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DASH forMixiコミュのヤマケン物語

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これは、DASHを率いるとあるVIT騎士の物語・・・

コメント(19)

「ここは・・・どこだ・・・」

目を覚ました彼は、即座にそのベッドが自分の部屋では無い事に気が付いた。

鎧や剣が雑然と転がった狭苦しい部屋のベッドで彼は目覚めたのだ。
記憶を辿る。

・・・よく思い出せない。

身体を起こした彼は、全身の激痛に思わず「うはwwww」と吐息を漏らした。
筋肉質な全身が包帯に包まれている。

おぼろげに怪我の原因が思い出される。
オークの村から間違えて西のほうへ進んだ・・・

不意に、ドアが開いて男が入ってきた。
長身の男だ。
無表情に彼を見た男は口を開いた。

「目が覚めたか」
「ああ・・・あんたが助けてくれたのか?」
「そうだ。剣士の分際で西オークなどに行くからそうなる。まあ、頑丈そうなツラだからすぐに動けるようになるか?
俺は鉄火だ。貧乏だが一応、騎士だ」
鉄火は、カミソリを思わせる容貌には似合わず、色々と話した。

神速騎士であること、ミッドガルド騎兵団の団員であること。
騎兵団長である琴の通達で、剣士が困っていたら助けるようにとされていたから助けた事、童貞であること。

「俺はヤマケンといいます。実は・・・騎兵団に憧れていました」

「うれしいこといってくれるじゃないの。じゃあ思いっきり騎兵団に入れてやるからな」

こうしてヤマケンの騎兵団生活は始まったのであった・・・。

入団したヤマケンを待っていたのは、団長主催の闇鍋パーティだった。
明かりが消えた瞬間に、全員がインデュア!と叫んだ。
オークの爪や鉄鉱石の煮え立つ鍋で、まず双海少佐がカプラ送りとなった。
VITの高いヤマケンはかろうじて耐えたが、凄惨な結果であった。


まだ剣士だったヤマケンは、鉄火とは違う部隊に編入された。
隊長は双海少佐。団長の命ずるよくわからないミッションで、彼の剣技はメキメキと上達した。

そして、彼が入団してから最初の騎士祭りの日、無事に騎士試験に合格した。
早速ペコに乗って騎士祭りへ駆けつけた彼に、参加者の一人が槍を投げて渡した。

「今日転職したんだってね。私は白河。転職祝いに受け取って下さい」

強い火パイク。今日の目的地、ノーグロードにふさわしい逸品だった。
順調に槍VIT騎士として成長するヤマケンだった。
たちまちに騎兵団でも有数の腕前となった。

ある日、団長の琴から呼び出しをうけた。
いわゆる幹部会議。

いつもは馬鹿丸出しの騎兵団幹部が真剣な様子で集まっていた。
双海少佐・鉄火・ニア・Luna。
琴がおもむろに口を開いた。
「えー」
この人だけは真剣な会議でも間延びしている。
「明日のGvGに出陣します」

それだけ言って、あとはニアとLunaが引き継いだ。
騎兵団として対人戦闘へ出撃するのは初の事だった。
前線指揮は、大手ギルドでの戦歴を持つニアがつとめることとなった。

そして、GvG開始。
運命というギルドの守る砦に突撃した騎兵団。
第一MAPは無人だった。
第二MAP、酢豚のエンブレムをつけた騎士が一人居た。
その騎士は騎兵団に気づかず、第三MAPへ入っていった。

「どうするニア、いくか?」
ヤマケンが尋ねた。
「んむ・・・酢豚は攻めかな?まあ、いこうか」
運命砦はたぶんほとんど人いないって!と主張していたニアがあいまいに答える。

第三MAP・・・通路は無人であった。
そして、曲がり角、何かが転がっている。
黒焦げになったペコと騎士・・・さっきの酢豚の騎士だった。
ヤマケンの背後で誰かが叫んだ、その瞬間。

「ロードオブヴァーミリオン」

気の抜けた声で大魔法の名が叫ばれ、騎兵団は大爆発に包まれた。
全員がLoVの一撃で吹き飛ばされていた。
琴と鉄火はその一撃ですでに転がっていた。

「ぐ・・・っ」
よろめきながら立ったヤマケン。視界の隅でニアも立ち上がっていた。
体力のある数名だけが立っているようだった。

「どこだ・・・WIZ・・・」
ニアが2HQの構えをとって呟いた。

「ニアっ!あぶな・・・」
飛来したユピテルサンダーがニアを吹き飛ばす。
連続して飛んでくるJTでヤマケンを除く全員が黒焦げになった。


「脆いな・・・どこのレーサーだ?」

すでに戦意を失って立ち尽くすヤマケンの前に、オーラをまとったプリーストが現れた。
PvPで見た事がある。Lydia最強といわれる、ローランドだった。
そしてその後ろからトコトコついてくる女WIZが居た。

