■[FDA]消費者向け情報 クローン動物と食品安全 Animal Cloning and Food Safety January 15, 2008 http://www.fda.gov/consumer/updates/cloning011508.html 何年にもわたる詳細な調査と解析の結果、FDAはウシ・ブタ・ヤギのクローン及び伝統的に食されてきた動物種のクローンの子孫由来の肉やミルクは、通常の交配で生まれた動物由来の食品と同様に食べても安全であると結論した。研究者らは1996年の有名なクローンヒツジドリー以降、家畜のクローニングを行ってきた。2001年にこの技術が家畜の改良に商業利用されることが明らかになり、FDAは生産業者にCVMが評価を終了するまで食用に販売しないように依頼してきた。 FDAのクローニング調査 5年以上にわたってCVMの科学者はクローン家畜の安全性に関する情報を調査し、リスク評価報告書として発表した。その結論は • クローニングには、自然交配を含むその他の生殖法と比べて特に新しいリスクはない • ウシ・ブタ・ヤギのクローン動物又は各種クローン動物の子孫由来食品は通常交配動物由来食品と変わらない。 • 以上よりウシ・ブタ・ヤギのクローン動物又は伝統的に食べられてきた動物のクローンの子孫由来食品を食べることによる新たなリスクはない。 クローンとは何か? クローンはある動物の遺伝的コピーである。生まれた時期が違う一卵性双生児のようなものである。クローニングは、畜産で長く使用されてきた人工授精や体外受精や胚移植などの生殖補助技術の延長と考えることができる。 動物のクローニングは約20年行われてきた。現在使用されている方法はほとんどが体細胞核移植である。 雌の動物(しばしば屠殺された動物の卵巣)から卵子を取り出てその核を除去する。 • コピーしたい動物の細胞から取った核を卵子に入れる。 • 実験室でいくつかの処理をすると卵が胚になる。 • 胚を代理母の子宮に移植し、その後育って生まれる。 クローン技術により農家は最も望ましい性質(病気に強いとか乳量が多いとか肉質が良いなど)の家畜のコピーをたくさん得ることができ、群れの質を高めることができる。これらのクローンに通常の交配により子どもを作らせて食用にできる。 消費者にとってクローニングとは? • FDAはウシ・ブタ・ヤギのクローン動物又は伝統的に食べられてきた動物のクローンの子孫由来食品は通常交配動物由来食品と同様安全であると結論した。 • クローン又はその子孫由来食品に表示する必要はない。クローンとそうでない食品を区別するための表示を必要とする科学的根拠が見あたらなかった。 • クローンの主な使用目的は種畜を作ることで食用ではない。群れの中で最良の動物のコピーは通常の交配に使用されて食用動物を作る。 • ウシ・ブタ・ヤギのクローン以外について(例えばヒツジ)は情報が不足しているために、食用にはしないことを薦めている。 □ FDA [ Food and Drug Administration ] 米国食品医薬品庁 米国健康福祉省 (Department of Health and Human Services)に設置された12の機関の一つ。
■[EFSA]食用クローン動物の倫理的側面に関するヨーロッパ新技術倫理グループの意見発表についてのEFSAの声明 EFSA statement on the publication of the opinion of the European Group on Ethics and New Technologies on ethical aspects of animal cloning for the food supply 17/01/2008 http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1178680040978.htm EFSAは動物のクローニングが、EFSAの管轄外である倫理的道徳的社会的問題を提起することは認識している。従ってヨーロッパ新技術倫理グループ(EGE)が、食用クローン動物の倫理的側面についての意見を発表したことを歓迎する。EGEの意見は現在EFSAが行っている科学的作業を補完するものである。 現時点ではEFSAはクローン動物の食品安全性・動物の健康と福祉・環境への影響についての意見を最終化していない。意見案はパブリックコメント募集のために発表された。意見は2008年2月25日までEFSAのウェブサイトから提出できる。 EFSAの最終意見は2008年5月に発表予定である。EGEの意見とEFSAの意見は、欧州委員会や欧州連合加盟国によるクローン動物およびその製品に関してどのような対応が必要か検討するための材料となるであろう。
