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スロベニア(スロヴェニア)コミュの【学術】国家を見つめてみる講座「東欧の優等生」(科学アカデミー社会科学系研究所)

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このトピックは
スロベニア語共和国の政治や経済,外交などについての
論評&質問&お答えコーナーです。

トピック設立のきっかけを作ってくださった「熊谷 徹」さんを称えて,
第1回目の論評をトップに掲載します。(管理人)

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
ある夏の日の黄昏どきに、スロベニア共和国の首都ルブリャナを散歩してみた。

街のシンボルである羽根の生えた竜の彫刻が、橋の欄干などに陣取って、人々をにらみつけている。

アールヌーボー様式の建物が立ち並ぶ街には、オーストリアのような雰囲気がただよっている。

街の中心部を流れる川に沿って、若者たちがアイスクリームを食べたり、散策を楽しんだりしており、活気がある。

同じくユーゴスラビアに属していたボスニアの首都サラエボや、クロアチアの首都ザグレブに比べても、ルブリャナには一段と洗練された趣がある。

スロベニア共和国の人口は、わずか二00万人。

一九九一年にユーゴスラビア連邦から独立して誕生した、超ミニ国家の一つである。

旧ユーゴでも、最も人口が少ない国だが、経済的には、天に駆け上る竜のようなパワーを秘めている。

この国では国民一人あたりの国内総生産(GDP)が、二000年の時点で九一0八ドルに達しており、東欧・中欧の旧社会主義国の中で、最も豊かな国として知られている。

たとえばこの額は、ポーランドの国民一人あたりGDPの、二・二倍にあたる。

また経済成長率も四・六%と好調である。

スロベニアの企業は、クロアチアやボスニアなどバルカン半島の他国の企業を次々に買収しており、旧ユーゴで最も経済的に羽振りが良い。

オーストリアやドイツに近いせいか、勤勉な国民性でも知られている。

ルブリャナ大学で経済学を教えている、スロベニア人のT女史は、独立後ただちに米国の大学に派遣されて留学を許された、若きエリート。

自信に満ちた口調で、力強い経済成長の背景をこう説明してくれた。

「スロベニアは、ユーゴスラビア連邦に属している時から、最も経済状態が良い共和国でした。ユーゴ連邦の末期には、中央政府が経済政策に失敗したことから、インフレ率が一000%という極端な状態になりましたが、独立によって経済は急速に回復し、今ではインフレ率も六%前後に下がっています。一人あたりの国内総生産が高い理由は、西側の自動車メーカーなどに部品を供給する産業が、スロベニアで急速に育っているからです」。

なるほど、ユーゴが分裂する前からすでにスロベニアは経済的な優等生だったのである。

スロベニア経済が、他の東欧諸国と大きく異なる点の一つは、ポーランドやハンガリーなど他の国々が国営企業の民営化と外資の導入を通じて、経済成長を達成しているのに対し、スロベニアは外国資本をあまり必要としなかったことである。

たとえば銀行や通信、金属工業など経済の主要分野が、独立後も長期間にわたり、政府の管理下に置かれていた。

二00二年三月の時点でも、生産手段の五0%が国営企業に属していたほどである。

つまり民営化と外国企業による直接投資は、他の東欧諸国ほど進んでいなかったのだ。

このため、今後EUからはもっと民間活力を利用するべきだという要求が強まり、民営化も進むことは間違いない。

スロベニアが欧州通貨同盟に加盟するための条件を満たすのも、それほど遠くない。

スロベニア人たちは、中世に国家を作ったクロアチア人やセルビア人とは対照的に、長い間自分たちの国を持つことが出来ず、オーストリアなど様々な地域に分散して、少数民族として生きてきた。

彼らが二十世紀末に、ユーゴスラビアからの独立に踏み切った背景には、民族主義もさることながら、セルビアやボスニアなど経済的・政治的に不安定な国々から袂を分かち、経済的な安定と繁栄を勝ち取ろうという思惑もあったに違いない。

「我々がユーゴスラビアから独立する意思を明らかにした時、セルビア軍は、ルブリャナ上空に戦闘機を飛ばして、我々を威嚇しました。しかし我々スロベニア人は、仮にセルビア軍が攻めてきても、独立のために戦うつもりでした」。

Tさんの言葉には、独立を勝ち取り、繁栄への道を歩みつつある若い国家の、強い自信が込められていた。

私はルブリャナの橋の上で、元気いっぱいの竜の彫刻を見るたびに、彼女の未来への希望に満ちた口調を思い出すのである。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

「熊谷 徹」さんのHPを紹介させていただきます。
http://www.tkumagai.de

コメント(7)

知識に乏しくて、すみません。そうちょうさんの述べている通り、2007年からEUROに移行されると、STRは使用できないのでしょうか?
仮に、民営化外資導入が進むにつれ、物価指数が上昇傾向もあるのでしょうか?
現状、ハンガリーやスロバキア人が休みの日に、スロベニアの物価が安いため、買い物に訪れると聞いた事があります。
スロベニア経済につき、まつわる情勢等、ご存知の方、ご案内下さい。
四国位の面積で、強いGDPがある事は、スロベニアならではと思われます。
物価は昨年より少しずつ上昇しています。

今年に入ってから、特に上昇がはっきり分かるようになってきています。
そうちょうさん、失礼致しました。SITでした。ついあせって、間違えてしまいました。ここ2、3年訪れていない為、状況が分かりました。有難うございます。
みっちゃんの報告も有難うございます。
かつて、訪れた時に、現地の友人が、自家製で、ハチミツやアルコール、乳製品、お菓子等まかなってきていたが、今では、割と市販品を購入する傾向があると言っておりました。
この先、上昇するのみでしょう。
GDPが高いのも、時間の問題かもしれません。
2000年のNEW YEARでEUROのコインチョコが売られて村民が喜んでいましたのが、懐かしく思います。
執筆者の熊谷 徹です。2001年の9月に書いた文章なので、ちょっと時期がずれていて、申し訳ございませんでした。

チェコやポーランドでも、EUに入った途端に物価が上がったという苦情を、市民からよく聞きました。

スロベニアでも同じようなことが起こるかもしれません。

しかし、東欧一の優等生スロベニアの人々は、それほど問題にしないと思います。彼らは、かつてのユーゴスラビアの中で、一番にユーロを導入したことを、誇りに思っているからです。

スロベニアに行って強く感じたことは、「誇り高き人々だ」ということです。

ちなみに、旧ユーゴに属する地域では、コソボやモンテネグロも、通貨同盟に入っていないのに、勝手にユーロを使っています。

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