ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

小説書き組合コミュのはじめまして^^

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 中学生くらいの時になんとなく憧れただけで、特別に作品など書いた事のなかった私ですが、最近書き始めるようになりました。

 まずは簡単に・・・と考え、現在遊んでいるMMORPG・・眠らない大陸クロノスの二次創作の小説を日記にちょこちょこアップしております。ゲームを知らない方にも楽しめるように・・・と工夫しているつもりですが、なにぶんほとんど初めての小説になりますので是非批判等も含めみなさまとお話できたら・・・と考えております。よろしくお願いします^^

復讐のワルツ 〜眠らない大陸 クロノス戦記〜 その1

 「らいらさぁぁ〜〜ん。もう疲れちゃいましたよぉ〜〜〜」
 少年の情けない声が砂漠の街、シティス=テラの一画に響いた。
 「んも〜〜〜。おっとこの子でしょう〜?情けない声出してんじゃないわよ。」
 ライラと呼ばれた女性は振り向きざまに答える。
 「あたしなんて、全っ然疲れてないわよ?」
 「なに言ってるんですか〜。荷物全部僕に持たせてるからでムググ」
 少年の正しいであろう主張は、あっけなく途中で塞がれた。ライラの豊かな胸によって、である。
 「ほらほら〜♪これで分かるでしょ?カインは男の子。あたしは〜・・うふふ♪ お ん な の 子。女の子の荷物は騎士が持つのが当たり前でしょ?」
 ライラは本当に楽しそうに少年=カインの頭を自分の胸に押し付ける。
 いったいあなたはどこのお姫様ですか?とか、ライラさんも騎士じゃないですか、とか言ってみるが、むぐむぐとしか発音できない。
 ちなみに、女の子って年齢ですか!?とは心の中でしか言わない事にした。
 「あ〜ら♪耳まで真っ赤よぉ〜?も〜〜♪カインったら♪か〜わ〜い〜。」
 ぶはっ、っと幸せ地獄からの脱出に成功したカインがうめいた。
 「ライラさん・・・卑怯っす」

