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生活保護者の集いコミュの生活保護費は増やしても良い。

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中嶋よしふみ 2013年01月29日 07:00
http://blogos.com/article/55043/

生活保護費が7.3%カットされる方針が公表された。1月29日に閣議決定される予定だ。今回の措置で2013年から3年間で合計740億円が減額されるという。前回の減額措置は04年の0.2%だったので、今回は9年ぶりでなおかつ下落幅も大きい。税金である以上、支給に関して公平・公正は保たれるべきで、納税者の意欲をそぐような使い方は許されるべきではないの当然だ。だが、これは順番が明らかにおかしい。

社会保障費カットの優先順位は年金・医療が先だ。
社会保障費約100兆円のうち、内訳は大雑把に50兆円が年金、30兆円が医療費、それに対して生活保護費は3兆円とケタが違う。7.3%カットで節約できる740億円は、年金ならば0.1%程度、医療費ならば0.2%程度とごく僅かな減額でまかなえる。しかも年金・医療は補助が無くても生きていける人も貰っているが、生活保護はこれが無くなったら生きていけない人しか貰っていない。

受給世帯に占める高齢者世帯、傷病・障害者世帯、母子世帯の割合は8割を超える。本来働けるはずなのに働いていない、といったような受給者はこの割合を見ても一部だ。生活保護のカットは合理的に考えられた優先順位といえるのか。社会保障費の中で割合は小さく、その一方で緊急性が高い生活保護を優先してカットする合理性があるとは到底思えない。

生活保護のカットは明らかに芸人の親族による不正受給騒動に端を発する。これは繰り返し報道され、生活保護は不正受給だらけでその影響は非常に大きいという間違ったイメージを世間に与えた。同時にパチンコやお酒に散財する受給者の様子なども報道され、生活保護への「世間の目」が厳しくなった。

逆転している「自助」と「公助」の関係。
元旦に放送された「朝まで生テレビ」において「子育ての負担は誰が負うべきか」という話題で、社会で育てるべきだと出演者がほぼ満場一致した中で政権与党の議員1人だけが自助、つまり自己責任を強調した。社会保障政策全般がそういう方針らしく、公助は自助の後で来るものだと繰り返し主張した。それはそれで完全に否定するつもりも無いが、個人に自助を求める一方で「国が1兆円もかけて電機メーカーの設備を買い取るらしい」で書いたように、企業には巨額の「公助」を与える。一体どういう優先順位で考えているのか全くもって不可解だ。本来であれば企業には徹底した自助=自己責任を求め、その結果困った人が出れば公助であるセーフティーネットでしっかり支えるのが正しい順番ではないのか。

電機メーカーへの1兆円の支援についての記事は、アゴラ掲載ページでイイネとツイートがそれぞれ1400件を超え、アクセス数も7万件を超えるなど異例の反響を頂いた。そしてコメントの99%位は政策への批判的な意見で埋め尽くされた。生活保護費カットはこれと同じ位に大きな問題だ。政権交代から1ヵ月を経たずして出てきた生活保護のカットとその数十倍の規模でなされる一部企業への大型支援は果たして民意なのか?

3兆円の生活保護費は5倍になってもおかしくない。
今回の7.3%カットのうち5.7%はデフレによる物価下落分が反映されており、実質的な購買力はほとんど減らない。したがって学習院大学の鈴木亘教授が指摘されたように、今回の減額はある意味で当然という部分も少なからず含まれており、この部分で反論は無い。ただ、今回の措置で生活保護に関する問題が解決するわけでは全く無い。

生活保護の捕捉率は現状でかなり低いと言われている。これは本来貰う資格があるのに貰っていない人が多数居る事を示しており、一番低いデータでは20%を切るものまである(捕捉率が正確に把握できていない事も問題だ)。現在の捕捉率を20%と仮定し、今後貰うべき人が全員貰う事になれば単純計算で3兆円の生活保護費は5倍の15兆円まで増えてもおかしくない。

生活保護を「増やして減らす」方法。
生活保護で問題となるのは、支出の半分を占める医療費だ。生活保護を貰っている人は医療費が掛からないという仕組みによるものだが、これは自己負担がゼロである事によって、医療費を減らすインセンティブ(動機付け)が受給者に全く働かない事が原因だ。インセンティブを働かせるのは簡単で、一部を自己負担とすれば良いだけだ。例えば支給額は5%増やすが増額分を医療費の自己負担上限として設定する。これで医療費が発生しなければ5%支給額は増え、多額の医療費が発生しても実質的に使える額は従来と変わらない。つまり支給額を増やしながら医療費を減らすインセンティブを発生させる事が出来る。

5%アップが認められないというなら、今回の削減幅である7.3%を医療費の自己負担上限としても良い(上限なんて作る必要は無い!という批判が来る前に書いておくが、一般の健康保険でも高額療養費制度で上限はある)。現在の低い捕捉率や、今後景気が悪化して受給者が増えるリスクも考えれば、生活保護費が減るようなインセンティブを制度として組み込んでおく事は緊急の課題だ。

ただ、このような政策はもう実行不可能だ。当初から生活保護費を減らすと拳を振り上げて選挙で勝ってしまった以上、今更インセンティブが云々などという話は出来ないからだ。国民感情を優先して実質的な支出を減らす工夫をせず、とにかく減らすと明言してしまった結果が今回の案だ。

過去の上昇傾向を考えれば今後3年間で今回発表された削減額の740億円より確実に支給額は増える。厚生労働省のデータによれば平成20年度の2.7兆円から平成23年度の3.5兆円まで、生活保護費は3年間で8000億円も増えている。今後も自然増に任せれば削減額の10倍位は支出が増えてもおかしく無い。インセンティブを利用すれば医療費の圧縮は可能だったかもしれないが、今回の案では「減らして増える」状況になるだろう。

インセンティブを無視する政策ばかりが実行されるのはなぜか。
公務員の退職金について、早く辞めた方が退職金で得をするルールが作られてしまい、結果的に早期退職した公務員が非難されている。これは明らかにおかしな話で、お金によるインセンティブで動くのがおかしいというなら、経済活動は完全に止まる。本来は今回発生したような悪い形ではなく、インセンティブによって良い方向へ消費者・労働者・経営者が動くように制度設計するのが政治の役目ではないのか。NHK・Eテレ「オイコノミア」でお馴染みの経済学者・大竹文雄氏は公務員の早期退職騒動に関して、以下のような半ば呆れ気味のコメントをツイッターで書かれている。

「退職金減額をさけるための早期退職。十分予想できるのに、どうしてそれを考慮した制度を設計していなかったのか、とても不思議。東京都は対応していたらしいのに。労働経済学の例には当たり前すぎるかな。でも、人はお金では動かないと思っている人への反論にはなるか。」

大前研一氏は「ロシアは13%という低い税率でシンプルなフラットタックス(収入に関係なく同じ税率)を導入したら、無駄な節税や脱税が減って税収が急激に増えた」という話を書かれている。これも生活保護を「増やして減らす」と同じ話だ。このようなプラスのインセンティブが政策に取り入れられない一方で、ほとんど税収への影響が無い4000万円超の高所得者への課税強化など、マイナスのインセンティブ、つまり副作用を無視する政策は横行している。

生活保護は減らす、金持ちには課税する、という政策でフツーの生活を送る人の感情は満たされるかもしれないが、マイナスの効果は大きい。年金の削減でも生活保護のカットでも盛んに言われる「国民感情」という言葉はそろそろ使うのを辞める時期に来ているのではないか。

経済関連の記事は以下を参考にされたい。

●国が1兆円もかけて電機メーカーの設備を買い取るらしい 〜エコポイントの斜め上を行く、呆れた仕組みについて〜
●災害より老後を怖がる日本人 〜20代と60代の利害は一致する〜
●年金がいつから・いくらもらえるのか、ハッキリさせた政党は政権を取れる。
●2012年、バブル真っ只中の日本
●アゴラ・ブロゴスは「AKB48」である。
●生活保護はもっと気楽に貰って良い

生活保護を貰うのは恥ずかしい事だと公言する政治家もいるようだが、大企業の設備買い取りへ1兆円もつぎ込む事は恥ずかしくないのか。なんともアンバランス過ぎて言葉も出ない。

コメント(1)

頭が弱い政治家を選んでしまってる以上、悪循環はなかなか良くならないですね。

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