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自主映画『タイムリミット』コミュのBAR フーテン

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BARフーテン

    登場人物

 渡辺 慎吾(22)
    大学生。大学に通いながら、
    自分の将来の進路について悩んでいる。

 渡辺 信夫(46)
    慎吾の父。会社員。
    傍ら副業でスナック店を経営。

 國吉 昌三(32)
    広域指定暴力団、
    國推会(こくすいかい)総長。
    女装の趣味がある。
    信夫のBARの常連。

 大平 克彦(46)
    國推会若頭。

 渡辺 美枝子
    慎吾の母。男遊びがひどく、
    慎吾が15歳の時に家から出て行く。



○BAR(深夜)
   店先の看板が怪しく光を放っている。
   シャッターを降ろす渡辺信夫(46)。

○タイトル『BARフーテン』

○ホテル会場
   國推会の組長4代目就任記念パーティ
   ーが開かれている。
   金屏風の前に立つ若頭の大平克彦(4
   6)と新組長の國吉昌三(32)。
   大平がマイクの前でしゃべっている。
大平「先代組長の義雄(オヤジ)が忌んで、
 ここに昌三ボンを次期組長としてお迎えす
 ることになった。それなのにこの中には
 ボンに背いとる奴がおる...」
   何人かのヤクザ怪訝な表情。
昌三「儂を子供(ジャリ)や思うてナメとる
 ンはどこのアホじゃあ?」
   そこへ3人のチンピラが引きずり出さ
   れてくる。
   そのうちの1人、昌三を睨みつける。
昌三「(そのチンピラを蹴りながら)何ガン
 くれとるんじゃ!」 
大平「オドレらは商売(シノギ)せんで上納
 金(アガリ)もろくに納められんやっちゃ
 !」
   昌三チンピラ一人をピストルで撃つ。
チンピラA「若頭(カシラ)!悪うございました!」
チンピラB「お、お願いします!命だけは!」
   残り二人のチンピラは焦る。
大平「(言葉をさえぎり)片付けや」
○大学・外観
   談笑する学生たち。

○同・教室
   講義を聞かずに携帯電話をいじる学生。
   無断で抜け出る学生。
   窓をぼんやり眺めている渡辺慎吾(22)。
教授「...であるからして過剰なまでに
 逸脱しており多種多様な...」
   講義そっちのけで遊ぶカップル
教授「お前ら、やる気がないなら、出てけ!」
   出て行くカップル。
   教授くしゃみをし、カツラがはずれる。
教授「(気づかず)学問の府という権威を纏
 って...」
   学生は大爆笑。
   教授、自分の頭を触り、赤面。
教授「(カツラをあわててつけながら)ほ、
 ほ、本、日は、これまで!」
   慎吾は顔色一つ変えず窓外を見ていた。

○街中
   友人達と歩く慎吾。
友人A「今日の講義、ありえなくね?」
友人B「確かに」
慎吾「...」
   大笑いする2人。
   場に合わせて笑う慎吾。
   友人2人と別れ、歩く慎吾。

○公園(夕方)
   ベンチに座り、地面の一点を見ている
   慎吾。
   騒ぎながら公園を通るサラリーマン風
   の二人。
上司「(書類を振りながら)どうしてこんな
 ミスを!会社の信頼を無くす気かね!」
部下「す、すいません...」
   上司、立ち止まり、取引先に携帯電話
   で連絡する。
上司「五井物産の望月さんですか...四菱商事
 の中村です...先ほどは大変なご無礼を...は
 い...大変申し訳ありません...はい...」
   携帯電話を切る上司。
部下「(土下座をしながら)係長!申し
 訳ありません」
上司「(部下の髪の毛を掴み)私に謝るので
 なく五井物産に行って謝ってこい!」
   慎吾、しばらく2人の様子を茫然と見
   ている。
   立ち上がる部下。
   部下の尻を蹴る上司。
上司「急げ!」
慎吾ナレーション(以下N)「いい大学に行
 って、一流企業に勤めて幸せな結婚して家
 を建てて...それであのザマか...」

○慎吾の自宅(深夜)
   父、信夫が電卓を片手にノートに何か
   の数字を書き入れている。
信夫「(ため息をつきながら)...まだまだか...」
   慎吾、玄関の鍵を開け入る。
慎吾「たっだいま〜」
信夫「またこんな時間までほっつき歩いてき
 やがってこのバカ息子!早く寝ろ!」
   話を聞かずリビングを出て行く慎吾。
   蛍光灯が切れかかるリビング。
   ため息をつく信夫。

○電車の中(翌日)
   死んだように眠るサラリーマン。
   間抜けな口を開けて寝るOL。
   1:9の髪型の寝ているサラリーマン
   はハゲが見えてしまっている。
慎吾N「リーマンになって流されて生きるの
 か...」

○公園
   ベンチに座り、ただブランコのイスを
   眺める慎吾。

○慎吾の家(回想)
   絵を描く幼い慎吾。
   その傍らで母、美枝子が夫以外の男と楽しそうに
   話している。
慎吾「お母さん、はい。これ〜」
   得意げに絵を二人に見せる慎吾。
男「(慎吾の頭を撫でながら)上〜手だねぇ
 〜」
美枝子「そうでしょ?な〜んせあたしの子だ
 から(笑)」
慎吾「おじさん、だあれ?」
美枝子「慎吾!あたしの新しい彼!かっこ
 いいでしょ?」
男「おじさんかぁ〜ハハハッ」

○もとの公園
   ボールが慎吾の足にぶつかる。
子供A「すいませ〜んボール取ってくださ〜
 い」
   慎吾、ボールを拾い上げる。
慎吾「(ボールを手渡しながら)ほらよ」
子供B「ありがとーございます」
慎吾「あのさぁ...」
子供A「え?」
慎吾「...君たちの将来やりたいことって何?」
子供B「サッカー選手!」
子供A「俺も」
   笑いながらボールを蹴る子供たち。

○慎吾の自宅(夕方)
鍵を開け、家に入る慎吾。
   テーブルには置き手紙がある。
   その封筒には「父を捜さないでくれ」
   と書かれている。
   慎吾、置き手紙を取り上げる。
信夫N「総天然色の夢を見た...これは神のお
 告げだ。実は父さんは、会社勤めの傍ら副
 業で、スナックを経営していた。悪いがメ
 モの裏に地図を書いておいた...しばらく留
 守にするので、その間にこの店を頼む」

○國推会事務所(翌日)
   洗面器に足を突っ込む大平。
大平「後藤〜ッ酢を持って来ぃや!」
   若頭補佐、後藤(40)が酢を持って来
   る。
後藤「さっきから兄ぃ聞いてはるんでっか?
 」
   水虫に集中している大平。
大平「相談は直接組長にいいやあ!」
後藤「(上目使いで不満そうに大平を見て)
 ......。」
大平「何や?」
後藤「先代総長(オヤジ)が忌んで...それに
 つけ込んで縄張り(シマ)荒らされとって
 も黙っとれっちゅんですかいの?」
大平「(足を気にしながら)儂もな...重々分
 かっとんねん」
後藤「せやけど、このままではウチの代紋の
 株が下りっぱなしや!」
大平「(ため息をつきながら)どこのアホじ
 ゃ?縄張り(シマ)荒らしとるんは?」
後藤「兄弟盃交わしとった...山村組ですわ」
大平「何やてぇ?義理ってもんにも限度があ
 るんじゃ!来ぃや後藤!」

○組長の部屋
   机の置物をひねる昌三。
   本棚が動き、奥に隠し部屋が現れる。
   隠し部屋に入る昌三。

○隠し部屋
   鼻歌まじりに服を選び、女性もののカ
   ツラを被る昌三。
   白のワンピースを着る昌三。
昌三「(鏡に映った自分を見ながら)いや〜
 んエビちゃんに負けへんくらい、ごっつ、
 かわいいや〜ん」
   自分に見とれる昌三。

○組長の部屋と隠し部屋
大平「組長!話がありやす!」
   静かな室内。
昌三「(部屋の奥から)何や〜?」
後藤「総代!何処におるんで?」
昌三「そないな話はええねん。んで用件は何
 や?」
大平「山村組の外道がウチのシマで暴れとる
  んですわ...」
昌三「(顔色を変え、そのままの格好で部屋
 のドアを開ける)何やてぇ?」
大平「...ボ、ボン、な、何してはるんで?」
後藤「(顔が引きつっている)...そ、その格好!」

○組長の部屋
   女装のまま、茫然自失の昌三。
昌三「(机の置物をひねりながら)...」
   昌三の左手には小さな変わった形の鏡
   がある。
   トボトボと歩き、事務所から出て行く
   昌三。

○國推会事務所(翌日)
後藤「あんな組長では組の将来が思いやられ
 ますわ。この際、先代組長(オヤジ)の為
 にも若頭(カシラ)!是非組長に!」
大平「せやけどな、儂には、オヤジに仁義が
 あんねん」
後藤「組を纏めんのは兄ぃしかおまへん」
大平「すまん。早計すぎやわ今は...」

○道
   女装のまま茫然としながらトボトボ歩
   く昌三。

○BAR
慎吾「(地図を見ながら)ああ〜ここだ」
   鍵をポストから見つけ
   開けて入ろうとすると突然手を掴まれる...
   女装した昌三が涙目で慎吾を見ている。

  ◯ 店内
   慎吾、店内に昌三を入れ   
慎吾「んで、アンタ誰?」
昌三「國推会4代目...國吉...昌三」
慎吾「(笑いながら)んなわけねぇって」
   服を脱ぎ背中の刺青を見せる昌三。
   コップを落とす慎吾...。
昌三「毘沙門天がオメェに見えっか?」
慎吾「(驚きながら)な、なんでウチに用が...」
昌三「実はここのマスターと仲が良くてな」
慎吾「うちのオヤジと?」
昌三「なんじゃ、マスターの息子さんか...と
 にかく儂がここに来たこと警察に電話して
 みぃ頭これで(拳銃を股間から出し見せな
 がら)弾くぞ?」
慎吾「い、一般人にそ、そんな...」
昌三「頼みがある。少しの間だけでええねん
 スナックのママさんにさせてくれへん?儂
 ほかに行くとこないんや」
慎吾「あんた、お、男じゃん...」

◯高級住宅街
   若い男と歩く大平美枝子(43)。
   その後ろをつける信夫。
信夫「(たまらず)美枝子!」
美枝子「あんた?」
信夫「(美枝子の目の前に行き)すまん!助
 けてくれ」
男「なんなんだよ!オメェーはよ〜」
   男、信夫を殴る。
   それでも食い下がり美枝子の前に行く
   信夫。
信夫「み、美枝子...」
美枝子「(あきれて)フン!何よ今更...」
信夫「(頭を下げながら)この通り...頼む!
 もうお前の手を借りるしかないんだ。
 お前が男作って家を飛び出したことは
 水に流す!」
美枝子「...で、何の用なの?」

○車内
   後藤と山村組長が話し合っている。
後藤「山村の兄貴!今ならウチの組潰せまっ
 せ」
山村「まぁええねん...」
後藤「何でですのん?」
山村「...あのバカ4代目が出て行ったとなる
 と、組員の忠誠心なんぞガタガタやわ〜。
 そないな組、潰すのなんか屁でもおまへん
 儂の関東進出が決まったも同然やし、笑い
 が止まらへんわ」
   高らかに笑う二人。

