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高齢者情報資料室コミュのながと・ひろゆきさんの介護 

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介護の機会は「天命」
接する限り、妻と同じ目線


「介護については、まるで初心者。色々なことを学んでいきたい」と長門さん(東京都内の自宅で)=安川純撮影 芸能界のおしどり夫婦として知られる俳優、長門裕之さん(74)は、認知症の症状が進む、女優で妻の南田洋子さん(75)を3年前から自宅で介護しています。介護できる毎日を「とても幸せ」「できることは何でもしてやりたい」と言い、介護の現実を「天命」と受け止めます。

 

 覚えられぬセリフ

 洋子に異変を感じ始めたのは4年ほど前から。徐々にセリフを覚えられなくなってきたんです。元々、完璧な仕事をする女優だったのに、ある映画では1ページにわたる長ぜりふを覚えられず、投げやりな態度を見せました。

 老化現象か、あるいは努力不足だろうと思い、「勉強が足りない。役者の信義に欠けるぞ」と大激怒しました。すると、洋子はボロボロ泣きながら練習するんです。でもなかなか覚えられない。3、4日、付きっきりで教えました。

 本番では、そのセリフを一発で言えたと後から聞き、そりゃあうれしかった。しかし、洋子からは「セリフ覚えられないからやめさせて」と言われ、うなずくしかありませんでした。

 

 2006年、東京都内にあった200坪の邸宅を壊し、生活しやすいマンションを建設。その一室で夫婦は暮らし始めた。なるべくそばにいて話しかけ、トイレや入浴も手伝っている。

 

 全身で嘆き、怒る

 女優意識があるからか、外出は嫌います。トイレの心配もあるのでしょう。だから運動は寝室から食卓までの往復ぐらい。右手でつえをつき、ゆっくり歩きます。でも、時々はオレのいる部屋まで足を延ばし、好物の塩せんべいを安らいだ表情でボリボリと食べていくこともあります。

 そういう時は、オレの存在が癒やしになっているのかな、と至福を感じます。将来、洋子がすべてを忘れる日が来るかもしれないけれど、ずっとオレがそばにいるから安心していいんだよ、と言ってやりたいです。

 しかし、仕事がある時は離れざるを得ない。酒でも女でもなく仕事なのに、介護人であるオレが自分から離れていく不条理を、洋子は目や表情など、全身で嘆き、怒ります。不在中は、お手伝いさんに面倒を見てもらっていますが、少しずつ利用できる施設のことなども勉強していかないとと思っています。

 

 南田さんは、長門さんの父で大スターだった沢村国太郎さんを亡くすまでの14年間、「長男の嫁」として介護し続けた経験がある。テレビや映画の仕事をこなしながら、自宅では毎晩、マスク、手袋、ジャージー姿で半身不随の義父の体をふいたという。

 

 苦労かけ続けた

 おやじは洋子にしか介護させなかったんです。でも、それをいいことにオレは何もしなかった。介護だけじゃなく、女性関係や借金など、洋子には苦労のかけっぱなしで、お返しする機会がずっとなかった。だから、洋子が病気になって介護するチャンスを与えてくれたことに人生の摂理を感じます。負け惜しみだと思う人もいるかもしれませんが、本当に毎日が楽しくて仕方ない。洋子には悪いけど、活性化されている自分を感じます。

 夜中は、洋子がトイレのドアを開ける音で何度も目が覚め、その都度、付き添っています。トイレ内は孤独になりやすいですからね。

 以前、洗面所のいすを便座と間違え、いすの上で失禁したことがありました。「何でわからないんだ」と怒ってお尻をたたき、つい「病院に入れるぞ」と言ってしまいました。すると、洋子の顔が獣じみた表情になり、本気で腕をかみつかれました。

 その時、思ったんです。患者は介護されることが人生のすべてなのだから、同じ目線で接しないとダメなんだと。見下すような態度では、本当の介護はできませんね。

 

 南田さんの症状は行きつ戻りつだ。「一気に忘却の世界」へ溶け込んでしまうのではなく、昔のままの南田さんがひょっと戻ってくることもある。俳優で友人だった緒形拳さんを亡くし、号泣していた長門さんは南田さんから「泣いちゃダメ。泣いて緒形さんが喜ぶわけないでしょ」とたしなめられ、「驚がくした」と振り返る。

 

 でもその直後、オレが出かけようとすると、洋子がわんわん泣き出したんです。どうしたのかと思ったら、「あなたの着ているものが気に入らない」と叫ぶ。もう、一気に力が抜けました。

 洋子がずっと元気なままなら、ぼつぼつ仕事をしながらゴルフをしたり、旅行をしたりしたと思います。しかし、与えられたのはゴルフバッグじゃなく、病気だった。だったら天命と受け止め、オレがゴルフクラブを振る代わりに、おむつをはかせようという気持ちになればいいだけの話。これも人生ですよ。(聞き手・板東玲子)

 俳優。1934年、京都市生まれ。6歳で映画デビュー。56年公開の日活映画「太陽の季節」で南田洋子さんと共演し、61年に結婚。最近では映画「夢のまにまに」に出演。2月には「旭山動物園物語」が公開される。

(2008年12月14日 読売新聞)

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