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いつか映画にしたい「野球物語」コミュの野球物語2

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○ ビジネスホテル(朝)

ベッドに久美、目を覚ます
沖田、既に起きていて鏡の前で太極拳のようにゆっくりした動作で
ピッチングフォームをチェックしている。
沖田、投げ終わる
久美「ストラーイク!」
沖田「もう少し寝てなさいよ。」
久美「テスト中、買い物してもいい?」
沖田「何を買うの?」
久美「いつもホテルだとお金が足りないよ。
   布団を車に積めば良いんじゃない?」
沖田「あぁ、それはいいね。
   でも、お風呂は?」
久美「健康ランドよ。広くて良いじゃない。」
沖田「まかせた。」
久美「まかせられた。」

○ 福岡ドーム内

トライアウトがはじまる
沖田、ゼッケンをつける
進行係「それでは、トライアウトを行います。
    野手はライト側に、投手はマウンドに集合してください。」
沖田、移動する

○ ショッピングセンター

久美が布団を買っている
久美「えーと、アッちゃん寝相が悪いから・・・固めの・・・」
突然、久美に痛みが襲う
うずくまってしまう
小さい女の子が心配そうに近づく
女の子「おねえちゃん・・・・大丈夫?」
久美「・・・・うん・・・・・心配しないで、ありがとう・・・」
女の子の母親も近づく
母親「大丈夫ですか?誰か呼びましょうか?」
久美「大丈夫です・・・ジッとしていればよくなりますんで。」
母親「そうですか・・・・」
母親と女の子、心配そうに立ち去る
久美、手をつなぐ母親と子供を見る
父親が現れる
三人で歩いている姿を見る久美
久美「・・・・アッちゃん・・・・ごめんね。」

○福岡ドーム トライアウト会場

緊張している沖田
前の選手が投げ終えた
キャッチャーの後ろで見ていた審査員が何かメモしている
審査員「君!年は!?」
選手「28です!」
審査員「前の所属は!?」
選手「社会人の・・・・」
審査員「あぁ、わかった!はい、次!」
選手、首を振ってマウンドを降りる。」
沖田「沖田篤です!よろしくお願いします!」
審査員「はいよ。まずはストレート投げて!」
沖田、振りかぶって投げる
審査員、スピードガンを見る「129キロ」
審査員「それ、思いっきり!?」
沖田「はい!」
審査員「あっそ。じゃあ、変化球!何投げる!?」
沖田「スライダーを!」
審査員「このスピードでスライダー?」
沖田、投げる
審査員、スピードガンを見る「126キロ」
審査員「あのさぁ!!前はどこの所属!?」
沖田「ベイスターズです!」
審査員「・・・・コントロールは良いからバッティングピッチャー!?」
沖田「選手です!!5年前、ドラフト9位で!!」
審査員「わかった!もういいよ!」
沖田「あの!2球しか投げてませんけど。」
審査員「連絡するよ!はい!次!」
沖田「あ、あの!」
次の選手がマウンドに上がる
沖田、仕方なく譲りマウンドを降りる
坂本NA(沖田の最初の挑戦は散々なものだった。
     これだったら受けないほうがプライドは保たれただろう。)

○電車内

坂本が窓際に立っている
坂本NA(沖田は、あのまま、引退していればどんな言い訳だって出来た。
     しかし、人間は生涯に一度か二度、
言い訳をすることなど許されないときがある。
     その時の沖田は正にそうだった。)

○ 工場地

坂本が歩いている
有限会社坂本製鉄所と看板がある
坂本、中に入る
家族経営しているらしい子供が遊んでいる
若い女が赤ちゃんを背負って働いている
坂本「美津子さん」
美津子「あら!義兄さん!いらっしゃい!ちょっと待って!!
コウちゃん!!コウちゃん!!」
コウちゃんと呼ばれた男、坂本公平が階段を下りてくる
公平「コウちゃんって呼ぶな!社長だろ!?」
坂本「社長、こんにちは。」
公平「兄ちゃん!どうしたんだよ急に!」