○BAR(数日後)
   店内で、ママを昌三がやっている。
昌三「いらっしゃいませ〜ん。おぅ慎吾
 ちゃん!何やねん?」
慎吾「女言葉じゃなくちゃ...」
昌三「客のほっとんどは3代目の俺のオヤジ
 の知り合いや。心配ないわ」
   笑う客たち...。
客A「ボンは義雄(アニキ)の子やし、兄貴
 は儂が関西から流れて来てからホンマよう
 してくれはった」
客B「儂かて同じや!恩義が忘れられへん」
慎吾「...そうですか」
   そこへ渡辺信夫(46)が元の妻である
   美枝子(43)を連れて来た。
慎吾「オヤジ!」
信夫「(昌三を指して)ところで慎吾、この人
 誰だ?」
   視線を美枝子に移す。
慎吾「(フンとそっぽをむく)」
美枝子「7年ぶりね...大きくなって」
慎吾「...」
信夫「まさか彼女じゃあるまいな?」
慎吾「んなわけねぇっつうの!」
   昌三、慎吾をにらむ。
昌三「そうだった。女の格好で会うの初めて
 か。アタシ昌三、國吉昌三よ」
信夫「えっ!?昌三さんが!?」
慎吾「ワケありで、今ここのママやってます」
昌三「ほなよろしゅうに」
   握手をする昌三と信夫。
慎吾「俺のオヤジ」
信夫「この店のためにわざわざどうも」
慎吾「(美枝子に)よくもこんなとこに顔が出
 せたもんだな」
美枝子「フンッ!背だけヒョロヒョロ伸びや
 がって」
慎吾「うっせーんだよ!このくそババァ!」
   殴り掛かる慎吾。
   押さえる昌三。
慎吾「離せよ!」
昌三「慎吾ちゃん!それだけはアカン。人形
 と女は顔が命なんやで!」
信夫「(慎吾に)この店もう半年も赤字でなぁ
 元ホステスの母さんにママを頼むしかなか
ったんだよ」
昌三「そんなぁ!せやったらママ二人っちゅ
 うんは、女として譲れんわ...くじ引きで決
 めへん?慎吾ちゃんのお母さん」
美枝子「いいわね...やりましょ!」
   紙を配り始める昌三。
昌三「記名投票よ...あだ名は、ダ・メ」
慎吾「あだ名ってなんだよ...」
昌三「夜のアゲハチョウ”美幸”とか漆黒の
 白鳥”マリア”とか全部あたしの源氏名だ
けどウフフッ...」
慎吾N「白鳥なのに漆黒って...」
   紙に名前を書き始める4人。
昌三「結果発表〜!じゃあ読むわね...(紙を
 広げながら)美枝子さん、美枝子さん、昌
 三。次で決まりよ!(紙を広げる)...」
   真っ白い紙。
   2ー1棄権1で昌三の敗け。
昌三「誰〜?こんなチンケなことしたおバカ
 さん」
美枝子「慎吾に決まってんよ」
慎吾「(うつむいて)...」
昌三「(逆にすごんで)オンドレなめとんのか
 ?オンドレにチンポ生えとんのか?」
美枝子「あるのはのどチンコだけよ」
   美枝子と昌三、目が合い、大笑い。
信夫「お前もいずれ分かるさ...」
慎吾「はぁ?」

○病院(数日後)
   医師と信夫が話しながら入ってくる。
医師「そうですか、しばらく顔を出していな
 いと思ったら...元の旦那さんと復縁を」
信夫「はぁ、店の手伝いなんですがね...」
医師「(レントゲン写真を貼りながら)う〜ん...」
信夫「どうでしょう...」
医師「余命半年を過ぎたというのに、まだ生
 きられているとは、素晴らしいことなんで
 すがね...」
信夫「といいますと?」
医師「医学の常識の枠を超えてますので...」
信夫「アイツ、ゴキブリなみの生存力なんで
 (苦笑)」
医師「奥さんにそんな...」
信夫「いいんですよ」
   信夫、一礼をし、診察室を出る。

○高級住宅街(回想)
   美枝子の手は病院の薬の紙袋を握って
   いる。
美枝子「あたしの元ホステスの力がどうして
 も必要ってワケなのね...」
信夫「(頷き)ところでお前どこか具合が悪い
 のか?」
美枝子「(咳をしながら)最近咳が止まらな
 くて...体中痛いのよ」
信夫「...」

○國推会事務所
   頬杖をつき眠る大平。

○海(回想)
   海で遊ぶ若い大平、幼い昌三、
   先代組長國吉義雄ら。
大平「ボン!そっちいったら、
   危ないでっせ!」
昌三「大丈夫!」
義雄「ハハハッ!怪我すりゃ分かる。
   大平、放っときや!」
大平「ハァ...」
昌三「大平〜こっち来ぃや〜」
   誘われ、沖まで泳ぐ大平と昌三。
大平「(突然悲鳴)ウグッ足が...」
昌三「どないしたん?」
   大平、溺れだす。
昌三「何さらしとんねん!あ〜世話の
 焼けるアホ〜」
   昌三、そばにいたボートに乗っ
   た人に頼み浮き輪を大平に投げ
   てやる。