 クロノス大陸のほぼ中央に位置する貿易の拠点。砂漠の街シティス=テラは今日も人ごみでごった返していた。露天には様々な地方の商品が所狭しと並べられ、商人の威勢のいい声が飛び交う。
 近年、砂漠化の進行が進み領主は頭を悩ませているらしいが、砂漠の街には珍しく、オアシスを擁する水の豊富なシティス=テラの商人達にとって、一番の問題とは間違いなく今日の売り上げ明日の糧である。その忙しい最中、騎士見習い風の少年とその師匠とおぼしきの女性の戯言に構っている暇はない。
 カインは周りをキョロキョロと見渡して、特に注目を集めていない事にほっと胸を撫で下ろす。季節はもうすぐ冬に差し掛かるのだが、人も気候も年中熱気に包まれているシティス=テラにおいて、冬の兆候は微塵も感じられない。それでも、このまま旅を続けて行き、ケタースを越えエルフェス山脈近くまで行けば、クロノス三神が一柱、氷神エクシリスがいたずらをしているのか、と思うほど寒さが厳しくなるはずである。
 カインはふと、ライラに弟子入りしてからの年月に思いを馳せた。ラーソンの聖騎士団に入隊することを夢見ていた子供が、ライラに師事を仰いでからもうすぐ五年になる。
 中肉中背に見えるカインのヴィラ鎧の下は、実は驚くほどの筋肉が隠されている。これは聖騎士ライラの指導の賜物であろう。茶色の髪を短く刈り上げ、優しそうな深緑の瞳に加え、どの角度から見ても正直そうなの顔立ちは、初対面でもまず相手に敵愾心を与えない。良く言えば好青年。悪く言えば、騙されそうな顔とも言える。実は年頃の女性にも結構モテるのだが、カインは女性がちょっと苦手だったりする。これも、聖騎士ライラの指導の賜物と言わざるを得ない。理由は先ほどの微笑ましいやり取りを見ていた者であれば想像するに難くないだろう。
 その偉大なる師匠はと言えば、さっきから露天に並べてある貴金属に御執心らしい。
 「カイン〜〜。見てみて♪ホラティウスリング売ってるの♪可愛いの〜〜」
 あなたにホラティウスリングは必要ないでしょ!と小さくつぶやいて見る。繊細な金細工の中央に蒼く輝く宝石をあしらった、一見豪華なこの指輪、実は魔法力を補助する働きがある。卓越した剣技で魔物を屠る、攻撃型聖騎士のライラには無用の長物なのだ。
 当然、本人も分かってはいる筈なのだが、そこはやはりライラも年頃の娘。つい口にでてしまうのだろう。ちなみに、ホラティウスリングはどちらかと言えば支援型聖騎士であるカインにこそ必要な一品だったりする。治癒術の効果が倍増されるからだ。まあ、仮にカインがこの指輪を装備したところで、翌日にはライラの指で輝いている事と思われるが。
 ただ、カインにも、ライラにプレゼントしてあげてもいいかな、と思われる理由がいくつかあった。例えば、今カインが着込んでいる鎧、これは先日迎えたカインの十六回目の誕生日に、ライラがプレゼントしたものだ。ディバインという魔法金属で作られている為、通常街で売られている鎧には絶対にない魔法補助が付与される高価な物だ。聖騎士団に入団するための装備としては最低限の物ではあるが、カインにとっては何より嬉しい贈り物だった。
 事実、砂漠の街中で、いくら汗だくになっても鎧を脱がないと言う暴挙に出ている。お陰で師匠の装備品一式と荷物を全て背負わされる羽目になっているのだが、カインがどれほど喜んでいるのか、推して知るべし、である。
 カインはまるでバインドにでも絡め取られたかのように貴金属店の前から動けないライラに視線を向けた。
 ライラと同様に指輪やペンダントに目を輝かせている娘達は、当然、カノン魔法学術院の生徒達である。いわゆる魔女のたまご達だ。ここはマジシャンご用達の露店なのだから、鎧を着込んでいなくても騎士であるライラは目立つ。いや、正直に言おう。美しさにおいても一際輝いている。もちろん本人には言わないが、カインはライラを美人だと思っている。   
 多少贔屓目に見ているかもしれないが、事実ライラは美しかった。ライラを見て、まず目に付くのはまず、その金髪だ。騎士なので街娘のように長く伸ばす事は出来ないが、綺麗に肩でそろえられて風に揺れる髪は、本物の金ではないかと錯覚するくらい軽やかに風に舞う。光に反射するライラの髪を見て、実は本物の金ですと言ったところで誰がウソだと言えるだろう。 年齢は二十二歳のはず。よく考えたら、今のカインとほぼ変わらない年齢の時にカインを弟子にしているのだ。剣技、戦術のスキルでライラにかなう事が出来る人間を、カインは思い当たらなかった。今でこそ露店の前でダークブルーの瞳をハートマークに輝かせているライラだが、いざ戦場に立ち、真剣実を帯びたライラの瞳は、吸い込まれるほど美しい。それは何事にも最後まで諦めず、やり抜く事が出来る意思の強さを連想させる。また、均整のとれた身体に大きく主張している双丘は、男であれば誰しもがつい視線を移す程、悩ましい。カインは未だに直視出来なくて困っている。だが、魔物の討伐において剣技の冴えを見る限り、邪魔にはなっていないようだ。
 「ライラさん、そろそろ行きませんか?」
 カインが口を開く、あと五分もこの場に立ち止まらせたら、間違いなく男性に声を掛けられる。だが、当然カイラの答えは「え〜。もうちょっと〜」だった。
 「だーめーでーすー」
 カインはライラの手を取り、有無を言わさず引きずって行く。ずるずるずる・・・
 腕力は明らかにカインが上の筈だが、ライラが本気で抵抗したらカインの技量ではライラを動かす事は出来ないだろう。ずるずる引きずられているように見えてその実、ライラはカインに従って移動しているのだ。
 ここでカインは先ほどまでよりさらに荷物が増えた事に気付く。
カインの荷物=二人分の食料と水、ライラの装備一式、そして「ライラ」本人。
 カインはいつもの台詞を吐いた。
 「ライラさん・・・卑怯っす」


