ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

こころとサイエンスコミュの血液型占い(長文注意)

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

(血液型占いに関して、脳科学研究者の池谷裕二氏は本でこう語っています)

姓名判断、星座占い、血液型占い、夢占い、、人のいるところ「占い」がある。占いは民族や時代を超えて普遍のようだ。

科学的な解析によって行なわれている現代の天気予報も昔は占いによって、行なわれていた。農耕作業や実りの時期を知るうえで天候の予測は重要である。現代の目から見ればずいぶんと非科学的な予測方法だが、当時の人にとっては大マジメな儀式であった。そこから祈とうや呪術などが生まれ、大規模な宗教に発展していったケースもあるだろう。

現代社会ではカルト的な風潮はほぼ残っていないとはいえ、それでも週刊誌を覗けば「占いコーナー」などという形で、占いは私たちの日常生活に存在している。こうしたものの多くは根拠がないように見えるものも、中には生物系の研究者である私から見ても興味ひかれるものも少なくない。

とりわけ私が注目するに値すると考えているのが「血液型」である。

A型、B型、などの血液型は遺伝子そのものが違うからである。この遺伝子は赤血球の表面のタンパク質に糖鎖(とうさ)を付ける酵素をコードしている。つまり、赤血球の表面のザラツキ具合が血液型によって異なるのである。

糖鎖(とうさ)…(生体内に存在する糖類・配糖体・糖タンパクなどの糖の部分を鎖に見立てた言葉。構成する単糖の種類・結合位置・順序に多様な組み合わせがあり、それによって血液型や免疫作用などの生体の様々な生理的認識機能が調節されている)

となれば当然、毛細血管の血球の流れやすさが異なり、酵素供給率に影響があることは想像に難くない。実際、ガンの発症率など、血液型によって差があるものがいくつか知られている。

さて、血液型によって「人格」は異なるであろうか。
A型は几帳面で、O型はおおらかで、B型は個性的などという分類はしばしば耳にするが、いずれも根拠は不明瞭である。

ただし、血の巡り具合が違うのであれば、脳の生理作用に差があっても不思議でないと考える人もいるだろう。

アメリカ自殺研究センターのレスター博士が2005年春に発表した大規模な調査結果がある。(注、1)日本を含む先進国17カ国の自殺者に関する膨大な情報を丹念に分析したデータである。

年令、離婚、酒、、、どんな要因が自殺傾向をうまく説明できるか統計解析したところ、国を超えてもっとも普遍的であった要因が、意外なことに「血液型」であった。
O型は自殺者が少ないのだ。

こんなところにも血液型と脳機能の関係がかいま見える。
私が気になるのは、血液型の人口分布である。地域によって差があるものの、おおざっぱに言えば、日本ではほぼA型40%、O型30%、B型20%、AB型10%である。私にはこの比が安定した状態から多少偏っているように見えるのだ。

そこでコンピューター・シミュレーションを行なってみた、1000人の村をつくり、先の割合で血液型を振り分ける。村の中からランダムに相手を選んで結婚し、それぞれ二人ずつ子どもを作っていくとしたら、血液型の分布は将来どう変化していくだろうか。

シミュレーションであるから試行ごとに結果は異なる。しかし何度も繰り返した結果、おおよその傾向が見えてきた。無秩序な後輩を続けていくと徐々にB型かO型のどちらかが減っていくのだ。

つまり人類の長い歴史を考えれば、現在の人口比でO型やB型は多すぎるし、逆にA型は少なすぎる。これだけで何かを結論づけることはできないが、たとえば、血液型同士には相性があって私たちの祖先が決して婚姻相手を無作為に選んできたわけでないとなどと想像してみるのはどうだろう。

ただし、安易に血液型と性格を結びつけるのは慎まなければならない。心ない類型化に傷つく人もいる。「お前は△型だから、○×□なんだよ」などと罵倒されては誰でもイヤな気分になるだろう。占いも娯楽として楽しむにはよいが、偏見や差別を生んでしまっては本来の枠を超えてしまう。

