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Musician FriendsコミュのPink Floyd 体験記

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PINK FLOYD 鬱 ツアー第一回

以前から思っていたことが一つある。

私が経験した素晴らしい(とても辛く大変でもある)コンサートを誰かに伝えておきたい。私がFocus27へ行ってしまう前に。私の記憶の片隅にしかないものだが、どうにかしてそれをどこかに残しておきたい。そしてここに素晴らしい場所があることに気が付いたのだ。

その筆頭が1988年に行われたあのピンクフロイドのツアーだ。とても一回では書ききれないので、何回かに分けて書こうと思う。

本当に素晴らしいコンサートだった。私は今だにあのコンサートを越えたものを見たことがない。

ステージ、照明、映像、特効、そして音響。全てが一体となった素晴らしい芸術作品としか言いようがない。いったい何から話したら良いのだろう。

まずはステージから説明しよう。まずステージは全て持ち込みで秘密にされ、我々日本人スタッフは立ち入ることができない。ステージ中央には巨大な円形のトラスの廻りにグルリとバリライトが据え付けられている。その中はスクリーンになっており映像が曲に合わせて映されたりバリライトの照明で複雑な模様を作り出したりする。ステージ下には様々な仕掛けがあり曲に合わせて照明の装置が出てきたり様々なことが起こる。空中にもワイヤーに沿って移動する宇宙船の様な照明装置や空飛ぶ豚、そして何と言ってもあの強烈なミラーボールなどがある。

そしてサウンドだが、クオード・システムつまり4チャンネルサラウンドをこの1988年の時点でライブで実現していたのだ。通常のフロントメインのシステムに加え客席の真横上部にサラウンド用のスピーカーを設置する。これだけでも大変である。

このシステムをコントロールする人の布陣を紹介しよう。まずDrumsとPercuttionのMixを担当するBobby Sellish, Effectと32trackのTape Machineの操作とMixと担当するLarry Wallen それに全てを統括してMixingを担当するのが私が世界最高のFront Of House Engineerと尊敬するMr.Buford Johnes それに彼らのツアーメンバーとして回っているSystem EngeneerのSteve Guest最後に日本人として私。何とこの5人もがミキサー席(このことをFOHと言います)で働いているのだ。ミキサーと周辺機器だけですごいスベースだ。卓はYAMAHAのPM3000が2台とDrums用にMidasの卓。もちろんステージではたくさんの人々が働いている。

この布陣で武道館、代々木体育館、大阪城ホール、名古屋レインボーホールとツアーを行ったのだ。

つづく

P.S 写真はツアー終了後にPINK FLOYDのメンバーとクルーが寄せ書きをしてくれたものです。

(この体験記はゆうさんのプログレで癒されるのコミュに私が書いた記事を転載したものです。)

コメント(5)

PINK FLOYD 鬱 ツアー第二回

ここで当時のパンフレットに載せられた音楽評論家の故、福田一郎さんの解説の一部を抜粋してご紹介しようと思う。

新しいピンクフロイド伝説の始まり

 ピンクフロイドのコンサートのサウンドに関して言えば、“エクセプショナリ・グッド、異常なほど優れていて、照明はもちろんテリフィック、ものすごく,音楽もグッド”と、ロサンゼルス・ヘラルド紙あたりもコンサート評で書いているように、実に素晴らしい。ショウ構成は二分されている。「炎」のなかの「狂ったダイアモンド」から始まる前半は、そのほか全ての曲は「鬱」からの選曲である。

「吹けよ風、呼べよ嵐」で始まる後半は「タイム」「ウィッシュ・ユア・ヒア」「マネー」「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」などとファンお馴染みの作品ばかり並べて演奏する。そして演奏される全ての曲にシンクロナイズして、大仕掛けの装置を持った照明が多彩に、微妙に変化してゆく。

この照明は、日本ではかつて見られなかったほどスケールが大きい。コンサート照明の範ちゅうを遥かに超越していると断言できる。与えられた全スペースを費やしても、ショウと完璧に同調して微妙に変化を続ける照明の創り出す幻想的な美しさ、万華鏡的な面白さはとうてい表現できない。

ピンクフロイドの来日は16年ぶりになる(第一回は1972年、箱根アフロディーテ・コンサート)。「吹けよ嵐、呼べよ風」の日本語タイトルそのものの雰囲気で行われた箱根山中での初公演は、いうなればピンク・フロイド伝説となって、多くのロック・ファンの間に残り続けてきた。