 「むはー・・・・」
 ようやく宿に荷物一式(「ライラ」は除く(笑))を置き、ライラの待つ酒場に到着したカインはまたも情けない声を出す。
 「カイン、おっそーいー」
 ライラのいるテーブルには、ぶどう酒がなみなみと注がれた巨大なジョッキが二杯と軽食が準備してあった。そのどれにも手をつけずに待っている所がライラらしい。
 「そんな事言ってもですね〜。宿と酒場、結構距離あるんですよ?」
 「もぅ。男の子なんだから情けない声出さないの。・・・ん?カイン。もしかしてそれ、はぐはぐして欲しいってサイン?」
 どうやらライラの頭の中では、カインが情けない声を出した時=疲れているから慰めて欲しい=はぐはぐ、のようだ。
 昼間のやり取りを思い出してか、ライラがいたずらっぽく笑った。
 「ちちちちちちち、違いますよライラさん!僕はただ・・」
 「うん。わかってるわ。ありがとね、カイン。」
 昼間の態度とはうって変わり、ライラは物憂げに視線を伏せた。長いまつ毛もそれに合わせて伏せられる。こういうのを艶と言うのだろうか?カインにはよく分からない。
 一見、良好な師弟関係を一生続けていけそうなカインとライラだが、実はこの旅はもうすぐ終わりを告げる。そうなれば最後、二人は二度と会うことはない。
 「ライラさん・・・やっぱり・・・」
 「ダメよ。カイン」
 カインが意を決して告げようとした言葉を、ライラは小さい声だったが、ピシャリと打ち切った。
 「あたしには守れなかった約束。出来る事ならカイン、あなたに頼みたいの。わかるわね?」
 そしてダークブルーの瞳で、じっと、静かに見つめてくる。
 「あなたが止める、と言うのならあたしは別の人に頼むことになるわ。・・・それが聖騎士としての責任と・・そして」
 「誇りなの」
 軽いノリでえっちな話題と愛嬌を振りまく彼女と、騎士としての責任と誇りを守る為に全てを投げ出す彼女。
 どちらも本当のライラであることをカインは十分すぎるほどよく理解していた。
 ライラがカインにまっすぐな視線を送る。カインはその視線から目を逸らす事が出来ない。ライラの覚悟が相当なものだとカインは理解していた。だったら、その覚悟を本懐させるのは弟子である僕の役目。カインは何度も自分にそう言い聞かせて旅にでた。それでも、揺れる決心、動く心。・・・しっかりしろ!と自分を叱咤する。
が、その時、カインにとって全く予想外の事が起こった。
 「はぁ・・・ん・・・」と、ライラが悩ましげにため息を吐いたのだ。
 え?え?ら、ら、らいらさん?!
 真摯に見つめていたはずのライラの視線は、いつの間にか熱を帯びていた。頬もほんのり赤い。ほんのさっきまで真剣の切っ先のような眼差しだったはずなのに、今はどう形容しても「とろん」以外の形容詞が見当たらない。
 ぁ・・・ん・・・・再びライラが吐息を漏らす。
 その吐息のあまりの妖艶さに、カインは耳まで真っ赤に染まりうつむいてしまった。とてもじゃないけどライラの顔を直視出来ない。さっきは視線を逸らすことが出来なかったのに、今度はライラと視線を合わせることが出来なくなってしまった。手のひらで遊ばれている・・を地で体現していた。