○もとの事務所
   目を覚ます大平。
大平「こんなこともあったなぁ〜」

◯BAR(翌日)
   大学での授業後、心配になっ
   た慎吾はBARを見に行くと、
   店は大繁盛していた。
國吉のミッドナイトショー。
昌三「は〜い七色に光る夜の妖精 
 華で〜す!」
   周りは客が少なかったが.......
昌三「お触りは高いわよ〜」
   ガラスが割れる音がし、笑って昌三を
   見ていた美枝子が倒れる。

◯病院
   寝ている美枝子。
医師「今は安定しています...」
信夫「そうですか」
   昌三と慎吾は病室の外の廊下で連絡を
   待っている。
   信夫がやってくる。
信夫「今はとりあえず無事らしい...」
慎吾「...よかった...」
昌三「あら〜アンタお母ん嫌いじゃないん?
 せやけど、よかったわ〜」

○病室
美枝子「あぁ〜不味い!」
   美枝子、病院食のカルボナーラスパゲ
   ッティーに中濃ソースをかけ始める。
慎吾「うげっ!またかよ〜」
美枝子「ふりかけご飯が好きなガキよりまし
 よ!」
   美枝子、使っていたフォークをへし折
   る。
○BAR(昼)
   掃除をしている女装の昌三。
   店の前に黒塗りの車が着く。

○車の中
大平「ここで間違いないんやな?」
チンピラ「カシラ間違いないっす!」
   二人、車を降りる。

○BAR   
   店に入る大平。
昌三「お、大平!」
大平「すいやせんでした!(土下座をしなが
 ら)ボン、絶縁を撤回致しやす!」
昌三「なんでや?」
大平「若頭補佐、後藤が山村と結託しとっ
 たんです!」
昌三「...」
大平「ボン!いや4代目!うちの代紋はまだ
 地におちておまへん!」
昌三「...」
大平「女装なんて気にしておまへん...オヤジ
 の築いた代紋のためにも!戻ってください
 頼んます」
昌三「(ためらいながら)...」
大平「組を立て直すんは昌三ボン以外は無理
 なんですわ!」
昌三「ほなわかったさかい...ほんまもんの抗
 争(ドンパチ)を山村のアホどもに見せたろ
 うやないか!」

◯病室
   医師となにやら話をしている美枝子と
   信夫。
○病室 翌日
   医師がいない病室。
   さめざめと泣く信夫。
慎吾「嘘だろ...」
   ぴくりとも動かない美枝子の体。
   ただ呆然と立っている慎吾。
信夫「これ母さんから...」
   信夫、美枝子の顔をに白布をかけ直す
   。
   手紙を受け取る慎吾。
美枝子N「慎吾へお前の姿を見て...少しはし
 っかりした人間になったって見えた。だ
 って、このあたしがあんたの母親なんだ
 から...あたしはこれまで自分の思うがまま
 に生きてきた。やりたいようにやった。自
 分の人生だもん。あんた、お父さんみたい
 にクソリーマンやる気?豚よりひどいわね
 豚は肉になるけどスーツ着てブーブー言っ
 てるだけの役立たずになるのかしら?いや
 だったら、あたしみたいにやりたいことや
 るべきよ!だけど大半の男なんてクソよ〜
 見てくれよくても騙されやすいただの猿!
 お母さん、これまで男を何度騙したことか
 (笑)話ずれたわね。好きな様にやってみな
 さいあたしの子なんだから。じゃあお先失
 礼〜!」
   手紙を読み終え涙を堪える慎吾。
慎吾「あんのババァ!」
   信夫黙って何かを堪えている。
   美枝子の白布がパラリと落ちる。
   大笑いする美枝子。
美枝子「...何がババァよ!」
慎吾「(驚きながら)アーッ!」
医師「(笑いながら病室に入ってくる)美枝子さん!」
   美枝子、信夫大笑い。
慎吾「バカ夫婦!」
信夫「バッカで〜す」
   美枝子に小突かれ信夫のカツラがとれる。  
                     終わり

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