今夜この会場に、あの時箱根に集まったファンが何人いるか分からないが、今夜の公演は、新しいピンクフロイド伝説の始まりであり、あなたはその現場にいた証人の一人として、忘れがたい貴重な体験をなさるはずである。
PINK FLOYD 鬱 ツアー第三回

1988年3月2日 日本武道館 ピンクフロイド 「鬱」ツアー 初日

確か前日の夜から仕込みを開始したのだと思う。或いは前日昼間から搬入を開始したのかもしれない。我々が用意したメインシステムのスピーカーはTMS3 Turbo System、当時最新鋭のスピーカーシステムだ。そしてサラウンド用にBinco と呼ばれるシステムを武道館の東と西2F最上段の部分に設置した。

ステージは前にも触れたが全て持ち込みでステージの基礎の部分から全て持ち込んでいる。ステージ製作を取り仕切るのはProduction ManagerのMorris Ryda この人がまたものすごくカッコいい。テンガロンハットを被り、テキパキと指示を出しバリバリと仕事をこなす。

夜の間に照明や映像関係のトラス、基礎ステージなどは殆どできあがっていた。もちろん我々の担当する音響システムもできあがっている。昼過ぎ、私の尊敬するMr.Buford Jonesに紹介された。彼とは以前にも一度Jackson BrownのHold Outというツアーで働いたことがあったが、その時にはまだ私は会社に入って間もなくであり、いわゆる三人目という立場だったので、直接話しをすることはなかった。もちろんその当時は英語のえの字も話せなかったのだ。

けれど彼の音の出す素晴らしさは強烈に感じたのだ。実際、その時にBufordが出した素晴らしい音以来、それ以上の音を聞いたことが私にはなかったのだ。そして今、私は彼に紹介され、これからピンクフロイドの音の為にBuford Jonesのシステムを構築するという仕事に興奮していた。だが上司にBufordを紹介されると、彼は私に話があると言い武道館の廊下まで連れ出した。私は緊張した。実を言うと彼は今までずっと日本に来るたびに私の勤める会社を使い続け、私の友人であり先輩でもあるY氏と一緒に仕事をしてきたのだ。彼は本当にBufordが良い音を作るために細心の注意を払って仕事をしていた。

彼は言う。「私は今までずっと君の会社を使い続け、世界No1の会社であると世界中で言い続けてきた。そしていつもY氏と一緒にやってきた。なのにY氏はいない。君はY氏の代わりなのだから最高の仕事をしなければならない」というのだ。分かってはいるが、こうも直接言われると緊張せざるを得ない。そして続けた。「私は今回システム・エンジニアーを連れてきているが、私は彼のチューニング(音響システムの基礎レベルでの調整をするとても大事な仕事、これが良くないと絶対に良い音は出ない。)がどうも気に入らないのだ。今回は君の会社のシステムを使うのだから君がチューニングをしろ!」

これには参った。もちろんピンクフロイドのサウンドシステムのチューニングを任せられるというのは私にとって至上の光栄に値することであり、またそれをする自信もあったのだ。絶対に最高の音を作ることはできる。だが問題がある。彼はそれをする人間を連れてきているのだ。もし私がそれをしてしまったらその人の立場はどうなってしまうのか。私は悩んだ。

つづく。
PINK FLOYD 鬱 ツアー第四回

どうすれば良いのか。私にとってはBufordは確かに尊敬する人ではある。Steveは仕事の上では私と同じ仕事をするのだが、私にとっては二人ともクライアント側の人間なのだ。どちらとも大事にしなければならないし、仲たがいをしながらツアーをしたら良い仕事などできるわけがない。

Bufordから私が言われたことをSteveは知る筈も無い。彼の仕事はSystemのTuningをすることなのだ。そして今まで世界中回ってやってきたのだ。それを私がBufordから言われたからと言って横からとってやってしまったら、彼はどう感じるだろうと思うととてもやる気にはなれなかった。ショー・ビジネスの世界は厳しい、だからやるべきだ。ということは分かっていたのだが....