(注1、Lester D.Predicting suicide in nations.Arch Suicide Res 9:219-223,2005)
(「脳はなにかと言い訳をする」池谷裕二著、p199〜p201)

<血液型が性格や病気の発症に関係するか>

「血液型が性格や病気の発症率に関係する」という論文もあれば「ない」という論文もあります。科学的な論文は一般に差がないと結論するネガティブなデータより、差があるといったポジティブなデータのほうが発表しやすいので、血液型に関しても「関係がある」という論文のほうが多いのが現状です。

ただ、仮に関係があったとしてもその差は劇的ではないようです。たとえば身長であれば20〜30人ほどの成人をランダムに選んできて測定すれば男性のほうが女性より身長が高いという結果がでるでしょうが、血液型の場合は何千人とか何万人とか、かなりの数の集団を集めなくてはおそらく差は出ないでしょう。

また、出たとしても、身長ほどには劇的な差は出ないと思います。ですから、もし差があったとしてもそれを差別的に使うよりは、楽しみとして使ったほうがよいだろうと私は考えています。

私はコンピューター・シミュレーションを行なって、血液型の分布がどんどん変わっていく結果を出しました。
ところが、そのデータは、学校の授業で遺伝学を学んだ人からすると奇妙に映ります。遺伝学には、ある一定の条件さえ満たせば、世代を経ても分布は変わらない、つまり平衡状態を意味する有名な「ハイディー・ワインバーグの原理」があります。この原理からすると、A型、B型、C型の分布は世代を経ても変わらないことになるからです。

しかし、私のシミュレーションのデータでは変化しました。B型かO型の比率が少ずつ減っていったのです。

先に紹介した例では1000人の村でシミュレーションすると、ときには1000世代ほどでB型かO型が滅んでしまうことがありました。B型が滅びるときはもちろんAB型も引きずられるように同時に消滅します。ただし、シミュレーションですから、試してみるたびに結果はまちまちです。

でも、B型やO型が減っていく傾向が多少なりともあることはどうやら間違いないようです。1000人を10万人の街にまで増やすと、さすがにこうした急激な人口率の変化が生じるということはありませんが、それでも何千世代も経てば全体的な傾向が少しずつ見えてきます。
                (中略)
データをのせておきます。
ハイディー・ワインバーグの原理は厳しい拘束条件の上で初めて成り立つ平衡です。つまり、十分な個体数があって、えり好みのない任意結婚が成立していて、突然変異や自然淘汰がなくて、人の移動がなくて、などと相当な仮定をクリアして、ようやく成り立つ理論です。

つまり現実世界の遺伝子分布はハイディー・ワインバーグ平衡ではありえません。
今、日本人の血液分布が、A型が約40%、B型が約30%といった数値になっているのですが、これもまったく同じで、これは安定状態ではなく、むしろ安定方向に向かっている途中だと解釈したほうが自然だと思うわけです。

これについては反論する人も多いかと思いますが、少なくとも、血液型の分布が地域によってかなり違う点には、目を向ける価値があるように思います。

日本の場合、西日本に行くにしたがって、A型やO型の比率が増えます。北日本や能登半島は、わずかにB型の率が高い。このように地域ごとに分布が違うこと自体が、平衡状態でないことを物語っています。

国別に見ても、血液型の分布はまったく違います。アメリカ人の半数はO型です。B型が多い国もあって、インドではなんとB型が40%を占めています。また、タイやアイヌの人はAB型が多いのです。

タイでは33%がAB型です。でも、これで驚いてはいけません。もっとも極端な血液型の分布を示すのは、南米で、O型が90%を超えている国も多いのです。
これでは血液型占いなどは、あまり意味をなさないかもしれません。地域によってこれだけ分布が違うということ自体、ハイディー・ワインバーグの単純化されたモデルでは説明できません。

(『脳はなにかと言い訳をする』池谷裕二著 p202〜p206)

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

こころとサイエンス 更新情報

こころとサイエンスのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング