にひむりゃまさひこおやこコミュの５

高田は比較的しゃべらないほうだ。人からどのように見られているかにウェイト
を置いて生きているように見える。いつも首からぶら下げているネックレスは毎
日変えているようで、ドクロの形をしたものを中心にしてあまりセンスの良いも
ののようには見えなかった。高田は目付きが悪く基本的には凶暴な人種であった
が、由里には突然優しくすることがあった。たぶん高田にはロマンチックな言葉
や優しい扱いを女性にはしなくてはならないという少しナルシスト的な要素があ
るような気がしていた。でも由里はそういう高田のロマンチックな部分をそれほ
ど歓迎していなかった。由里はもっと現実的な女だった。甘い言葉をかけられる
ことよりもお金のほうが大切だったし、売りをやった時に暴力なんかに巻き込ま
れれば助けてくれることのほうが大切だった。でも由里は表面的には高田のロマ
ンチックな部分を受け入れているような喜んでいるようなフリをした。自分には
人をお客として扱う才能が誰よりもあると由里は感じていた。