そこで私は一計を案じ、とり合えず彼がどうやるのかを見てみようと考えたのだ。色々な意見があると思うが私自身は日本武道館は音響的にはそんなに難しくないホールだと思っているので(もちろん全てのお客さんが良く聞こえるようには大変ではあるが。)彼が下手なことさえしなければ大丈夫だろうと思ったのだ。Bufordには仕方がないが白を切るしかないだろうと腹をくくった。

スピーカーシステムのセッティングが完了し、いよいよシステムのチューニングの段階になった。当然だがSteveがCDを使ってシステムのチューニングを始めた。具体的にはCDの音を聞きながらグラフィック・イコライザーを駆使してシステムのイコライジングをしてゆくのだ。それを見ていれば、この人がどういう音を作ろうとしているのかが分かる。そして私が見た感想はやっぱり駄目だというものだった。Bufordがなぜ嫌いだと言っているかが私には分かった。だがもう遅い。やりきる以外に無いと思った。

ここでSteve氏の名誉の為に書いておきたい。彼とは後年Janett Jacksonで再び仕事をし、彼がFOH Mixingを担当してとても良い音を出していた。

やがて、ピンクフロイドのサウンドチェックが始まった。Drums & Percussion担当のBobbyがMidasのMixerを使って音を決めてゆく。良い音だと思う。これならいけるかも知れない。次にLarryがTape廻りやEffectそしてサラウンド関係のチェックをする。No problem! そしてBufordが来た。彼は誰がTuningしたかは知らない。全てのBandが入り、BufordがまとめてTotalのMixをする。やはり素晴らしい音だ。どうやら問題なさそうだと安心した。けれど代々木はどうだろうという不安が頭をよぎった。次の会場代々木体育館は日本武道館とは比べ物にならないほど残響が多く、とてもTuningが難しいのだ。

そしてリハーサルが終了し、Doors Open 通常のコンサートならここで私がCDなりを回して客入れBGMが流れ始めるのだが、ピンクフロイドはもうこの時点からコンサートが始まっているのだ。とても静かな環境音楽のような音からスタートしサラウンドの効果を最大限に利用している。

本番はステージセンターに位置する巨大な円形トラス内のスクリーンに映し出される映像から始まった。そしてミステリアスなバリライトの動きによる妖艶な照明とレーザー光線。不思議な形のまるで潜水艦の潜望鏡が出てきてサーチしているような雰囲気の物体がステージ下から出てくる。客席上空には小さな宇宙船のような移動する照明装置。

そして一曲目の「狂ったダイアモンド」が始まった。David Gilmorのあのギターサウンドが会場全体に響き渡る。そしてリズム体が入ってくる。Bass, Drums,Vocal,Chorus..音は全く問題ないようだ。Bufordも機嫌良くやっている。ホッとした。ショウは全く素晴らしいという以外にない。とても言葉では言い表せない。音と完璧にシンクロナイズした照明や映像。これを生きた芸術と言わずして何というのだろう。

興味のある方は是非Live Videoを見て欲しい。あの感激の何分の一かでも味わって欲しい。

そして、あの感激のエンディング、まるで自分が太陽の中にでも突き進んで入っていってしまうのではないかと思うような光の洪水だ。ステージ下に仕込まれた全ての照明がここぞとばかりに回転し圧倒する。客席の真上では特殊なミラーボールがここからも光を圧倒的な迫力で放出している。

そしてアンコールのその真っ最中、ステージではバンドが演奏で最高で盛り上がっている時に何とBufordは真っ白のスカーフを肩に掛けテンガロンハットを被り、後は任せたと席を立って楽屋に去ってしまったのだ。何ということ!信じられない!こんなに盛り上がってるのに! そして後はLarryが引き継いでMixし本番を終えた。

なんてカッコいいんだ!

私は無事に初日を終え安堵した。

つづく。
PINK FLOYD 鬱 ツアー第五回

ここで再び「鬱」ツアーのパンフから福田一郎さんの解説の一部をご紹介したい。

ピンクフロイドの新しいツアーに関して、アメリカの音楽ジャーナリストたちは、いくつかの点で興味と関心を抱いたようである。まず、80年の“ザ・ウォール”ツアー以来7年ぶりの全米ツアーで、グループを去ったロジャー・ウォーターズを除いたデビッド・ギルモア、ニック・メイソン、リック・ライトの3人が始めて一緒に演奏すること。そしてロジャーが、ピンク・フロイドの名称使用などに異議を唱えた発言があったりして、かなり興味本位の見方で書き立てていたようである。目にした記事やいくつかのコンサート・レビューを読んでみると、マスコミはどうもニュー・ピンク・フロイドに対して冷たく、批判的であるようにさえ受け取れた。

デビッド・ギルモアが全作品を書き、プロデュースも担当したアルバム「鬱」(ア・モーメンタリー・ラスプ・オブ・リーズン)は、これまでのどのアルバムよりもなぜか親近感があり、魅力的でもある。どんなスーパーグループも、新しい世界ツアーのレバートリーは、まず最新アルバムからの選曲を中心に構成する。したがってピンク・フロイドの場合も当然ながら「鬱」からの新曲をショウの最大の聞き物として構成している。

