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小説書き組合コミュの静観トンネル

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「 

私は いつもあの街へ 行く時には

この路を 通る。

地道は うねった 山道を 経由するので

多くの時間と、余計な集中力を 要する。

私は 小銭を確認して 有料の道へと

ハンドルを 傾けてゆく。

急いでいるわけでも ないのだが

それを わたしは 選んだ。

ところで、「選ぶ」、とは 個 を 試されるものであるか。

?。

例えば コンビニで何となく 選ぶ 商品。

レジ にて 個性を 試されていると 考えるのは

考えすぎか。

商品の 小品で 消費品、使用者として見透かされは

しないであろうか。いや・・・それは・・・・


と考えているうちに トンネルの入り口が 確認できた。

私だけであろうか

トンネルに入るときは 緊張をともなう。

軽い 閉所恐怖症 気味 なのも影響しているのか。

私は 私の車と このトンネルに吸い込まれゆく。

緩衝する耳の中の三半規管。
干渉してゆくこのトンネルに。
鑑賞するこの壁面の無機質さと
感傷に浸る 私のアクセル。

このトンネルには、明かりが等間隔に 灯る 点る 燈る。

明るくもなく 温かい色感ながら どこか冷たい 光。

音楽が デッキから 聴こえている

横を追い抜く車の音や 
壁の通過音などで

『ズァーッ・・・・!』というノイズが 私を 通り抜ける。

歌を唄う 私。グルーヴが 包む。感情的な音は今は

要らない。

この出口には 何が待っているのか。

全く知らない土地に 出たら どうだろう。

私は そこで やっていけるであろうか。

どんな人が 私を 待つだろう。待って、いてくれるだろうか。

存在しない あの人。

今、走っているのは、永く 気高い 龍の ノドの 中。

私は 龍の口から 出るべく この首の中を 駆けている。

鱗の隙間から 入った私。翔び狂うドラゴン を感じて。

業火を息吹くこの龍は 全てを望まず、全てを 知る。

そのような 龍の 中に今 居るのでは ないか。


トンネルか、

抜けると 雪国   そんな言葉も あったな。

宮沢よ、君はどこでその 雪を見て 誰に伝えたかったのかい。

そんな景色を 私はこの先で みることは叶うのかい。

雪、トンネルの先は 雪景色。

中原中也よ、きみは かくかたりき。


汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる

汚れつちまつた悲しみは
たとへば狐の革衣
汚れつちまつた悲しみは
小雪のかかつてちぢこまる

汚れつちまつた悲しみは
なにのぞむなくねがふなく
汚れつちまつた悲しみは
倦怠のうちに死を夢む

汚れつちまつた悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れつちまつた悲しみに
なすところもなく日は暮れる

きみのゆう 哀しみが このトンネルの先に あるのかい。

私は 本当は私が思うほど 大きくなく

微小で、誰かの体内に流れる 意識体として意志奇態では?

このトンネルは 私の全てでは。

今は 何時で いつの時代?

私は 今 どこに 存在?

この 先の風景。カーブの先の 壁が 見える風景。

その先に

わたしは どこにゆけるというんだい。





考えた一瞬。

全長 700mの短い 刹那。

片道200と300円。

500円の 身近な 短かな 探求トンネル。

ご準備ください

出口に差し掛かります。


ははは、と自らを 笑う。


連想する思想。連奏するデッキからの音楽。

連続して流れた トンネルの壁面。


ふと見る 隣




助手席には

見覚えのない



龍の ウロコが 1枚 横たわる。


                         」

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