「あ、まだ生きてるうに>w<」

ヤマケンが身構えるより早く、その女WIZは詠唱を終えていた。
ストームガストがヤマケンを襲う。

「まり・・・子供・・・」
騎兵団初陣から時は流れた。
同盟も増え、戦力は上がっていた。
数度、ヴァルキリーの砦を取得する事も出来た。

マイグレも近づく頃、騎士祭りの2次会で騎兵団はPvPに集まっていた。

すでに白河と並ぶ使い手にまで成長していたヤマケンは、若い騎士に稽古をつけていた。

そこに、一騎のオーラ騎士が現れた。
バフォメット帽を被った不敵な面構え、そして、異様な気配。
・・・Mixtureのエンブレム。

ヤマケンは小声で呟いた。
「やべえ・・・MIXのnobuだ・・・」

次の瞬間、nobuが槍を構えて突進してきた。
ブランディッシュスピアが一閃し、ヤマケンと団員が吹き飛ばされる。
道具屋の通りから飛来したJTが鉄火を焼き、ペルシウスを焼いた。
逃げ出そうとした双海少佐がローランドのBSにカチ割られる。

20人いた騎兵団と一般人たちは4人のMIXによって瞬く間に殺害される。
戦場を脱出したヤマケンは、涼風と合流した。
手傷を負ったニアが追いついてくる。

「ここなら大丈夫でしょう・・・」と涼風が呟いた時だった。
nobuが追ってきたのだ。

「逃がさん・・・」
はっきりとした狂気をたたえた目のnobuがすさまじい勢いで突進してきた。
ニアが槍で貫かれて転がった。

ペコを駆ってnobuの突進をかわしたヤマケンに涼風の支援魔法が降り注ぐ。
相手はMIXの親玉、ヤマケンは吼えた。そして、突撃した。

BOSS騎士であるnobuの猛烈な攻撃をかろうじて耐えながらヤマケンもピアースを放つ。
高度な精錬を施しているであろうnobuにはなかなか決定打を与えられない。
ヤマケンはたちまち血まみれになる、だが涼風のヒールが支えてくれている。
なかなかヤマケンが倒れないことに苛立ったらしいnobuが、「雑魚プリUZEEEEEEEEEEEE」とわめいてヤマケンに背を向けた。
涼風を狙っている。
追いすがるヤマケンがスタブで吹っ飛ばされる。

ニアとヤマケンの血を吸ったnobuの槍が涼風に迫る。
ヤマケンは目を閉じた。
が、高い金属音が響いた。
飛来した槍がnobuの鎧を突き破って右肩に突き刺さっていた。
そして、大量の矢がnobuを襲う。

Lyseと2人の弓ローグが割り込んできたのだった。
そういえば、さっきの襲撃の時にLyseもカチ割られて死んでいたのを思い出した。

「野豚ァ!さっきはよくもやってくれたじゃねーか
 ブチ殺してやんよ^^」
マイグレでnobu達が去ると知ってデカイ態度に出たLyse。
だが、次の瞬間Lyseたちはストームガストに飲み込まれていた。

SGを放ったのは、まり子供であった。
>w<のSGが直撃して、弓ローグの一人は即死していた。
残った弓ローグが>w<に突進して拉致した。

「へへへ・・・死ねよ・・・野豚・・・」
笑顔を引きつらせたLyseがnobuに突進する。
突き刺さった槍を投げ捨てたnobuが応戦する。

片腕でも、nobuはLyseを圧倒していた。不利になったLyseがヤマケンの様子を伺う。

回復を終えたヤマケンは、タイマンに割り込むべきかを悩んで、戦いを見守っていた。

加勢が無いのを悟ったLyseは喚きながら渾身の突きを繰り出して、あっさりとかわされた。体勢を崩したLyseにnobuの一撃がまともに入った。鮮血が飛び散って、Lyseの悲鳴があたりに轟いた。

転がったLyseをペコでふみにじり、nobuはヤマケンのほうを向いた。
ポーションを飲み干して、ゆっくりとヤマケンに向かってくる。
ヤマケンが槍を構え直した瞬間、nobuのペコが地を蹴って一気に間合いをつめてきた。

「死ね・・・!・・・なっ」
眼前に迫ったnobuが、唐突に現れた泥沼に足をとられた。
QMだ。
それを唱えた者にヤマケンはすでに気づいていた。

「片倉・・・ジャスミン・・・」

片倉と、10人ほどの騎兵団を率いたジャスミンだった。
「ボロボロじゃないか、ヤマケン。あとは俺たちにまかせな」

村正を構えたジャスミンが陽気に言ってnobuに向かっていく。
ジャスミンの率いる両手騎士部隊が続いた。

しかしnobuは、まったく怯まなかった。
縦横に槍を薙ぎ払い、騎兵団を寄せ付けない。
そしてその圧倒的なまでの殺気に飲まれた団員たちが一人、また一人と打ち倒されていく。

「なんだ・・・こいつ・・・バケモノ・・・」
そもそも、nobuの装甲には団員の剣がほとんど通じない。
ヤマケンは叫んだ。
「駄目だ・・・っ!そいつころせない・・・・!退くぞジャスミンっ」