EGEプレスリリース EGEは食用の動物クローニングの倫理的側面に関する意見nr.23を採択した European Group on Ethics adopts its opinion nr. 23 on ethical aspects of animal cloning for food supply 16 January 2008 http://ec.europa.eu/european_group_ethics/activities/docs/press_release_opinion23_en.pdf FDAがクローンウシ・ブタ・ヤギ由来食品を認可する可能性があるという発表を受けて、2007年2月にEGEが倫理的側面についての意見を求められた。同時にEFSAも体細胞核移植(SCNT)技術を用いて作成したクローン動物の食品安全性・動物の健康と福祉・環境への影響についての意見を諮問された。 数ヶ月の内部会合、専門家ヒヤリング、意見募集、学会や企業やNGOや国際団体や市民団体などの関係者による円卓会議などを経て、2007(8?)年1月16日に最新意見を採択した。EGEはこの意見の採択前にEFSAの意見案やFDAの報告書が発表されたことは承知している。
オーストラリアとニュージーランドではクローン動物は未だ実験段階で、主に乳牛及び肉牛のごく一部に限られている(オーストラリアには100頭以下)。ヒツジも僅かだけいる。 FSANZはここ数年オーストラリアとニュージーランドの科学者や企業と密に連携してきた。FSANZは彼らからクローン動物は研究段階に限られていて食用にはなっていないと知らされている。 食品規制機関はどう対応するか? クローン動物そのものは高価な実験動物なので食用になることはなさそうである。しかし将来はその子孫(クローン動物と非クローン動物の通常交配)はより一般的になるであろう。クローン技術は進歩し続けると予想され、各国がクローン動物とその子孫の安全性問題を検討している。FSANZはこの問題についての国際動向を何年間も監視してきており、オーストラリア政府からの助言も求められている。FSANZは米国FDAのリスク評価案に含まれていた根拠について評価しその解析結果をオーストラリア政府に提出している。 □ FSANZ [ Food Standards Australia New Zealand ] オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関 食品の安全の維持を図ることにより、オーストラリアおよびニュージーランドの国民の健康と安全を保護することを目的としたオーストラリアの政府機関。
■[USDA]FDAのクローン動物リスク評価についてのBruce Knightの声明 Statement by Bruce Knight, Under Secretary for Marketing and Regulatory Programs on FDA Risk Assessment on Animal Clones January 15, 2008 http://www.usda.gov/wps/portal/!ut/p/_s.7_0_A/7_0_1OB?contentidonly=true&contentid=2008/01/0012.xml USDAはFDAのクローンウシ・ブタ・ヤギ及びその子孫由来の肉やミルクは安全上の懸念はなく、通常の交配動物由来食品と違いはないという最終リスク評価を全面的に支持する。 FDAが科学的評価を行い最終リスク評価を発表したので、USDAは技術提供者や生産者、加工業者、小売業者や国内及び海外の顧客とともにクローン由来肉やミルクの販売促進活動に参加する。我々は関係者と協力してスムーズでとぎれのない市場への導入を確保する。 同時に、現在全米で約600頭しかクローン動物はおらず、ほとんどが繁殖用動物であるため、クローン動物が市販されることはほとんどない。USDAは移行期間中はクローン動物由来肉やミルクの出荷自粛は継続するよう求める。 多くの農家や牧場主は、より良い乳や肉を生産する動物を作るために日常的に人工授精や胚移植、試験管内受精などの生殖補助技術を利用している。クローニングはもう一つの繁殖技術で有用で安全である。この技術は優秀な性質を子孫に伝える動物の遺伝的双子を作って家畜を早く改良するのに有用である。