 「あらぁ?カ〜イ〜ン〜〜。どうしちゃったのかなぁ〜?」
 「ら、ら、らいらさぁぁぁん!?」
 完全に声が裏返ってしまった。からかわれている事は分かってはいるのだが・・後悔しても遅い。
 「カイン〜?女の方から、こぉ〜んなに熱い視線送ってるのにぃ〜。もしかして焦らしてるのかしら?悪い子ね。」
 どう考えたって悪い子なのは純情な弟子をからかっているライラである。しかし、純情な弟子は素直に自分が悪いのかと思ってしまう。実に正直な少年だ。
 「す、す、す、すみません!らいらさん!」
 ここでライラが一気に顔を近づけてきた。カインにとっては不意打ち過ぎる行動。ふわり、と女性特有の甘い香りがカインの鼻腔をくすぐる。
「カイン、そういう時はね、絶対に視線をそらしたら ダ メ。溶けるような視線を返すものなのよ?」
 カインの顔は既に遠目からでも分かるくらいに真っ赤に染まっている。それでも敬愛する師匠の言う事に応えるべく、ぷるぷる震えながらも必死に顔を上げる。だがとても目を開けられない。
 「そうよ・・・そのまま目を開いて?・・・そしたら、あたしの両肩に手を掛けるの。そのまま、ぎゅ・・・って・・・あとは分かるでしょ?」
 カインのライラに対する感情は敬愛である。崇拝、に近いかもしれない。弟子入りした当初は全くの子供だったカインも、五年以上経過すればそれなりに大人になる。偉大なる師匠に対し、女性を感じてしまったのはいつだっただろうか? 今のカインはライラの事を師としてだけでは見られなくなっている。そしてその事をよこしまな考え、と恥じている。
 なぜなら、ライラが愛する人を、カインは知っているからだ。そして、その人は既にこの世にはいない。だが、崇拝の対象であるはずのライラは、余りにも強く、優しく、美しく、そして余りにも・・・・女だった。
 「ら、らいらさん!!!」
 がし、とライラの両肩に手を掛けた。
 「ごごごご、ごめんなさい!ら、らいらさん。ぼぼ僕にはらいらさんを抱きしめるなんて、と、とても!」
 必死に言葉を絞り出した。
 「あら?カインあなた・・・昨日ベッドであたしを組み伏せた事、覚えてないの?」
 「ええええええ!?」
 事実ではあるが真実ではない、とはこの事だ。カインの名誉の為に説明するなら、カインは弟子入りをした時点で、ライラと寝食を共にしている。まあ、真実、と言うほど大げさな事ではない。単に、ライラがいたずら心でカインのベッドにもぐり込んだ所、当のカインはぐっすり熟睡しており、なんだ、つまんない。と思った所にカインが寝返りをうち、ライラに覆い被さったのだ。その事をライラはカインに組み伏せられた、言っているのだが、カインにとっては無意識に寝返りをうっただけである。そしてその事を、当然ライラは説明をしない。しかもカインはカインで大師匠に淡い恋心を抱いてしまっている訳なのだから、もしかしたら寝ぼけて・・・ホントにやっちゃったのか・・・と自分を信用できない。
 「あたし、もうドキドキしちゃって・・・眠れなかったのよ?」
 耳元でライラがささやく。
 「ぼ、ぼ、僕、あぁああ、あの、その・・・」
 既に言葉になっていない。

