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こころとサイエンスコミュのコフートの心理学

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コフートの心理学

<意識レベルと重視したコフート>

コフート(1913〜1981)は、フロイト学派の優秀なリーダーだったが、現代精神分析の中興の祖といえるほど、その世界を改革した心理学者ということができる。

フロイトの死後、フロイトの理論に対する批判がいろいろな形ででてきた。例えば、フェアバーン(1889〜1964)は、人間本来のリビドー(注:1)はいわゆる性的な本能よりも人間関係をもちたいという気持ちにあると主張した。

また、フロイトはエディプス・コンプレックス、つまり、父親の子に対する影響を非常に重視しているが、ウィニコット(1896〜1971)は母子関係が大事であるという考え方を提唱した。

このようにさまざまな形でフロイトの基礎理論や治療法に対して疑念が呈されてきたわけだ。

その中でもコフートが画期的だったのは、他の多くのフロイトの継承者よりもはるかに意識レベルを重視したことだろう。

無意識の、夢の奥にあるものを見るよりは、意識レベルの共感を大切にした。つまり、相手の心理の無意識について予測するのではなく「この人の立場に立ってみたらこんなふうに思うだろうな」と考えて治療にあたったのだ。

だからコフート理論では「いま、ここで」患者が意識レベルで感じていることに共感してあげるということを大事にする。

また、人間は性的エネルギーや攻撃性のエネルギーによって攻撃的になったりするのではなく、「自己愛(自分を大切に思う気持ち。ナルシシズム)」を傷つけられたときに怒り狂うと考える。

つまり、生まれつきもっているものより、子ども時代の育ち方や自己愛の傷つけられ方によって、人間の攻撃性は変わってくるという考え方なのだ。だから、自己愛が満たされていれば、人間は心理的にも健全に成長するし、満たされていなければ、ひがみっぽくなったり攻撃的になったりし、傷つきやすい人間になるというわけだ。

<自己愛を満たし、心を育てなおす>

このコフートの考え方は、非常にわかりやすく、実用的な精神分析理論といえる。
治療にあたっては、小さな頃に満たされなかった自己愛を満たしてあげ、心の成長を期待する「育て直し」をするわけだから、患者さんにとっても心地いい。

つまり、本来行なわれるはずだった心理的発達を助け、子どもや乳幼児期の心理状態から大人の心理状態に引き上げていってあげることが、重要なポイントになる。わかりやすいということは、それが的を得ているからわかりやすいわけで、軽症の場合は実際に改善される確率も高い。

もちろん、フロイトのやり方で治っていた時代もあるのだが、コフート自身は、フロイトの時代と現在とは患者層が違うといっている。

フロイトが活躍した時代は、大家族で、乳母もいたし兄弟もいた。つまり、非常に愛情刺激の過多な文化だった。ところがコフートの時代になると、核家族化も進みはじめて、過小刺激の文化になったということができる。

要するに、コフートは、母親や家族の愛情に飢えている人が増えている中で、自分の治療を受ける人が増えてきたと考えたわけだ。

アメリカでは、精神分析に健康保険はきかないため、お金を払う気になる治療でないと生き残っていけない。コフート理論はその市場原理を勝ち抜いてきたということで、現在のアメリカの精神分析界で重要な位置づけを占めていると考えられるのだ。

注:1 … 【リビドー】 本来ラテン語で強い欲望のこと。当初フロイトは、性的エネルギーの意味でこの言葉を使ったが、のちに自己保存本能もリビドーによるとした。ユングは、精神的エネルギー、一般をリビドーととらえている。

(『心理学を知る事典』 / 和田秀樹著 / P34)

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