○ 居間

ちゃぶ台が置いてある居間
美津子がお茶を入れる
坂本「幾つだっけ?」
美津子「えっ?24ですけど。」
坂本「違うよ(笑)背中の子。」
公平「馬鹿じゃないの!?」
美津子「うるさいよ!・・・えーと・・7ヶ月です。」
坂本「そう。元気そうだ。」
美津子「もう本当、元気だけ(笑)」
公平「向こう行ってろよ!」
美津子「義兄さん、ごゆっくりね。」
坂本「ありがとう。」
美津子、席を立つ
坂本「いい子だな。」
公平「・・・・まぁ、明るいところだけ。」
坂本「お前も元気そうだ。仕事も順調そうだし。」
公平「あぁ、何とかやってる。今日はどうしたの?晩飯食ってくだろ?」
坂本「すまん。ゆっくりしてられない。行かなきゃいけないところがあるんだ。」
公平「そうなの?」
坂本「父さんが・・・・春までしかもたない。」
公平「・・・・・」
坂本「お前に頼みがある。」
坂本、カバンから名簿を出す
坂本「父さんがもうダメだって・・・・他の兄弟にも電話でまわしてくれないか?」

○ 有田製鉄所前

坂本が帰る準備
公平「兄ちゃん、ちょくちょく来てくれよ。」
坂本「あぁ、お前も遊びに来いよ。」
坂本、歩き出す
坂本、振り返る
公平の家族が見える
坂本「なぁ、今、幸せか?」
公平、一瞬きょとんとするが家族を見て答える
公平「・・・・父さんのお陰だ。幸せすぎて何時死んでもいい。」
坂本「・・・・よかった。これで父さんは天国にいける。」
坂本歩き出す
坂本NA(幸せなんて最初から幸せなわけが無い
     本当の幸せは、苦しみから始まるものだ。)

○国道
タウンエースが走っている
坂本NA(オンボロのタウンエースが全国を周る
     二人の苦しみから始まった
     幸せを得る保証も無く次の場所へ・・・・)

○ 車内

沖田が運転している
後部座席で、横になっている久美
沖田「広島のテストは明後日だよ。
   今日くらい、福岡で美味しいものでも食べたほうが良かったんじゃない?」
久美「九州、大嫌い。
   知ってる?九州男児って何時も偉そうなくせに優柔不断なんだよ?」
沖田「みんながそうって訳じゃないよ。」
久美「絶対そうだね。」
沖田「今日中に広島に着いちゃうよ。」
久美「あぁ!広島!きっと良いところに違いないわ!
   やっぱり、お好み焼き?牡蠣も良いわね?
   癌の女が牡蠣食べて当ったりしたら迷惑よねぇ。」
芝居がかった仕草で話す久美
沖田、吹き出してしまう
久美「やっと笑った。」
沖田「・・・・気を使わせた。申し訳ない。」
久美、腹部に痛み
運転で前を見ている沖田に気付かれないように
久美「まったくよ!(小声)アッ・・痛ッ・・・じゃあ!少し寝る。
   広島に着いたら起こして。」
沖田「おやすみ。」
久美、横になって買ったばかりの布団に包まる
痛みを耐えている


○ 広島 (夜)

駐車場に止まっているタウンエース
車から離れて携帯電話している沖田。相手は田所
沖田「ええ、ホークスは駄目でした。
   今、広島です。」
× × ×
田所「・・・・そうか
   まぁ、あまり無理をするな。
   広島でうまいものでも食えよ。」
× × ×
沖田「そうします・・・それじゃ」
× × ×
田所「ちょくちょく電話しろよ・・・・
   沖田、金はあるか?奥さんの治療費で貯金も無いんだろ?少しならまわすぞ。」
× × ×
沖田、笑って答える
沖田「大丈夫です。今から美味しいものでも食べに行きます。」
× × ×
田所「・・・・そうか・・・無理するな。いつでも電話しろよ。」
× × ×
沖田「はい。ありがとうございます。それじゃ・・・」
沖田、久美のところに行く
久美、ファーストフードの袋を沖田に渡す。
ファーストフードを食べている沖田と久美
原爆ドームが見える
久美、原爆ドームを見ながら食事
久美「ねぇ、アッちゃん。」
沖田「何?」
久美「広島って凄いねぇ。」
沖田「どうして?」

久美「だってさ、原爆落とされて100年緑が生えないって言われたんだよ。
   でもさ、見てよ、ビルも建ってるし木だって沢山ある。」
沖田「そうだなぁ。」
久美「アッちゃん、来て!」
沖田の手を引いて、駐車場の真ん中に行く
沖田「なんだよ。」
久美「広島にパワーをもらうの!
   アッちゃんがテストに合格するように!!
   それと、私にパワーを!!」
沖田「どうやって?」
久美、足を開き、両手を挙げる
久美「こうするでしょ?そして・・・パワーーーー!!」
沖田「(爆笑)馬鹿だなぁ!!」
久美「さぁ、一緒にやるのよ!!」
沖田「イヤだよ!!」
沖田、車に戻ろうとする
久美「騙されたと思ってやってみ!」
沖田「イヤだって(笑)」
はしゃぐ二人
原爆ドームが優しく見つめている

○ 車内

高速道路を走るタウンエース
頬杖をついて久美が外を見ている
久美「だから、言ったじゃない。
   パワーーーってやらなかったから落ちたのよ」
沖田「いや、効いたよ。
   球速が少しあがったんだ。130キロでた。」
久美「本当!?」
沖田「ストライクじゃなかったけど・・・」
久美「・・・・まぁ、少しずつ上がっていけばいいんじゃない?
   後10球団でしょ?2キロづつ増えたとして
   北海道じゃ150キロじゃん!」
沖田「うん。そうなるといいね。」
岡山で降りる
久美「岡山に何か様?」
沖田「次は桃太郎パワー。」
久美「いいねぇ。」

○ 岡山総合病院

久美が診察を受けている
医師「今、痛いところはありませんか?」
久美「はぁ・・・痛いといえば痛いですがもう慣れました。」
医師「慣れるもんじゃないでしょう?」
久美「痛いって言ってられないんです・・・・
   もう、これ以上足手まといになりたくないから。」
医師「・・・・・」

○ 岡山総合病院内

病院内をぶらぶらしている沖田
新生児室に足が向く
赤ちゃんが寝ている
ガラス越しに見ている沖田

○ 回想 沖田のマンション

沖田と久美、口論している
沖田「馬鹿!子宮がなくなっても命があるから良いじゃないか!」
久美「酷い事言わないでよ!!」
沖田「頼むよ!手術してくれ!!」
久美「嫌!子宮は絶対取らない!」
沖田「わがまま言うんじゃないよ!!」
久美「赤ちゃんが生めなくなるのよ!!??」
沖田「別に要らないよ!!」
久美「私は欲しいの!!」
沖田、久美の頬を張ろうとする
しかし、張れない
久美、まっすぐ沖田を見る

久美「子供をね・・・・沢山生んで・・・・あなたがお父さんって呼ばれるの・・・
   あなたはのご両親はあなたを捨てた
   あなたはお父さんって呼んだ事が無い
   せめて・・・せめて・・・あなたはお父さんって呼ばれてほしいの。」
沖田、久美を抱き寄せる

○ 新生児室

赤ちゃんが欠伸する
沖田、少し微笑む
沖田「・・・もうお父さんとは呼ばれなくなったな
これでいいのか?久美さん
   君が命を賭けてくれたのに・・・・・僕はどうすればいい?」
   
○ 診察室前

沖田が歩いてくる
久美「おーい、だんなさーん。先生が呼んでるよ。」
沖田「えっ?何だろ?」
久美「奥さんの命は・・・・永遠です・・・・」
宝塚風に大げさな仕草と声で
沖田「馬鹿」

○ 診察室

医師がレントゲンを見てる
沖田「あの・・・」
医師「横浜の伊藤先生からレントゲン送ってもらったんですけど・・・・
   奥さん、すごいねぇ。」
沖田「どうしてですか?まさか緊急入院?」
医師「・・・・まぁ、大丈夫でしょ。薬まだあります?」
沖田「あの最近凄い元気なんですけど・・・今、奇跡が起きてるとか?」
医師「それは神様に聞いてください。」
沖田「・・・そうですよね。」
医師「ただ・・・神様は、今、少し協力してるかもしれませんよ。
   本当だったら、歩くのも無理だ。」
沖田「・・・・・」
医師「ここから先はあなたの力が必要です。頑張って。」
沖田「は、春まで持ちますか!?」
医師「がんばりましょうね。」
沖田「ありがとうございます!」

○ 岡山総合病院

待合室に久美が座っている
注射を打って後らしい子供が泣いてやってくる
久美、両手をあげる

久美「ほらほら、こうすると痛いのが直るよ
   パワーーーー!」
沖田がやってくる
久美「私、明日死ぬ?」
沖田「春まで頑張れるって!
   広島パワーだ!!」
久美、子供の方を見る
久美「ねっ?」

つづく

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