■[FDA]FDAはクローン動物由来食品の安全性に関する文書を発表 プレスリリース FDA Issues Documents on the Safety of Food from Animal Clones January 15, 2008 http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2008/NEW01776.html FDAはクローンウシ・ブタ・ヤギ及び全てのクローン動物の子孫由来の肉やミルクは他の通常交配動物由来食品同様食べても安全であると結論 何年にもわたる詳細な研究と解析の結果、FDAはクローンウシ・ブタ・ヤギ及び伝統的に食されてきた全ての動物のクローンの子孫由来の肉やミルクは他の通常交配動物由来食品同様食べても安全であると結論した。ヒツジなどの他の動物のクローンの安全性については結論を出すのに十分な情報が得られなかった。 FDAは本日クローン動物に関するFDAの規制の概略を示す3つの文書を発表した−リスク評価、リスク管理計画、及び企業向けガイドである。 これらの文書は案として2006年12月に発表された。その後新しい情報を含めてリスク評価は更新された。新しい情報は案の安全性に関する結論を補強するものである。 2001年に米国の生産者は、FDAがさらにこの問題を評価するまで、クローン動物及びその子孫由来肉やミルクを食品として使用しないことに同意した。USDAはスムーズで秩序のある市場への導入のために関係者を招集して今後の対応について議論を行う。 FDAはクローンウシ・ブタ・ヤギ及びその子孫由来の食品について、通常交配動物由来食品と違いがないため特に追加の規制や表示を要求していない。生産者が「この動物はクローンではない」などのような任意の表示をしたい場合どうするかなどについては、表示が信頼でき誤解を招いてはならないという法的要請に従うことが確保できる用ケースバイケースで判断されるであろう。 クローン動物は繁殖用に使用されるため、食用としてたくさん供給されることはないだろう。一方その繁殖による子孫は、市販される肉やミルクに使用されるであろう。現時点ではFDAはウシ・ブタ・ヤギ以外の動物のクローンは食用とすべきではないという立場である。 クローン動物は、一卵性双生児が違う時期に生まれたようなもので、ドナー動物の遺伝的コピーである。クローニングは遺伝子組換えと同じではない。コストと希少価値のため、クローン動物は家畜に望ましい性質を通常交配より早く導入するための精鋭交配用動物に使用される。 リスク評価 リスク評価の結果、クローンウシ・ブタ・ヤギ及びそれらクローン動物を繁殖させた子ども由来の肉やミルクは、他の通常交配動物由来食品同様食べても安全であるとした。この科学に基づく結論は2002年のNASの報告書に一致する。この評価はクローニングや動物の健康に関する独立した科学専門家からピアレビューされた。彼らはFDAの評価方法は適切でありこの文書の結論に同意した。
リスク評価では、家畜に広く用いられている生殖補助技術の概要、クローン動物とその繁殖により生まれた動物の健康に関する情報、クローン動物及びその子孫由来食品が通常交配動物由来食品とは異なる食品安全上の問題があるかどうか、を提示した。これらの結論は約1年前に案として発表された。その後、パブリックコメント募集期間に寄せられた意見と新しいデータを用いて更新した。 FDAのCFSANの主任であるStephen F. Sundlof獣医師博士は次のように語っている。「クローニングに関する案の発表後に追加されたデータや一般からの意見をレビューし、クローンウシ・ブタ・ヤギ由来の肉やミルクは我々が毎日食べている食品同様安全であると結論した。我々の追加のレビューは食品安全上の結論をさらに強化した。」 リスク管理計画 リスク管理計画ではクローン技術の関与する動物へのリスクに対応するための規則を概説した。こうしたリスクは全て、現在米国で普通に使用されている生殖補助技術で観察されているものである。 FDAはクローン過程に関与する動物のケアの基準を作成するため、動物の健康と生殖に関する専門家と協力している。FDAは家畜のクローニングに関する倫理的問題には対応しないが、この問題については関係者に科学的見解を提供することを続けていく。 企業向けガイド 企業向けガイドはクローン及びその子孫由来食品や飼料の使用に対応する。これはクローン作成者、家畜繁殖者、クローン動物を購入した農家及び牧場経営者に向けたものであり、FDAの現在の考え方を示したものである。 このガイドラインにおいてFDAはクローンウシ・ブタ・ヤギ由来の製品をヒト食用や動物飼料用に使うことについて特別な規制を薦めていない。ヒツジなどの他の動物のクローンについては情報が足りないため、食べることのリスクについて決定したりガイドラインを作成したりできず、食用には使用しないことを薦めている。このガイドラインでは伝統的に食されてきた種のクローンの子孫由来食品は、食品や飼料として使用できると述べている。