「わかった!いけ、おまえら!」
ジャスミンがnobuに斬りかかって、団員たちは慌てて走り出す。
ヤマケンも足止めを手伝うべくnobuに向かった。

だが、走り出した団員の一人が何処からか現れた騎士の槍に貫かれた。
凍りつく団員たち。

「どこへいく・・・?」

nobuに次ぐといわれる廃騎士、Frontだった。
貫いた団員をはね飛ばし、次の獲物へ襲い掛かるFront。

乱戦となった。
同士討ちを恐れて、片倉も大魔法を使うことができない。
たった二人の騎士とはいえ、nobuとFrontは異様なまでに強かった。
涼風の支援も段々と追いつかなくなっていく。

さらに、ローランドのプリーストが現れた。
ヤマケンたちに絶望がよぎる。

ジャスミンが頭部に一撃を受けて、骨兜が宙を舞う。
Frontの槍が的確に団員を倒していく。
片倉と数名の団員の猛攻を平然と耐えて支援を続けるローランド。
nobuの槍が、ヤマケンのペコを貫いた。

涼風が、SPを使い果たして膝をついた。

その時だった。
「なんだ・・・あれは・・・」

団員の誰かが呟いた。

PvPフィールドを揺るがすような大量の足音が迫っていた。

一体、どこから現れたのか?
大量の廃オークが一同に向かってきた。

乱戦に没頭していた者も、われがちに逃げようとした。
廃オークの先頭は、スクラッチマスクをつけたプリーストであった。

自身に速度増加をかけようとして立ち止まったローランドが、廃オークの群れに飲み込まれて、鈍い音がした。
一群が通り過ぎた後には無残な姿のローランドが残された。

「うっはwwwwww」
そのプリは続いてFrontに向かった。

「必殺・・・余所見・・・って・・・ぎゃああああ」
Frontもボロ雑巾になった。

「そうちょwwwww無理wwwww」
プリーストは叫びながら、オークを率いて走り去っていった。

流石のnobuも、口を開けて見ていた。
かろうじてFrontは生きていたようだが、ローランドはピクリとも動かなかった。

我に返ったnobuは、現れた男をにらみ付けた。

騎兵団の同盟である珍走天使の総長、神楽があくびをしながら現れたのだ。

「ジャスもヤマもボロボロじゃねーか。あとは俺様にまかせとけやハゲ・・・ってMIXじゃん!逃げようぜwwww」

そんな神楽に向かってnobuが殺到する。
だが、さしものnobuも満身創痍、神楽をとらえる事は容易ではなかった。

まだ動ける団員と共に、ヤマケンはFrontへ攻撃を仕掛けた。
乱戦が再開された。
今度は、騎兵団側が優勢。

怒り狂ったnobuが怒声を放つ。

「許さんぞ虫ケラども!一匹残らずブチ殺してくれるわっ!」

「ぬかせっ!」
叫び返しながら神楽の投げたナイフがnobuの頬をかすめる。
一際大きな叫びを放ち、nobuが踊りかかったその時。

fe...fe...fe...

ku...ku...ku...

気味の悪い、まるで地の底から響くかのような笑い声が聞こえた。

nobuが振り返った。



「阿 修 羅 覇 王 拳」
黒い影が、モンクの奥義を放った。
直撃を受けたFrontが粉砕されて、転がった。

「ABしてた」

そう呟いたFrontが目を閉じる。

「G・・・・」
憎悪の目で、モンクをにらみ付けたnobuが言った。


「G様!」神楽が呼びかけた。

阿修羅を放ったのは、しにがみのかまを率いる、G様だった。

「ククク・・・キキキ・・・カカカ・・・ッ
 弱いもの虐めは関心しないね・・・野豚君」

nobuにも劣らない、異様な気配をまとったG様は高らかに笑い声をあげた。そして、青ポーションを飲み干して気球を集め始めた。

「今すぐ出て行け。そして、二度と来るな。さもなければ阿修羅をブチ込む」

G様が爆裂波動の構えをとると、憎々しげに見ていたnobuは走り去った。


「次は、殺す・・・・」

それがnobuの捨て台詞であった。


よろめきながら、団員たちが集まってきた。
涼風が手当てをしている。

転職以来、毎日乗っていたペコを失ったヤマケンは、呆けたように座り込んでいた・・・。
マイグレ目前、最後のGvGの日。

騎兵団連合は、C2砦を攻めていた。
中堅が防衛をしていたが、MIXとの死闘でいくらか鍛えられた彼らは、それなりの戦いを繰り広げるようになっていた。

「ヤマケン隊長!執事前の制圧完了しました!」
「ああ・・・敵の復帰を抑えてくれ」

小隊長としての采配も中々板についた。
たぶん、ニアよりはマシな指揮ができるだろうとヤマケンは考えていた。

珍走を率いて遊撃に出ていた神楽が陣に戻ってきた。
「1MAPにしにかまが来てるぜ」
「おかしいな、しにかまはC4の戦争に行ってるんじゃないのk」
ニアが言うように、ひま親率いるGA、IWL連合軍とnobuとリアン率いる鳩MIX連合がC4で空前の大決戦を行っている。
しにかまも其処へ参加しているはずだった。

