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こころとサイエンスコミュの水はなんにも知らないよ

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水はなんにも知らないよ

ちょっと前に小学校の授業で「水が言葉を理解する」というとんでもない内容の道徳の授業が行なわれました。

その内容は容器に入った水に向けて「ありがとう」と「ばかやろう」の「言葉」を書いた紙を張りつけておいてから、それらの水を凍らせます。すると「ありがとう」を見せた水は対称形の美しい六角形の結晶に成長し「ばかやろう」を見せた水はかたちが崩れて、きたない結晶になるか、あるいは結晶にならなかったといいます。人間に体の6〜7割は水だ。水は悪い言葉を理解する。だから悪い言葉を使うのはやめましょう。という主旨に授業だったようです。

これは「水は答えを知っている」「水からの伝言」といった「波動の第一人者、江本勝氏」により一連の書籍に、ある大きな教育団体が(教育団体技術法則化運動『TOSS』)が飛びついて、その結果、江本氏の説は学校にも広まりました。

この種の本の中でも最初に出された「世界初!!水の氷結結晶写真集」をうたう「水からの伝言」は、もともと江本氏らのさまざまな「波動」商売の一環として、自費出版のようなかたちで出版されました。

江本氏らの「波動」商売とは「波動測定器」で診療まがいなことをする波動カウンセリング、よい波動を転写したという波動水(波動共鳴水)の販売などです。それが一般のオカルト好きの人たちだけではなく、教育の現場にも浸透していったのです。

このようなニセ科学を用いた道徳などの授業によって、水が言葉や人の気持ちを理解すると信じ込む子どもが出てきます。その授業をしている教員も、実は子どもたちと同じで、そのようなことを信じているのです。信じ込んだ教員が熱意をもって授業をすれば、科学的には怪しいことも信じ込んでしまう子どもたちがたくさん出ます。

ニセ科学を信じさせる教育を進めれば、まともな理科教育の基盤はさらに崩壊していきます。わが国の大人の科学リテラシー(科学の力をうまく使いこなす能力のこと)は今でも非常に弱いことが問題になっています。それがもっと弱くなります。

<科学っぽい雰囲気を利用する商売人たち>

ニセ科学の代表格の「波動」商品には、よい波動を転写したという波動水や、よい波動を出すというゲルマニウムの腕輪やネックレス、EM関連商品などがあります。

「マイナスイオン」発生をうたう商品群も「波動」商売の商品群と似ています。「マイナスイオン」を発生するという機器は、ひと頃、エアコンなのでブームになりました。しかし、「マイナスイオン」の実体がはっきりしないし、それが本当に健康によいのかどうかもはっきりしないし、オゾンなど有害物質を発生しているのではないかという疑問もでてきました。

「マイナスイオン」について科学的に批判したものをきちんと読んだ人はごく少数ですから、ブームは去ったものの、「マイナスイオンは身体によい」というフレーズは未だに商売人たちには使えるのです。これはニセ科学の「波動」と同様、「体によい“何か”が放射線のように出ている」という科学っぽい雰囲気を醸し出せるのです。

<科学者から江本氏への「伝言」>

世の中に「水からの伝言」の影響が広がっていることから4人の科学者が江本氏へ以下のようなコメントを送りました。

◎氷結晶を専門とする北海道大学低温科学研究所の古川義純教授は憤りながら、
「無機の物質である水が言葉や音楽に反応するというのは考えられない。荒唐無稽な話しで、ニセ科学の典型的な例だ。」

「実験のやり方も大雑把で、温度も水蒸気の量も一定でない、いろんな結晶ができるから、観察者きれいな結晶を探せば見つかるだろう。50個中のいくつにどのような結晶ができたのか、データを取らなければ意味がない。」

◎山形大学理学部物質生命科学科の天羽優子助教授も断言する。
「水が情報を記憶することはないし、どんな結晶ができるかについては既に中谷宇吉郎博士が解明済みで、言葉や音楽とは無関係。」

◎大阪大学サイバーメディアセンターの菊池誠教授(物理学)は、授業に「水からの伝言」を取り上げている例などをインターネット上で見つけると、その先生にメールを送ったりして学校現場での拡大を防ごうとしている。

「オカルトや心霊現象にはだまされなくても『ニセ科学』を信じてしまう人は多い。結晶の美醜と善悪を分かりやすく結びつけているのが受け入れられてしまう理由だが、安易に道徳の授業に取り入れる風潮は危険だ。」

◎無機材料科学や環境科学が専門で、「ニセ科学」批判を続ける安井至国連大学副学長は、こう話す。

「ばかばかしい説ほど科学者が無視して残ってしまう。科学には分からないことも確かにあるが、物理現象の解明は進んでいて、江本氏の言うような神秘的なことが起こる余地はない。科学立国を目指す日本から、「水からの伝言」のようなオカルト的な情報が発信されるのは、恥ずかしいことだ。」


これに対し江本氏は「AERA」(朝日新聞社)(2005年、12月5日号)にインタビュー記事が載り、彼はこう言いました。

「水からの伝言はポエムだと思う。科学だとは思っていない。僕は科学者ではない。単なるロマン的なこと、ファンタジー、宗教と紙一重なので、誤解いただくこともあるが、宗教家ではない。少年のまま大きくなった普通の人間。ただ、科学でわかっていることはほんの数%。95%はわからない。今後、周りの研究者によって、科学的に証明されていくと思う。結晶の撮影は本来は温度や湿度のコントロールができた部屋でやるべきでしょうが、中小企業なので限界がある。ネガフィルムなので改竄はない。ご要望があれば公開したいが、科学者からは無視され、インチキと言われている。撮影者には、こういうことをした水だという情報を与えている。

水は心の鏡だという。撮影者の意識が働いてきれいなものになるということはある。それは別に非科学的ではないと思う。量子力学の世界ではそうなっているようだ。内容を知らせていなくても、よい言葉ではよい結晶が多い、そのへんは謎だ。

思いついたきっかけは、水を使って健康相談に応じていた。すごいことが次から次に起きたからだ。水が情報を運びうるんだ、その情報は微細な振動だと自分なりに推理した。それが波動だった。とても大事なことなのにだれも信じてくれない。あるいは理解できない。それで、僕のような素人がたまたま手をつけた。

波動の理論は、僕の中での常識。著書に書いた「体内にある108の元素が108の煩悩に対応している。」ことも常識だ。常識を発表していけないことはない。1989年に琵琶湖に350人が集まって祈る運動では成果をおさめた。それ依頼、琵琶湖はきれいになった。

祈りでハリケーンを消すことができるか?できると思うが、人数がいっぱい必要でそう簡単に出来ない。そのためにも世界を講演して歩いています。

<科学か、ニセ科学か>

科学者からの厳しい批判に「ポエムだ」「素人がやっていて、科学とは思っていない」という言い方で逃げている様子がわかります。しかし江本氏はその一方で「今後、周りの研究者によって科学的に証明されていくと思う」と述べているように「科学」であることにはこだわりを見せています。

江本氏は「撮影者には、こういうことをした水だという情報を与えている。水は心の鏡だという。撮影者の意識が働いてきれいなものになるということはある。それは別に非科学的ではないと思う」と述べています。つまり、結晶を撮影する人が「これはよい言葉を見せた水だから結晶を一生懸命探そう」などの思いでやってしまっている可能性が強く、とうてい客観的とはいえないことがわかります。

江本氏はコメントの中で量子力学という学問を引き合いに出していますが、彼のいう「常識」はまったくその学問とは無関係です。
彼の科学知識レベルも非常に低いのですが、残念なことに日本国民は先進国の中でも科学リテラシーが低い、と知られていますのでそういう低レベルの説明でも信じてしまう人たちがいます。

<108の元素と煩悩が対応している」は単なる数字あわせ>

元素は、今では少なくとも111発見されています。さらに増えるでしょう。108というのはかなり古いデータです。しかも現在の地球の自然には存在しない元素を除くと90種類ぐらいです。テクネシウム(Tc:元素番号43)、プロメシウム(Pm;元素番号61)、元素番号93以上のすべての元素は天然には存在しないのです。いくらなんでも、加速器などで人工的につくった元素にまで煩悩は対応しないでしょう。

除夜の鐘を108回つくのは108の煩悩を消すためと俗に言われてることと、元素の種類数を結びつけているようですが、それはすでに数自体が違っています。小さい数だと3から、通俗的に108、多いのになると84,000まであります。しかもこの数字自体に意味があるものではありません。

彼の健康診断は、波動測定器MRAという装置を使った「波動カウンセリング」です。MRAで健康診断をし、「波動水」を販売していました。「人間のネガティブな感情の波動が、それぞれの元素の持つ波動と対応している」というMRAの機能を相談者に納得させるのに、ネガティブな感情→煩悩の数→元素の数という連想をさせたいのでしょう。

<琵琶湖の水質は変わっていない>

琵琶湖の水に感謝の言葉をかけることで、1989年を境に、本当に琵琶湖の水質がよくなっているかは、少し調べればわかることです。本当に琵琶湖で成果を収めたなら、他にいくらでも水質をよくしたい場所はあります。どんどんやったらいいでしょう。

