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こころとサイエンスコミュの「クラスターの小さい水は健康によい」は本当か?

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「クラスターの小さい水は健康によい」は本当か?

整水器、活水器やその機器で作られたいろいろな水などの怪しい水についてみていくと、これらの水の説明にほとんど共通して言われていることがありました。

「水はなんらかの微弱なエネルギーを受けると、水の構造(クラスター)が小さくなって、細胞に浸透しやすくなり、植物の成長を促進したり、味がよくなったりする。クラスターの小さい水は健康によい」ということです。

クラスターという言葉を使わなくても「水の粒が細かい」「水の集団が小さい」「小さい水」なども同様です。

クラスターとは「ブドウの房」という意味であり、水の分子がブドウの房のように集まっていることをイメージして、「水のクラスター」と呼ばれています。

液体の水の分子構造については、わかっていることもありますが、わかっていないことも多くあります。水のクラスターについては未だわかっていないことのほうに入ります。液体の水についての有力なモデルのひとつが「1ピコ秒(10のマイナス12乗秒)」のオーダーで水分子の集まり(クラスター)が生まれたり壊れたりするというものです。

<核磁気共鳴装置とクラスター>

水のクラスターがマスコミ的に有名になったのは、核磁気共鳴装置(NMR)の販売元である日本電子の社員だった松下和弘氏が「(17)O」を付加した水をこの装置で調べ、その吸収スペクトルと半値幅から半値幅が狭い水はクラスターが小さいと前提し、さらに長寿村の水(アルメニア共和国)、天然湧き水、井戸水、水道水など、さまざまな水についても同様に半値幅を調べて、長寿村、おいしいといわれる水は幅が狭く、水道水は幅が広いことから、「クラスターが小さい水は健康にいい」と言い出したことからです。

この発表はマスコミにかなり取り上げられ「おいしい水、健康にいい水イコール、クラスターが小さい水」とたいへん注目を集めました。水の商品に何らかの科学っぽい説明をほしがっていた水ビジネスの間で、商品の効用を説明する根拠として、またたくまに利用されるようになりました。

「小さなクラスターになると細胞に浸透しやすくなり,体に吸収されやすくなり、新陳代謝を高めるから体によい」というわけです。この説はわかりやすかったため、巷に広がるのも早かったようです。

<クラスター説は科学的に否定されている>

ところがすでに「(17)O?NMR」の吸収スペクトルの半値幅とクラスターについての松下説は科学的には否定されています。

大河内正一氏(法政大学工学部教授)らは、「(17)O?NMR」半値幅が水分子の回転運動よびプロトン(陽子)の交換速度から説明することができること、半値幅はpHにより変化し、クラスターの大小を表すものではないことを科学的に明らかにしました。
(1993年、1994年)大河内氏は次のようにも言っています。

「松下氏の謝りは、pHによって影響を受けるプロトンの交換速度を見落とし、水の違いによる半値幅の剣道を、水の回転運動の変化を表すものと錯誤した結果によると思われます。「(17)O?NMR」半値幅は、水の回転運動とプロトンの交換速度の総合情報を表すものです。」

難しい用語が出て来て理解しにくいと思いますが,例で松下氏が「(17)O?NMR」半値幅が小さくクラスターが小さいとした、アルカリイオン水のアルカリ性側(アルカリイオン水、還元水)、酸性側(酸性水)についてみておきましょう。これは、酸性やアルカリ性の程度を表すものさしであるpHで、中性のpH7付近が「(17)O?NMR」半値幅が最大値をとるところを少しアルカリ性側や酸性側にかたよっているアルカリイオン水と酸性水では「(17)O-NMR」半値幅が小さくなるということだったのです。つまりクラスターとは関係がないのです。

<吸収がよい水は、身体に悪い>

生理的に考えても、もしも本当に普通の水よりも吸収がよい水があるとすると、身体によいはずがありません。むしろ身体に大きなダメージを受けてしまいます。私たちは普通の水の中で生き、成長し、進化してきました。私たちの細胞内はホメオスターシスという機構が働いて、ある一定のバランスになるようにいつも調節されています。
それが急に吸収のよい水の中に身体がさらされると、生物体内のバランスが崩れて病気になってしまいます。

といっても、吸収がいいというのもそれは言葉だけのことであり、結局水道水を飲んだのと同じであり、実害がありません。実害がないからなんとでもいえてしまうのです。もし、ある健康によいとする水についての説明に「クラスターが小さい」「水の粒が細かい」「水の集団が小さい」とするような説明がでてきたら、その水についての説明は科学的に怪しいと思って差し支えないでしょう。


(「水はなんにも知らないよ」…同志社女子大学現代社会部教授・左巻健男著)

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