執事前で相談が交わされているところへ、白旗を掲げたしにかまのクルセが現れた。
指揮官を、と言われてニアが進み出た。

しにかまは騎兵団と衝突の意思なく、共闘を願いたいとの使者であった。
当然、承諾すると使者は大急ぎで戻っていった。

すぐにしにかまの全員が、G様を先頭にやって来た。

「協力に感謝する・・・が、時間が無い。急ぎましょうか」
何も説明せず、G様は配下を率いて進む。
騎兵団もそれを追う。

第三MAPには城主ギルドのエンブをつけた30名ばかりが陣を張っていた。
声ひとつたてず、しにかまが散会する。

「騎兵団、中央を頼む」

G様が走った。

期せずしてしにかまに使われる状況だが、ニアの号令で騎兵団が突撃する。

優勢だった。
騎兵団が突撃し、乱れた敵陣をしにかまが的確に攻撃する。
たちまちに敵は武器を奪われ、盾を奪われ、阿修羅で砕かれた。
騎兵も負けずに次々と敵兵をなぎ倒した。

ものの数分で防衛ギルドは全滅していた。

遮るものの無いまま、しにかまと騎兵団はERへ侵入する。

「エンペが・・・無い・・・?」
神楽が言った。

そう、台座にあるべきエンペリウムが消えている。
全員に動揺が走る。
そして・・・

「隊長!WPが・・・WPが・・・」
「WPがどうした!」
背後を振り返ったヤマケンは青ざめた。
今通ったばかりのWPが消えている。

「どういうことだ・・・?」
ニアが言った。
流石にしにかまの面々は動揺を押し殺しているが、騎兵団の若い兵士などは恐慌の寸前だ。
琴は、状況が飲み込めないでいるようだ。

「落ち着け・・・これは・・・結界だ」
目を閉じて、瞑想でもしているような様子のG様が呟いた。

そしてG様の指先が動く。
「そこだ!」
G様の放った指弾が放物線を描いてエンペリウムのあるべき台座へ向かい、炸裂した。

「ククク・・・よく見破ったな・・・G・・・」

指弾が炸裂した空間にエンペリウムが現れて、その背後から声がした。
黒装束のセージだった。

「下衆の臭いがこうも漂っていては結界も台無しなのだよ、ローランド君」

吐き捨てるように言ったG様が、目配せをした。
さっとしにかまの面々が身構える。


あたりはすでに、大量の敵兵に包囲されていた・・・

「儀式の邪魔はさせぬ・・・死ね!」
敵兵が一斉に襲い掛かってきた。
敏捷に反応したしにかまが応戦する。ニアの号令で騎兵団も必死の戦いを始めた。

しにかま・騎兵団の人数は50人。敵は、それよりいくらか多いように思われた。
そして、手強い。

「く・・・さっきの連中とは比べものにならん・・・っ」
敵の騎士と斬り合いながら、白河が叫んだ。
ヤマケンは、ある噂を思い出していた。

Mixtureが、暗黒の魔術アブラカタブラを使って最強の戦士を量産しているという噂。
見た事もないような屈強の敵軍がそれではないのか。

乱戦は、激しさを増していく。
包囲されていたとはいえ、バラバラに攻めかかって来る敵軍に比べ、動きの統一された騎兵団や、卓越した統率を誇るしにがみのかまは、その点では有利といえた。

「見つけた・・・やはり、そこか・・・」
G様が呟いた。
さっきから戦闘に加わらず、数名のしにかまに護衛されて歩いていたのだ。

そこには、4枚の翼を持った男プリーストの像が飾られていた。
Lydiaに住まう者ならば誰でも知っている・・・府中社長の銅像だ。

かつてこのC2に社長が滞在したことを記念した像だ。

「神楽さん!」
珍走天使のラルシッドが叫んだ。
その声で振り向いた神楽の視線の先・・・

G様が、銅像に阿修羅を叩き込んだのだ。

「社長の像に・・・なにを・・・っ」
神楽は突っ走った。聖戦で社長と共に戦った経歴を持つ彼にとって、社長は神そのものなのである。

「G様といえど・・・社長への無礼は許せませんぞ」
「落ち着け・・・ローランドの結界を壊しただけだ・・・それに」
G様は像を指差した。
「この像はホルグレンでも壊せまい・・・」