水が「ありがとう」の言葉に影響を受けてよい水になるなら「ありがとう」のお礼を水があるところすべてに、例えば体中に貼ってはどうでしょうか。

なお、琵琶湖の水質は「昭和55年(1980年)の琵琶湖条例(正式名称=滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例)の施行後、若干改善されたものの、下水道等の整備が進んできているにも関わらず、横ばいとなっています。琵琶湖の水が全部入れ替わるには約19年かかるといわれていますので、水質は余談を許さない状況です。」(滋賀県琵琶湖研究所)という状態です。

<学会での反応>

彼のいう「今後、周りの研究者によって、科学的に証明されて行くと思う」に関係する研究が、日本物理学会で発表されました。江本氏も共同研究者です。(ちなみにこういう学会での発表は審査基準がないので、誰でも発表できます)

次はその様子の新聞記事です。↓(読売新聞夕刊、2006年10月2日)

「それは科学ではない」---。9月23日、奈良女子大学で開かれた日本物理学会で、九州大の研究者の発表に対して場内から批判が相次いだ。自分の研究を他の研究者の目にさらし、批判を受けてさらに発展させるのが学会の発表の目的。厳しい批判は珍しくないが「科学ではない」とは異例の発言だ。

最近、科学のように見えて実は科学とは言いがたい「ニセ科学」が世間にあふれている。それを苦々しく思っている科学者は、少なくない。それがこの過激が発言の背景にある。発表の概要はこうだ。水を入れた小瓶4本にそれぞれ「ありがとう」「ばかやろう」「Thank you(ありがとう)」「You fool(ばかやろう)」と印字した紙をテープに張りつけ、7日後と14日後に水中の元素濃度を計測した。

その結果、「ばかやろう」と「You fool」だけが、7日後にカルシウムが増加し、14日後にはそれが減少していた。「言葉の持つ意識エネルギーが水の中の元素の核変換を引き起こし、別の元素に変えたためと考えられる」という。

発表したのは、九州大学工学研究員の高尾征治助手(科学工学)。共同研究者には、「水からの伝言」「水は語る」などの著者も名を連ねる。
発表後の質疑応答では、「何度実験しても同じ現象が起きることを確認したのか」という科学の基本ともいえる質問に「再現実験はやっていない」、「言葉の持つエネルギーというが、どの程度の大きさなのか」という質問には「そこまで調べていない」と答えるにとどまった。。。

「言葉の意味が水に影響を与える」という話しは物理学会では相手にされなかったが、一部の学校教員には評判がよく、道徳の授業に使われることもある。人間の体は多くの水を含んでいるので、「ばかやろう」などと悪口を言うと体に影響が出る、というストーリーだ。(以下略)

日本物理学会では、審査なしで研究発表を行なうことができますから、ニセ科学的な発表もよく見受けられます。よくある定番なものとしては「アインシュタインの相対性理論は間違い」などというのがあります。

科学者の中にはニセ科学を信じ込んで「言葉には意識エネルギーがある」などと思いこんでいる人がまれにいるのです。そういう人が雑な実験をすれば、カルシウム濃度が増加したなどという結果が出たりします。

それを「言葉の意識エネルギーが原子核変換を引き起こした」という仮説に仕上げたりします。科学以前の問題です。この発表で江本氏のいう「周りに研究者」とは、このような怪しいだけの人ということがはっきりしました。

<水は答えを知らないよ>

科学的に考えれば、水は言葉を見せられても影響を受けることがありません。

もちろん、人間であれば、書かれた「言葉」を見ることで、その言葉と結びつく感情を起こすことはあります。その場合には人間は「言葉」の意味を理解するからです。
しかし水は、そのような理解のシステムを持っていません。

水については完全に科学的に解明されているとはいえません。それでも「ここはどうしても正しい」と、わかっている範囲もたくさんあります。それからいえば、水は熱を加える、電圧をかける、強力な磁界(磁場)をかけるなどの物理的な働きかけ(操作)をすれば、それぞれに影響を受けたりします。

しかし、ただの水が人間の言葉の意味に反応するというのは、まったくありえない話しです。

ただ、言葉には「言霊」のような力があり、言葉の持つ意味が人間以外にも影響を与えるはずだと思う人がいるかもしれません。
しかし、立ち止まって考えてください。江本氏は水は日本語でも英語でも何語でも意味を理解し、できる結晶の姿が変わると言います。

あなたは自分が知らない外国語の言葉を見て、その意味が「よい」意味なのか「悪い」意味なのか、わかりますか? 江本氏は、水はそれがわかると言っています。人間でもわからないものが、生物でもない水にわかる、という考えは明らかにおかしいということを即座に感じてほしいものです。


(「水はなんにも知らないよ」…同志社女子大学現代社会部教授・左巻健男著)

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