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高齢者情報資料室コミュの高齢社会を脅かす介護人材の不足(2008/9/4)

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「介護は人の役に立つ、やりがいのある仕事」という意欲的な若者もいる。彼らの情熱にどう応えるかが問われる
 介護ロボットの開発も進んでいるようだが、基本的に介護は人と人との触れ合いだ。自分に介護が必要になったら、専門知識を持つやさしい人に介護してもらいたいと思う。だが、このままではそんな望みは叶わなくなるかもしれない。介護保険制度が始まって8年。この2−3年で急激に介護の人材不足が深刻になっている。背景にあるのは仕事の割りに報われない低い処遇と、将来性のなさだ。

「低い給与」「見えない将来」に離職者止まらず

 近年、介護職場を指して新3kなる言葉まで生まれているという。きつい、給料が安い、結婚できない。特に、結婚年代を迎えた男性にとって「家族を養う収入が得られない」仕事は離職につながっている。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、常用雇用で働く男性の給与は全産業平均が月約34万円に対して、福祉施設介護員の男性は約21万円。同じ年代でみると、30−34歳のサービス業で働く男性の平均年収は468万円だが、福祉施設介護員の男性は336万円。初任給はあまり変わらないが、20代後半から急激に格差が開いていく。

 埼玉県新座市で高齢者施設を経営する非営利活動法人暮らしネット・えんで働く34歳の男性は、勤続5年、大卒で介護福祉士の資格も持っているにもかかわらず、月5回の夜勤をこなして給与は23万5000円、税金や社会保険料を引くと月18万8000円という厳しさだった。

 多くの介護施設は収入の大半を介護報酬に頼っている。いわば公定価格だ。先進的な社会福祉法人や民間企業のなかには業態の多様化や複合経営、大規模化などで「公定」以外の収入を増やして従業員の処遇を改善し定着につなげているところもあるが、訪問介護事業を主体にするところや規模の小さいNPO法人などでは限界がある。「いくら頑張ってもこれ以上の賃上げは難しい。せっかく意欲をもって入ってきてくれた人が知識も経験もついてきたころに、生活上の理由で職場を去っていくのを見るのは辛い」(暮らしネット・えんの小島美里代表幹事)との声がきこえる。

 小規模な事業所ではキャリアアップの道も用意されておらず将来が見えない。女性の場合は、育児休業や短時間勤務などの両立支援も不十分。加えてコムスン事件が介護職場は法令順守もできていない前近代的な職場という悪いイメージを広げてしまった。


需要増に追いつかない人材供給、施設建設見送りも

 「悪い印象ばかり広がってしまったが、介護は人と人が濃密にかかわれるやりがいのある仕事」と介護に携わる関係者は口をそろえる。人の役に立つ仕事をしたい、お年寄りのお世話をしたいという若者もいる。しかし、現状は「24時間交代勤務の厳しい仕事の割りに社会の評価も低く、給与も低い。働き続けても先がみえない」との見方が強まっている。「子供が介護士になりたいといっても、親が反対する」。介護福祉士養成コースを持つ短期大学の教授は定員割れを前にこうこぼす。

 2006年に介護分野で働く人は117万と前年より4.2%増えたが高齢化による需要の増加に供給が追いつかず、全産業平均の有効求人倍率1.02に対し介護分野は1.74だ。日本総合研究所「人手不足の実態に関する調査研究」(08年)では3分の2の事業所が訪問介護員が足りないと答え、半分の事業者が介護職員が足りないといっている。「新聞の折り込み広告を入れても100回のうち40回はまったく反応がない」というのは全国で高齢者向けホームを経営するベネッセスタイルケアの小林仁社長だ。東京都杉並区で地域密着型施設を経営する株式会社ビアンは、必要な人材が集められず昨年春開設予定だった施設の一階部分が半年、2階部分は1年遅れとなった。西東京に建設を予定していた施設は地鎮祭までしながら人材確保のめどがつかず建設をあきらめた。「地元からは是非建設して欲しいといわれていただけに残念」と吉田佑一社長は唇をかむ。

 

「夢持てる職場環境」改善は待ったなし

 厚労省の試算では2014年には140万−160万人の介護職が必要になるといわれている。現状ではとてもこころもとない。海外から介護士をいれればいいとの声も強まっているが、3kといわれる現状を放置して「高度人材」もないだろう。

 もちろん介護事業者の中にも問題があるところは少なくない。介護はもうかりそうだと安易に参入して、経営努力も不十分なままに従業員の処遇が低いのは介護報酬が低いせいだと言い募るだけの経営者もいるとの指摘はある。社会福祉法人の中にも親が土地を提供して事業を始め、一族が組織の中枢を占めているため有能な人材が育たず、経営努力も不十分なところがある。こうした現状をそのままに介護報酬を上げても、本当に働く人に還元されるのかという不安はあるが、働く人が夢をもって仕事に取り組めるよう職場環境の改善が必要なのは確かだ。

 来春の介護報酬の改定に向けてすでに議論が始まっている。介護人材をどう確保するかは緊急の課題だ。無駄な介護保険給付を厳しくチェックして適正化をはかり財源を人材確保にまわすとともに、民間が知恵を絞れるように余計な規制をやめ、優良な業者が腕を振るえるようにすることも大切だ。そのうえで適正な介護報酬の引き上げも必要だろう。ただ、介護人材が定着しないのは賃金にだけ問題があるわけではない。公正な人事評価システムやキャリアパス、社会的な評価など幅広い観点でこの問題に取り組まなければならない。介護職場の将来は私たちの老後の安心と密接につながっている。

http://www.nikkei.co.jp/neteye5/iwata/index.html

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