クローン動物とその子孫をヒト食用及び動物飼料用に使う企業向けガイド Guideline No. 179 Guidance for Industry Use of Animal Clones and Clone Progeny for Human Food and Animal Feed http://www.fda.gov/cvm/Guidance/Finalguideline179.htm このガイドラインに関する意見を募集する。
クローニングに関する神話 Myths about Cloning http://www.fda.gov/cvm/CloningRA_Myths_Final.htm 世間で流布されている間違った言説を否定するFAQ □ FDA [ Food and Drug Administration ] 米国食品医薬品庁 米国健康福祉省 (Department of Health and Human Services)に設置された12の機関の一つ。
■[NAS]FDAはクローン食品はヒトに安全と明言 FDA Declares Cloned Foods to Be Safe for Humans By Maureen O'Leary January 11 http://www.nationalacademies.org/headlines/20080111.html FDAはほとんどのクローン動物とその子孫由来の肉やミルクは食べても安全であるとするリスク評価案を発表した。FDAはクローン家畜由来製品の販売を2008年に承認すると期待されている。 100以上のウシやブタやヤギの研究を精査し、国の科学者らはクローン動物と通常の家畜由来食品の化学組成に違いを見つけることはできなかった。また齧歯類にクローン由来食品を与えた試験でも有害影響は見つからなかった。FDAの担当官は、FDAの評価は多数の独立した専門家にピアレビューされ、彼らはその知見に合意した、と述べている。 クローンは通常望ましい動物の皮膚細胞から作った遺伝的複製である。企業や農場経営者は、消費者により味の良い肉や量の多いミルクや卵を供給できるとしてFDAにクローン動物由来製品の販売を認めるよう迫っている。 FDAの知見に反対する人々はクローン動物由来食品の追跡やヒト健康影響評価などの規制を求めている。 FDAのアプローチはNASのいくつかの報告書の助言に一致するもので、クローン動物由来食品に安全上の懸念は低い。 □ NAS : The National Academy of Science 全米科学アカデミーのこと
■[EFSA]GMOパネルの第27回会合議事録 2007年11月22-23
Minutes of the 27th plenary meeting of the GMO Panel - 22 and 23 November 2007
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/Event_Meeting/GMO_Minutes_37th_plenmeet,3.pdf
・EFSAの、GM飼料を与えた動物由来肉・ミルク・卵中の組換えDNA断片又は蛋白質の運命に関する声明に関する追加の文献の解析
2007年7月20日に発表した上述声明*について、欧州委員会とFSAから追加の関連文献の提示とこれら文献の結論「多くの家畜での実験研究データから、GM植物に由来する組換えDNA断片や蛋白質がブロイラーやウシやブタやウズラなどの畜産動物の組織や体液や可食部から検出されたことはない。」への影響について照会があった。組換えDNA断片が動物製品から検出されたという論文も含む多くの動物実験での知見がこの結論を支持する。より感受性の高い方法でより多くの実験が行われれば、将来そのような検出例が増えるであろう。上述のEFSAの声明にあるように、「DNA断片や蛋白質の腸管からの取り込みは動物の生理的プロセス」であり、「GM植物の組換え配列は単一又は低コピー数しか存在しないため、吸収は希で検出は困難」である。追加の文献は以下の結論を変kぉうしない。
(1)食品や飼料中には生物学的に活性のある遺伝子や蛋白質が様々な量で普通に含まれる。食べると、ヒトや動物の消化管内では短いDNA断片やペプチド断片に速やかに分解される。
(2)今日まで、多数の家畜での実験で、GM植物に由来する組換えDNA断片や蛋白質が組織や体液や
可食部から検出されたことはない。
*http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20070726#p11
□ EFSA [ European Food Safety Authority ] 欧州食品安全機関 のこと