確かに、社長の像は阿修羅ですら傷ひとつついていない。

「府中はこの像に何らかの封印を施している・・・それは・・・」

相変わらず瞑目的な口調でG様が呟く。

「貴様には解けぬ・・・G・・・!」

最前に姿を消していたローランドが背後に立っていた。
「メテオ・・・ストーム・・・っ」
ローランドが大魔法を放った。

「セージが・・・メテオだと?」
直撃を受けた神楽へ、更にローランドが放ったJTが叩き込まれる。
神楽はふっとび、社長の像へ叩きつけられて意識を失った。


「セージでJTとは随分な真似ではないかね?ローランド君」
G様と護衛がローランドを取り囲んだ。

「ククク・・・G・・・
 貴様にこの力を得る資格など無いのだ。

 我らに逆らった日々を後悔して死ぬんだな・・・」

「貴様ら如き・・・豚やゴリラになどLydiaは渡さぬ。
 Lydiaは私のモノだ。勘違いするなっ」

ローランドがヘブンズドライブを唱えた。地を蹴ってかわしたG様を続けてJTが襲う。
それを左手で弾き飛ばしたG様が指弾を放つ。

凄まじい戦いが始まった。
ローランドがSGを撃てば、G様が残影でかわす。
乱戦に飲み込まれながらも、騎兵団の面々は度肝を抜かれていた。

「神楽さんっ」
珍走天使の面々が、乱戦をくぐりぬけて神楽のもとへ駆け寄った。
ラルシッドが抱え起こし、夢がヒールをかける。

「助かるか・・・?」
ヤマケンとニアも駆けつけた。
「たぶん・・・」
夢の声を、迫ってきた敵兵の雄叫びがさえぎる。
社長像の周囲はたちまち、乱戦の中心になっていた。
不意に、神楽が立ち上がった。

「神楽さん・・・大丈夫ですヵ?」

答えない。
無言で、神楽は胸元から首飾りを取り出した。

オリデオコン原石のネックレス。
社長から貰ったといつも自慢していた、「府中のしるし」である。

そのオリデオコン原石が、輝いていた。

「神楽・・・?」
ヤマケンが声をかけた。
それにも神楽は答えなかった。
ただ、社長の像をみつめている。

やがて、社長像のホックがゆっくりと外れはじめた。
そこからまばゆい光が漏れている。

「なんだwwwwwあれwwwwwデカいぞwwwwww」
鉄火がつぶやいた。

社長像の股間に、WPが出現したのであった。
そして、全員がひとつの「声」を聴いた。

低く、甘い声。

「やらないか」・・・と。
「行こう・・・ヤマケン。社長がお呼びだ」
神楽が呼びかけた。

「ちょwwwおまwwwww」
ヤマケンは敵兵に囲まれていた。
そこに、珍走天使のシャナが飛び込んでくる。
叩き付ける斧で、敵兵の頭が砕け散った。

社長像の前にローランドが立ちはだかる。

「貴様・・・府中の一族だったかっ」
そのローランドにG様の指弾が直撃した。
さらに、VANの放った矢が突き刺さる。

「ぐ・・・おのれ・・・ゴミどもが・・・・」
ローランドが吼えた。ドス黒いオーラが立ち上る。
「いでよ・・・Lyse!!!!!!!」

「召喚ってwwwwwおいwwwwww」
ニアが言った。

ローランドの黒いオーラが、ぼんやりと人の姿となっていく。
そしてそれは、騎士となった。
ドス黒いオーラをまとい、オペラ仮面をつけた騎士。

「やれっ・・・!Lyse!」
ポールアクスをかまえ、Lyseが神楽に突進する。
一撃で神楽が吹っ飛ぶ。続いてラルシッドが転がり、しにかまの騎士が転がった。

片倉がQMをかける。
Lyseは気にもとめず、泥沼をかけぬけてヤマケンへと迫る。
死闘が始まった。
敵兵の数は半分くらいまで減らしていたが、黒いLyseが状況を一変させた。

ローランドがWPに飛び込むのを誰かがみた。

「G様・・・奴が!」
戦闘に戻っていた神楽が叫ぶ。
「わかっている!」

「一体なにがどうなってんだよっ」
ヤマケンが訊いた。
闘いながら、G様が話し始めた。

C4砦の地下深くで、野豚が儀式を行おうとしていると。
その儀式が完了すれば、社長と同じ魔人の力を野豚が手に入れるのだという。
そして、それを予知していた社長は、自らの像にC4の地下へと通じるWPを封印していたのだと。

「見ろ・・・あれを」
G様が指差したエンペリウムが、赤く輝いていた。
「マイグレという巨大なエネルギーを使い・・・奴らは究極のアブラカタブラを使おうとしている・・・
そしてあのエンペリウムは今日のGvGで流される血を奴らに送っている・・・」

「その儀式を止めなければどうなる?」
ニアが言った。
nobuとMIXはマイグレでSesに行くという。
それなら、今既に散々な犠牲を払って戦い、さらに得体も知れない儀式を止めることに意味があるのだろうか、そうニアは思っていた。

「野豚・・・そしてMIXは自分達を受け入れなかったこのLydiaを滅ぼすつもりだ」
「総長、行って下さい」

ラルシッドが鈍器を構えて神楽に言った。
うなずいて、神楽はWPへ向かった。

乱戦は続いていた。
Lyseは集中砲火をものともせずに暴れ続けている。
騎兵団の約半数は敵兵とともに倒れていた。

神楽がWPに入り、G様が続く。
しにかまの面々はWPを死守する構えだった。
ニアが入り、琴が入った。

「どうする、ヤマケン」
ジャスミンが訊いた。ジャスミンは突入したい様子だった。

「団員を置いていくのか・・・?」
ヤマケンは、残った面々を置いて行く気にはなれなかった。

「それは違うな、ヤマケン」
白河の声だった。
全身に手傷を負いつつも白河の息は乱れていない。
「団員を守るのも、団長を守るのも、Lydiaを守るのも
 それは騎士に課せられた当然の責務だ。
 ならば、呼ばれた君は行かねばならない」

しかし、と言いかけたヤマケンには見向きもせず、白河はLyseへ向かっていった。

「いけよヤマケン」
敵兵を斬り捨てた鉄火が言った。

「だが鉄火・・・あのLyseは化け物だ・・・死ぬぞ・・・?お前ら」

「野豚もどうせ化け物だろうよ」

鉄火はこともなげに答えて、もう一振りのカタナを抜いた。
Qシュルードカタナの二刀流。

「俺はどうせ、紙より薄い命を張ってる。

 でもよ、簡単に破れるつもりは無いぜ?