デビッドは、最近のインタビューで「ロジャーはリリック、言葉にこだわりを持つが、僕はむしろサウンドにこだわる」という発言をしている。とすると、今度のショウは、デビッドの言葉通りに受け取り、見、聞けば良いと言う事になる。

いわゆるソングライターは、なによりもメッセージを伝えたいと念願する。したがって、言葉にこだわるというロジャーの態度は良くわかる。しかしアメリカのもっとも優れたソングライターの一人でもあるポール・サイモンが、「レコードを聞くとき、歌詞よりも、まずサウンドに耳を傾けてしまう」という興味ある発言をしたのを何時かどこかで読んでちょっとショックを受けた記憶がある。これも説得力のある言葉である。デビッドは「僕たちのツアーとレコードが物語るだろう。僕たちが成功するかどうかは、ティケットを買い、レコードを買う人達の手に委ねられている」とも言っている。「鬱」はすでにプラチナ・アルバムとして公認されており、これまでの全米公演の観客動員はすべて大成功の連続である。なお最新の情報によると、ロサンゼルスでは4月、オリンピックの会場として知られるメモリアル・コロッシアムでの再公演が決定しているという。

(1988年の日本公演のパンフレットより抜粋)
PINK FLOYD 鬱 ツアー第六回

三日間の武道館公演が無事に終わった。しかし翌日には引き続いて代々木体育館の公演が待っている。我々は日本武道館のステージをばらしてから直接代々木体育館の仕込みに入った。完徹で仕込む。その当時の武道館もそうであったが代々木体育館はさらに搬入状況が厳しい。さらにサラウンド用のスピーカーを設置するポジションは客先最高部に位置しているので輪をかけて大変なのだ。

なんとか皆で頑張り翌朝10時位までにはセッティングが完了したのだと思う。やっとできたと思ったのは甘かった。外人のステージマネージャーがサラウンド用のスピーカーの位置に問題があると言う。仕方がなく何十本もの釘を打って安全策を取ったスピーカーを数メートルずらす為に全てやり直す。

やっとの思いでスピーカーの再セッティングが完了し、Steveがシステム・チューニングを始めた。不安がよぎった。もしかしたらという思い。もちろん彼は自分の全力をつくしてやっているのだと思うが、やはり代々木は武道館と違ってとても難しいのだ。それでも何とかチューニングを完了し、サウンドチェックに入った。

一つ一つの楽器の音を担当のエンジニアーが決めてゆく。全てが完了し、Buford Jonesが入って引き続き行う。案の定だ。機嫌が悪い。代々木競技場特有の残響に悩まされて武道館のような素直な音には感嘆にはならないのだ。だからこそシステムのチューニングがとても大事なのだ。私はどうしようかと悩んだ。今更チューニングが良くないからだなんて口が裂けても言えない。Steveが悪者になってしまう。

通常、ホールの音というのはお客さんが入ると劇的に変わったりすることが多い。もちろん良くもなれば悪くもなる。この時ばかりは良くなることを願わざるを得なかった。だが、そんな私の願いも届かず、結果は全く反対だった。

本番が始まった。良くない。のっけからBuforに睨まれる。まるでお前の責任だと言っているのが顔を見るだけでわかる。この人は怒ると顔が真っ赤になり本当に怖い顔になる。本番中に何度も睨みつけられ、まるでお前が責任を取れとでも言われているかのような気分になる。Bufordは全く落ち着きがない、こういう時のBufordはとたんにまるで良くなくなってしまうのだ。不思議なことなのだが、こんなに天才的な人でも調子が悪いとまるで駄目なのだ。そしてその責任は私にある!

代々木体育館の初日の本番が終わった。客だしのBGMが流れると言うのに客席中央のミキサー席でミーティングが始まった。4人の外人エンジニアーと日本人は私一人である。Bufordが真っ赤な顔をして言う。「今日の音はいったい何なんだ。こんな音で良いと思っているのか?今日来てくれたお客さんに対して失礼だと思わないのか!!」

皆、押し黙り、返す言葉もない。私は観念した。そして切り出した。「すみませんでした。私の責任です。明日、今のシステムではスピーカーの量が足りないようなので少し多くします。そして、全てのスピーカーのチューニングを最初から私にやり直させてください。」

これでやっとBufordに対しても、Steveと他の二人のEngeneerに対しても、これから私がシステムのチューニングをすると言うことを宣言できた。Steveに対して何の嫌な思いもなく集中して仕事をすることができる。Bufordはやっと納得してくれたようだった。

つづく

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