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こころとサイエンスコミュの陸地が沈まずにすんでいる理由(地球物理学)

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<大陸を海面よりも高く保っているのは地熱の力だ>

コロラドのロッキー山脈やカリフォルニアのシエラネバダ山脈を見る限り、地形を説明するのは簡単に思える。これらは地下のプレートどうしが激しくぶつかり合って陸が盛り上がった所だ。正面衝突した自動車のボンネットのように、陸地がつぶれ、持ち上がった。
だが、この力だけで説明できる高低差は実はごく一部。北米大陸の標高のおよそ半分は地球内部の熱による。

それなしには大部分が海面地下に沈むだろうと、ユタ大学の地球物理学者ハステロク(Derrick Hasterok)とチャップマン(David S.Chapman)は言う。
2人の最新の計算によると、ロッキーとシエラネバダの山々は頂(いただき)だけが島になって残り、ニューヨークやロサンゼルスはもとより、海抜1マイル(約1600m)のデンバーまでもが海面下200m以上の深さに落ち込む。

<下から熱せられて浮上>
大陸地殻は平均で約40kmの厚みがあり、高密度のマントルの上に泡のように浮かんでいる。これは両者の密度差のほか、一部は熱の作用によることが以前から知られてきた。
地殻の温度は場所によっても違うものの、底面は最低でも400℃はあると推定される。この熱の約60%は高温の地球内部から伝わってきたもので、残りは放射線元素の崩壊によって蓄積した熱だ。

そして地殻岩石も多くの物質と同様、温度が高いほど膨張する。その結果、密度が下がって、より高く浮かぶ。
しかし、このように温度と標高には明快な関係があるはずなのに、実際に測定できた地熱と地形にはほとんど相関が見られない。

つまり、熱いほど標高が高いとは限らないのだ。こうした不一致が生じるのは、大陸地殻の組成(これも場所によって異なる)も浮力に影響するからだ。ある種の岩石は別の岩石比べ、どんな温度条件でも密度が高い。

まあ、地殻の厚みが場所によってもさまざまなことも、問題を複雑にしている。プレートの力はある場所では山脈を厚く積み上げるが、別の場所では地殻を薄く引き延ばしているのだ。
熱の効果だけを切り離して評価するため、ハステロクらは北米の36の地質区について成分組成と厚みの効果を除外する計算法を考えだした。こうして得られた標高は、確かに熱いほど概して高くなった。コロラド高原とグレートプレーンズ(ロッキー山脈東側の台地)は地下の岩石タイプは同じだが、標高はコロラド高原のほうが1500mほど高い。これは主に、地殻の温度がグレートプレーンズの下の地殻よりも推定で150℃熱いからだ。

<組成や熱現象を探る手がかりに>
「標高が熱流を反映していないところでは、何か別のことが起こっているのだと推定できる」とハステロクは言う。

例えばカナダ北部のある地域の地殻は、実際の標高から推定される温度よりも熱い。ここの地殻には放射性元素が平均以上の濃度で存在し、地表近くの岩石を熱しているのだとハステロクは言う。(地殻に浮力が生じるのは地殻の不快部分が熱せられた場合のみで、地表近くだけが暖まっても標高は高くならない)。

だから、標高から推定される温度よりも熱い地域は一般に、ウランやトリウムなどを埋蔵している可能性が高いと考えられる。
また、ある種の地質学的事象の発生とタイミングについて手がかりが得られる可能性もある。シエラネバダ山脈の標高は地熱から予想される値よりも低いので、特別に高温になったマントル塊が地殻深部を熱しているに違いない。

温度を直接測定できるのは地表部分だが、この熱はまだ地表に上がってきておらず、だから測定にかからないのだ。

熱の影響に関するこうした考察は、山脈や海洋の形成といった過程をモデル化するうえで重要だ。地殻岩石は熱せられるほど弱くなり、断層や歪曲を生じやすくなるからだ。
ハステロクらはすでに、北米以外の他の大陸についても同様の解析を始めている。

(「SCIENTIFIC AMERICAN」より)

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