立つ。

 まったく笑い事ではないのだが、私は裁判記録を読みながら爆笑したことが何回もある。ちなみに、福島市が「ミサトさんの住まいに最も近い」としたスーパーは、「スーパー」を名乗っているが小さな「よろず屋」で、品揃えも品質も良くない上に価格も高いそうだ。
「行政のアマチュア」宣言?
突っ込みどころ満載の福島市
 ミサトさんに、印象に残る福島市の主張ベスト3を挙げてもらった。

「そうですね……。1つ目は、『国の規定通りにやったから間違ってない。だから、処分は間違ってない』という内容です」

 私は思わず、「規定通りにやってないし!」とツッコミを入れた。福島市が参照したはずの「国の規定」には、「給付型奨学金は収入認定しない」と書いてあったからだ。

「2つ目は、『後で返したんだから、精神的損害もなかったし、生活への損害もなかった』というものです」

 判決文は、そこを全面的に否定した。

「3つ目は、『実施要領のどれに該当するかわからなかったから収入認定したんだ』。さすがに『はぁ?』と思いました」

 福島市はまるで、「私たちは行政のプロではありません」と宣言しているかのようだ。私がそう言うと、ミサトさんは「そうですね」と爆笑した。しかし、笑い事ではない。

「福島市の違法性が認められて、私たちに損害を与えたことも認められたわけですが、だからと言って、時間が戻ってくるわけではありません。勝訴して、ほんの少しだけ気持ちが楽になった程度です」(ミサトさん)

 そこに、給付型奨学金を収入認定されたことへの思いも重なる。

「単に『学ぶためのお金』ではなかったんです。努力して、自分でつかんだ成果です。それを『なかったもの』にされたことが、一番大きかったと思います。そこを、裁判官がちゃんと見てくださったことは、とても嬉しいです。まっとうな判決への感謝の思いもあります」(ミサトさん)

 しかしながら、「勝ったと言っても」という思いはどうしても消えない。

「今から何をしても、失った時間は戻って来ません。そこは、仕方のない部分ではあります。『とにかく、同じことが二度と起きないように』という思いが強いです。今、生活保護での大学進学が話題になっていますが、『今回の勝訴で少しでも光が差してくれれば』とは思います」(ミサトさん)

しかし、22日からの国会は、生活保護基準の引き下げ案を可決してしまうかもしれない。その引き下げ案では、子どものいる世帯に対する引き下げ幅が特に大きくなっている。

生活保護基準の引き下げは
何を考えているかわからない
 アスカさんは、「生活保護であろうと一般家庭であろうと、教育の機会は平等であるべき」だと思っている。

「保護費の引き下げは、教育の機会を奪っているような気がします。『日本は、若い人材を育みたくないのかな?』とも思います」(アスカさん)

 しかしアスカさんは、単純に「保護費が引き上げられればいい」と考えているわけではない。

「まず、実態を知るところから始めてほしいです。生活保護の暮らしの実態を知っていたら、『引き下げ』という考えには至らないのではないかと思います」(アスカさん)


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 世の中に対しては?

「不正受給のようなところばかりを見て叩くのではなく、本当に苦しんでいる人たちに目を向けて、誰もが希望を持てるようにしてほしいです」(アスカさん)

 ミサトさんは、引き下げ案に対して「何を考えているのか、わからない」と言う。

「生活保護世帯からの大学進学に一時金が出ることになるようですが、引き下げはそれと逆行していますよね。これ以上、何を切り詰めろというのかと……。生活が苦しくなるだけではなく、子どもに色々と影響するのですが、そこを本当に考えているのかどうか疑問です。『将来ある子どもたちから、今以上に何を奪うんだ?』という思いもあります」(ミサトさん)

 まずは、福島市が控訴しないことを願いたい。そして、生活保護基準の引き下げ案が撤回され、生活保護世帯の子どもたちが現在以上に希望や機会を奪われないことを願いたい。

(フリーランス・ライター みわよしこ)

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