 男が男のために張った命だからな」


誰に言うのでも無く。

神速を誇る騎士は、
悪鬼と化したLyseへと突進した・・・
GA・IWL連合軍は1MAPを完全に制圧していた。
鳩MIXの抵抗は頑強だが、攻勢に立つ連合軍は優勢で、間も無く第2MAP終点の制圧も可能との報告が入っていた。

「第3MAPにリアンの率いる部隊がいるそうだ」
返り血を存分に浴びた、荒々しい騎士が本陣に戻ってきた。
IWLきっての猛将、ユーノである。

「やっとでてきたか・・・」
ひま親衛隊マスターのクーラントが答える。
影こそ薄いが、反MIX連合であるGAを発足させた智将だ。

鳩MIX側の有名人が前線に出てこない・・・これは連合軍からみると不思議な点である。
nobuといい、リアンといい、共に最前線に出るタイプの武将で、他のローランドやまり子供といった大物も中々姿を現さない。

「恐らくは・・・我らの戦力を分断させ、奥で迎え撃とうという魂胆であろう。野豚如きに思いつく知恵などしれておる」

IWLマスター、見当はそれだけ言って、本陣を後にした。

よくわからない女だ・・・クーラントは内心そう呟いた。
これまで、あらゆる勢力に対して中立を保ち、独力で廃連合とも対峙してきたIWL。
Lydiaに現存する大抵の勢力に加勢を打診したクーラントであったが、正直IWLが応じるとは考えていなかった。
敵将が中々姿を現さない点といい、クーラントはこの戦争に一抹の不安を感じていた。
鳩MIXの全兵力は徹底して調べている。
理論上、勝利は間違いない筈だ。
クーラントは迷いを捨てることにした。進まねば勝利は形にならない。

「第2MAPの敵軍を掃討せよ。GA本陣、前進する」

戦はいよいよ、たけなわであった。



神楽・G・ヤマケン・ジャスミン・夢・ニア・琴・片倉の七人は暗い通路を進んでいた。
片倉のサイトによって浮かび上がる壁面は、かなり古い年代のものとみえた。
時折、トカゲのようなものが走り回って夢が悲鳴をあげたりする。

「これは・・・グラストヘイムの年代のモノだな」
先頭を進むG様が言った。
「府中はグラストヘイムの民族の生き残りだ。恐らく、最初からここの存在を知っていたのだろう。
それで封印をかけた・・・
あの連中がアブラカタブラの秘法を見つける前に・・・

・・・出たか」

通路の先。黒いオーラをまとったローランドとまり子供が立っていた・・・
ローランドが何かを唱えた。
すると、数体の深淵の騎士が現れる。
「ゆけ・・・殺せ」

神楽・ヤマケン・ジャスミンが前に出る。すかさず夢がアスペルシオをかけた。
強敵とはいえ、先ほどの死闘に比べれば楽なものだ。
ピアースが唸りをあげ、深淵の騎士を屠ってゆく。

「こんな雑魚でどうするつもりだッ」
G様が残影で一気に間合いを詰める。
そのG様の前にまり子供が無防備に出て、指を突きつける。
「ストーンカース」
石化が見事に成功し、G様は動かなくなった。

「簡単なことだ・・・アブラカタブラ・・・っ」
ローランドが秘術を唱えた。
「クラスチェンジ・・・ッ!!!」

まだ動いている深淵の騎士たちが、黒いオーラにつつまれた次の瞬間。
そこには、4体のロードオブデスが出現していた。



「報告しますッ!第3MAP、IWLユーノ様の部隊が鳩連主力の部隊と激突、我が軍も合流し、優勢でありますッ!」
「第2MAP、掃討完了しましたッ!」
「ご苦労。前線に援軍を送り、第3MAP制圧を急げ」

第2MAP中央まで進んでいた本陣でクーラントは吉報を受けていた。
ユーノ率いるIWLの重装前衛部隊が猛烈な勢いでリアンの部隊を破っている様子であった。
GAも負けじと猛攻を繰り広げている。
恐らくはERに敵主力は布陣されているのであろう。
クライマックスが近づいている。

「長かったな・・・」
白鳳騎士団マスター、ツトムが傍に来ていた。
ひまと白鳳の同盟は、廃連合の弾圧を受けていた時代から続く、まさに同胞であった。
ツトムの兄は、かつての天気マスターに殺されている。
廃連合、そして現在のMIX・鳩に対する恨みが全身にたぎっている男であった。

「ああ・・・奴らをシズに追い落とし、私たちが新しい時代を築くのだ」

そういったクーラントの思いは既に、マイグレーション後に予測されるIWLとGAにより二極化される世界へと向かっていた。
そのクーラントの思考が中断された。
伝令が本陣へ走りこんできた。
先ほどまでの伝令とは様子が違う。

「申し上げます!最前線に敵の強力な援軍が出現、前線は総崩れにございますッ!」
「なんだと・・・?」
ツトムがクーラントを見た。クーラントが頷いて、ツトムは走り出た。
GA最強の前衛部隊である白鳳騎士団を率い、ツトムは第3MAPへと向かっていった。


「馬鹿な・・・」
ユーノは、ERの方角から現れた敵の増援を前にしていた。
黒いオーラをまとった黒ずくめの騎士たち。
IWLが誇る精鋭部隊は先ほどまで、リアンの部隊を蹂躙していたはずであった。
それが、援軍の登場によって崩れた。
20程度の増援は、異様な戦闘能力でIWLとGAの前線を崩し始めたのだ。
その勢いに乗じて、リアンの部隊も盛り返す。
形勢は逆転していた。

「アブラカタブラで生まれた闇の騎士どもか・・・」
いつのまにかユーノの傍に現れていた見当が呟いた。
「気をつけるが良い。ユーノ・・・あの騎士どもは簡単には死なぬ」

白鳳騎士団が後方から突入してきた。
ツトムの号令が飛んで、そのまま彼らは最前線へと突進していった・・・
ツトムに追いすがり、ユーノも前に出た。
黒い騎士たちと白鳳騎士団が真っ向からぶつかった。
IWLの精鋭も続いて、激戦が始まる。
ツトムとユーノは、黒い騎士たちの一番後ろ、ひときわ強烈なオーラをはなつ騎士を見ていた。

「あれは・・・まさか・・・ろうてか?」

BOSS狩りをライフワークとしている二人は、その騎士に見覚えがあった。
黒いオーラに包まれたその女騎士は、LKの長、ろうてだった。
ろうてはnobuと折り合いが悪く、MIXを脱退していたはずだ。

「LKがMIXについたということか・・・?」
ツトムがつぶやいたその刹那、ろうてが地を蹴った。
目にも止まらぬスピードでツトムに迫る。
ろうてが跳ね上げた槍がツトムのペコをとらえ、天高くはじき飛ばした。
派手に地面にたたきつけられるツトム。ペコは即死のようだった。

「おのれええええええええ」
怒り狂ったツトムは、倒れた味方騎士のペコにまたがり、猛然と突き掛けた。
ユーノも続く。

剣戟が鳴り響く戦場に、ろうての叫びがこだまする。

「風呂は・・・・5分だっ!!!!!!」

ろうての部下の大半は倒されていた。
見当の率いるIWLアサシン部隊が縦横に走り回り、力を奪っていったのだ。
白鳳騎士団がリアンの部隊に襲い掛かり、戦況はふたたびGA・IWL連合優勢へと戻っている。

だが・・・

ろうてがただ一騎、壮絶な暴れ方をしていた。
数度目、ろうての槍にかかったツトムは相当の重傷を負っている。
ユーノも同じく、右肩を砕かれていた。

ろうてに攻撃を仕掛けた白鳳騎士団は一撃で倒されていく。
その進む所、次々と死体が転がった。



GA本陣。
クーラントは、後方からの攻撃に見舞われていた。
主力の大半が第3MAPへ進んでいる。
ろうて出現の伝令を受けて、第3MAPへ進もうとした時であった。
黒いオーラをまとった剣士の一団が攻撃をかけてきたのだ。

「マスター!敵全員・・・エクスキューショナーを持っていますっ」

そんな情報はどこにもなかった。
オーラ剣士の群れがLydiaに存在するなどという情報は。
クーラントは混乱していた。
まるで悪夢だった。

魔剣エクスキューショナーを持った剣士達が、GAの兵士を易々と斬り裂いている。

「魔剣であろうと・・・オーラだろうと・・・剣士は剣士だ!殲滅しろ・・・殲滅だ・・・っ」

あえぐように言ったクーラントの頭上・・・

「獲物は獲物らしく狩りたてられていろ」

やたらと筋肉質なWIZが、クーラントたちの頭上に浮いていた。
ひま親衛隊のハンターたちが一斉に狙いをつける。
だが、遅かった。
WIZの放った無数のサイトラッシャーが頭上から降り注ぐ。
まるで、メテオのような猛烈なサイトラッシャー。
GA本陣を固めていた兵たちが次々と撃ち抜かれて倒れていく。

「これがサイトラッシャーの真の力だ」
地上に降り立った、黒いオーラをまとうWIZは言った。
地上で激戦が続く頃・・・

LOD4体を前にした一行も死闘を演じていた。
まり子供の魔法も炸裂し、一行は追い詰められていた。
夢が懸命に支援をかけるが、流石に間に合うものではなかった。

ローランドがチェンジポリンを唱えた。
ヤマケンがかろうじてかわしたその魔術は、琴をポリンに変えた。
ニアが泣きながら琴ポリンを抱えて、LODの攻撃から逃げ惑う。

片倉のメテオも、神楽たちのピアースも、LODの硬い装甲には決定打を与えられない。
ジャスミンの村正は比較的通用はするのだが、限りがある。
肝心のG様はいまだに石化して転がっている。

神楽がLODの巨大な槍にかかった。
府中のまもりのおかげで、致命傷にはならないが、思いっきり吹き飛んだ神楽は意識を失いかけた。

その、かすれていく視界に何かが映った。

空間が歪んでいる。
WPが出現しようとしていた。

「まり子!」
それに気づいたローランドが命じた。
まり子供がその空間にLoVを叩き込む。

爆風に負けず、WPが出現し、そこから3つの人影が現れた。
ティアラをつけた女セージ。気品ある顔立ち・・・

「貴様・・・フォスフィア!」
ローランドが叫んだ。
CHAOSマスター、大賢者の称号を持つ、フォスフィアだった。

そして・・・ファントムマスクをつけたプリーストと、亡者ヘアバンドをつけた徒歩騎士。

珍走天使最強の男ダージェンと、kit katが立っていた。

「kit・・・ダージェン!」
神楽は跳ね起きた。

新しい獲物に、LODが襲い掛かった。
まり子供もSGを放つ。

フォスフィアのマジックロッドがSGをすべて吸収する。

ダージェンがLODの攻撃を受け止め、次の瞬間地を蹴り頭上高く飛び上がる。

「うっはwwwwBOSSだwwwww」
kitが嬉しそうにLODへ向かう。
信じられない光景だった。
ハリセンのような鈍器をかまえたkitがLODへ襲い掛かり、ボコボコに殴り始めた。
「ぽーるwwwwwだせwwwww」
ほんの数秒でLODは粉々になっていた。
一同は口を開けてみていた。


ダージェンのカッツバルケルが一閃し、LODの首が切り落とされる。
着地したダージェンが指をパチリと鳴らす。
LODの全身が炎に包まれて崩れ落ちた。
一同は口を開けてみていた。
「そうちょwwwwオシいってくるwwww」
kitはそういってポタで飛んでいった。
「うち亀いってくる」
ダージェンはそういって蝶で飛んでいった。

フォスフィアがチェンジポリンで残りのLODを封じ込めた。

「ローランド。あなたにあの儀式を執行させるわけには参りません。
呪術書を返してもらいます」

凛とよく通る声でフォスフィアは言った。

「黙れ!裏切り者め。今更お前が来た所で儀式を止めることなどかなわぬわ!」

言い返したローランドの姿が黒いオーラに包まれ、次の瞬間BSになっていた。

「貴様ら全員・・・聖杯となるのだ・・・」

戦闘が再開された。ローランドは軽々と地を蹴って襲い掛かってきた。
ジャスミンの剣が宙を切り、ヤマケンの槍が跳ね飛ばされる。
まり子供が驚異的な詠唱速度で大魔法を叩き込んでくる。
フォスフィアもそれを必死で封じる。

「神楽!」
琴ポリンを抱えたニアが叫んだ。
足音が迫っていた。
10人ほど、様々な職の一団が通路の奥からこちらに向かっている。

「運命・・・」

いつの間にか石化が解けていたG様が呟いた。
現れた集団は、運命のエンブレムをつけていた。

「馬鹿な・・・あれだけの数に攻められていながらまだ余力があるというの?」
フォスフィアが言った。

「ククク・・・IWLを引き込んだのはやはり貴様の仕業か。
 見るがいい!地上の有様を!」

ローランドが壁に描いた魔方陣に、映像が結ばれる。
黒いろうてが白鳳騎士団を、IWLを踏みにじっている光景。
クーラント率いるGA本体が剣士の一団に斬り立てられ、WIZの魔法で追い詰められる光景。

どちらの映像にも、赤いエンペリウムを持った黒づくめのセージが映されていた。

「聖杯・・・」
G様はローランドに指をつきつけた。
「血で満たした聖杯を干す者が消えれば・・・その呪いは貴様を永久の煉獄へ導くだろう!
 愚かな・・・!人の子のわざを超えるには貴様は余りに愚かだよローランド!」
「ほざけ。地獄で儀式の完了を見ていろ、Ghosty!
 かかれっ」

号令と共に。駆けつけた運命の一団が牙を剥いた・・・。

運命の騎士とヤマケンが正面からぶつかった。
剣と槍が激しくぶつかり、火花が散る。
アサシンがジャスミンを襲う。
WIZ二人を相手に、フォスフィアは表情ひとつ動かない。
G様とローランドが再び空中戦を始めた。
琴ポリンを抱えたニアは数人に追われて逃げまわる。
ハンターの矢を受け止めた神楽に騎士が槍を向ける・・・その背後からローグが斬りかかる。

死闘だった。
G様・フォスフィアを除く面々は、運命の廃集団とは抜きどころのない実力差があった。


片倉は、目を閉じていた。
無詠唱かと思う勢いでJTが飛んでくる。

全神経を詠唱に絞って、片倉は打ち返した。

「うにー」

まり子供は、何を考えているかわからない笑顔だった。
その、地上最強のWIZを相手に、片倉の戦いもまた、始まった。

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