 「おぉーい、ライラ。そろそろ勘弁してやっちゃーどうだい?」
 助け舟は意外なところからやってきた。隣のテーブルである。

 「お?ホーンディじゃない?おっひっさー♪」
 妖艶な魔女の声色はどこへやら。街娘風なしゃべり方に一瞬で変わる。
 「「おっひっさー♪」じゃ、ねえ!途中から見てたがライラ、お前弟子を潰す気か?」
 言葉とは裏腹にホーンディの表情は明るい。怒っているわけではなさそうだ。ライラの知り合いだろうか?正規の騎士団員であるライラの人脈は、カインには分からない事の方が多い。
 「へぇ、噂には聞いていたが、この子が閃光のライラ、秘蔵の弟子か、俺はホーンディ。よろしくな」
 カインには応える事が出来ない。あまりのショックに椅子にもたれかかりぷしゅーと煙をあげていた。ホーンディはやれやれ、と身をすくめた。カインの気持ちは良く分かるらしい。
 「ところで、だ。」
 ホーンディが声のトーンを一つ落としてライラに向き直った。
 「見たところお前さん、弟子の育成中のようだからな。ちょっと注意しとこうと思ってな。」
 「んもー。やーねー、さっきのは軽いあいさつよ♪ま、なんてーか、弟子との親睦を深めるってゆーかー♪」
 軽いあいさつで思考回路を焼き切られたらたまったものではない。
 「ばっか。そっちじゃねえ。魔物の情報だ。今、カイヌゥスには行かない方がいいって情報、知ってたか?」
「ん??なんでぇ?」
 「今、カイヌゥスには奴が現れた。・・・碧眼のアンテグラ、ディーヴァだ。さらに」
 ホーンディは続けた。ライラは意味が分かっているのか、両手に抱えた木製のジョッキをくぴ、と傾ける。その大きさにライラの顔がすっぽり隠れてしまう。
 「正体不明の狂戦士(バーサーカー)が現れたそうだ。」
 「お♪オカルト?」
 「いや、真剣な話だ。」
 ホーンディは続ける
 「狂戦士の正体が魔物なのか人間なのかは不明だが・・・おそらく狂った魔物だろう。人間であれば、独りであんなところにまず行かないからな。実際に遠巻きに見た奴の話だと、視界に捉えるのも困難なスピードで手当たり次第魔物を屠るそうだ。ディーヴァはおそらく粛清に現れたのではないかと踏んでいる・・・お陰で周辺の魔物までピリピリして狂暴化してる。まあ、お前さんだけならたいした心配はいらないだろうが、秘蔵の弟子の修行には、今はちょいと時期が悪いってこった。ところで・・」
 再び、ホーンディの視線がカインに向けられる。
 「こいつ、モノになりそうかい?」
 ライラのお色気攻撃の余韻が冷めない今の蕩けきったカイン見て、大物になる、と感想をもらす奴は皆無と思われる。しかし、にんまり、とライラは笑顔を作った
 「んっふっふ♪今回の修行が終わる頃には、間違いなく首席で聖騎士団に入団できるわ。」
 ほぅ・・とホーンディがかけ出しの青年に視線を移す。
 一括りに聖騎士といえど、その能力は攻撃型か支援型に二分される。
 補助魔法と回復術のほぼ全てを捨て、その分を剣技と攻撃術に充てた攻撃型と、その逆である支援型。どちらも同じ聖騎士であるが、混同しやすい為、騎士団内では単に「攻撃」「支援」と呼ぶ事が多い。
 魔物に対し、種としての能力に劣る人類が、その脅威に対抗する為に編み出した知恵の一遍である。両方を中途半端に学んだ聖騎士が生き残れるほど、外界の魔物は甘くないのだ。
 「あたしは次の師団長はこの子だと思ってるの。」
 カインにはまだまだ磨かれていない才能が眠っているのは事実だろう。しかし実際には、支援型聖騎士であるカインの魔法は、攻撃に特化しているはずのライラの支援魔法に劣る。
 しかも、師団長になる為には魔法、攻撃術のどれか一つが現在の師団長の実力を上回らなければならない。ちなみに、ラーソン聖騎士団の総員は千人を越える。師団の数は十二。一つの師団は十の分隊で構成されている。その頂点に君臨する師団長は、ある意味生きる伝説と化している。分隊長になれる・・と言うのならともかく、普通に聞くならば、正規の騎士団に入団さえしてない少年に対する評価としては、ちょっと大げさである。
 「この子が入団してもいじめちゃだめよ?ラーソン聖騎士団、第八師団長ホーンディ さ、ま♪」
 ライラはいたずらっぽい笑みを浮かべているままだ。
 「まあ、俺の事を師団長と呼ぶなって命令に従えるようになったら考えてもいいな。ライラ副団長殿。」
 ホーンディは苦笑しながらテーブルを去った。ライラはにんまり、とした表情のままカインに語りかける。
 「カイン。頑張ろうね〜。あたしも頑張っちゃうわよん♪」

 カインはさき程一瞬だけ見せた、ライラの今にも泣き出しそうな顔が頭から離れなかった。

 コップで隠したつもりですか・・・?ライラさん・・・

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

小説書き組合 更新情報

小説書き組合のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング